「スプレッド」という言葉を聞いたことがありますか?
スプレッドは仮想通貨や外貨預金・FXなど、外貨建て取引をしているとよく出てくる言葉です。
スプレッドの意味や仕組みを理解しておくと、ムダな手数料を支払わなくて済むため、運用成績の向上につながりますよ。
また、投資をしない場合でも、海外旅行などで外貨両替をする機会があるなら、スプレッドについて知っておくとお得に海外旅行を楽しめます。
今回はスプレッドの意味や仕組み、主な取引、スプレッドを安く抑える方法について説明しますね。
スプレッドとは?
スプレッドとは、金融取引における「金利差」や「価格差」のことです。
スプレッド(Spread)という言葉には、もともと「広がり、値幅、差額」といった意味があることから、金利差や価格差のことをスプレッドと呼ぶようになりました。
株式や債券、商品(コモディティ)など、さまざまな金融商品にスプレッドは存在しますが、一般的には為替手数料を意味することが多いですね。
たとえば、経済ニュースなどでは「本日の外国為替相場は1米ドル=110円から110円50銭」のように言われます。
これは円を米ドルに交換するときのレートが110円、米ドルを円に交換するときが110円50銭という意味です。
そして、「米ドル/円のスプレッドは50銭(110円50銭-110円)」のような言い方をしますよ。
ここからは、スプレッドが外貨建て取引をするときの為替手数料であることを前提に説明を続けていきますね。
スプレッドの仕組み
スプレッドは利用者にとってはコストですが、金融機関にとっては収入になりますよ。
▼こちらは三井住友銀行の外貨両替の為替レートです。
米ドルを円に戻すときのレートが112.60円、円を米ドルに交換するときのレートが113.60円なので、1米ドルあたりのスプレッドは1円(113.60円-112.60円)になります。
これを金融機関の立場から考えると、米ドルを安く仕入れて高く売るのと同じです。
金融機関は外貨を円に戻すときより、円を外貨に交換するときのレートを高くすることで手数料収入を得ていますよ。
スプレッドは金融機関によって差があるため、コストを節約するには、少しでもスプレッドが安い金融機関を利用することが大切です。
スプレッドが発生する主な取引
ここでは、スプレッドが発生する主な取引を紹介しますね。
外貨両替
先ほども紹介しましたが、海外に行くときに利用する外貨両替はスプレッドが発生します。
円を外貨に交換するレートと外貨を円に戻すレートに差があり、その差がスプレッドになりますよ。
外貨両替は銀行窓口や空港で行うのが一般的ですが、スプレッドは高いですね。
最近ではFXを利用して外貨両替することもでき、スプレッドを安く抑えられますよ。
詳しくは後ほど説明しますね。
外貨預金
外貨預金は日本円ではなく、米ドルやユーロなどの外貨で行う銀行預金です。
円預金は低金利であるため、円より金利が高い外貨預金をアピールしている銀行が多いですね。
確かに外貨預金の金利は円預金より高いのですが、円を外貨に交換するときにスプレッドが発生します。
銀行によっては外貨のまま使うこともできますが、外貨を円に戻すときもスプレッドが発生するので、金利が高くてもあまりお金が増えない可能性がありますよ。
外貨預金のスプレッドも金融機関によって違いがあるので、少しでもスプレッドが安い金融機関を選ぶほうが有利です。
外貨預金には為替リスクがあり、為替が円高になると元本割れすることもあるので注意してくださいね。
FX
FX(外国為替証拠金取引)とは、円と米ドルなど2つの通貨を売買することで利益の獲得を目指す取引です。
為替相場は常に変動しており、FXでは2つの通貨の為替差を利用して利益を出します。
たとえば、1米ドル=100円のときに米ドルを買い、1米ドル=120円のときに米ドルを売ると、差額の20円(120円-100円)が利益になりますよ。
FXはリスクが高いため、短期トレードはおすすめしません。
しかし、FXは外貨両替や外貨預金に比べるとスプレッドがかなり安いので、トレード以外の活用方法もありますよ。
こちらも詳しくは後ほど説明しますね。
外国株
外国株の取り扱いがある証券会社を利用すれば、米国株や中国株などの売買が可能です。
外国株を売買するときは円貨決済と外貨決済を選択でき、円貨決済なら円のまま売買できますよ。
円貨決済の場合は証券会社が定めた為替レートで取引することになり、ここでスプレッドが発生します。
為替レートは証券会社によって違うため、スプレッドが安い証券会社で取引するほうがお得です。
外貨建て債券
外国の国債や発行元が外国企業などの外貨建て債券を取引するときも、スプレッドが発生します。
外国株と同じく円貨決済と外貨決済を選択でき、円貨決済の場合は証券会社が定めた為替レートで取引することになりますよ。
外貨建て債券も、スプレッドが安い証券会社で取引するほうがコストを節約できます。
スプレッドを安く抑える方法
どんな取引でスプレッドが発生するか確認できましたが、どうすればスプレッドを安く抑えられるのでしょうか。
ここでは、スプレッドを安く抑える方法を5つ紹介しますね。
外貨両替はFXで行う
外貨両替は銀行や空港で行うのが一般的ですが、FXを利用すればスプレッドを安く抑えられます。
FX会社のマネーパートナーズは外貨両替サービスを提供しており、銀行や空港よりも安いスプレッドで両替ができますよ。
銀行で米ドルを外貨両替するとスプレッドは1円、空港では3円以上かかることもあります。
しかし、マネーパートナーズなら1通貨あたり0.2円+500円(事務手数料)で両替できますよ。
たとえば、外貨両替で1,000米ドルを用意する場合、空港では3,000円(3円×1,000米ドル)かかりますが、マネーパートナーズなら700円(1,000米ドル×0.2円+500円)です。この差は大きいですよね。
マネーパートナーズではネット上で手続きをして、空港で外貨を受け取る流れになります。
ある程度の日数がないと受け取れないため、外貨両替する場合は余裕をもって手続きを行いましょう。
ソニー銀行のデビットカード「Sony Bank WALLET」
外貨両替のスプレッドを安く抑えるには、デビットカードを活用する方法もありますよ。
デビットカードは、クレジットカードのようにキャッシュレスで買い物できますが、決済したらすぐに銀行預金から代金が引き落とされるのが特徴です。
海外で買い物をするなら、ソニー銀行のデビットカード「Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)」がおすすめです。
海外でSony Bank WALLETを使うと、ソニー銀行の外貨普通預金の残高から引き落としできますよ。
ソニー銀行外貨普通預金の米ドルのスプレッドは、1米ドルあたり15銭と外貨両替に比べて格安です。
また、外貨普通預金から引き落とされる場合は、海外ショッピング手数料も無料になります。
Sony Bank WALLETは米ドルだけでなくユーロ、豪ドルなど10通貨に対応しており、海外に行く機会が多いならおすすめですよ。
外貨預金はネット銀行やFXを利用する
外貨預金はスプレッドが高いため、基本的にはおすすめしません。
しかし、資産のうち一定額を外貨で保有するのはリスク分散効果がありますし、円預金よりも金利が高いのも事実です。
もし外貨預金をするなら、都市銀行ではなくネット銀行やFXを利用するのがおすすめですよ。
たとえば米ドルの場合、三井住友銀行のスプレッドは1米ドルあたり1円ですが、住信SBIネット銀行の外貨普通預金なら4銭、外貨積立なら2銭です。
また、SBIFXトレードなら米ドルのスプレッドは1米ドルあたり0.27銭とさらに安くなりますよ。
FXで元手以上の金額を売買できるレバレッジ取引をするのは、リスクが高いのでおすすめしませんが、レバレッジ1倍での取引なら外貨預金とほぼ同じです。
どうしても外貨預金をする場合は、ネット銀行やFXを利用してスプレッドを安く抑えましょう。
また、SBIFXトレードだと、積立FXで積み立てすることもできます。
外国株や外貨建て債券はネット証券で購入する
証券会社で外国株や外貨建て債券を円貨決済で購入するときは、その証券会社が定めたスプレッドがかかります。
少しでもスプレッドを安く抑えたいなら、ネット証券で購入するのがおすすめですよ。
たとえば、野村證券や大和証券で米ドル建ての取引をする場合、スプレッドは1米ドルあたり0.5円かかります。
それに対して、SBI証券や楽天証券のスプレッドは1米ドルあたり0.25円です。
店舗がある大手証券に比べて、店舗を持たないネット証券は人件費や経費を節約できるため、スプレッドも安く設定されていますよ。
SBI証券と住信SBIネット銀行の外貨入出金サービス
外国株や外貨建て債券のスプレッドをさらに安くしたい場合は、SBI証券と住信SBIネット銀行の外貨入出金サービスがおすすめです。
外貨入出金サービスでは、住信SBIネット銀行の外貨預金口座からSBI証券の外貨建て口座に手数料無料で入金し、その外貨で外国株や外貨建て債券を購入できます。
住信SBIネット銀行の外貨預金はSBI証券よりもスプレッドが安いので、外貨入出金サービスを利用すればさらにスプレッドを安くできますよ。
SBI証券で外国株や外貨建て債券を購入するなら、外貨入出金サービスはぜひ利用したいサービスです。
さいごに
外貨両替や外貨預金は、ネット銀行やFXを利用してスプレッドを節約できれば、使える金額が増えるのでお得ですよ。
また、外国株や外貨建て債券を売買する場合は、スプレッドを安くすることが運用成績の向上につながります。
外貨建て取引をするときは、スプレッドを安く抑えることを意識してみましょう。