新幹線のネット予約「エクスプレス予約」と「スマートEX」の違いを徹底解説

こんにちは、鉄道移動が大好きな山﨑謙です。

東海道・山陽新幹線のネット予約サービスには「エクスプレス予約」と「スマートEX」の2つの種類があります。

どちらもインターネットで予約ができて、ICカードで乗れるのは一緒なんですが、微妙に違いがあるんですよね。

エクスプレス予約とスマートEXのパンフレット
「エクスプレス予約」と「スマートEX」のパンフレット

「エクスプレス予約」は年会費が1,100円かかりますが、どの時期でもきっぷよりも「スマートEX」よりも安くで買えますよ。

一方で、「スマートEX」は年会費無料できっぷよりは安いですが、エクスプレス予約より高くなります。

さらに「エクスプレス予約」は実は2種類あるんです。ややこしい…。

ここでは「エクスプレス予約」と「スマートEX」の違い。
そして2種類の「エクスプレス予約」について徹底解説します。

新幹線のネット予約「エクスプレス予約」と「スマートEX」の違い

「エクスプレス予約」と「スマートEX」の違い

「エクスプレス予約」と「スマートEX」には4つの違いがあります。
順番に説明していきますね。

年会費の有無

「エクスプレス予約」と「スマートEX」の一番の違いは年会費の有無。
「エクスプレス予約」は1,100円かかりますが、「スマートEX」は無料です。

運賃が違う

「エクスプレス予約」は年会費こそかかりますが、運賃は年間を通して最安です。

主な区間の値段は以下のとおりです。

区間きっぷ(通常期)スマートEX(通常期)エクスプレス予約(通常期)
東京―静岡6,470円6,270円5,740円
きっぷより730円(往復1,460円)、スマートEXより530円(往復1,060円)お得
東京―名古屋11,300円11,100円10,310円
きっぷより990円(往復1,980円)、スマートEXより790円(往復1,580円)お得
東京―新大阪15,720円14,520円14,230円
きっぷより490円(往復980円)、スマートEXより290円(往復580円)お得

以前「エクスプレス予約」は通年で同額だったので、きっぷや「スマートEX」の繁忙期でもかなり安くなっていたのですが、2023年10月から「エクスプレス予約」にもシーズン別の料金が設定されたため、きっぷとは490円、「スマートEX」との差額は290円となりました。

使えるICカードが違う

「エクスプレス予約」は対象のカードを申し込む、もしくはカード会社に申し込むと専用のICカードが送られてきて、そのカードを使って乗車します。

▼JR東海・エクスプレスカード、J-WESTカード(エクスプレス)に申し込むと送られてくる「EX-ICカード」がこちら。

EX-ICカード

▼三井住友カードやJCBなどカード会社に「エクスプレス予約」に申し込むと送られてくる「プラスEXカード」(パンフレットより)

プラスEXカード

これらのカードは交通系ICカードと重ねて利用ができるので、乗り換え改札を使う時は2枚重ねてタッチすればOKですよ。

▼EX-ICカードを交通系ICカード(PiTaPa)と重ねて改札機にタッチしているところはこちら。

EX-ICカードを交通系ICカードと重ねてタッチ

なお、ビューカードで「エクスプレス予約」を使う場合は、「エクスプレス予約会員証」が発行されます。

もともとApple PayのSuica・モバイルSuicaがこれらのカードの代わりとなるための措置でしたが、2021年3月6日から通常の「エクスプレス予約」同様交通系ICカードでも利用できるようになり、同時に会員証を「EX-ICカード」のように改札機にかざして利用できるようになりました。

▼ビュー・エクスプレス会員証

JR東海のエクスプレス予約の会員証

一方「スマートEX」は交通系ICカードの裏面の右下に刻印されている番号を登録すれば、そのカードを使うことができます。

▼交通系ICカードの裏面。
右下の黒枠部分の17桁の番号を入力すれば登録できますよ。

交通系ICカードの裏面

「スマートEX」に登録できるICカードは以下のカードです。

Apple PayのSuicaモバイルSuica・モバイルPASMOにも番号があるので登録ができますよ。

2021年3月6日からは「エクスプレス予約」でも交通系ICカードの登録が可能に!

EX-ICカードとモバイルSuica・Apple PayのSuica(JR東海エクスプレスカード・JR東日本ビューカードのみ)だけしか、乗車用のカードとして登録できなかった「エクスプレス予約」ですが、2021年3月6日からは乗車用カードとして交通系ICカードの登録が可能になりました。

今までモバイルSuica・Apple PayのSuicaにも紐付けできなかったJ-WESTカード会員を含め、すべての会員がモバイルSuica・Apple PayのSuica・モバイルPASMO・Apple PayのPASMOを含めた10種類の交通系ICカードが登録できるようになりますよ。

エクスプレス予約/スマートEXの新たなサービスの開始について|JR東海

「グリーンプログラム」(2023年12月31日乗車分でポイント付与終了)の有無

以下のクレジットカードでエクスプレス予約を使うと、乗車実績に応じてグリーン車に乗れるポイントが貯まる「グリーンプログラム」があります。

乗車区間に応じて10〜150ポイント貯まり、使う時は1乗車につき、「のぞみ」は1,000ポイント、「ひかり」は800ポイント、「こだま」は600ポイントが必要です。

東京ー新大阪なら6往復で1,080ポイント貯められるので、「のぞみ」のグリーン車に乗車できますよ。

▼「グリーンプログラム」で貯まったポイントを使って引き換えた「のぞみ」グリーン車の特急券(真ん中あたりに「グ 0」の表示がある)

グリーンプログラムで引き換えたのぞみグリーン車のきっぷ

「エクスプレス予約(プラスEX会員)」にはグリーンプログラムはない

三井住友やJCB、AMEXなどカード会社に申し込むタイプの「エクスプレス予約」は「プラスEX会員」と呼ばれ、グリーンプログラムの設定はありません。

グリーンプログラムは2023年12月31日乗車分でポイント付与が終了

とてもお得だったグリーンプログラムですが、2023年12月31日乗車分でポイントの付与が終了、ポイントでの引き換えも2024年6月30日予約完了分をもって終了します。

かわりに東海道新幹線区間はJR東海のEXポイント、山陽新幹線区間はJR西日本のWESTERポイント、九州新幹線区間はJR九州のJRキューポが2023年10月1日から付与されます。

ただ東京―新大阪でエクスプレス予約で普通車指定席を利用した場合83ポイントしか付きません。

「エクスプレス予約」と「スマートEX」の相関表

※ここからはわかりやすいように、グリーンプログラムが使える「エクスプレス予約」を「エクスプレス予約A」、そうでない「エクスプレス予約(プラスEX会員)」を「エクスプレス予約B」と表記します。

 

なお、A・Bの表記がないものはA・B両方のことを指します。

「エクスプレス予約」と「スマートEX」の違いをまとめると以下のとおりです。

項目エクスプレス予約Aエクスプレス予約BスマートEX
クレジットカードJR東海
エクスプレスカード
JR東日本
ビューカード
JR西日本
J-WESTカード
(エクスプレス)
対象カードは
以下でチェック
カードナビ
VISA・master
JCB・AMEX
Diners Club
年会費1,100円無料
乗車運賃いつでも変わらず最安
(2023年秋からは超繁忙期・繁忙期・閑散期運賃に)
きっぷの200円引き
ICカードEX-ICカード
交通系ICカード
Apple PayのSuica
モバイルSuica
Apple PayのPASMO
モバイルPASMO
プラスEXカード
交通系ICカード
Apple PayのSuica
モバイルSuica
Apple PayのPASMO
モバイルPASMO
交通系ICカード
Apple PayのSuica
モバイルSuica
グリーンプログラム
(2023年12月31日乗車分で
付与終了)
ありなしなし

でもこれだと自分にどれが合っているかわかりにくいですよね?
ここからは利用シーンに応じて、どちらを選べばいいかを探っていきますよ。

「エクスプレス予約」「スマートEX」どっちを選べばいいか

東京―名古屋以上の距離を複数回・複数人数で乗るなら「エクスプレス予約」

主な区間の値段を見てみると以下のとおり。

区間きっぷ(通常期)スマートEX(通常期)エクスプレス予約(通年)
東京―静岡6,470円6,270円6,160円
きっぷより730円(往復1,460円)、スマートEXより530円(往復1,060円)お得
東京―名古屋11,300円11,100円10,880円
きっぷより990円(往復1,980円)、スマートEXより790円(往復1,580円)お得
東京―新大阪14,720円14,520円14,230円
東京―新大阪はきっぷより490円(往復980円)、スマートEXより290円(往復580円)お得

「エクスプレス予約」は通年で同額でしたが、2023年からはきっぷや「スマートEX」同様シーズン別の料金になりました。

オトクさは減少してしまったものの、まだまだ複数人数での移動だとさらにきっぷや「スマートEX」と比べるとその差は大きくなるので、個人的には「エクスプレス予約」がオススメです!

短い区間・早特商品のみの利用なら「スマートEX」

東京ー静岡より短い区間や、乗車する21日前や3日前までに買うとお得になる早特商品のみを利用する場合は年会費無料の「スマートEX」がいいですよ。

というのも通常の料金は「エクスプレス予約」のほうが圧倒的に安くなりますが、早特商品に関しては「エクスプレス予約」も「スマートEX」も同じ金額だからです。

短い区間・早特商品のみの利用なら「スマートEX」を選びましょう。

注意:「スマートEX」は早特商品の予約枠が少ない

とは言ったものの、実は「スマートEX」の早特商品は「エクスプレス予約」よりも予約枠が少なくなっています。

同じタイミングでも「エクスプレス予約」では買えて「スマートEX」では購入できないケースもあります。

▼「スマートEX」の予約画面・EXグリーン早特は売り切れ(※増税前の価格です)

スマートEXの予約画面

▼「エクスプレス予約」の予約画面・「スマートEX」と同じタイミングで表示しているがEXグリーン早特は残あり(※増税前の価格です)

EX予約の予約画面

確実に購入するには乗車1ヶ月前の発売のタイミング、または発売開始日の7日前から予約の事前申し込みができる「事前申込サービス」を利用するか、「エクスプレス予約」の利用を検討しましょう。

早特商品の設定除外日は「エクスプレス予約」のほうが少ない年がある

通常商品よりもお得に移動ができる早特商品ですが、GWやお盆、年末年始のもっとも混雑する時期には「設定除外日」があります。「エクスプレス予約」のほうが「スマートEX」よりも設定除外日が少なく、早特商品が予約できる日数が多くなっている年が多いです。

2024年度の設定除外日はエクスプレス予約・スマートEXともに以下のとおり統一されています。

時期エクスプレス予約スマートEX
GW4月26日(金)~5月6日(月)4月26日(金)~5月6日(月)
お盆8月8日(木)~8月18日(日)8月8日(木)~8月18日(日)
年末年始12月27日(金)~1月5日(日)12月27日(金)~1月5日(日)

飛行機のマイルも貯めたい場合

飛行機のマイルも貯めたい場合、さきにも紹介したとおり1年に東京ー新大阪を1往復でも新幹線に乗るなら「エクスプレス予約」にしておくといいですよ。

1年に東京ー新大阪を6往復以上しないなら、グリーンプログラムのない「エクスプレス予約B」にして決済カードを航空系のカードにすると良いでしょう。

もしグリーンプログラムのある「エクスプレス予約A」を使いたい場合、航空系のカードはJR東日本のビューカードにしかありません。

となると、「ANA VISA Suicaカード」か「JALカードSuica」のいずれかを紐付けたいところなんですが、ここの取り扱いが少々ややこしく「JALカードSuica」はOKなんですが、「ANA VISA Suicaカード」は使えません。

ANAマイルを貯めたい場合は、グリーンプログラムは諦めて「エクスプレス予約B」を選ぶことになります。

短い区間のみ早特商品のみの利用であれば「スマートEX」でOKですよ。

Apple PayのSuica・PASMO、AndroidのモバイルSuica・PASMOは2021年3月6日からはどれでも使えるように

以前JR西日本のJ-WESTカード(エクスプレス)を選んでしまうと、Apple PayのSuica・AndroidのモバイルSuicaで新幹線の改札を通ることができませんでした。

私もJ-WESTカードなのでApple PayのSuicaで使えなくて困ってました…。

でも2021年3月6日からはJR西日本のJ-WESTカードでのエクスプレス予約会員も含め、すべてのエクスプレス予約が交通系ICカードでの乗車に対応してくれることになりました!

もちろんApple PayのSuica・PASMO、AndroidのモバイルSuica・PASMOにも対応していますよ。

▼ちなみに、Apple PayのSuicaで新幹線の改札を通る様子はこちらですね。

さいごに

2つの「エクスプレス予約」と「スマートEX」について、サービスの違いを中心に利用シーンに応じてどのサービスを選べばいいかを解説しました。

  • 1年に1回でも東京ー名古屋以上の距離を往復するなら年会費のモトがとれるので「エクスプレス予約」(※2023年秋まで)
  • 東京ー静岡よりも短い距離に1年に1回しか乗らないもしくは早特商品のみの利用なら「スマートEX」(※2023年秋まで)
  • ただし「スマートEX」の早特商品は設定除外日が多く、予約枠が少ない
  • 飛行機のマイルを貯めながら、グリーンプログラムのポイントも貯めたいなら「JALカードSuica」

以上を覚えておけばOKです。

年に1回以上、新幹線を使って往復する予定があるなら「エクスプレス予約」がおすすめですよ!

早特サービスだけを使うか、まずは感覚を知りたいという場合は「スマートEX」から使うのもいいですね。

どちらを使うにしても、窓口や券売機で新幹線の切符を買うのと比較すると、時間とお金の両方の節約になりますよ。

ノマド的節約術の裏話

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この記事を書いた人

「豊かな移動」を突き詰める移動自体を楽しむ人。小学生のときにゆうちょの定額貯金の存在に気づいたわりには、その後お金の使い方に苦労。今はさまざまなクレジットカードや予約サービスを活用し、移動費の節約や料金をかけずにゆったり移動する「豊かな移動」を志向。2023年からは「移働家」として家なし生活してます。