生活するうえで食料品や日用品、そのほか必要なものを普段買いますよね。
キャッシュレスが広まってきても、現金を使う機会はそうそう減りません。
いつも何気なく使っているお金も、ふと考えるとちょっと気になることがあるもの。
たとえば、一万円札について、以下のようなことは思ったことはありませんか?
- 一万円札はいつからあるのか?
- 今までに何回デザインが変わったのか?
- そもそもなぜデザインが変わるのか?
- お札の歴代の肖像画や絵柄は?
- 次回はいつ、どんなデザインになる?
実は、たくさんの技術や工夫・願いなどが盛り込まれているんですよ。
そこで、このページでは一万円札はどんなお金なのか、いつデザインが変わるのか、歴代の想像画の人物や絵柄、サイズなどについて紹介していきますよ。
一万円札とは?日本の最高額の貨幣
一万円札は、日本円の貨幣の中で最高額となる紙幣です。
1958年(昭和33年)に初めて発行されました。
一万円札は、2019年(令和元年)時点で、過去2度の変更がされていますよ。
今では生活になくてはならない一万円札ですが、できた当初は「一万円札なんて高額すぎて必要がない」という批判も多かったので、驚きです。
その理由は、1958年当時の大学卒業者の初任給平均が、約13,000円だったから。
2018年の大学卒業者の初任給の平均は、厚生労働省の発表によると約206,700円です。
現在でいうなら、二十万円紙幣をつくるような感覚ですね!
確かに二十万円札があると考えると、高額すぎる…。
結果として、高度経済成長などで一万円紙幣は世間に定着。
一万円紙幣を早めにつくったことは、成功だったといえるのではないでしょうか。
一万円札のデザインはいつ変わる?次は2024年(令和6年)
さきほど、一万円札はこれまで2度デザインが変わっていると紹介しました。
い次はいつ、デザイン変更がおこなわれるのかも気になりますね。
次に一万円札のデザイン変更がおこなわれるのは、2024年(令和6年)の予定ですよ。
千円札と五千円札も同時に変更される予定です。
▼一万円札のデザインでポイントとなるのは、以下の3つ。
- 表面の肖像画
- 裏面に描かれる絵柄
- 透かしに写るもの
ほかにもポイントとなるものもがありますが、あとで詳しく紹介しますね。
▼一万円札のデザイン変更の流れは、以下のとおり。
代 | 発行開始時期 | 肖像画 | 裏面の絵柄 | 透かし | サイズ(縦×横:単位mm) |
---|---|---|---|---|---|
初代 | 1958年(昭和33年)12月1日 | 聖徳太子 | 鳳凰 | 法隆寺 夢殿 | 84×174 |
二代 | 1984年(昭和59年)11月1日 | 福沢 諭吉 | キジ | 福沢 諭吉 | 76×160 |
三代(現行) | 2004年(平成16年)11月1日 | 福沢 諭吉 | 平等院鳳凰堂の鳳凰像 | 福沢 諭吉 | 76×160 |
四代(予定) | 2024年(令和6年)を予定 | 渋沢 栄一 | 東京駅 丸の内駅舎 | 渋沢 栄一 | 76×160 |
初代は少しサイズが大きかったのは、意外ではないでしょうか。
また、透かしは肖像画が入ると思っていましたが、初代では肖像とは別の法隆寺(ほうりゅうじ)夢殿(ゆめどの)だったのも意外でした。
なぜデザイン変更をおこなうのか?
ところで、なぜ一万円札のデザイン変更がおこなう必要があるのでしょうか?
見慣れたデザインのお札が変わってしまうのは、もったいない気がしますよね。
お札のデザイン変更をする最大の理由は、偽造防止です。
技術が発展するにつれ、偽造の技術も向上していきます。
そこで、お札も偽造されにくくするために、最新鋭の技術を使ったデザインに変更するんですよ。
一万円札の歴代の肖像画の人物
お札といえば、お札に描かれている肖像画の印象が強いですよね。
そこで、歴代のお札に描かれている肖像画の人物について紹介しますね。
いずれも歴史の教科書で見かける著名な人物ですよ。
初代:聖徳太子
聖徳太子(しょうとく たいし)は、飛鳥時代に活躍した政治家で、皇族です。
厩戸皇子(うまやどのみこ)・厩戸王(うまやどおう)などとも呼ばれます。
推古天皇(すいこ てんのう)の右腕として、蘇我馬子(そがのうまこ)らとともに政治をおこないました。
聖徳太子はさまざまはことをおこないましたが、以下が有名です。
- 随(ずい:現在の中華人民共和国)へ遣隋使(けんずいし)を派遣
- 冠位十二階(かんい じゅういかい)を制定
- 十七条憲法を制定
十七条憲法の「和をもって、とおとしとなす」という一文は聞いたことがあるのではないでしょうか。
実は、聖徳太子は初代一万円札以前にもお札の肖像画として登場しているんですよ。
▼初代一万円札以外に聖徳太子が登場したお札は、以下のとおり。
紙幣 | 発行開始時期 |
---|---|
百円紙幣 | 1930年(昭和5年)1月11日 |
百円紙幣 | 1944年(昭和19年)3月20日 |
百円紙幣 | 1945年(昭和20年)8月17日 |
百円紙幣 | 1946年(昭和21年)3月1日 |
千円紙幣 | 1950年(昭和25年)1月7日 |
五千円紙幣 | 1957年(昭和32年)10月1日 |
なんと、聖徳太子は日本の貨幣の肖像画として、もっともたくさん登場した人物なんですよ。
しかも、五千円札も一万円札と同じく初代の肖像画でした。
それだけ、日本にとって重要な人物だったんですね。
二〜三代:福沢 諭吉
福沢 諭吉(ふくざわ ゆきち:福澤とも)は、明治時代に活躍した人物です。
なかでも教育分野での活躍が知られています。
『学問のすゝめ』は、とても有名ですよね。
また、現在の慶應義塾大学(けいおうぎじゅく だいがく)の前身である、慶應義塾の創設者でもありますよ。
福沢 諭吉は、1984年(昭和59年)の二代目一万円札に初めてお札の肖像画として登場。
さらに2004年(平成16年)の、三代目の一万円札にも引き続いて肖像画となりました。
通算すると35年以上の長きにわたって、一万円札の「顔」となっています。
お金の肖像画といったら、福沢 諭吉の顔が思い浮かんだりしませんか?
2024年(令和6年)に発行される四代目の一万円札は、ついに福沢 諭吉はお金の肖像画から消えてしまいます。
代わりに同じ教育分野から、津田 梅子(つだ うめこ)が五千円札の肖像画になりますよ。
四代(予定):渋沢 栄一
2024年(令和6年)に発行される四代目の一万円札の肖像画になる予定なのが、渋沢 栄一(しぶさわ えいいち)です。
渋沢 栄一は、明治時代から大正時代にかけて活躍した人物。
政治や慈善事業の分野でも活躍しましたが、一番知られているのはビジネス・金融分野での活躍です。
渋沢 栄一は、約500社もの企業の設立に関わりました。
しかも、現在でも活躍している企業もたくさんあるんですよ。
▼以下は、渋沢 栄一が設立に関わった企業の一部です。
- 第一国立銀行(みずほ銀行の前身)
- 東京瓦斯(東京ガス)
- 東京海上火災保険(東京海上日動火災保険の前身)
- 王子製紙
- 田園都市(東京急行電鉄の前身)
- 秩父セメント(太平洋セメントの前身)
- 帝国ホテル
- 秩父鉄道
- 京阪電気鉄道
- 東京証券取引所
- 麒麟麦酒(キリンホールディングスの前身)
- サッポロビール(サッポロホールディングスの前身)
- 東洋紡績(東洋紡)
- 大日本製糖
- 明治製糖
- 澁澤倉庫
設立に関わった企業の数もすごいですが、企業名も聞いたことがあるものばかり。
いかに渋沢 栄一がすごかったがわかりますね。
ほかにもたくさんの銀行や企業の設立・運営に関して、相談に乗ったりアドバイスをしたりしているんです。
さらに「銀行」という言葉(英語の BANKの日本語訳)は、渋沢 栄一が考えたという説もあるんですよ。
こうした渋沢の功績から、渋沢は「日本資本主義の父」と呼ばれています。
これほどお金の肖像画にふさわしい人物はいないかもしれませんね。
一万円札の裏面に描かれているもの
お札の表面には肖像画が描かれていますが、裏面にも絵柄が描かれていますよ。
ただ、肖像画に比べると印象が薄いかもしませんね。
そこで、歴代の一万円札の裏面に描かれているものを紹介していきますよ。
ちなみに、私は三代目の一万円札が登場したとき、肖像画が変わらず福沢 諭吉だったことは気にしていましたが、裏面が変更になっていたことにはまったく気付きませんでした。
初代:鳳凰
初代の一万円札の裏面に描かれていたのは「鳳凰(ほうおう)」です。
鳳凰とは、伝説上の鳥。
古い時代の中国で伝説上の鳥として親しまれ、日本にも伝来しました。
いつごろ伝わったかは定かではありませんが、かなり古くから日本にも鳳凰の伝承があったといわれていて、古墳時代にはすでに伝わっています。
また、中国や日本、その他の地域では鳳凰の姿も異なっているんですよ。
日本の鳳凰は、以下のような特徴があります。
- 頭とクチバシはニワトリ
- あごはツバメ
- 首はヘビ
- 胴体の前側が麒麟(キリン)
- 胴体の後ろ側がシカ
- 背中はカメ
- 尾は魚
- 羽根はクジャク
- 色は五色
鳳凰は麒麟(キリン)・カメ・竜(りゅう)とともに縁起の良い伝説上の生き物「四霊(しれい)」と呼ばれていましたよ。
鳳凰は、日本では幸せや喜びをもたらす鳥と考えられていました。
一万円札がたくさんの人に幸せや喜びをもたらすよう願いを込めて、絵柄に採用されたといわれています。
初代一万円札の鳳凰は、かなりデフォルメされたデザインでした。
中央の透かし部分を挟んで左右に1羽ずつ、計2羽。
左の鳳凰は口を閉じ、右の鳳凰は首を右に向けて口を開けています。
まるで神社の狛犬の「阿吽(あうん)」のようです。
なお、鳳凰は西洋のフェニックス(不死鳥)と間違われることが多いのですが、鳳凰とフェニックスは別物なんですよ。
鳳凰を英語で「Chinese Phoenix(チャイニーズ・フェニックス)」と呼ぶため、混同されているといわれています。
二代:キジ
1984年(昭和59年)に登場した二代目の一万円札の裏側の絵柄に採用されたのは、キジ(雉)です。
キジは実在する鳥ですよね。
おとぎ話の「桃太郎」での活躍も有名です。
キジは、日本の国鳥(こくちょう)。
つまり、日本を象徴する鳥です。
日本の最高額の貨幣なので、日本を象徴するものが採用されたんですよ。
キジのデザインは、中央の透かし部分を挟んで左右に1羽ずつ、計2羽でした。
左のキジは立っていて、右の鳳凰は首を右に向けて座っていましたよ。
三代:平等院鳳凰堂の屋根の鳳凰像
2004年(平成16年)に登場した三代目の一万円札では、肖像画は福沢 諭吉のままでしたが、裏面の絵柄は変更になりました。
三代目の裏面は、ふたたび鳳凰が登場。
しかし、デザインは大きく異なります。
鳳凰は、透かしの左側に1羽だけで、模型のようなデザインです。
実は、三代目一万円札の鳳凰は京都宇治市にある「平等院 鳳凰堂(びょうどういん ほうおうどう)」の屋根にある鳳凰の飾りをモチーフにしているんですよ。
実際に平等院鳳凰堂に行って見比べてみると、よくわかると思います。
ふたたび鳳凰が採用されたのは、初代のときと同じで、鳳凰が幸せを運ぶ鳥だからといわれていますよ。
また、平等院鳳凰堂は世界遺産に登録されていて、日本を代表する歴史遺産・建築物のひとつだからという理由もあります。
ちなみに平等院鳳凰堂の建物は、10円玉にも描かれていますよ。
四代(予定):東京駅の丸の内駅舎
2024年(令和6年)に登場予定の四代目となる一万円札の裏面には、東京駅の丸の内駅舎が登場。
初代〜四代目までは鳥がデザインでしたが、初めて建造物が採用されました。
丸の内駅舎は、1908年(明治41年)3月に着工し、1914年(大正3年)12月に開業。
赤レンガの近代的な建築物は、現在も残っていて、国指定重要文化財となっています。
丸の内駅舎は、日本の事実上の首都である東京の顔である東京駅にある歴史的な建造物なので、新しい絵柄に選ばれたといわれていますよ。
また、丸の内駅舎の開業当時に使われていたレンガは、渋沢 栄一が設立に関わった「日本煉瓦」の製品でした。
渋沢 栄一とゆかりがあるのも、絵柄に選ばれた理由といわれています。
一万円札のその他のデザイン・技術
一万円札には、肖像画や裏の絵柄以外にも特徴的なデザインや技術がたくさんあります。
どれも偽造防止のために取り入れたものです。
ここからは、一万円札の肖像画や裏の絵柄以外のデザイン・技術の一部を紹介しますね。
透かし
透かしは、表面・裏面それぞれの中央にある丸い円です。光にかざすと、絵柄が浮かび上がりますよ。
これは、偽造防止の目的で取り入れられた技術です。
初代一万円札では、法隆寺(ほうりゅうじ)の夢殿(ゆめどの)が浮かび上がりますよ。
これは、法隆寺は肖像画として採用された聖徳太子にゆかりがあることが理由といわれています。
二代目以降は、肖像画と同じ顔が浮かび上がりますよ。
ホログラム
ホログラムは、2004年(平成16年)に登場した三代目の一万円札で初めて採用されました。
ホログラムは、お札の表面の左下にある、銀色に輝く楕円形ですよ。
ホログラムは、キラキラ光るだけでなく、見る角度によって絵柄が変わります。
三代目一万円札では桜の花・「10000」の数字・「日」の文字を図案化したマークの3種類が見えますよ。
ホログラムも偽造防止のために導入されましたんですよ。
一万円札の入手法にはどんなものがある?
一万円札の特徴や歴史などについて紹介してきました。
ここからは、一万円札の入手法について紹介しますね。
▼一万円札の入手法のおもな方法は、以下のとおり。
- 預金から1万円以上おろす
- 仕事で1万円以上稼ぐ
- 1万円以上のお金を銀行で両替する
- 宝くじやギャンブルで1万円以上を当てる
- 1万円以上もらったり借りたりする
順に紹介しますね。
預金をおろす
最初に紹介する方法は、預金をおろすことです。
すでに預金が1万円以上あるなら、預金から1万円以上おろせば一万円札が手に入りますよ。
ATMでおろせば、簡単ですね。
うまくやれば引き出し手数料が無料にできますよ。
▼銀行の引き出し手数料については、以下のページを見てくださいね。
1万円以上稼ぐ
次に紹介するのは、仕事で1万円以上稼ぐ方法です。
正社員やパート・アルバイトなどで雇われて働いたり、物やサービスを売るなどの商売をしたりしますよ。
雇われて働いた場合、現在では給与は銀行口座へ振り込まれる場合が大半です。
あとでATMで1万円以上おろせば、一万円札が手に入りますよ。
また、給与が手渡しだった場合も、基本的に1万円以上だと一万円札で渡されます。
商売で稼いだ場合、銀行振込やカード払いのときは、自分の銀行口座にお金が入ります。
ATMで1万円以上おろせば、一万円札が手に入りますね。
手渡しで支払った場合、1万円以上を受け取ったときには、一万円札が手に入ります。
ただし、1万円以上でも、必ずしも相手が一万円札で支払うとは限りませんよ。
ほかにも、資産があれば株式投資や債券などの資産運用で1万円以上かせぐ方法もあります。
1万円以上のお金を銀行で両替する
つづいて、1万円以上のお金を銀行で両替する方法ですよ。
自宅に1万円以上のお金があれば、それを集めて銀行に持っていて、一万円札に両替してもらうという手があります。
両替機が設置してある銀行なら、窓口に行かずに簡単に両替できますよ。
たくさんのお金を両替しなければ、基本的に両替手数料は無料のことが多いです。
▼銀行での両替については、以下のページを見てくださいね。
宝くじやギャンブルで1万円以上を当てる
さらに、宝クジやギャンブルで1万円以上を当てるという手もあります。
ただし、1万円以上を当てるには運が必要です。
確実性はかなり低いので、あまりおすすめしません。
▼宝くじについては、以下の記事が参考になります。
1万円以上もらったり借りたりする
最後に、1万円以上もらったり借りたりする方法を紹介しますね。
何かのお祝いなどがあれば、家族や友達から祝い金として一万円札がもらえるかもしれません。
また、家族や仲の良い友達などに「お金に困っているので1万円を貸して欲しい」といって借りる方法もあります。
当たり前ですが、返す日を約束して、必ず約束の日に返済しましょうね。
なお銀行などのキャッシングや、消費者金融などで借りる方法もありますが、利子がかかるのでおすすめしません。
さいごに
ふだん何気なく使っているお札ですが、ちょっと気にしてみるといろいろな発見があっておもしろいものですね。
偽造できないように最新鋭の技術が盛り込まれている点にも、注目です。
これからキャッシュレス決済が浸透していくと、お札を使う機会が減るかもしれません。
でも、完全にお札を使わなくなるわけではないですよね。
新しい一万円札が発行されるのも待ち遠しいです。