こんにちは、鉄道で旅することが多い山﨑謙です。
最近はICカードの普及であまりきっぷを使わなくなりましたね。
新幹線でさえ、スマートEXやエクスプレス予約、モバイルSuica特急券やタッチでGo!新幹線などきっぷなしで乗れるサービスが増え、きっぷを使う機会はさらに少なくなっています。
ただ、きっぷを使ったほうがお得になるケースはまだまだあって、今回はその中の1つ大阪市内発着のきっぷについて紹介します。
新幹線や特急サンダーバードなどの乗車券に「大阪市内」とかかれていて、どこまで乗れるか気になった場合も参考にしてみてください。
JRでは特定された都区市内の中心駅から200kmを超えるときっぷのルールが変わる
通常きっぷは乗る駅名のみもしくは乗り降りする駅名のみが記載されていますが、たまに「●●市内」と書かれたきっぷを見たことありませんか?
(※写真のきっぷは増税前の金額です)
これは特定都区市内制度というルールによるもので、200kmを超えるきっぷで東京都区内と以下の全国の10都市内にある駅から乗り降りする際はその都区市内中心駅からの距離をもとに運賃計算されます。
東京都区内にはもうひとつ「東京山手線内」というゾーンもあり、この場合は101km以上200kmまでのきっぷが対象となります。
「大阪市内」のきっぷはどこまで乗れる? 在来線の範囲を紹介
新幹線や特急サンダーバードの乗車券を購入すると、きっぷに「大阪市内」と印字されることが多いですよね。
きっぷにかかれている「大阪市内」の駅となる範囲は以下のとおりです。
東海道本線 (JR神戸線・京都線) | 塚本・大阪・新大阪・東淀川 |
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大阪環状線 | 大阪・福島・野田・西九条・弁天町・大正・芦原橋・今宮・新今宮・天王寺・寺田町・桃谷・鶴橋・玉造・森ノ宮・大阪城公園・京橋・桜ノ宮・天満 |
桜島線(JRゆめ咲線) | 西九条・安治川口・ユニバーサルシティ・桜島 |
JR東西線 | 加島・御幣島・海老江・新福島・北新地・大阪天満宮・大阪城北詰・京橋 |
片町線(学研都市線) | 京橋・鴫野・放出 |
おおさか東線 | 新大阪・南吹田・JR淡路・城北公園通・JR野江・鴫野・放出・高井田中央・JR河内永和・JR俊徳道・JR長瀬・衣摺加美北・新加美 |
関西本線(大和路線) | JR難波・今宮・新今宮・天王寺・東部市場前・平野・加美 |
阪和線 | 天王寺・美章園・南田辺・鶴ヶ丘・長居・我孫子町・杉本町 |
対象となる駅の駅名標には「阪」マークがついていますよ。
これらの駅で200kmを超える距離のきっぷを使って乗り降りする場合は大阪駅を基準とした運賃計算となります。
大阪市内のきっぷがお得になる場合と損する場合
ということは目的地が大阪駅よりも先にあって、乗り降りする駅が大阪駅から手前、それもより遠くなるほうがお得になりますよね。
たとえば杉本町駅から新宿駅までの運賃は、通常578.1kmで9,130円になります。
ですがこの場合は中心駅となる大阪駅と東京駅の距離556.4kmで算出されるので8,910円で済みます。
逆に大阪駅よりも目的地に近い駅は損になりそうですが、北陸・南紀方面以外で大阪市内から200kmを超えるとさすがに新幹線に乗りますよね。
目的地に近い駅でも一旦新幹線の乗り換え駅まで戻って新幹線に乗る分、トータルで乗る距離は伸びますよ。
たとえば東淀川駅から新宿駅へ行く場合、最短距離は555.7kmですが、新幹線に乗るため一旦新大阪駅まで戻るので乗る距離は557.1km。
大阪市内から新幹線を利用する場合、新幹線と並行している区間の駅が少ないため最短距離の運賃との値差が発生しにくく、損するケースは少なくなっていますよ。
一方で、南紀方面へ行き来する場合は割高になってしまう区間があります。
天王寺駅から見老津駅の間は197.2kmで通常なら3,410円なのですが、大阪駅からの距離が208.2kmなので特定都区市内制度が適用され、天王寺駅からも3,740円となってしまい、損ですね。
この場合は、分割きっぷを買うなどして対処しましょう。
大阪市内発着のきっぷの特例
JR神戸線の塚本駅とJR東西線の加島駅の間は、市外である尼崎駅を経由しての移動が認められていますよ。
ただし、尼崎駅で降りることはできないので気をつけましょう。
また同様におおさか東線の新加美駅と大和路線の加美駅の間は、久宝寺駅を経由しての市外乗車ができます。
こちらも久宝寺駅では降りられません。
「大阪市内」のきっぷを使うときの注意点
大阪市内での途中下車はできない
JRのきっぷは100kmを超えると途中下車ができます。
大阪市内発のきっぷでも途中下車は可能ですが、大阪市内での途中下車はできません。
またその逆もそうで、大阪市内着のきっぷを使って大阪駅で降りた場合はきっぷが回収されてしまい、大阪駅からは別途運賃が必要です。
ただし、大阪駅とJR東西線北新地駅の間を当日中に徒歩移動する場合のみ途中下車が可能です。
この場合、改札機にきっぷを通すと回収されてしまうので、必ず係員が居る通路を利用しましょう。
スマートEX・エクスプレス予約・ぷらっとこだま・JR東海の株主優待券は対象外
東海道・山陽新幹線の予約サービススマートEX・エクスプレス予約、JR東海ツアーズの旅行商品であるぷらっとこだま、またJR東海の株主優待券を使って東海道新幹線のきっぷを買った場合は対象外で、新大阪駅からは別途運賃が必要です。
なお、エクスプレス予約については特急券だけを買うことができるので、別で乗車券を買うことで大阪市内発着のきっぷにすることができますよ。
EX予約運賃ナビというページが用意されているので、ICカードときっぷどちらがお得なのかはこちらでチェックしましょう。
スマートEXの場合はスマートEX運賃ナビで調べてみてください。
大阪市内⇔名古屋市内の場合
全国10都市ある特定都区市内制度のうちで唯一の例ですが、大阪市内の駅と名古屋市内の駅との間では200kmを超える区間と超えない区間があります。
- 大阪ー名古屋190.4km 3,410円
- 杉本町ー名古屋208.3km 3,740円
- 大阪ー南大高204.6km 3,740円
大阪駅と名古屋駅の間は200km以内なので市内発着のきっぷになりません。
一方で大阪市内の南端の杉本町駅から名古屋駅、大阪駅から名古屋市内の駅の端南大高駅までは200kmを超えます。
- 200kmを超える区間
- 大阪駅⇔大高・南大高・大曽根・新守山
- JR難波・新今宮・天王寺と天王寺から先の阪和線・大和路線の各駅⇔名古屋駅
※今宮駅は除く
この場合は乗る駅もしくは降りる駅のどちらかを「市内」にすることができますよ。
基本的には降りる駅のほうが「市内」で発券され、JR西日本のみどりの券売機・e5489でも自動的に降りる駅のほうが市内扱いになります。
新大阪ー名古屋の新幹線指定席回数券は両方とも市内適用でお得
新大阪駅と名古屋駅の間は186.6kmでこちらも200kmを超えず、通常通りに買うと市内適用になりません。
ところが6枚つづりの新幹線指定席回数券を購入すれば大阪側・名古屋側ともに市内適用となり、追加料金なしで双方の市内の駅まで乗車ができます。
- 通常:6,680円(乗車券3,410円+特急券3,270円)
- 回数券:5,760円(1枚あたり:発売額は6枚で34,560円)
有効期間が3ヶ月間なので、大阪市内の駅と名古屋市内の駅を1月に1往復するならかなりお得になりますよ。
さいごに
JRの特定都区市内制度の中から大阪市内発着のきっぷについて紹介しました。
最後に改めて要点をまとめておきますね。
- 大阪駅との距離が200kmを超えると市内発着となる
- 大阪駅基準の運賃になるので目的地が大阪駅より先にあり、乗る駅が大阪駅から遠くなればなるほどお得
- 大阪市内での途中下車はできない
- スマートEX・エクスプレス予約・ぷらっとこだま・JR東海の株主優待券は対象外
- 名古屋市内は200kmを超えないところと超えるところが混在・新幹線指定席回数券なら両都市とも市内適用でお得
これだけ覚えておけばOKです。
自分の乗る駅同士が対象になるかどうか不明な場合は駅の窓口で聞いてみてくださいね。