身体障害者手帳のメリットと申請手続きから取得までの6つの手順

毎日健康に生活したい。
誰もがそう願っていますよね。

ところが突然の病気や怪我によって、穏やかな毎日が一変してしまうことも現実には起こりうるのです。

身体に障害を持ってしまうことで突然やってくる、毎日の不自由な生活と多額の医療費。
それを少しでも軽減するために設けられている制度のひとつに「身体障害者手帳」があります。

身体障害者手帳のメリット・申請手続き方取得まで

身体障害者手帳とは?

身体障害者手帳とは国が定めた特定の障害を持つ人で、住んでいる都道府県の知事や指定都市市長、中核市市長などがその障害を認定した場合に交付されるものです。

身体障害者手帳

手帳は申告制で、該当する障害があっても決められた手続きのとおりに申告しなければ交付されることはありません。

身体障害者手帳が交付される障害の内容に関しては非常に細かく決められているので、ここではざっくりとした障害の種類について挙げておきます。

  • 視覚障害
  • 聴覚又は平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害
  • ぼうこう又は直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  • 肝臓の機能の障害

詳しくは厚生労働省の身体障害者手帳制度の概要に記載されているのでご確認ください。

おおきく分けて9種類に分類される障害は、その重度によってさらに1級から6級に分類されます。

1級が最も重い障害で、2級、3級と数字が大きくなっていくにつれて障害の程度は軽くなっていくということです。

詳しい内容については、厚生労働省の「身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)」をチェックしてくださいね。

厚生労働省の表には7級の表示がありますが、7級単体では身体障害者手帳の交付は受けられません。7級の障害が複数ある場合には6級として手帳が交付されます。

身体障害者手帳を取得するメリット

身体障害者手帳の交付を受ける最大のメリットは、行政などのサービスを受けられること。

障害が重度になればなるほど医療費はかさみ、生活を圧迫することになります。

そんな時に様々なサービス、特に金銭面でのサポートを受けられるのはとてもありがたいですよね。

身体障害者手帳の交付を受けることによって受けることのできるサービスをいくつか挙げてみます。

受けられるサービスはお住まいの都道府県や市町村によって違いがあるので、お住まいの地域にある役所の担当部署(障害福祉課など)に問い合わせるのが一番確実ですが、多くの自治体などで実施されているサービスをご紹介します。

  • 自立支援医療(更生医療)※を受けられる可能性がある
  • 税金(所得税や住民税、相続税等)の控除
  • 車に関わる税金(自動車税、軽自動車税、自動車取得税)の減免
  • JRなどの各交通機関の割引
  • NHK受信料の減免
  • タクシー料金の割引
  • 有料道路通行料金の割引
  • タクシー料金やガソリン代の補助(重度の場合)
  • 補装具費(車椅子や補聴器など日常生活を送るのに必要なもの)に必要な費用の支給

※自立支援医療(更生医療)とは、その障害を除去、軽減する医療のために治療費の支援を受けるられるという制度です。身体障害者手帳の交付を受けているのが前提で別に審査があります。

身体障害者手帳の等級(1級から6級)や種別(1種と2種)によって受けられるサービスと受けられないものもあるので注意が必要です。

身体障害者手帳を取得するおおまかな手順

身体障害者手帳を取得する手順をざっくりとみていきましょう。

わたしが障害を持つようになってから、身体障害者手帳の交付を受けるまで実際に行ったことを元に紹介していきます。

おおまかな流れは以下の通りです。

  1. 病気や怪我により障害を持つ
  2. 病院から身体障害者手帳を取得するようにアドバイスを受ける
  3. 役所の担当部署から身体障害者手帳の申請用紙を取り寄せる
  4. 指定医に診断書・意見書を作成してもらう
  5. 役所の担当部署に身体障害者手帳の申請を行う
  6. 身体障害者手帳の交付

実際に身体障害者手帳を申請してから取得するまでの手順

それでは具体的に身体障害者手帳を交付を受けるまでについて説明しますね。

繰り返しになりますが、大事なことなのでもう一度。

障害の程度はひとそれぞれ違い、細かな申請手順も自治体によって異なります
身体障害者手帳の申請時には必ずお住まいの自治体に確認してから行うようにしてください。

ここでは身体障害者手帳の取得方法のイメージをつかんでもらえればと思っています。

【1】病気や怪我により障害を持つ

病気や怪我により病院を受診します。

最初は地域の小さなクリニックに通っていたとしても、大きな病院の受診を勧められるはず。

私もはじめは小さなクリニックからでした。この小さなクリニックで病気が見つかったのです。

もちろんすぐに大病院で受診するよう強く勧められました。

身体障害者手帳を取得するような病気や怪我ですので、その地域の中核となる大規模な病院にかかることになります。

ここで大切なことは病院選びです。

身体障害者手帳を申請する時、後にも書きますが医師の診断書と意見書が必要になります。

この書類は医師なら誰でも作成できるものではありません。障害によって定められた「指定医」が書かなければなりません。

かかる病院に指定医がいるかどうか確認して病院を受診することが大切ですよ。

小さなクリニックでは次に受診する大きな病院を紹介してくれるはずですが、そこに指定医がいるかどうかまで考えてくれるかどうかは分かりません。

自分で主体的に指定医がいるかどうかを確認してから、次の病院を受診するようにしたいですね。

【2】病院から身体障害者手帳を取得するようにアドバイスを受ける

規模の大きな病院には患者を支援してくれる担当部署(患者支援センターなどの名前がつけられています)があることがほとんど。

まずはここで今後のことを相談します。

当然今後の治療方針についてメインに話が進められますが、身体障害者手帳を取得できる障害を持っている場合には手帳の申請についても話をしてくれるでしょう。

もし、手帳の話が出なければ一度聞いてみるといいですよ。

相手は医療のプロなので、きっといいアドバイスをもらえるでしょう。

ここで話し合う治療の方針は医師にも伝えられます。実際の診察や診断書等(後述します)をスムーズに作成してもらうためにもしっかりと準備をして臨みたいところ。

事前に準備しておきたい情報を挙げておきます。

  • 該当する障害でこれまでに受診した医療機関の連絡先
  • これまでに受診した医療機関からの検査結果などのデータ

これまでに該当する障害で受診した医療機関の情報は必ず用意していきましょう。

障害者手帳の申請では多くの場合、病気などが初めて診断された日にちが分かる記録や検査結果が必要です。

なぜなら身体障害者手帳を申請するには、一定期間の継続した診断結果が必要となるから。

これらの情報をすべて持参すると安心ですよ。

特に病院を転院してきた場合には、転院元の病院に詳細なデータを今かかっている病院から問い合わせることもあります。

そのため、これまで受診してきたすべての医療機関の連絡先を準備しておく必要があるのです。

必要に応じて医療機関同士が連絡を取って必要な情報を取得してくれるはず。

私の場合は今の病院を含めて3つの医療機関を受診してきましたが、そのすべての連絡先を渡したので手続きがスムーズにいきましたよ。

【3】役所の担当部署から身体障害者手帳の申請用紙を取り寄せる

身体障害者手帳を申請するためには、指定された申請用紙に必要事項を記載して役所に提出しなければなりません。

申請用紙は自治体によって異なるので、書き方は役所の担当部署(障害福祉課などの名前のことが多い)に直接確認するのが確実です。

申請用紙を受け取る時に書き方も一緒に確認しておくと、スムーズに記入できます。

自治体によっては、役所に取りに行かなくてもインターネットから申請書をダウンロードできることもありますよ。

また、自治体によっては発行された身体障害者手帳の送付先を指定できる場合もあります。

家族などに障害を知られたくないなどの事情がある場合には、受診している病院に送付してもらうなども可能です。

【4】指定医に診断書・意見書を作成してもらう

身体障害者手帳の申請には指定医の作成した診断書、意見書が必要になります。

大事なことは、これらの書類は指定医が作成したものでなければいけません。

その障害によって診断書を書ける医師が決まっているので、指定医に診断書と意見書を書いてもらいましょう。

私が受診した大きな病院では慣れているようで、とてもスムーズに必要書類を準備してくれましたよ。

病院からはすべての書類一式を、診察後数日で受け取れました。

【5】役所の担当部署に身体障害者手帳の申請を行う

病院で診断書と意見書を受け取ったら、お住まいの役所に身体障害者手帳の申請書を提出します。

申請に必要な書類は次の通りです。

  • 申請書
  • 診断書と意見書
  • 印鑑
  • 写真(3×4センチ)

申請書には個人番号を記入するので、個人番号が確認できるもの(個人番号カードや通知カードなど)を忘れずに持参してくださいね。

写真はきちんとしたもの用意するのを強くおすすめします。
この写真はこれからずっと使用し続ける身体障害者手帳に貼りつけられるものだからです。

基本的に身体障害者手帳は一度取得すると、ずっと同じ物を使い続けます。

できることなら写真屋さんでしっかりと撮影してもらうと安心ですね。

不安なことがあればお住まいの自治体の担当部署に問い合わせするのが一番。
しっかりと確認しておくと安心して申請できますね。

【6】身体障害者手帳の交付

申請書を提出し、審査を通過すると身体障害者手帳が交付されます。

身体障害者手帳交付決定通知書

おおむね1〜2ヶ月ほどで交付されるようです。

手帳は自宅、または手帳の送付先(申請書に送付先を記入した場合)に送付されます。

この時、身体障害者手帳の交付を受けたことによって受けられる公的なサービスなどの資料も同封されるので確認しておきましょう。

身体障害者手帳と一緒に送られてくる書類

さいごに

身体障害者手帳の申請方法はここまでの流れの通りにやればだいたいはできます。

今は健康でも、いつ病気や怪我によって身体に障害を持つようになるかわかりません。
障害を持つことで日常生活に大きな負担(身体的な負担だけでなく経済的な負担も)がかかるようになります。

それらの経済的な負担を少しでも軽減するために、障害を持ってしまった場合には身体障害者手帳を取得することも検討されてみてはいかがでしょうか。

実際に身体障害者手帳を取得して、私自身が感じたことも少しだけ紹介しますね。

身体障害者手帳を実際に使って各種のサービスを受ける時には、ほとんどの場合に手帳の提示が求められます。

時によっては不特定多数の人の中で手帳の提示、障害内容の確認が行われることも。
自分が障害を持っていることを知られたくない時には、この瞬間はとても辛い思いをするものです。

でも、障害者手帳によるサービスは任意で受けられるもの。

障害者であることを知られたくない場合には、手帳を提示しなければ一般の方と同じようにすることも可能です。もちろんこの場合にはサービスは受けられませんが。

この点に関してはそれぞれ個人の考え方によりますので、その時によって判断するといいと思いますよ。

繰り返しになりますが、障害を持つようになると日常生活に制限がかかるようになります。

そして身体的な制限の他にも経済的な負担も大きくなることがほとんど。

そうした負担を少しでも緩和するために「身体障害者手帳」を利用することも検討してはいかがでしょうか。