こんにちは!
金融ライターの大西カツシです。
投資信託で資産運用をする場合、どのように税金がかかるのか気になるのではないでしょうか。
株式投資と同じく、投資信託で利益が出た場合は、その利益に対して税金がかかります。
しかし、非課税制度をうまく活用することで、節税することは可能ですよ。
また、状況によっては、確定申告を検討したほうがいいケースもあります。
そこでこのページでは、投資信託で税金がかかる仕組みや種類、注意点、確定申告を検討すべきケース、節税方法について説明していきますね。
投資信託は「売却益」と「分配金」に税金がかかる
投資信託の取引では、売却益と分配金に対して税金がかかります。
売却益は、売却価格が取得価額を上回っている場合に発生しますよ。
たとえば、200万円で購入した投資信託を300万円で売却すると、差額の100万円(300万円-200万円)が売却益になり、この100万円に対して課税されます。
また、投資信託には定期的に分配金が支払われる銘柄もあり、利益から支払われる分配金についても税金がかかりますよ。
まずは、投資信託は売却益と分配金に税金がかかると覚えておきましょう。
「株式投資信託」と「公社債投資信託」で税金の取り扱いは異なる
投資信託は、以下の2つに分類できます。
- 株式投資信託
- 公社債投資信託
株式投資信託とは、約款(やっかん)上、株式の組み入れが可能な投資信託のことです。
すでに株式を組み入れている銘柄はもちろん、現在は組み入れていなくても、組み入れ可能な銘柄は株式投資信託に分類されますよ。
投資対象のほとんどが債券であっても、株式投資信託に分類される銘柄もあります。
一方、公社債投資信託は、株式を組み入れずに公社債などで運用される投資信託のことです。
株式投資信託と公社債投資信託は、税金の取り扱いはほとんど同じですが、異なる部分もありますよ。
投資信託で資産運用に取り組む場合は、購入する銘柄が株式投資信託と公社債投資信託のどちらに分類されるのか、約款や目論見書(もくろみしょ)などで確認しておきましょう。
ここからは、ネット証券などで購入できる、公募型の投資信託を前提に説明していきますね。
株式投資信託にかかる税金について
株式投資信託は、売却益や分配金に対して20.315%の税金がかかります。
20.315%の内訳は以下の通りです。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%(2037年末まで)
- 住民税:5%
たとえば、投資信託の売却益(または分配金)が100万円の場合、支払う税金は203,150円(100万円×20.315%)になります。
特定口座(源泉徴収あり)で取引すれば、証券会社が税金を計算して源泉徴収してくれるので、確定申告は原則不要ですよ。
ただし、株式投資信託の分配金は配当所得に分類されるため、確定申告することで配当控除を受けることが可能です。
確定申告が必要なケースについては、あとで詳しく説明しますね。
公社債投資信託にかかる税金について
公社債投資信託も、売却益や分配金に対して20.315%の税金がかかります。
特定口座(源泉徴収あり)で取引すると確定申告が原則不要なのも、株式投資信託と同じですよ。
ただし、公社債投資信託の分配金は利子所得に分類されるので、配当控除の適用はありません。
普通分配金と特別分配金の違い注意する
投資信託の分配金は、普通分配金と特別分配金の2種類があります。
普通分配金とは、投資信託の運用で得られた利益から支払われる分配金です。
先ほど説明した通り、普通分配金に対しては20.315%の税金がかかります。
一方、特別分配金とは、投資した元本を取り崩して支払われる分配金です。
特別分配金は元本を払い戻しているだけなので、非課税扱いで税金はかかりませんよ。
投資信託から分配金を受け取ったら、普通分配金と特別分配金のどちらに該当するかを確認しましょう。
中には「分配金1万円のうち5,000円は特別分配金」のように、分配金の一部が特別分配金になっているケースもあります。
確定申告を検討したほうがいいケース
投資信託は特定口座(源泉徴収あり)で取引すれば、確定申告は原則不要ですが、状況によっては確定申告をしたほうがお得になる場合もありますよ。
ここでは、投資信託の取引で確定申告を検討したほうがいいケースを紹介しますね。
複数の証券会社の損益を合算する
株式や投資信託を同じ証券会社の特定口座内で取引すると、自動的に損益通算して税金を計算してくれます。
しかし、複数の証券会社で取引している場合は、税金を払いすぎてしまうことがありますよ。
たとえば、A証券会社の売却益100万円、B証券会社の売却損100万円の場合、合計すると損益は0円(100万円-100万円)なので、本来は税金を払う必要はありません。
しかし、特定口座は証券会社ごとに損益通算を行うので、A証券会社の売却益100万円については税金が源泉徴収されてしまいます。
このケースでは、A証券会社とB証券会社の損益を合算して確定申告すれば、払いすぎた税金を取り戻すことができますよ。
損失の繰越控除を行う
投資信託の取引で損失が発生し、利益から控除しきれなかった場合は、確定申告することで損失を最大3年間繰り越すことができます。
繰り越した損失は翌年以降、株式や投資信託の利益と損益通算できるので、節税につながりますよ。
3年間損失を繰り越すには、取引をしなくても3年間は確定申告が必要なので、忘れずに手続きしてくださいね。
総合課税で配当控除を受ける
株式投資信託の分配金は配当所得に分類されるので、総合課税を選択して確定申告すると配当控除が適用されます。
総合課税とは、事業所得や給与所得など、各種所得の金額を合計して所得税額を計算する方法のことです。
配当控除は税額控除なので、所得税から直接差し引くことができますよ。
特定口座(源泉徴収あり)と総合課税のどちらがお得かは、収入や所得の状況によって異なります。
配当控除を検討する場合は、税理士などの専門家に相談して判断しましょう。
つみたてNISAやiDeCoを活用すれば税金はかからない
投資信託の税負担を軽減するには、つみたてNISAやiDeCoを活用するのがおすすめです。
つみたてNISAやiDeCoは投資信託を非課税で運用できるので、利益が出ても税金はかかりません。
利益はすべて手元に残るため、効率的に資産を増やせます。
特にiDeCoは、掛金が全額所得控除になるので、節税効果がさらに大きくなりますよ。
ただし、損失が出た場合は、他の株式や投資信託の利益と損益通算できないデメリットもあります。
また、iDeCoについては60歳になるまで引き出しできない点にも注意が必要です。
つみたてNISAやiDeCoを利用するときは、手数料が安く、取扱商品が豊富なネット証券がおすすめですよ。
さいごに
投資信託は、売却益や分配金に対して約20%の税金がかかります。
特定口座(源泉徴収あり)で取引すれば確定申告は原則不要ですが、状況によっては確定申告するほうがお得なケースもありますよ。
また、つみたてNISAやiDeCoを活用すれば、投資信託で利益が出ても税金はかかりません。
投資信託で資産形成に取り組むなら、ネット証券でつみたてNISAやiDeCoを利用するのがおすすめですよ。