株式取引するときに使う信用取引は現物取引よりもルールが複雑で取っつきにくい印象があるかと思います。
特に、最初の壁としてぶち当たるのが「一般信用取引」と「制度信用取引」という2種類の取引の違いではないでしょうか?
今回は、その中でも一般信用取引に焦点を当てて、一般信用取引の基本的な特徴からメリットとデメリットまでを詳しく紹介していきますね。
1つ1つ理解していけば、言葉のように難しく感じることはなくなるかと思います。
一般信用取引とは?
先ほども少しふれましたが、信用取引するといっても以下の2種類の取引方法がありますよ。
- 制度信用取引
- 一般信用取引
1つ目の制度信用取引は、ざっくり説明すると「返済期限が6か月、取引所が決めた銘柄だけ」という制約の多い信用取引です。
銘柄が厳選されているので安心ですし金利が比較的低いことがメリットですが、返済期限があることと対象銘柄が少ないこと、さらに逆日歩が発生することがデメリットになります。
2つ目は、今回取り上げる一般信用取引です。
ざっくり説明すると「返済期限なし、銘柄の制限もほぼなし」という自由度の高い信用取引になります。
さらに、後で詳しく説明しますが、逆日歩が発生しないのが大きなメリットです。
一般信用取引のメリットは?
一般信用取引には、以下のようにメリットがたくさんあります。
- 逆日歩が発生しない
- 返済期限がない
- 取扱い銘柄が多い
- いち早く、IPO銘柄が買える
逆日歩が発生しない
一般信用取引の最大のメリットは、なんといっても逆日歩がないことです。
逆日歩は、金利や株価の損失とは比べ物にならないほどダメージの大きいコストだと思います。
どうして一般信用取引に逆日歩がないかというと、証券会社と投資家の間だけで行っている取引だからです。
逆日歩とは、外部から株を借りてきた時にかかるコストを投資家に負担してもらうものなので、一般信用取引ではそもそも必要ないものになります。
返済期限がない
制度信用取引では厳密に6か月と決まっている返済期限ですが、一般信用取引にはありません。
正しくは、証券会社が返済期限を自由に決められるものです。
例えば、楽天証券では、同じ一般信用取引でもコースが選べて「無期限」「短期売建」「いちにち信用」と3種類もあります。
その中の「短期売建」は返済期限が14日、「いちにち信用」は当日中と決まっているのです。
期限があっても、他の特徴は一般信用取引そのままで、金利や約定代金に差をつけることで目的別に選べるようになっています。
一般信用取引に複数のコースがある証券会社は、ネット証券を中心にどんどん増えているのでこれからも要チェックですよ!
一般信用取引に対応している主なネット証券会社は以下の通りです。
取扱い銘柄が多い
一般信用取引は、対象銘柄が多いのも魅力的な特徴です。
制度信用取引は、銘柄の安全性が高いことがメリットですが銘柄数がぐっと少なく、2017年末は信用買いのみ可能な銘柄が全体の99.8%、信用買いと信用売り両方ができる銘柄に限っては全体の58.6%しかないです。
しかし、一般信用取引なら原則的に全上場銘柄が対象なので、売買できる銘柄のバリエーションが豊富に選べます。
ただし、気をつけてほしいポイントは、信用買いができても信用売りはできない銘柄があることです。
信用売りができない銘柄ではつなぎ売りもできないなので、株主優待目当てなら意味がありません。
取引をする前には、事前に信用売りができる銘柄かを確認することを忘れないでくださいね!
また、一般信用取引の対象銘柄は証券会社が自由に決めることができるので、それぞれ扱う数が違います。
一般信用取引をしたいなら、できるだけ取扱い銘柄が多い証券会社を選びましょう。
いち早く、IPO銘柄が買える
一般信用取引では、制度信用取引では扱っていない銘柄を取引することができます。
例えば、IPO(新規公開株)やベンチャー企業など、これから急成長する可能性のある銘柄をいち早く買うことができるのです。
一方で、制度信用取引で買おうとすると、証券取引所が取扱い銘柄に指定するまで待たなければいけないので時間のロスが大きくなります。
特に、デイトレードで短期的に大きな利益を狙っているなら一般信用取引の方が有利ですよ!
ただし、IPOやベンチャー企業は株価の動きが予想しづらく値動きが激しいので、リスク管理は徹底してくださいね。
一般信用取引のデメリットは?
- 金利が高い
- 途中で、制度信用取引に変更できない
- 人気銘柄は在庫切れすることがある
- NISA対象外
金利が高い
一般信用取引の金利は、制度信用取引よりも高めに設定されています。
そもそも、一般信用取引では各証券会社が自由に金利を決めていいものなんですが、銘柄が多い上に返済期限がないので、取引の安定性を保つためにはやはり金利を高くせざるを得ないのです。
しかし、代わりに一般信用取引には、逆日歩がないというメリットがあります。
逆日歩という突然大きなコストがかかる恐怖に比べたら、金利は計算して予想できるものなので、それだけでも一般信用取引を選ぶ価値はあると思いますよ。
ちなみに、楽天証券など一般信用取引の中でも複数のコースがある場合は、長期のものほど金利が低く設定されています。
一般信用取引でどうしても金利を抑えたい時には、より長期のコースを選んで取引してくださいね!
途中で、制度信用取引に変更できない
一般信用取引で売買を始めたら、途中で制度信用取引に変更することはできません。
逆も同じで、制度信用取引で始めた売買を、途中で一般信用取引に変更することもできませんから気をつけてくださいね。
また、証券会社によっては一般信用取引の中でもコースを選べるところがありますよね。
例えば、松井証券には「一日信用取引」と「無期限信用取引」がありますが、2つの取引の途中で株を移動することはできないです。
あらかじめ株を保有する期間や欲しい銘柄を決めてから、それに合ったコースを選んでくださいね!
人気銘柄は在庫切れすることがある
一般信用取引では、逆日歩の心配はいらないのかメリットです。
しかし、見方を変えると、証券会社の保有する株がなくなったら、それ以上の売買はできないという意味でもあります。
制度信用取引では株の在庫切れの心配はありませんが、一般信用取引では人気銘柄ほど在庫切れの可能性が高くなるので気をつけましょう。
対策としては、複数の証券会社で口座を持っておくことです。
1つの証券会社で取引できなくても、別な証券会社で目当ての銘柄が手に入るようにすれば安心ですよ!
NISAは対象外
信用取引は全般的にNISAを利用することができません。
利益を出したらできるだけ手元に残しておきたいものですが、所得税はしっかり取られてしまいます。
ルールである以上は仕方がないので、手数料の節約や株主優待などできるところでカバーしていきましょう!
つなぎ売りなら一般信用取引がおすすめ!
株主優待をお得にゲットするテクニックであるつなぎ売り(クロス取引)は、制度信用取引よりも、逆日歩がない一般信用取引を使う方が断然おすすめです!
もしも、制度信用取引を選んでしまうと、逆日歩が発生する可能性があります。
逆日歩が発生してしまうと、高額の場合は1日に万単位のお金が飛んでしまうこともあるのですごくもったいないですよ!
また、つなぎ売りをするには、信用売りができる銘柄を選ばなければいけないことに気をつけましょう。
一般信用取引の取扱い銘柄は証券会社によって違うので、目当ての銘柄が信用売りできるかを必ず取引前にチェックしてください。
ちなみに、信用売りができる銘柄が多いことで人気の証券会社は、2018年11月現在ではauカブコム証券、松井証券、SBI証券、楽天証券などがありますよ。
一般信用取引はマイナー
多くの証券会社では、制度信用取引をメジャーに扱っています。
特に、一般信用取引で空売りができるところが少ないので、証券会社を選ぶ時には気をつけてください。
制度信用取引が推されている理由は、銘柄が厳選されているのでより安定した売買が期待できること、また金利の安さをアピールできるからです。
そのため、証券会社の広告などに影響され過ぎてしまうと、一般信用取引ではなく制度信用取引の方へ流されてしまう可能性もあります。
もちろん、制度信用取引にもメリットはありますから、投資目的に合えば選んでも問題ありません。
しかし、本当は一般信用取引がしたいのに「証券会社がそもそも取り扱っていなかった」、「想定外の逆日歩がかかってしまった」ということのないよう注意してくださいね。
さいごに
一般信用取引は株取引の中でもマイナーな存在ですが、株主優待や手数料の節約などお得がいっぱいなのでぜひ知識だけでも知って欲しいです。
信用取引では日々高額な売買がやり取りされて株価の変動に大きな影響を与えるので、現物取引しかしない場合でも信用取引の仕組みを知っていると先が読みやすくなりますよ!
逆に、信用取引について全く知識がないと、どうして急に株価が動いたのかわからないこともあるかも知れません。
株取引をするなら、ぜひ信用取引について知っておいてくださいね!