信用取引をしている中で、「逆日歩(ぎゃくひぶ)」という言葉を聞いたことはありませんか?
他の取引では使わない専門用語なので、なじみが薄く難しいものとして敬遠したくなりますよね。
しかし、逆日歩についてしっかり理解していないと、信用取引で余計なコストが取られてしまう可能性があるのです!
このページでは、逆日歩で損をしないために、基本的な仕組みから防止策まで、知っておきたいことを詳しく紹介していきますね。
逆日歩は空売りでかかる
逆日歩は、信用取引の中でも制度信用取引(銘柄や取引期限が決まっている取引)で空売り(信用売り、売建)をする時にかかるかも知れない手数料のことです。
空売りは、投資家が証券会社から株を借りて、値段が下がったら買い戻すことで利益を狙います。
また、株主優待の内容がいい銘柄は、優待のタダ取りをするために行う「つなぎ売り(クロス取引)」が集中することが多いです。
つなぎ売りとは、空売りと同時に空買い(信用買い、買建)をする方法なので、一時期に空売り注文が殺到します。
しかし、株を売ってばかりいてはその銘柄の株が不足してしまいますよね。
証券会社は、不足した株をどこかで調達してこなければいけません。
調達先は、まずは証券会社のストックですが、それでも足りないと日本証券金融株式会社で調達します。
しかし、それでも足りない場合があって、その時には機関投資家に株を借ります。
もちろんタダで貸してくれる訳はなく、しっかりとレンタル料を払わなければいけません。
このレンタル料こそが、逆日歩の正体です。
ちなみに、信用取引の空買い(証券会社から資金を借りて株を買い、値段が上がれば株を売って利益を得る方法)でかかる金利を「日歩」といいます。
逆日歩で知っておきたい4つの注意点
逆日歩には必ず抑えておきたい注意点があります。
以下のポイントに気をつけて、リスクに備えておきましょう。
- 当日中にわからない
- 日数ごとに増えていく
- 日によって額が違う
- 買戻しが集中するかも知れない
当日中にわからない
逆日歩は、当日の取引が終了して初めて、株がいくら不足しているかがわかります。
翌日にならないと、逆日歩が発生しているかがはっきりしないです。
ただ、後で詳しく説明しますが、当日中にある程度の予測をすることができます。
日数ごとに増えていく
逆日歩が発生したら早く買い戻さないと、借りている「持ち株数×日数分」のレンタル料がどんどん増えてしまいます。
借りている株が多いほど逆日歩も多くなりますし、それを何日もそのままにしておくと、あっという間に膨大なコストになってしまうかも知れないので注意しましょう。
しかも、日数の計算方法がまた厄介です。
逆日歩の計算は、「空売りの受渡日」から「決済の受渡日の前日」までですが、受渡日とは注文日から3営業日後を指します。
注文してすぐ逆日歩の計算が始まる訳ではないですし、決済してもすぐには逆日歩が解消されません。
さらに、土・日・祝日をまたいでしまえば、さらに受渡日が遅れて逆日歩が増えてしまいます。
空売りをする時には、逆日歩になった時のことを想定して決済までの日数を考えてくださいね!
日によって額が違う
逆日歩は、毎日同じ金額ではないです。
その日の不足に応じて、株のレンタル料も増えたり減ったりと変動します。
いくら利益が出る見込みでも、空売りで何日も株を借り続けることはとてもリスキーです。
買戻しが集中するかも知れない
「逆日歩がかかりそう!」と感じると、たいていの人は早く株を買い戻したくなります。
できるだけ逆日歩を払いたくないですからね。
しかし、買戻しが殺到すると、銘柄の値段が急激に上がってしまいます。
空売りで利益を出すためには、値段が下がらなければいけないのに、上がってしまったら損失です。
それでも、いざという時には、逆日歩を最小限にするため苦渋の決断をしなければいけません。
多少の損失より、予測不可能な逆日歩の方が怖い存在だと思います。
逆日歩を防ぐための4つの方法
- 一般信用取引をする
- 信用倍率を見る
- すぐに決済する
- 証券会社の予測サービスをフル活用する
一般信用取引をする
逆日歩は、制度信用取引でのみ発生するものなので、一般信用取引ならそもそも逆日歩の心配がありません。
株主優待のためのつなぎ売りですら、制度信用取引で逆日歩が発生してしまえば1日分のレンタル料がかかってしまいます。
せっかくタダ取りしようと即日で決済注文を出したのに、逆日歩がかかっては逆に損ですよね。
一般信用取引は金利が高いことが難点ですが、何が何でも逆日歩を回避したいならおすすめですよ!
1日分のレンタル料だけなら、一般信用取引の金利はそこまで気にならないと思います。
信用倍率を見る
信用倍率とは、信用取引で行われる売りと買いのバランスが一目でわかるように数値化したものです。
信用倍率が1倍以上なら、今のところ逆日歩の心配はありません。
逆に、信用倍率が1倍未満になっていたら、信用売りが信用買いを上回っているので、逆日歩が発生する可能性がとても高いです。
制度信用取引をするなら、信用倍率はこまめにチェックしておきましょう。
すぐに決済する
制度信用取引で逆日歩の発生リスクを最小限にするための、最もシンプルで効果的な方法です。
株を借りたら、一刻も早く決済してしまいましょう。
空売り期間が長いほど、逆日歩の可能性は上がっていきます。
株主優待狙いのつなぎ売りなら、即日決済は絶対です。
純粋な株価の差益を狙っている場合でも、できるだけ早く決済するよう意識してくださいね。
証券会社の予測サービスをフル活用する
証券会社によっては、逆日歩の銘柄を調べることができたり、逆日歩を予測できるサービスがあります。
これらをフル活用すれば、逆日歩に怯えることなく取引ができますね。
例えば、SMBC日興証券では逆日歩銘柄を調べることができる上に、逆日歩予報というサービスを行っています。
口座を持っていれば、逆日歩の発生確率を毎営業日、無料で見ることができるのでとても便利ですよ!
また、ネットで検索すれば、日経新聞のサイトでも日付ごとに逆日歩銘柄の一覧が出ているので参考にしてくださいね。
さいごに
逆日歩は、よくわからないままにしておくと、信用取引で大きな損失に繋がってしまう恐れがあります。
また、信用取引をしない場合でも、逆日歩の予想ができれば大量買戻しの予想もできるので、現物取引で有利になるはずです!
株取引をする上で、逆日歩は絶対に覚えておいた方がいい知識だと思います。
株主優待のためにクロス取引するなら、逆日歩のことを考えずにはできません。