投資信託のファンド(商品)を見ていると「基準価額」という言葉を目にすると思います。
ファンドによって数字が違うし、見る日によっても数字が変化するので、何を表しているのか気になったことはありませんか?
今回は基準価額を見れば何がわかるのかや、基準価額が変わる要因について説明します。
基準価額を詳しく知れば、ファンド選びもやりやすくなりますよ!
基準価額とは?
基準価額とは、ファンドの価値を表す数字です。
そのファンドが1万口当たりいくらで売買できるかを表しています。
例えば、2019年2月15日のひふみ投信の基準価額は44,810円でした。
ひふみ投信は、約定日の適用が翌営業日なので、2月14日に申し込めば44,810円で買うことができます。
ファンドによって、約定日が当日だったり翌営業日だったりと違うので、注意が必要ですよ!
ちなみに、「口」とは投資信託で使われる単位のことです。
基準価額には、ファンドそのものの価値に加えて利息や配当が含まれていて、さらに運用費用が引かれています。
ただし、ファンド購入時に必要な手数料は別に引かれるので注意しましょう!
基準価額を見れば、そのファンドが現在いくらで市場に出ているかを知ることができますよ。
基準価額と基準価格の違い
そもそも、基準価額って聞き慣れない言葉ですよね。
特に「価額」という部分を「価格」と間違えそうになりませんか?
ここでしっかり、価格と価額の意味の違いを確認して、基準価額の正しいイメージを掴んでみましょう!
- 価格は、英語でprice
- 価額は、英語でvalue
priceは単純に需要と供給で決まるもので、valueは価値という意味です。
具体的には次の項目で詳しく説明しますが、基準価額の計算方法は複雑で、株のように売り手と買い手の言い値で決まるシンプルなものではありません。
基準価額は株よりも不動産の固定資産税評価額に近い存在で、入っている銘柄の運用益や配当なども影響しながら値段が決まります。
基準価額はファンドの価値を示す数字なので、「基準価格」にしてしまうと意味合いがずれてしまうのです。
基準価額の計算方法は?
価額と価格の違いがわかったところで、具体的な計算方法を説明しますね。
純資産総額はファンドの時価総額のことで、総口数は投資家が持っているファンドの全口数を合わせた数字です。
実は基準価額だけならネットで簡単に調べることができるので、わざわざ計算しなくてもすぐに知ることができます。
しかし、基準価額だけでファンドの良し悪しを判断することは不可能なので、購入を決める前には純資産総額などを他の項目も必ずチェックしたほうがいいですね。
計算式が頭に入っていれば、基準価額と純資産総額の関係性がすぐにわかるので、ファンドの安定性や市場規模の大きさを素早く判断できるようになりますよ。
基準価額はいつ更新されるの?
基準価額の更新は1日1回で、その日の申込みが完全に終了してから公表されます。
投資家は前営業日の基準価額から当日の値動きを予想して、実際の基準価額を確認できないままファンドを買うことになるのです。
このシステムを専門用語で「ブラインド方式」といいます。
この説明だけでは、投資信託が株よりも圧倒的に不利に感じるかも知れませんね。
しかし、同じ投資でも株と投資信託では目的が違うというのがポイントなんです。
投資信託は、より長い視野で安定した資産運用を目指す商品なのに、リアルタイムな取引が可能になると株のように短期売買が増えてしまいます。
これでは投資信託の良さがなくなって、長くファンドを持つほど不利になりますよね。
当然、安定した資産運用は見込めません。
また、ファンドは複数の銘柄が組み入れられているので、銘柄の時価が変わる度に基準価額が変わってしまったら、株以上に不安定な商品になってしまいます。
投資信託はブラインド方式だからこそ、安心して長くファンドを保有できるのです。
基準価額が上下する要因は?
基準価額は、主に4つのタイミングで変わります。
持っているファンドによって影響の度合いが変わってくるので、目論見書などで内容や特徴を調べてみてくださいね!
- 運用成果が変わった時
- 為替が変わった時
- 分配金が入った時
- 運用コストが引かれた時
運用成果が変わった時
株と同じく、投資信託も運用している銘柄の時価が変動することで基準価額が上下します。
時価が上がれば基準価額も上がりますし、時価が下がれば基準価額も下がってしまうのです。
例えば、2019年2月15日の日経平均株価(終値)は20,900円で、前日よりも239円もマイナスでした。
同じ日に、日経平均に連動している「日経225連動型上場投資信託」というファンドの基準価額も21,510円で前日比240円のマイナスとなっています。
ファンドによって投資している銘柄が違うので同じ指標が対象でも基準価額の動く幅に差がありますが、大まかな値動きは一緒です。
ですから、保有しているファンドの基準価額を予想するには、何に投資しているかをしっかり理解しておく必要があります。
投資対象によって見るべきポイントが全く違うので気をつけてくださいね。
日経平均なら日本企業に関わるニュースを見ておくことが大事ですし、海外債券ならその国の政策をチェックすればファンドへの影響も予想しやすいです。
もしも、持っているファンドの投資対象が分からないなら、目論見書に詳しく情報が載っていますから読んでみてくださいね。
為替が変わった時
ファンドが海外の株や債券・不動産に投資している場合は、その国の経済動向に加えて為替の影響も考えておかなくてはいけません。
分配金が入った時
分配金は株の利息や配当とは全くの別物なので、混同しないように気をつけましょう!
分配金とは、ファンドの資産の中から投資家に配られるもので、支払われることで純資産総額と一緒に基準価額も下がってしまいます。
投資信託の分配金は、ファンドの資産の一部を切り取っているに過ぎないのです。
ですから、純粋に運用利益が欲しいなら、毎月分配金が出るファンドはおすすめできません。
運用コストが引かれた時
投資信託では、ファンドを保有していると必ず運用コストが掛かります。
信託報酬と呼ばれる費用のことですね。
信託報酬もファンドの資産から引かれるものなので、引かれた後は基準価額が下がってしまいます。
ファンドを選ぶ時には、できる限り信託報酬の安いものを検討しましょう。
せっかく運用成果が出ても、費用でたくさん持っていかれては利益として手元にほとんど入りませんからね。
基準価額を調べる3つの方法
基準価額は、3つの方法ですぐにチェックすることができますよ!
- 証券会社に問い合わせてみる
- ファンドのホームページを見る
- 新聞で見る
一番早いのは、ネットでファンドのホームページを検索することです。
直近の基準価額が大きく載っているので、すぐに分かると思います。
ただし、土日やファンド休業日を挟むとそれだけ基準価額のズレが大きくなる可能性が高いので、購入前に見るなら平日やファンド営業日を狙ったほうがいいですよ。
基準価額以外に見るべきポイントは?
ファンド選びをする時に、基準価額の推移は大切なチェックポイントになります。
しかし、基準価額だけでファンドの良し悪しや買い時を判断することは危険です。
他の項目もまんべんなく見て、ファンドの全体的な特徴・現状・将来性をイメージしてから購入を決断してくださいね!
特に見てほしいポイントを5つに絞ってみました。
- 純資産総額
- トータルリターン
- 信託報酬
- 構成銘柄
- 分配金
どれも大事なものばかりなので、ファンド選びに必要な最低限の知識をそれぞれ簡単に説明していきますね。
純資産額
純資産総額は、そのファンドにどのくらい投資家がお金をかけてるのかが分かります。
数字が高いほど、人気なファンドということです。
トータルリターン
トータルリターンは、6か月や1年のうちにどれくらい利益を出したのかを「%」で表しています。
販売手数料は含まれていませんが、分配金は考慮されて計算されていますよ。
信託報酬
信託報酬は、ファンドをもっている間ずっと取られ続ける運用費用のことです。
これはとにかく、低いに越したことはありません。
いくら高利回りなファンドでも、信託報酬が高ければ実質的な収益は少なくなってしまいます。
信託報酬は0.5%以下でファンド選びを行いましょう。
構成銘柄
ファンドを買う前に構成銘柄を知っておくことも重要です。
何に投資しているかがはっきり分かっていれば、保有中にチェックすべき指標やニュースのテーマも絞ることができますよ。
純粋に運用益が欲しいなら、分配金のないファンドを選んで長期投資することをおすすめします。
特に毎月分配金を払っているファンドは、毎月基準価額が下がってしまうので長く持つほどリターンは割安になってしまう可能性が高いです。
ファンドを選ぶ時には、分配金を過剰に出しすぎていないかを必ずチェックしてくださいね!
さいごに
基準価額はあくまでも、ファンドの過去の価値と今の価値を見比べるために存在します。
他と比べるものではないので、別なファンドよりも基準価額が高いから儲かっている、低いから人気がないという意味ではありません。
基準価額だけを見て判断するのではなく、ファンドの資産状態や分配金の有無、構成銘柄などを詳しくチェックした上でファンドの購入を決めてくださいね!
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