株取引をしようとすると、現物取引という言葉を目にするのではないでしょうか。
現物取引は、何種類もある株の取引の中で、最もメジャーなものです。
しかし、「何がメリットで、何がデメリットなのか」や、「お得に現物取引するにはどうすればいいのか」など、意外と知らない部分も多いのではないでしょうか。
このページでは、現物取引の基本から応用的な使い方までをわかりやすく解説したいと思います。
現物取引って何?
まずは、現物取引の基本から紹介していきますね。
現物取引とは、自分のお金で証券会社から株を買い、タイミングの良い時に売るという、とてもシンプルな取引方法です。
ネットやテレビで特に信用取引などと専門的な言葉を使っておらず、単に「株」や「株取引」、「株の売買」という言葉を使っていたら、それは現物取引のことだと思っておきましょう。
現物取引は、他の取引と名前を区別するために、「現物」や「実物取引」と呼ばれることもありますよ。
現物取引の特徴は?
現物取引の特徴は、下のとおりです。
とてもシンプルで当たり前かも知れませんが、他の取引との違いを知るために改めて確認してみましょう。
- 自己資金だけで株を買う
- 保有する株だけ売れる
自己資金だけで株を買う
信用取引は、お金を借りることで自己資金より多くの株が買えますが、現物取引ではお金を借りることができません。
自分が持っているお金で払える分しか、買うことができないのです。
保有する株だけ売れる
現物取引では、実際に持っている株しか売ることができません。
一方で、信用取引では空売りといって、持っていない株を借りて売ることができます。
信用取引について詳しく知りたい場合は以下のページも合わせてチェックしてみてくださいね。
現物取引のメリット
現物取引は、信用取引よりもできることが少ないように思われがちですが、メリットもたくさんありますよ。
以下では、株取引共通のメリットから、現物取引でしか得られないメリットまで、5つあげていきますね。
- 株主優待がもらえる
- 配当金がもらえる
- 株価が上がれば利益がもらえる
- 企業の成長を応援できる
- 借金なしで取引できる
株主優待がもらえる
企業は投資家に株を買ってもらうために、お得な優待を用意しています。
例えば、サービスが割引価格で利用できたり、商品券がもらえたりすることもあるのです。
ただし、注意しなければいけないのは、全ての企業が株主優待を用意している訳ではないということです。
さらに、毎年同じ優待が受けられるとは限りません。
ホームページや優待の専門書などで、あらかじめどんな企業がどんな優待を行っているかをチェックしてから株を買えば、確実に欲しい優待をもらうことができますよ!
参考:おすすめの株主優待まとめ
配当金がもらえる
配当金のことを、専門用語では「インカムゲイン」ともいい、投資信託では「分配金」と呼ばれています。
企業が出した利益の一部を、配当として投資家に分配することでもらえるお金のことです。
企業が決めた日までに株を保有していれば、保有数に応じて配当金がもらえます。
ただし、ETFなど配当金が出ない銘柄もあるので注意してくださいね。
株価が上がれば利益がもらえる
株を安く買えて、高い時に売れた場合、売却益が出るという意味です。
「キャピタルゲイン」や「売買差益」ともいいます。
値上がりすればするほど、投資家が受け取れるリターンも大きいので夢がありますよね。
ただし、この利益は株主優待や配当金のように必ずもらえるものではありません。
また大きなリターンを得るには、多くの知識と経験に基づいたテクニックが必要になります。
株で大儲けをしている投資家は、この利益を出すのがとても上手だからお金持ちになれるのです。
企業の成長を応援できる
株を買えば、その企業の株主になれます。
株主になれば、株主総会に参加して経営に意見することもできるようになるのです。
企業への影響力は、株の保有率が高い株主ほど強くなります。
単純に個人の利益を狙って株主になるのもいいですが、経営に影響を与えることができるなら、成長を期待する株を積極的に買うのもいいですよね。
期待の理由は、「商品が好きだから」、「社長のファンだから」、「サービスに将来性を感じるから」など様々あっていいと思います。
株価は投資家の「成長してほしい」という気持ちが強いほど値上がりするので、長く応援し続ければ、後で株価に表れて大きなリターンを得られるかも知れませんよ!
借金なしで取引できる
信用取引をする時には、まず証券会社から資金や株を借りて始めなければいけません。
借りることで自己資金以上の取引ができるのはメリットですが、一方で借金を抱えるというリスクもありますよね。
また、利息が発生しますし、将来返せなくなってしまう可能性もゼロではありません。
その点、現物取引は、自己資金の範囲だけで売買を行うので、仮に株価が大きく値下がりしてしまっても自分のお金が減るだけで借金を抱える心配はないのです。
損をした上に借金まで作ってしまうと、精神的なダメージは大きいと思います。
現物取引なら、信用取引よりも低いリスクで株取引ができるのです。
現物取引のデメリット
メリットが多い現物取引ですが、もちろんデメリットもあります。
無駄な損失を防ぐために、改めてしっかり確認しましょう。
- 手持ちの資金以上の株が買えない
- 最初から株を売れない
- コストがかかる
- 株価が下がって損するかも知れない
手持ちの資金以上の株が買えない
現物取引では、お金を借りて株を買うことができません。
あくまでも保有できる株は、自己資金で買える分だけです。
借金なく取引ができるのはメリットですが、レバレッジ効果がないので、信用取引のように何倍ものリターンは期待できません。
最初から株を売れない
信用取引なら、最初から証券会社で借りた株を売って、買い戻すことで利益を得る空売りという方法があります。
空売りをすれば、株価が下がった方が儲かるという仕組みになっているんです。
しかし、現物取引で空売りはできません。
あくまでも、安く買って高く売るという方法でしか利益を出せないのです。
コストがかかる
現物取引では、売買が成立した時に手数料がかかります。
信用取引と比べると、最小限のコストで済むのでまだましなんですが、証券会社によって手数料の価格に大きな差があるので見逃せません。
詳しくは、「現物取引でかかるコストは?」のところで説明しますね。
株価が下がって損するかも知れない
現物取引で利益を出すためには、安く買って高く売るしかありません。
もしも、株を売ろうとした時に株価が買った時より下がっていれば、損をすることになります。
売買のタイミングを見極めるのが、現物取引の難しいところなんですよね。
現物取引でかかるコストは?
現物取引では、以下のようなコストがかかります。
必ず払わなければいけないものですが、工夫次第で無料や最小限にすることができますよ。
それぞれの内容を抑えて、お得な方法を探してくださいね!
- 売買手数料
- 税金
売買手数料
現物取引をするには、売買手数料がかかります。
取引手数料や委託手数料と呼ぶこともありますよ。
売買手数料は、証券会社によって全く違うので、口座を作る前に必ずチェックしましょう!
例えば、松井証券は1日の約定代金合計金額が10万円以下なら無料、GMOクリック証券では定額プランで1日何回取引しても手数料は上がりません。
楽天証券の超割コースなら、大口優遇で高額な取引の手数料が安く設定されているんですよ。
全体的に、窓口よりも電話(オペレーター)で注文した方が売買手数料が安いですし、ネットならもっと安いです。
さらに、店舗を持たないネット証券は、売買手数料をグッと安くして他社との差別化を図っています。
手数料の安い証券会社を選んで、利益ができる限り手元に入るようにしましょう!
税金
売買で利益を出したり、配当金をもらうと、そこに税金がかかってきます。
特に痛いのは、売買で出した利益(譲渡益)で、税金は平成15年には10%だったのに平成26年には20.315%と倍以上になっているのです。
将来、また上がるかも知れませんよね。
そこでおすすめなのが、NISA口座で取引をするという方法です。
少額投資が対象ですが、上手く活用できれば利益や配当金にかかる税金が非課税になります。
NISAは投資信託のイメージが強いかも知れませんが、株取引でも利用できますよ。
税金をできるだけ払いたくないなら、証券会社での口座開設はNISAにすることを検討してみてくださいね!
現物取引するときに証券会社を選ぶポイントは?
現物取引をしようと思っても、どの証券会社を選んで良いか迷ってしまいますよね。
そこで、以下の3つのポイントに注目して、証券会社を比較してみましょう。
- 手数料の安さ
- 売買の簡単さ
- キャンペーンのお得さ
手数料の安さ
コストの項でも説明しましたが、売買手数料の安さは証券会社によってすごく幅があるので、見逃してはいけないポイントです。
しかし、ただ単に安ければ良いというわけでもないです!
毎日取引しないなら1回の手数料が極力安いプランがおすすめですし、短い期間で頻繁に売買するなら定額プランにした方がお得だと思います。
もしも、デイトレーダーが「安い」という理由だけで、1回ごとに手数料がかかるプランを選んでしまうと、逆に損をしてしまいますよね。
証券会社が推している「安い」が、自分にとっても「安い」とは限らないので、投資スタイルに合ったプランを選んでください。
売買の簡単さ
ネットがこれほど普及している現代で、取引が簡単にできることは大きなメリットです。
「今がチャンスだ!」と思った時にすぐ売買できれば、大きな利益に繋がる可能性も高まりますからね。
もしも、取引をするために時間と手間がかかりすぎてしまえば、せっかくのチャンスを逃してしまうかも知れません。
その点、スマホで気が向いたら売買ができるネット証券や、ネットで取引できる証券会社は便利です。
証券会社を選ぶなら、スマホアプリなどで取引できるところがおすすめですよ!
キャンペーンのお得さ
証券会社によっては、手数料の安さ以外にも、お得なキャンペーンを行っているところがあります。
例えば、口座開設をすればキャッシュバックがもらえたり、株主優待本がもらえたり、有名アナリストのセミナーが無料で受けられたりという、お得な特典を行っている証券会社があるのでHPでチェックしてみてください。
その時々によって、行っているキャンペーンの内容や期間は変わるので、気に入ったものが見つかったら終了してしまう前に申し込みましょう。
PTSでも現物取引ができます
ここまで、現物取引は「証券取引所で株の売買を行うもの」という前提で説明してきました。
しかし、本当は、証券取引所以外でも株の現物取引をする方法があるのです。
それは、PTSといって、証券会社の私設取引システム(PTS市場)のことをいいます。
証券取引所との最大の違いは、取引時間が長いということ。
昼間なら8時20分から始められて、夜間なら23時59分まで取引きができます。
特に海外銘柄を売買したいなら、PTSで現物取引を行った方がリアルタイムな取引ができるのでおすすめですよ!
また、日中は仕事で取引ができないという場合にも、PTSの夜間取引が便利ですよね。
ただし、証券取引所よりも売買できる銘柄が少なかったり、夜間は取引する人数が少ないので値動きが鈍いというデメリットもあります。
欲しい銘柄が対象外だった、または、売りたいけれどほとんど値動きしないということもあり得ますから注意してくださいね。
ビットコインの現物取引とは?
実は株だけではなく、ビットコインにも現物取引と信用取引があるのです。
もちろんビットコイン市場で株を売買するわけではなく、ビットコインを専用の取引所で売買することをいいます。
株と同じく指値注文と成行注文もできるんですよ。
このように、株以外でも現物取引や信用取引の考え方が応用できるので、それぞれの違いをしっかり抑えておくと何かと便利です。
ただし、ビットコインは今のところ、株以上に値動きが激しいので、同じ現物取引といえどもより慎重に売買してくださいね。
さいごに
このページでは、現物取引の仕組みをひと通り紹介してきました。
株取引などをする前に現物取引の文字が気になっていたのであれば、そこまで深く気にする必要はないと思います。
ただ、仕組みを理解しておけば、手数料の面でも損することが防げますし、不必要な失敗も防げますよ。
これから株取引などで実際に取引をしていくと思いますので、またわからなくなった場合はこのページを思い出していただけたらと思います。