株式や投資信託をやっていると「REIT(リート)」という言葉が目に入ってきますよね。
これってどういう意味なのか気になったことはありませんか?
このページではREITが、株や債券と何が違うのか、どんな種類があるのか、どう選べばいいのかをご紹介したいと思います。
REITとは?
REITは「Real Estate Investment Trust」の略で、不動産投資信託とも呼ばれています。
不動産に投資する商品ですが、投資信託なんです。
直接不動産に投資するのと何が違うのか、以下でまとめてみました。
直接的な不動産投資 | REITによる不動産投資 | |
---|---|---|
投資対象 | 居住用の物件(マンション、アパート) | 居住用+商業用の物件 |
資金 | 数百万から | 数千円から |
物件の管理者 | 投資者本人 | REIT(投資法人) |
REITは、少額のお金をたくさんの投資家から集めることで、間接的に不動産へ投資ができる商品です。
REITの中でも、日本の不動産に投資している商品はJ-REITといいます。
REITの種類
REITはたくさんの投資家から集めたお金を複数の物件に投資して、賃貸収入や売買で出た利益を投資家へ分配します。
実際に投資している物件は、以下のように多くの種類があるのです。
- 住宅(アパート、マンション)
- オフィスビル
- 福祉施設(グループホーム、シニア向け住宅)
- 宿泊施設(ホテル、旅館)
- 商業施設(店舗、ショッピングモール)
- 産業用施設(工場、研究所)
- 物流施設
同じREITでも、商品によって投資している物件は違います。
1種類の物件に特化しているものから複数の物件に分散投資しているものまで様々なので、気になるREITがあればどんな物件に投資しているのを必ずチェックしてくださいね。
REITのメリット
REITには株式や債券にはない、以下のようなメリットがあります。
- 安定した分配が期待できる
- 少額で投資できる
- 分散投資できる
- 売買が簡単
- プロの運用で安心
- インフレに強い
安定した分配が期待できる
REITの分配は物件の賃貸収入や売買益なので、株式や債券と比べると安定しています。
さらに、利益の90%以上を分配することで法人税が免除されるので、高配当も期待できるのも特徴です。
少額で投資できる
直接物件に投資しようとすると、最低でも数十万から数百万単位での資金が必要ですが、REITなら1万円あれば十分です。
個人で不動産を所有するよりも圧倒的に低いハードルで投資が始められますよね。
楽天証券の投資信託なら毎月100円でREITが買えますよ。
分散投資できる
直接投資すると1つの物件を買うだけでも高額で、しかも管理費がかかったり空室になったりというリスクにも備えなければいけないので大変です。
一方、REITならプロが選んだ複数の物件へ気軽に投資できます。
種類や立地条件が違うさまざまな物件に分散投資ができるので、リスクの軽減にも繋がりますね。
売買が簡単
換金性の高さもREITの強みです。
実際の物件を売買するときには仲介業者とのやり取り、たくさんの書類の用意、売買のタイミングや金額の判断など、やらなければいけないことが多すぎて時間と手間が余計にかかってしまいます。
一方、REITは投資信託ですが証券取引所で好きなときに売買できますし、業者を呼んだり書類を書いたりといった手間を省くことができて便利ですよ。
プロの運用で安心
働きながら物件の管理や売買を1人で行うのは大変ですよね。
不動産は個人で全てを管理するよりも面倒なことはできるだけプロに任せた方が、負担が少ないぶん長く投資が続けられます。
REITなら運用会社が物件の選定や管理を行ってくれますし、定期的に運用報告も行ってくれるので安心です。
インフレに強い
インフレの時、多くの物件は賃料や売値が上がったり分配が増えたりといった傾向が高くなります。
物件の種類や特徴によって価格の変動は違いますが、全体的にREITはインフレの時に有利な商品なのです。
REITのデメリット
メリットが多いREITですが、当然以下のようなデメリットもあります。
- 元本保証ではない
- 分配金は約束ではない
- 金利が上がると不利になる
- 不動産や税金の法律が変わる可能性がある
- 配当控除が利用できない
元本保証ではない
投資商品すべてに共通することですが、いくらREITが安定している商品とはいえ、価格の下落や元本損失の可能性はあります。
さらに、株式会社と同じく投資法人も経営悪化や倒産、上場廃止になることがあるので、契約前にはある程度のリスクを覚悟しておいた方が良いでしょう。
ただし万が一、倒産した場合でも不動産の価値はゼロにならないのは救いです。
分配金は約束ではない
こちらも投資信託の分配金すべてにいえることです。
不動産投資ですがREITは投資信託の仲間なので、基本的に毎回決算期には分配金を受け取れますよ。
しかし、物件のある地域で地震などの災害が発生したり、オフィスや賃貸の空室が増えたりといった場合には、いつもの分配金が減額もしくはゼロということもあり得ます。
また投資信託では、ファンドの資本金を増やす目的で1口当たりの分配金を突然減らすことがあるので、契約後も常に報告書などで分配金の変動をチェックしておきましょう。
金利が上がると不利になる
REITは投資家からお金を集めて運用しているだけではなく、銀行などからお金を借りながら不動産を売買しているので、金利が上がるとその分資金調達のコストが増えることになります。
すぐにREITの価格に影響を及ぼすわけではありませんが、数年から数十年かけて徐々に物件の価格や分配金などに影響してくるので忘れないようにしましょう。
また、金利が上がると国債の人気が上がり、株式やREITの人気が下がる傾向にあります。
REITを買う人が少なくなれば、不動産価格の減少にも繋がるかも知れません。
不動産や税金の法律が変わる可能性がある
2018年も税制改正が行われましたが、今後も不動産投資に関わる法律が変更になる可能性があります。
法律の変更によってREITの運用や価格にも影響を及ぼすことが考えられるので、大きな改正が発表された時には必ずチェックしておきたいですね。
配当控除が利用できない
REITにかかる税金は、基本的に株式と同じです。
しかし、分配金の配当控除だけは受けることができません。
REITは、利益の90%以上を投資家に分配することで法人税が免除される仕組みになっています。
法人税が免除される分、所得税はしっかり取られてしまうのです。
REITの買い方
実際にREITへ投資する方法は、以下の3つがあります。
- 個別銘柄で買う
- ETFで買う
- 投資信託で買う
個別銘柄で買う
株式と同じく証券会社を通じて、個別に取引する方法です。
必要な資金はおおよそ1万円から買えます。
具体的にどんな銘柄があるのかは、東京証券取引所のREIT銘柄一覧で確認してくださいね。
ETFで買う
ETFで運用できるREITの銘柄も、東京証券取引所のETF銘柄一覧で見ることができます。
個別銘柄よりも少ない資金で買うことができますし、東証REIT指数はニュースなどでもチェックしやすいのでおすすめです。
投資信託で買う
投資信託ならプロに運用を任せることができるので、海外REITにもチャレンジしやすいのではないでしょうか。
積み立てにすれば毎月少額の資金から投資ができますよ。
また種類も豊富で、東証REIT指数へ連動するインデックス型、より大きな運用成果を目指すアクティブ型など、投資経験や目的に合ったファンド選びができるのもメリットです。
ただし、取り扱っている金融機関によって販売手数料が違うことがあるので、契約前にはしっかりチェックしてくださいね。
REITの選び方のコツ
最初から個別銘柄でREITを買うのは、資金面でも運用面でもハードルが高いと思います。
私のおすすめは、投資信託やETFで東証REIT指数に連動している銘柄を買ってみることです。
個別銘柄よりも安い金額で買えるファンドが多いですし、東証REIT指数なら価格のチェックもしやすいと思います。
さらに、ノーロードで信託報酬が低いファンドを選べば、少ない資金でも十分リターンが望めますよ!
さいごに
デメリットの項目でも少し触れましたが、REITにあって株式や債券にはない魅力、それは資産価値がゼロにならないということです。
また値動きの予想も、株式や債券より比較的しやすいと思います。
例えば、2020年に東京オリンピックがありますよね。
東京のオリンピック開催が決定したばかりの頃は特に、今後東京の土地の値段が上がったりホテルが賑わうという予想から、東京の不動産の価格が大きく上がったことがありました。
このように世の中の変化で数年から数十年かけて影響を受け続ける不動産は、長期投資に最適の商品です。
資金的に無理をすることなく長く投資をしたい人には、REITがおすすめですよ!