こんにちは!
金融ライターの大西カツシです。
株式投資に取り組んでいる中で、小型株(こがたかぶ)への投資を考えたことはないでしょうか。
小型株という言葉を聞いたことがあっても、小型株がどんなものかはよくわからないかもしれませんね。
小型株は大型・中型株とは異なる特徴があるので、うまく運用できると大きな利益を得られる可能性がありますよ。
ただし、小型株ならではのデメリットもあるので、小型株に投資する前に特徴を理解しておくことが大切です。
このページでは、小型株の特徴や大型・中型株との違い、投資するメリット・デメリット、探し方などについて詳しく説明していきますね。
小型株とは?大型・中型株の違いは?
小型株とは、時価総額(株価×発行済み株式数)が小さく、流動性が低い銘柄のことです。
簡単に言うと、取引金額や取引株数が少ない株のことですね。
東京証券取引所は時価総額や流動性に応じて、東証1部上場銘柄を以下のように分類していますよ。
分類 | 銘柄数 | 時価総額(浮動株ベース) |
---|---|---|
大型株 | 100銘柄(4.6%) | 約229兆6,000億円(60.1%) |
中型株 | 399銘柄(18.5%) | 約113兆9,400億円(29.8%) |
小型株 | 1,657銘柄(76.9%) | 約38兆7,000億円(10.1%) |
小型株の銘柄数は全体の70%以上を占めていますが、時価総額は全体の10%しかありません。
大型株と中型株の時価総額は、小型株に比べてかなり大きいことがわかりますね。
東証1部以外の新興市場の株式は、基本的には小型株に分類されますよ。
小型株の特徴
小型株にはどのような特徴があるのか、簡単にまとめました。
- 値動きが大きくなることがある
- 機関投資家は手を出しにくい
- 専門家に注目されにくい
- 外部要因の影響を受けにくい
小型株は時価総額が小さいので、一部の投資家から注目されて取引株数が増えると、値動きが大きくなることがあります。
そのため、大口取引を行う銀行や保険会社などの機関投資家は手を出しにくく、個人投資家の取引が中心になりますよ。
取引株数が少ないことから、有望な銘柄を紹介しているアナリストのような専門家からも注目されにくいですね。
また、為替や経済動向、紛争などの有事といった外部要因の影響を受けにくいのも小型株の特徴のひとつです。
小型株に投資するメリット
時価総額が小さく、流動性が低い小型株にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、小型株に投資するメリットを2つ紹介しますね。
少額投資が可能
大型株の多くはまとまった資金が必要ですが、小型株なら少額投資が可能です。
▼ヤフーファイナンスで東証1部の銘柄を時価総額上位から並べると、株価が高い銘柄が多いことがわかります。
たとえば、トヨタ自動車(7203)の株価は7,991円なので、最低単位の100株を購入するのに約80万円(7,991円×100株)の資金が必要です。
ファーストリテイリング(9983)や任天堂(7974)の場合は、400万円以上用意しなくてはなりません…。
しかし、小型株であれば、10万円程度の資金で購入できる銘柄が多いですよ。
▼東証1部の銘柄を時価総額下位から並べると、時価総額上位より全体的に株価が低くなっていますね。
たとえば、時価総額が最も低い小林洋行(8742)は、株価が272円なので27,200円(272円×100株)で購入できます。
このように、小型株なら少額から購入できるので、気軽に株式投資を始められますよ。
株価の値上がりが期待できる
小型株は機関投資家が手を出しにくく、専門家からも注目されにくいので、株価が割安のまま放置されていることがありますよ。
また、事業規模が小さく、将来性が高い企業が多いのも小型株の特徴です。
注目される前に割安株や成長性が高い株に投資できれば、株価の値上がりが期待できます。
小型株は時価総額が小さく、流動性が低い分、一度注目されると株価が上昇しやすいので資産を大きく増やせるかもしれません。
小型株に投資するデメリット
小型株は少額投資が可能で、株価の値上がりが期待できる一方で、デメリットもありますよ。
ここでは、小型株に投資するデメリットについて説明していきますね。
すぐに売却できない可能性がある
小型株は流動性が低いため、売却したくてもすぐに売却できない可能性があります。
▼こちらはトヨタ自動車(7203)の板情報です。
取引株数が多く、売りと買いの価格差が小さいので、比較的簡単に売却できます。
▼一方、こちらはある東証2部上場企業の板情報です。
取引株数が少なく、売りと買いの価格差が大きいので、売却するには価格を下げる必要がありますね。
すべての小型株が売却しにくいわけではありません。
しかし、極端に時価総額が小さい銘柄や取引株数が少ない銘柄に投資してしまうと、希望価格で売却できなくなることがあります。
値動きが大きくなることがある
小型株は、値動きが大きくなることがあるのもデメリットです。
大型株は時価総額が大きく、流動性が高いので、値動きは比較的安定しています。
しかし、小型株は時価総額が小さいため、いつもより取引株数が増えると値動きが大きくなることがありますよ。
小型株は投資家の注目を集めると株価が上昇しやすい一方で、まとまった売り注文が入ると株価が大きく下落するリスクもあるので注意が必要です。
経営が不安定な企業が多い
小型株は将来性が高く、成長余地がある企業が多いので、有望な銘柄を見つけることができれば利益を得られるかもしれません。
ただし、大型・中型株に比べると事業規模が小さく、中には経営が不安定な企業もあります。
小型株に限ったことではありませんが、投資した企業の業績が上がらないと株価が下落して損失が発生しますし、最悪の場合は投資資金をすべて失う可能性もありますよ。
小型株の探し方
実際に小型株に投資する場合、どうやって投資銘柄を探したらいいか気になると思います。
ここでは、小型株の探し方について説明しますね。
ネット証券のスクリーニング機能を使う
ネット証券には、条件を指定して銘柄を抽出できるスクリーニング機能があります。
スクリーニング機能で市場や規模、時価総額などの条件を指定すれば、小型株を簡単に絞りこむことができますよ。
▼SBI証券で規模を小型株に指定して「時価総額100億円未満」「自己資本比率60%以上」の条件を追加したら、このような検索結果が表示されました。
かなり細かく条件を指定して抽出できるので、条件を追加して絞り込んでみましょう。
独立系運用会社の投資銘柄を参考にする
小型株を探すときは、独立系運用会社の投資銘柄を参考にするのもひとつの方法です。
たとえば、ひふみ投信やセゾン投信などの独立系運用会社は、長期的な成長が期待できる企業の発掘に力を入れています。
ひふみ投信やセゾン投信が投資している小型株を確認すれば、銘柄選びの参考になりますよ。
▼ひふみ投信の運用報告書には、組入資産の一覧が掲載されています。
銘柄を確認するのは大変ですが、独立系運用会社が投資している小型株を知るのは、投資銘柄を選ぶときの参考になるはずです。
IPO株を参考にする
新規上場する株のほとんどは小型株なので、IPO株(新規公開株)を参考に小型株を選ぶ方法もありますね。
新規上場する企業は将来性が高く、これから業績が拡大していく可能性があります。
直近で新規上場したIPO株をピックアップして、その中から将来性が高いと判断できる銘柄を選ぶといいですよ。
1年間に新規上場する企業数は90社くらいなので、それほど手間をかけずに投資銘柄を絞り込むことができます。
小型株の投資におすすめのネット証券
小型株の投資におすすめのネット証券をまとめました。
- SBI証券
- 楽天証券
- 松井証券
これらのネット証券は、1日の約定金額合計が50万円以内なら手数料無料で取引できますよ。
少額投資ができる小型株を購入するときは、手数料を節約できるネット証券がおすすめです。
さいごに
小型株は少額から投資できますし、割安株や将来性が高い銘柄を見つけることができれば、大きな利益を得られるかもしれません。
ただし、小型株は時価総額が小さく、流動性が低いので、「思うように売却できない」「値動きが大きくなる」といったデメリットもあります。
小型株に投資するときは複数の銘柄に分散投資して、リスクを軽減することを心掛けましょう。
また、少しでも手数料を節約するために、SBI証券・楽天証券などのネット証券で取引するのがおすすめですよ。