田舎に仕事はある。いなフリをきっかけにフリーランスで仕事を作っていくやり方とは。野里のどかさんインタビュー

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都会ではなく田舎でフリーランスとして働く。

そんな人たちが、近年少しずつですが、増えてきたように感じています。

突然ですが、株式会社Ponnuf(ポンヌフ)が全国7箇所で企画運営する「田舎フリーランス養成講座」というものがあります。

田舎フリーランス養成講座(以下、いなフリ)は、地方での独立を支援する移住型体験プログラム。1ヶ月間地方に住み込みで、「Webスキル全般」と「フリーランスの仕事術」を学び、実践します。

現在、フリーランスでライティング、ブログ運営、企業のPR、キャリアアドバイスを仕事とする野里のどかさんも、もとはいなフリの受講者。そして、株式会社Ponnufで、いなフリの運営や新地域での立ち上げにも2年半注力してきた経歴があります。

田舎フリーランスを育て、また自らも田舎フリーランスを実践してきたのどかさん。

そんなのどかさんに今回、田舎フリーランスの仕事の作り方を伺いました。

また、お話を伺っていくうちに、「わざわざ」田舎で働く生活は金銭面をカバーする以外にも嬉しいことがあることを知りました。

野里のどかさんインタビュー

インタビューした日:2019年8月9日(金)

フリーランスで企業に関わりながら悩んだこと

── のどかさんが、いなフリに参加した経緯を教えてください。

野里のどか(以下、のどか):
いなフリに参加した理由は、フリーランスのライターをやっていた新卒一年目の秋に、金銭的にも精神的にも「このままじゃダメだ。もっと自立しないと」と強く思っていたからでした。

── いなフリのセミナーに申し込まれる前からフリーランスでライティングをされていたんですね。

のどか:
そうなんです。私、大学を卒業してすぐに、セブ島に語学留学しているんです。海外で働きたいな、という気持ちがあったので。

そこで「海外留学をしている間にお金を稼ぐ」方法として、大学時代の頃から描いていたのが、ライティングで収入を得ることでした。

いちばん最初のライティングの仕事は、留学中の現地の学校のレポート記事の制作すること。その収入で、学費の半額分をまかなうことができました。

── すごい!

のどか:
じつは留学する前に、東京のメディアの会社に専属のライターで入れることが決まっていたんです。

私はそれを一旦保留にして留学に行ったけど、そうやってライティングでお金をいただいたり、周りの友だちが普通に就職していく中で、「この機を逃したらライターになれないんじゃないか」と思い始めて。

結局、「海外の方は一旦、ライターとしてちゃんと稼げるようになってからもう一回来よう」と決め、留学してから2ヶ月で帰国することにしました。

── 帰国したあとは、どんな日々を送っていましたか?

のどか:
先ほどお話しした東京のメディアの会社でライターのお仕事をいただいていました。だけど全然思ったように働けなくて。

会社の人たちにはとても良くしていただいたけれど、ライターとしてどうスキルアップしていくかとか、フリーランスとしてどうやって仕事を取って生計立てていくかは、会社の中で学ぶことはできませんでした。

でも当然といえば、当然なんですよね。やっぱり会社は、その会社で成果を上げることが求められるので。

── たしかに、フリーランスのステップアップの手引きまでいち企業に望むのは、難しいのが現状なのかもしれないですね。

のどか:
その時期は、親の扶養にも入っていたので、税金周りとかお金のこともよくわかっていなかった状態で。

精神的にも金銭的にも、新卒1年目の秋頃までずっと辛かった。

そんなときに、偶然Twitterでいなフリの短期版である1泊2日の週末フリーランス養成講座が千葉県の金谷(かなや)で開催されることを知って。

それまでイベントとかセミナーとか一切参加したことはなかったけど、変わりたい一心で応募しました。

田舎フリーランスは自分の料金表を持とう

── 実際に、いなフリのセミナーを受講してみてどんな感想を抱きましたか?

のどか:
まず、それまで田舎らしい田舎に行ったこともなかったんです。

私は鹿児島出身で地方育ちなんですけど、生まれ育ったのは県庁所在地のある鹿児島市だったから、そこまで田舎らしさを知らなくて。

いなフリの拠点である金谷は、人口が1,500人の小さな町で、山に囲まれ海が広がっています。いなフリのセミナーに参加して、そこに、すごく安いお金でのびのびと楽しそうに暮らしているフリーランスの人たちがいることに驚きました。

「こういう生き方もあったんだ」と興味を持って、実際にその年の11月に1ヶ月間の養成講座を受講することに。

── 1ヶ月間、どんなことを学ばれましたか?

のどか:
いなフリでは、フリーランスのお金のこと、仕事の取り方、ライティングやアフィリエイト、サイト制作などのウェブのスキル全般を学べます。

私は特に、ブログで発信をして仕事をつくっていきたい気持ちがあったので、1ヶ月間毎日ブログを書いていました。それ以外の時間は、農家さんのお手伝いをしたりなど、ひたすら田舎暮らしを満喫していましたね。

1ヶ月間、本当に楽しくて、帰る場所ができたような感覚になりました。精神的にとても豊かになって、そのまま金谷に移住することに決めちゃうほど。

── 金谷ではどんなお仕事をされていましたか?

のどか:
ライターと、金谷でPonnufが運営しているコワーキングスペース「まるも」の店長業務と、いなフリの運営、これをフリーランスの状態で3本柱でやっていました。

Ponnufの代表が、私が移住するかどうか迷っていたタイミングで、「もし移住するならこういう仕事を任せたい」とお仕事を紹介してくれたのも、金銭面で安心して田舎で仕事ができた理由だと思います。

これはフリーランスで働いていて本当に思うことなんですけど、報酬を最初から提示してくれる人とは気持ちよく仕事ができるなって思います。

最初はお互い合うかわからないから、という理由で「まずは一緒にやっていきながら金額を決めよう!」というスタンスだと、こっちも「これだけコミットして全然お金にならなかったらどうしよう」と働いている期間、いつも不安になってしまう。

── お金に不安があると、全力投球できなかったりするかも、と思います。

のどか:
そうやって中途半端な気持ちで中途半端にかかわっちゃうのが、相手にとっても自分にとってもいちばん良くないはず。

だから、お金については、怖がらないで最初にきちんと話し合って決めておくことがだいじだな、と。

田舎でフリーランスをやるなら、自分の仕事の料金表を持っておくのがいいと思っています。特に、ウェブの仕事なんかだとたとえばサイト一本制作するのにどのくらいお金がかかるのか知らない人も少なくありません。

── インターネットの仕事は、まだまだブルーオーシャンな地域も多いですもんね。

のどか:
ブルーオーシャンということはビジネスチャンスはすごくあるけれども、そこに暮らしている人たちの知識や理解が、まだまだ深まっていないということでもあります。

金額やスケジュールなど、できるだけ手綱をこちらで握って進めていくのが、お互いにとって気持ちよく仕事をする一歩だと考えています。

田舎に仕事はある。けれど仕事を作れるかは自分次第

── 田舎でフリーランスをやって良かったことはなんでしょう?

のどか:
まずは単純に、生活費がすごく抑えられました。金谷は家賃もすごく安くて月10万円あれば生きていけるくらい。

あとは収入もアップしましたね。

私の場合は、移住してから3ヶ月後くらいは月15万は安定して稼げるようになって、ライティングだけじゃなく「まるも」の店長をやるようになってからは、新卒のお給料くらいは稼げるようになりました。

その後、私は他の地域でのいなフリの立ち上げや運営に関わるようになり、Ponnnufの社員になるのですけど、フリーランスを辞める直前には収入は30万円超えるくらいになっていました。

── のどかさんが田舎でフリーランスをやりながら、また「いなフリ」で田舎フリーランスを育てながら、ご自身の収入を上げていくことができた理由はなんでしょう?

のどか:
金谷の人たちと積極的にコミュニケーションを取って、積極的に仕事を受けたことだと思います。

たとえば、ライティングのお仕事は、金谷にいるフリーランスの方々とつながって、そこからお仕事をいただくことも多かったんです。

── 地域の人たちとのつながりが仕事に結びついていったんですね。

のどか:
いなフリを運営していた頃、よく「田舎に行って仕事はあるのか」という声を聞きました。結論から言うと、田舎に仕事はあります。

田舎って、一次産業だけじゃなくどんな領域でも人が足りないことが多いので。そんなに能力が高くなくても、人柄を見て仕事をくれることは少なくないと感じました。

ただ、そういう仕事をくれそうな地域のコミュニティの中の人とつながれるかどうかは自分次第。自分が「ここにいます」というアピールをするスキルは必要です。

私は人と喋るのが好きだから、それが地域の人たちと親しくなるのに功を奏した部分ありますけど。

でも、みんながみんな一言で、「自分はこういう想いを日頃持っていて、こんな活動をしています」「こんなことをやってみたいんです」と言えるわけじゃない。

だからこそ、TwitterやFacebookなど、自分がどういう人間か表現できる何かを持っておくのは、コミュニケーションを円滑にするための一つのスキルかな、と思います。

── 自己紹介の代わりとして、SNSを使う。

のどか:
せっかく田舎にいて、SNSの世界にしがみついてほしいとは全然思っていないのだけど。でも、SNSがわかりやすい名刺がわりになることは確かなので。

私自身も、ブログ経由でお仕事をもらうこともあって、やっぱりチャンスを得るためにSNSを充実させておくことは大事だなと思うようになりました。

だいたいは「やりたい」と手を挙げている人に任せたいものだと思うので、なにかやりたいこととか好きなこととか、声を大にして発信した方が、チャンスは回ってくるんです。

「わざわざ」が自分の中の本質をクリアにしていく

── 金銭面以外で、田舎でフリーランスを経験したことによって、のどかさんにプラスになったことはありますか?

のどか:
自分にとって必要なことが、はっきりするようになりました。

いなフリには、「都会だと選択肢が多すぎて、刺激が強すぎて疲れちゃう」という人もよく来られていて。私も都会の、ものすごいスピード感で取捨選択をしないといけない体質に、無自覚にふりまわされていたんだろうなと思います。

田舎はそもそも、そこに行く時点で選択肢が絞られるので、まず田舎に行くことを選択する時点でひとつ自分の中の本質に近づいていると思うんです。

ストレスから解放されたいなのか、お金を貯めたいなのか、そこの理由は様々だと思うけど、わざわざ田舎に行ってまでやることって、その人にとって本質的だと思います。

また、都会のイベントやセミナーに行くのにも、時間もお金もかかります。だから自分にとって本当に行きたいなと思うものにしか行かなくなる。

── 人付き合いもそうかもしれないですね。

のどか:
逆に、本当に行きたいイベントとか、会いたい人とか、どんなに時間やお金がかかってもやっぱり行くんです。

そこでまた、これは自分にとってだいじなんだ、と気づくというか。

── なるほど。のどかさんは今、どんな生活をしているんですか?

のどか:
今年の6月にいなフリの運営から離れ、Ponnufも退職し、再びフリーランスになりました。

現在は、東京を拠点に、ライティング、ブログ運営、企業のPR、キャリアアドバイスなどの仕事をしています。

── 新卒の頃から、随分と仕事の幅が広がったように感じます。

のどか:
本当に、今の自分があるのは、Ponnufといなフリのみんなのおかげだと思っています。

── 今後はどんなことに挑戦していきたいですか?

のどか:
一つの場所に中・長期的に滞在してみたいなと思っています。

── どんな気持ちからでしょう。

のどか:
自分の居場所を持ちたい、という気持ちから。

というのも私自身が、離婚再婚家庭で育って、あまり居場所や家族を実感できないまま育ったというのが背景にあるのですけど。

いなフリは、結構、心に問題を抱えている人たちが受講してくれていたりもしたんです。そのモヤモヤを脱却する手段の一つとして「フリーランス」や「田舎暮らし」があると思うし、それが全てを解決するわけじゃないけど、選択肢としてあるだけでも豊かじゃないかな、と思っていて。

だからいなフリの運営は、私自身とても愛情を持って取り組めていたんです。

けれども、いなフリを全国で立ち上げるために私自身がアドレスホッパーみたいになって転々としたりしているうちに、自分の居場所の不在感を感じるようになってしまって。

私ってどこに帰るんだろう?
帰る場所がないなって。

── それでまずは中・長期の滞在から、という話になるんですね。

のどか:
やってみてどういう結論に着地するのかわかりません。

けれどずっと、自分の家庭環境や興味関心から、家庭問題やLGBT、自殺などの社会課題をテーマに活動したいなと思っていて。

なのでまずは、自分が居場所探しの実践者になって、向き合いたいテーマをブログに書いてみるようなところから、力を入れていきたいです。

インタビューした感想

今回のインタビューで一番ハッとしたのは、田舎という不便さの中でこそ、自分の本音が洗練されていくというお話でした。

めまぐるしい都会の中で生きていると、いかに効率的であれるかばかりを考えてしまいがちになることがあります。たとえば、いかに効率よくお金を稼げるか、仕事を得れるか、人に会えるか・・・なんてふうに。

けれど、何をするにおいても、効率性を心がける前に「それは本質的であるか」がおろそかにされてはいけないと思います。

私自身も、忙しくなって自分の軸がわからなくなってしまいそうなとき、あえて不便な環境に身を投じてみたいな、と思った取材になりました。

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この記事を書いた人

小山内 彩希

編集者・ライター。1995年生まれ、秋田県能代市出身。株式会社Wasei「灯台もと暮らし」編集部。野球しながら植物を育てています。

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