「ネットの仕事だけで、音楽で飯を食う」を実現している「こおろぎ」さんにそのやり方を聞いてきた

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音楽で食べていく。
それを夢にしたことを一度はありませんでしたか?

「音楽のプロ」というと、テレビや雑誌に出ているプロミュージシャンがまず思い浮かぶかと思いますが、今回お話を聞いたこおろぎさんは、作曲家・編曲家。

ほとんどの仕事をネット上で得て、生活しています。

最近ではバーチャルYouTuber「ミライアカリ」のオープニング・エンディング楽曲の制作や、VRやゲームの楽曲制作、映像の制作や、TVドラマや舞台の劇伴なども担当。

そんなこおろぎさんは、どんなふうに現在の仕事を得たのか。

そのストーリーを、お金に対する価値観を通して、聞いてきました。

作曲家・編曲家、こおろぎさんインタビュー

こおろぎさんアイキャッチ

ネットに無料で楽曲をアップしたことがプロの音楽家になる足がかりに

── 最初に、どんなお仕事をされているのか教えてください。

こおろぎ:
音楽を軸にネット経由で「編曲」と「作曲」の仕事をいただくことが多いです。ただ、やっている仕事は本当にバラバラなんです。ブログ運営の収益もありますね。

普段はほとんど自宅兼作業場にいて、音楽をつくっています。

── 生活パターンって割と固定されていますか?

こおろぎ:
深夜2時に寝て、10時に起きるというのがだいたいのパターンで。

案件次第で時間の割り振りを決める場合もあるし、YouTubeとか見ながら、気分に合わせて仕事をしていくというスタンスです。

── 具体的には、どういうお仕事が多いんでしょう。

こおろぎ:
直近ではテレビCM、舞台の劇伴、歌モノの編曲、VRアトラクション、PCゲームの音楽を制作しました。

△デスクの後ろの防音室には、劇伴を担当したTBSドラマ『となりの関くん』のポスターが飾られている
△デスクの後ろの防音室には、劇伴を担当したTBSドラマ『となりの関くん』のポスターが飾られている

── 最初はどんなふうに、ネット上で音楽制作の仕事を得ていったんでしょうか?

こおろぎ:
ニコニ・コモンズというクリエイターの創作活動を支援するサイトがあるんですけど。

そこに無料の音源を登録して、ニコニコ動画で使われると、使われた動画の再生数に応じてお金に換金できるポイントが入ってくるんです。

同じものがDOVA-SYNDROME(ドーバシンドローム)というフリーBGM配布サイトにも登録してあって、そちらもGoogleアドセンスの収益が入ってきます。

それでバーッと曲をアップしていたら、月に数万円程度になっていきました。

── すごい。

こおろぎ:
ユーザーは、無料で配っている音楽を自作の動画に当て込んでみて、いいなと思ったらその曲の作曲者にそのまま依頼できるんです。

そんな感じで、僕のところに作曲の依頼が入るようになりました。

最初は無料で配って、それが営業ツールになっていってくれたんです。

戦略的に就職して、お金を貯めて東京の専門学校に通う

── 小さい頃から音楽やコンピュータが好きだったんですか?

こおろぎ:
そうでもないんですよ。

小学生の頃はファミコンが出てきた時代だったので、家でゲームをやったりしていましたけど、外でも遊ぶし、特別コンピュータやパソコンが好きというわけでもなかったです。

生まれは、観光地として有名な宮崎県の高千穂という場所。

自然が豊かで、すごい景色が昔からすぐそばにあったので、あんまり他の景色を見ても感動することがないというのはあるかもしれません。

そのせいで、あんまりアウトドアじゃなくなって、インドアな仕事をしているのはあるのかなって思いますね。

音楽は、中学の3年くらいからコピーバンドを始めて、高校のときもやっていました。その後、高校を卒業してから、一度、名古屋で就職したんです。

こおろぎさん2

── その頃は「音楽で食べていきたい」みたいな気持ちがあったんですか?

こおろぎ:
就職する頃には、食っていこうと思ってました。

音楽をやっていきたい気持ちはあって、会社員をやりながら音楽やろうって考えたんです。

だったら、求人票の中で一番給料の高いところに行こうと思って、あんまり場所は考えずに一番高いところにしたら、それが名古屋でした。

とりあえず就職して、仕事をしながら音楽のことを学んでたんですけど、体系的に情報を得ていくためには専門学校に行ったほうがいいなと考えて。

それでお金を貯めて、一年働いたら会社は辞めて、東京の専門学校に2年通いました。

── その頃はどんな生活だったんでしょう。

こおろぎ:
杉並区の浜田山に住んでいました。

家賃は3万円くらいで、すごい生活でしたね(笑)。

風呂なしトイレ共同のアパートで、音楽を学んでバンドをしながら、アルバイトをする生活でした。

学校を卒業してからも、しばらくはバイトと音楽をやってました。20代はずっとバイトしながら生活していた感じですね。

こおろぎさん3

バイトをしながらひたすら音楽をつくっていた20代

── その頃は、経済的にはどんな感じだったんでしょう。

こおろぎ:
かなり苦しい・・・あんまりいいとは言えない状況でした。

バンドをやってるとどうしてもスタジオやチケットのノルマで出ていくお金が多くて。

バイトは深夜にコンビニをやってたんですけど。だいたい1時から朝9時くらいまでのシフトでした。

── 朝に帰ってそこから寝る生活ですかね。

こおろぎ:
いや、帰ってきてから音楽をつくってました。

だいたい18時か19時に寝て、0時くらいに起きて。

── おおおお。寝るのが遅いのではなくて、早いっていう。

こおろぎ:
そうです。ふつうに一日10時から19時くらいまで音楽の仕事をできたんですよ。

── めちゃくちゃ早寝早起きしていると考えたらそっちのほうがよさそうですね。

こおろぎ:
そうですね。

こおろぎさん4

いい機材を共有したくてブログを始める

こおろぎ:
その当時はまだネットが好きだったわけでもないんです。mixiですら「ちょっと触ったことある」くらいのレベルでした。インターネットも全然やっていなかったです。

だから、初音ミクのブームが2008年くらいにあったんですけど。それに乗り遅れたのはちょっと悔やまれますね。一緒に楽しみたかったなあという気持ちがあります。

その後、iPhoneを買ったことをきっかけに、よくネットするようになりました。

── ブログを始められたのは何かきっかけがあったんですか?

こおろぎ:
もともとのきっかけは・・・僕は音楽制作に使う機材が好きなんですけど。

いい機材があったら誰かに伝えたい気持ちがあったのですが、全然知らない人を捕まえて言うわけにもいかなくて、それならブログに書けばいいんじゃないかと思ったんです。

そこから収益が発生するなんてことも当初はまったく考えてなくて、最初はアメブロでやってました。

2014年頃には、だんだんブログが読まれるようになったり、ツイッターから音楽制作に関するお問い合わせが来たり。さっきも言った無料で配っている音源からお問い合わせが来たり。

同時にいろいろ起こったので、何がどう先立ったか明確じゃないんですけど、だんだん声をかけてもらえるようになって、食えるようになったという感じです。

自分を市場に売ることも、ひとつのゲーム

こおろぎさん5

── バイトはどんなタイミングで辞めたんですか?

こおろぎ:
ふつうのフリーランスだと固定収入がなくて波があるから、独立するのに怖さがあると思うんですけど。

僕の場合は、最初に言ったニコニ・コモンズやブログの収益がある程度ですけどあったので、さっぱり辞めちゃおうと思って、パッと辞めました。

精神的には、ベースの収入がある程度あったことが大きかったですね。

── すごい。ネットがある時代じゃないとありえない独立の仕方ですよね。

こおろぎ:
そうですね。今も、僕のやっている仕事ってほとんどネット経由で、ネット上で仕事をしているものばかりなんです。

最近は、無料じゃなくて有料で音楽を買い取ってもらうサービスなんかもあるので、そういったものも収入源になってます。

ベースの収入があるのは、2014年からこれまでずっとそうで。

「今月◯万円しか入金がない!」みたいなことってないんです。そういう意味では安定してますね。

── 地元にいた頃や名古屋時代も含めて、お金の考え方が一番変化したのっていつですか?

こおろぎ:
個人事業主として届けを出した前後くらいですかね。2013年くらいだったと思います。

経費もそうだし、ひとつの機材に対してどれくらいの曲をつくって回収できているのか考えるようになりました。

確定申告のために、数字に残さなきゃいけないから、そこから考え方も使い方も変わったように思います。

費用対効果みたいな考え方を覚えたというか。

でも、僕ははちゃめちゃにお金の苦労をしていた時期はないと思うんです。極貧生活を送っていたとか何百万の借金があったとかないので(笑)。

バイトを辞めて個人事業主になったことによって、自分で自分を経営していくことをちゃんと考えるようになりました。

仕事はもちろん仕事ではありますけど、自分を市場に売ること、需要を増やしていくこと自体も、ひとつのゲームとして楽しんでいます

プライベートでつくりたいものがめちゃくちゃあるわけじゃないし、仕事としての制約があるほうがおもしろい。仕事自体が趣味みたいな感じです。

こおろぎさん6

僕を越えていかないと音楽の仕事は成り立たない

── こおろぎさんみたいに「自分の好きな音楽で食っていきたい」と思っている人って多いと思うんです。

こおろぎ:
そうですよね。ブログやツイッターを通して質問されることも多いです。

── それこそ昔の自分みたいに専門学校に行って音楽をやりたいって思ってる人たちに対して、伝えられそうなことはありますか。

こおろぎ:
僕にアドバイスを求めてくれる方もたまにいて、もちろんうれしいんですけど、僕は一番ギリギリ食えてるくらいだと思うんですよ(笑)。

こおろぎさん7

こおろぎ:
僕を越えていかないと音楽の仕事は成り立たないと思います。だから、もっと上を目指してやったほうがいいよ、というのはひとつ言えますね。

あとは、自分に合うやり方を考え続けるしかない。

「こおろぎみたいにやってみよう」って最初はマネをするのもいいと思うんですけど、ロールモデルを固めすぎずに、自分の頭で考え続けることが大切かなあと思います。

やり方も考え続けることも大切だし、手数が重要だよなとも思いますね。

── こおろぎさんが、曲をつくりまくっていた時期とかあるんでしょうか。

こおろぎ:
最初に無料で配布した曲は、本当に手数しかなかったですね。

2014年の頭くらいに「試しにインストつくってみよ」と思って、練習のつもりで100曲つくってインターネットにばらまきました。言ってしまえば、それだけでプロになれたんです。

特に音楽は、才能が大きなウェイトを占める分野ですよね。

それを考えると、とりあえず手数で勝負して才能関係なくやったほうが食べられるようになる可能性は純粋に大きい

ほとんどの人は才能ないので、安全に食っていく策を打っていくしかない。

僕は、才能には頼らないようにしてます

メールで学生さんに「音楽で仕事するにはどうしたらいいですか」ってよく聞かれるのですが、その答えって「今すぐに仕事を始めろ」ってことしかないと思うんです。

何かを勉強するんじゃなくて、クラウドソーシングでも友だちづてでもなんでもいいから、まずひとつ仕事をしてみる。

それで感覚をつかんでいくしかないと思います。

こおろぎさん8

▶こおろぎさんのブログはこちらから

参考:こおろぎさんち

▶こおろぎさんのツイッターアカウントはこちらから

参考:こおろぎ

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この記事を書いた人

くいしん

フリーの編集・ライター・PR。「灯台もと暮らし」編集部。1985年、神奈川県小田原市生まれ。高校卒業後、レコード店員、音楽雑誌編集者、webディレクター、web編集者を経て、個人事業主に。主にカルチャー、音楽、生き方、働き方、ローカル、暮らし、メディアについて執筆。

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