「積極的な出費」の積み重ねが、お金との付き合い方を形成していく。編集者・竹田匡宏さん

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お金を「使うこと」で得られるものってなんだろう?

それは、自分の欲求が叶うこと。と多くの人は考えるんじゃないかと思います。

その欲求が一瞬の享楽的なものか、もっと長期的なものかはさておき、私たちは物心ついたときから欲しいものを手に入れるためにお金を払ってきました。

けれども、幻冬舎で『あたらしい経済』を運営する編集者・竹田匡宏さんは、お金を使うことで得られる本当の価値については、「自分自身を知れること」だと言います。

そして、自分自身を知ることが結果的に、節約や気持ちよくお金と付き合っていける人生の第一歩なんだと、続けるのです。

竹田さんの現在のお金の価値観は、どんな経験や考え方に基づいたものなのか。お話を伺いました。

竹田さんインタビュー


インタビューした日:2018年8月12日

あたらしい経済をやるために

── 自己紹介をお願いします。

竹田匡宏(以下、竹田):
1992年生まれ、兵庫県西宮出身です。早稲田大学在学中に、幻冬舎の編集者になりました。今は、今年ローンチしたウェブメディア『あたらしい経済』に注力しています。

── 『あたらしい経済』についてもう少し教えてください。

竹田:
『あたらしい経済』は、ブロックチェーンや仮想通貨(暗号通貨)、トークンエコノミー、評価経済、シェアリングエコノミーなどの「あたらしい経済」をテーマにしたビジネスパーソン向けのウェブメディアです。

── 竹田さん自身は、『あたらしい経済』でどんなことをされていますか?

竹田:
取材、執筆、その他の調整作業、メディアの運営に関わる部分を手広くやっています。

もともと僕は仮想通貨とかブロックチェーンに関心を持っていて、それをインターネットとリアルの場を問わず発信していたところに、今の上司である設楽が声をかけてくれたのです。

一緒に「仮想通貨とブロックチェーンのメディアをやらない?」と。

なので僕は、このプロジェクトをやるために幻冬舎に入社を決めました。

仮想通貨がきっかけで経済に関心を持つように

── 大学生時代から仮想通貨に関心を持っていたとのことですが、それはどこが入り口だったのでしょう?

竹田:
身近に仮想通貨を持って何かをやっている大学生がいたわけではないんです。

ただ、もともとITによって生み出される新しい価値が好きで。

インターネットの人たちの動きを見ていたら、仮想通貨が盛り上がっていることを知りました。それで自分も仮想通貨への疑問や好奇心が募っていったのです。

── 当時の仮想通貨への疑問や好奇心とは?

竹田:
好奇心は、仮想通貨を買ったら、もしかしたら得するかも!という気持ち。

それと当時あった疑問は、単純に「なんで実態のないお金が値上がりしたり値下がりしたりするんだろう?」というものでした。

例えば10万円で買ったものが、50万円になっていたりすると「この40万の値上がりってなんだろう?」というふうな。

それで実際購入してみたのが今から2年前。こうやって振り返ると、仮想通貨が経済に関心を持つことになったひとつの入り口だったんだと気づきます。

── 竹田さんはそれまでは、経済についてはそこまでに関心がなかったのですか?

竹田:
なかったと思います。金銭感覚もなかったですし。

大学1年生の頃にはじめてクレジットカードを持ったのですけど、「これ、タダでなんでも買えるものやん」と勘違いして、30万円の請求がくるという経験もしました。

そのくらい経済リテラシーが低かったです(笑)。

── いきなり30万の請求はヒヤッとしましたよね。

竹田:
はい(笑)。親にも怒られました。

でもヒヤッとしたのは、いい経験だったのかなと思います。

やっぱり当事者にならないと、経済のことって覚えようと思わないので。

── 仮想通貨も、竹田さん自身が所持したからこそ、どんどん関心が大きくなっていったのだろうなと思います。

竹田:
自分が当事者になったのと、やっぱり、仮想通貨自体に魅力があるんだと思います。仮想通貨は、おもしろい未来をたくさん創造できるものだから。

それが投資に使えることはもちろん、自分たちのトークンをつくれるところもおもしろいと思います。

自分たちのトークンをつくれるということは、たとえば会社とかコミュニティ単位の通貨もつくれるということ。

── 会社やコミュニティがひとつの国みたいな感覚になりそうです。

竹田:
そうそう。たとえば地域という視点で考えてみると、今は地域の発展のために、国からの補助金をもらってなんとかやっている地域もある。

けれど、そうじゃなくて自分たちの地域専用の通貨を発行して、そこに価値を持たせる。その通貨を外に伝えて、保持してもらい、実際に地域に来てもらうというやり方で、地域を潤すこともできるんです。

他にも語り尽くせないほど仮想通貨の魅力があるのですけど、それはぜひ『あたらしい経済』を見てみてください。

なりたいものなんてなかったけど、働く楽しさを学んだ

── 『あたらしい経済』が軸とする「経済」というテーマに惹かれ幻冬舎に入社を決めた竹田さん。それまでは、編集者という仕事を考えたりしましたか?

竹田:
正直、考えていなかったですね。今も編集者という肩書きにこだわっているわけではなくて、表現として伝わりやすいから使っているという感じです。

── 他に、なりたかった職業はありますか?

竹田:
子どもの頃は、医者とか弁護士とかになりたかったです。正義感の強い職業に憧れていたかなぁ。

けれど、大学入学と同時に「なりたいもの」とか、急に高次元のもののように思えて、なににも精力を出せなくなって。

── それは、なにか理由があったのですか?

竹田:
受験で燃え尽きてしまったんです。具体的な目標がないと、やる気が出ないタイプの人間なんだってそこで気づいたのですけど。

とにかく、「社会人か、それって俺じゃなくてもよくない?」という気持ちで、大学もなんのために単位取らないといけないのかわからなくなって。「単位か、俺が取らなくてもよくない?」みたいな。

それでずっと、寝てました。

── 寝てた・・・。

竹田:
当時付き合っていた彼女が緑園都市に住んでいたのですけど。

まず起きたら彼女の家に行く、でも自分は大学が所沢だから大学が遠い、遠いから授業行かない、とりあえず寝る、彼女が帰って来ても寝ている、という生活を送っていました。

怠慢な大学生だったんです(笑)。

── けれど竹田さんは大学時代、インターンをしたり留学をされていますよね。そのスイッチの切り替わりは、なにかきっかけが?

竹田:
大学で、卒業生の起業家の人たちが講演をしにきた授業があったんです。

そのとき、「こんなに楽しそうに働く人たちが世の中にはいるんだ」と思いました。それで、今までとは一転、「働くって悪くないのかも、社会を覗いてみようか」という気持ちになったんです。

それでインターンを始めたり、積極的にOB訪問に行くようになりました。ブログやラジオで発信したり、イベントも企画運営するようになって、いろんな大人と関わりました。

それでも大学を卒業する理由がわからなくて。内定をもらっていた企業もあったけど結局入社せず、在学期間は僕、かなり長いです。

── 2018年のタイミングで幻冬舎に入社したのはやっぱり「経済」というテーマがそのときの竹田さんの関心に合っていたから?

竹田:
それが一番です。本当にタイミングが良くて、これが恋愛のメディアとかだったら行ってなかっただろうなと思います(笑)。

編集者と投資家は似ている?

竹田:
編集者となって自分はまだまだ月日が浅いのですけど。でも一つ気づいたのは、編集者と投資家は似ているんじゃないかな、ということでした。

── どんな点で両者は似ていると思うのでしょう?

竹田:
どっちも、「自分を通して価値を上げてもらう」という部分です。

応援したい人に対して出資するのが投資家で、記事やイベントなどで紹介するのが編集者。

応援したい人がうまく軌道に乗るための手段が、お金を出すか、記事を出すかの違いなだけなんじゃないかなと。

── たしかに、力のある投資家に応援してもらったら心強いのと同じで、敏腕編集者に手がけてもらったら嬉しいですよね。

竹田:
「こいつに任せたらちゃんと料理してくれるわ」って思ってもらえるように、編集者もただ記事を作るとか、本を作るとかじゃなくて、自分はどういうふうなアプローチができるか常日頃考えなくてはいけないと思うんです。

── 「自分を通して価値を上げてもらう」ために、竹田さんはどんな編集者でいたいと思いますか?

竹田:
他人の価値をあげるためには、それを紹介する人も魅力的であることが必要だと思っていて。

── わかります。魅力的だなと思う人が紹介してくれる人やものって、自然と「いいかも」って期待してしまう。

竹田:
でも人の魅力って、応援してくれる人の数、ネットの世界で言うところのフォロワーの数で決まるものだとも思わない。

特別有名じゃなくて、フォロワーが全然いない編集者でも、ちゃんと信頼されて、仕事に誇りを持っている人ってたくさんいるじゃないですか。

それってやっぱり実力があるからというのと、あとは丁寧な仕事と丁寧な人間関係を形成することを心がけているからだと思うのです。

── 丁寧な仕事と丁寧な人間関係。

竹田:
たとえばTwitterにフォロー・フォロワーの関係の人がいるじゃないですか。それはそれで、素敵な関係なのかもしれないけど。

社内などいつも自分と関わって仕事をしてくれている人たちとの間にフォロー・フォロワーの関係が生まれているかどうかの方が、よっぽどだいじだと思います。

僕自身今は、近しい人たちとの信頼関係のためにひとつひとつの仕事を丁寧にやっていきたいです。そうすることでしか今の自分は信頼を積み上げていけないと思うし、実力もついていかないと思うので。

お金は出て行くのに稼いでる感覚を持てる、ということ

── 竹田さんは、あたらしい経済の運営の他に、個人でブログやラジオもやっていますよね。

竹田:
ブログは3年半前から、ラジオは自分でVoicyに申請して始めました。

── それは全て社外のご活動ですか?

竹田:
そうです。でもぜんぶ自分がやりたくてやっていることなので、楽しく過ごしています。

先輩とかを見ていて、人間関係を会社の外につくったり、社外の活動をするほど、自ずと会社の仕事にも還元されていくようにも思います。

ただここで大切なのは、成果を自分だけのものにしないこと。外で楽しく働くチャンスをもらっているのだから、自分の成長も会社にしっかりと還元していかないとダメだと思っています。

なのでこれからも自分が楽しいだろうと思うことには、惜しみなくお金を使っていきたいです。一緒に働く人がご機嫌だと、こっちも気分がいいじゃないですか。

僕は楽しく働いている人と一緒に働きたいなと思うので、まずは自分自身がそういう状態でありたいです。

── 惜しみなくお金を使うために、節約や貯金も考えたりしますか?

竹田:
考えますね。やっぱり無駄な出費は減らしていきたいですし。

── 竹田さんにとって無駄な出費とは?

竹田:
男女問わず、好きでもない人に奢ったり、とかですかね。

── かなり具体的(笑)。

竹田:
でもほんと、女の子だから奢らないといけないとか、年下だから奢らないといけないとかっていう風潮があるじゃないですか。

そういう風潮に流されて、自分の本心とは違う形でお金を使っちゃうことって、一番無駄だなって思います。

── 自分の本心とは違う形だと、本当にただの「出費」になっちゃいますよね。

竹田:
自分が「気持ちいい、アガる」と感じたものに使いたいです。

ただ、もし変なものに使ったとしても、くよくよ悩まないのは大事。スパッと忘れて次に活かしたい。

それと、「お金は出て行っているのに、稼いでる感覚がある」というのが、やっぱり一番いいお金の使い方だと思うんです。

── どういうことですか?

竹田:
たとえば、「どんな場面なら気持ちよく奢れるんだろう?」と思ったとして。

そういうときには、好きな人に奢るのと、知り合い程度の人に奢るのと、自分の方が歳上だからなどといった社会的な理由で奢るのと、全パターン実践してみればいいと思います。

そうすることによって、自分はどんな人に奢るのが気持ちいいのか、本当の意味でわかりますよね。

── たしかに。逆にどんな人に奢るのが本意じゃないのかもわかります。

竹田:
自分がどんなふうにお金を使うのが気持ちいいのか、そうじゃないのか。それをわかっていると、節約や気持ちのいい投資につながります。

だからお金を使って得た学びって、すぐにお金に還元されなくても確実に稼いでいるって思えるんです。

── お金を使うことの新しい価値に出会えた気がします。

竹田:
僕は若い頃からお金に向き合うことが大切だと思っています。やっぱりお金って一生付き合うものじゃないですか。

だったら「嫌だな、怖いな」って思って敬遠するより、「こうやってお金を使ったら、他人の反応や自分の気持ちはどうなるんだろう?」というふうに、前向きな気持ちでお金を使ってみてほしい。

そうすると、ひとつ学ぶじゃないですか。その学びの積み重ねがその人が心地よくお金と付き合えるスタンスを形成していくんじゃないかな、と思うんです。

インタビューした感想

『あたらしい経済』を運営しながら、日頃「お金」「経済」に向き合う竹田さん。

仮想通貨やブロックチェーン、トークンエコノミーの可能性について、目を輝かせて教えてくれました。

「通貨の選択が増えればいいな」。

インタビュー中に竹田さんが漏らしたのは、あたらしい通貨やあたらしいお金の価値観の浸透によって、お金と関わる人たち全てが今よりちょっと生きやすくなることを望む言葉でした。

「お金って一生つきまとうもの」。インタビュー最後の竹田さんの言葉を反芻してみると、「だったらいっそ、私も楽しくお金と付き合えるようになりたいなぁ」と思うばかりです。

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この記事を書いた人

小山内 彩希

編集者・ライター。1995年生まれ、秋田県能代市出身。株式会社Wasei「灯台もと暮らし」編集部。野球しながら植物を育てています。

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