投資信託を購入しようとして、証券会社のサイトを見ていると「信託財産留保額」という言葉が出てくるかと思います。
この聞き慣れない「信託財産留保額」という言葉、パッとすぐに意味が理解できないですよね。
投資信託を保有するときには販売手数料、信託報酬、信託財産留保額など、複数の手数料を気にしなければいけません。
このページでは、その信託財産留保額について詳しく紹介していきますね。
特徴や目安などを理解して、今後のファンド選びに役立てましょう!
信託財産留保額とは?
信託財産留保額とは、投資信託を売る(解約する)ときに発生する手数料のこと。
中途解約手数料のような存在だと思ってくださいね。
信託財産留保額は同じファンドを保有する投資家に支払うもので、運用会社や販売会社に支払うものではありません。
これは一部の人がファンドを頻繁に短期売買することで、ファンド全体の価格の安定性が崩れてしまうことへの防止策なんです。
ファンドを長期間保有している人に安定的な運用をしてもらうため、解約する人は信託財産留保額というペナルティをファンド内に残していかなければいけません。
ただし、最近は信託財産留保額が発生しないファンドも多くあります。
また、短期で解約するときには信託財産留保額がかかるけれど、長期保有していれば信託財産留保額が0円になるなど、ファンドの保有期間によってはお得になることもあるんです。
信託財産留保額の計算方法
信託財産留保額を計算するには、換金時の基準価額と信託財産留保額の利率を確認しましょう。
例えば基準価額が1万口当たり15,000円、信託財産留保額が0.2%のファンドを100万口持っているとします。
まずは保有口数の総額を出してみましょう。
保有口数総額がわかれば、信託財産留保額も計算できます。
さらに、ここから実際に戻ってくる解約金を計算するには以下の通りです。
実は、信託財産留保額の計算を飛ばして解約金のみを知りたいときにはもっと簡単な計算式があります。
14,970円×(100万口÷1万口)=1,497,000円
信託財産留保額を知りたいか?
解約金のみがわかれば良いのか?
目的に合わせて計算してみてくださいね。
さらに、信託財産留保額がかからないファンドの解約金の計算方法は、もっとシンプルです。
ここから購入時にかかった手数料とプラスになった分の税金を引けば、実際の入金額を求めることができますよ。
基準価額=解約価額なので、わかりやすいですね。
ちなみに、信託財産留保額は厳密には手数料ではないので、消費税はかかりません。
信託財産留保額はいつ引かれるか?
信託財産留保額が引かれるタイミングは、ファンドを解約するときです。
昔は購入するときに引かれるファンドもありましたが、今ではそういったファンドはほとんどありません。
とは言え、自分の目でしっかり確認した方が確実なので、詳しくはファンドの目論見書(投資信託説明書)を読んでみてください。
信託財産留保額が引かれるタイミングと一緒に、利率も書いてありますよ。
また、確定拠出年金(iDeCo)を保有している場合には、スイッチング(預け替え)をするたびに信託財産留保額が発生することがあるので気をつけてくださいね。
信託財産留保額の目安と他手数料との違い
信託財産留保額はファンドによって違います。
目安としては0.1%~0.5%といったところです。
投資信託には信託財産留保額だけではなく、購入するときに引かれる販売手数料や、保有しているときに毎日かかる信託報酬など、複数のコストが存在するので区別して理解するのは大変かも知れません。
しかし、あいまいなままでファンドを買ってしまうと後々損を感じてしまうこともあるので、やはり最初から3つの手数料の引かれるタイミングと年率はしっかり把握しておきましょう。
ひふみプラスでも信託財産留保額がありません
そもそも「ひふみプラスとは何?」という疑問がある場合には、以下の記事から読んでみてくださいね。
銀行や証券会社で買えるひふみシリーズのファンドをひふみプラスといいます。
これまでの投資信託にはなかったメリットがたくさんありますが、信託財産留保額がないというのも大きなメリットです。
ただし、購入時手数料、信託報酬、監査費用はかかるので、買う前にはしっかり確認しておきましょう。
信託財産留保額がかからない商品
ファンドの中には信託財産留保額がないものもたくさんあります。
利益がそのまま自分の手元に入ってきますし、解約金の予想もしやすいので、商品内容さえよければできる限り信託財産留保額のないファンドを選ぶとお得ですよね。
さらに、一定期間長期的に保有することで信託財産留保額が無料になることもあるのです。
例えば、MMFという公社債投信は、30日以内の短期売買だと1万口当たり10円程度の信託財産留保額がかかってしまいますが、30日以上保有すれば無料です。
またMRFという超短期型の債券で運用されている投資信託は、そもそもが短期解約前提という特徴の商品なので信託財産留保額を設定していません。
このように、ファンドの性質によって信託財産留保額の有無が変化することを覚えておいてくださいね。
さいごに
信託財産留保額は立派なコストですから、できることなら払いたくないものです。
しかし、信託財産留保額が発生するからといって、そのファンドのコスパが悪いとは言い切れません。
ファンドを長期的に安定運用させるためにかかるものなので、考え方によってはある方が将来的に安心という場合もあります。
他のコストについても同じことが言えますが、最優先して見るべきはファンドそのものの商品内容だと言うことを前提にして、信託財産留保額などにも注目しながら賢く選んでいきましょう。