現役プロ雀士が貯金をやめて、自分に投資することにして見つけたしあわせ

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「麻雀のプロ=プロ雀士」に、会ったことありますか?

本記事の取材時まで、僕は会ったことがありませんでした。ふつうに生きていたら、なかなか出会うことはないのではないかと思います。

「ギャンブルのプロというくらいなのだから、金銭感覚は相当変わっているのでは?」

そう思うかもしれませんが、少なくとも今回お話をうかがったYさんは、高校生時代から家計簿を付けていたほどお金を管理する感覚に優れた方。

そんなYさん、ずっと貯金・節約体質で生きてきたけれど、最近は逆に「貯金をしない生き方」を実践しているのだそうです。

プロ雀士Yさんインタビュー

Yさん1

資産家の孫として育った幼少期

── Yさんがプロ雀士になるまでの経歴を聞いてもよいでしょうか。

Yさん:
関東のある都市で生まれ育って、東京都内の大学を出ました。

卒業後は、中古の小売業の仕事を8年くらいしてまして、その後、2015年から現在まで不動産管理業をしています。今は34歳です。

プロ雀士になるのに前職では副業ができなかったので、家業である不動産管理業を手伝うようになりました。

小さい頃から順を追ってお話すると・・・母方の祖父が資産家だったんです。

── 資産家、ですか・・・。

Yさん:
そうなんです。裕福な家庭で、おこづかいも多いほうだったと思いますし、お金に苦労したことはないですね。お年玉は、他の子どもの何倍ももらっていたんだと思います。

── すごい(笑)。お年玉って、使いたい放題だったんですか?

Yさん:
半分は使えましたが、半分は貯金すると言って、親が管理してくれてました。

── 自分で初めてお金を稼いだのはいつですか?

Yさん:
大学2年のときにアルバイトを始めました。結構、時給がよかったので、一日働けば1万弱くらいもらえてたんですね。

お金を稼ぐのって大変だなあとは思いつつ、「そんなにすごく辛いってわけでもないけど、これで1万円ももらえるんだ」という印象が強かったです。

── なるほど。働くことは苦手じゃないというか、得意だったのかもしれないですね。

Yさん:
そうですね。苦ではなかったです。

麻雀との出会い

── 麻雀にはどのようにして出会うんですか?

Yさん:
もともとは遊びなんですけど、最初のきっかけはドンジャラですね。

ドラえもんの絵柄のものが有名だと思うのですが、うちにあったのはスーパーマリオの絵柄のもので。

家族で旅行に行くんですけど、2週間くらい行くんですね。

※ドンジャラ=子ども向けの麻雀風テーブルゲーム

── 海外旅行に2週間。さすが資産家の家庭ですね・・・。ちなみに行き先はどこだったんですか?

Yさん:
ハワイやグアム、サイパンとかですね。そこで、ずっと家族でドンジャラをやってましたね。

── お父さんが麻雀のことを好きで、息子にも麻雀を覚えてほしくてドンジャラをやってたんですかね。

Yさん:
ちゃんと聞いたことないですけど、たぶんそうなんでしょうね。これは家にいるときの話ですが、父は家ではパソコンで麻雀のゲームをやっていて、僕も一緒にやったりして。そこでおおまかには麻雀のルールを覚えました。

大学時代に本格的に麻雀にのめり込む

── そのときはまだそこまでハマらずですか。

Yさん:
そうですね。そこから本格的にハマっていったのが、大学一年のときです。

高校のときも一応打つことはできたのですが、一緒にやる人がいなくて、ハマらなかったんです。大学に入ったら、初めて一緒に麻雀をやる仲間が4人揃って。

同じレベルの初心者だったんですけど、最初はずっとその4人でやってました。

もっと強い人と打ちたいという欲求が芽生えていった中で、4人のうちのひとりが「麻雀強い友だちがいるんだ」と言って、詳しい人を連れてきてくれたりとかしました。

── 麻雀好きの仲間が続々と集まってくるわけですね。

Yさん:
そうですね。その頃の環境がよかったんでしょうね。あるとき、その4人のうちのひとりと、初めて新宿の雀荘にいきました。

── 初めて雀荘にいくのって・・・怖くないですか?

Yさん:
怖かったですね(笑)。ぼったくられるんじゃないかみたいな(笑)。でもそのお店は、有名なチェーン店で。

── チェーン店があるんですね。

Yさん:
そうなんです。だから、特に何か問題があるわけでもなくって。楽しく過ごしました。

そうやってだんだん麻雀を好きになっていった中で、今度はその雀荘に一緒に行った友人の家に遊びに行ったんです。そこでそいつは、プロ雀士が麻雀を打っている番組を見ていて。

僕はそういう番組を初めてちゃんと見たので「これがプロか!」ってすごく感動しました。めっちゃ強いし、めっちゃおもしろい!と思ったんです。

そこから自分も麻雀のテレビ番組を見るようになったりとか、テレビに出ていたプロの本を読んで、どういう思考で麻雀やってるのか研究したりして。

それでだんだん自分自身のスキルも上がっていって、うまくなるから楽しくて、どんどんのめり込んでいった感じですね。

その頃、家計簿を付けていて。

── 大学生の頃から?

Yさん:
厳密には、高校のときにはすでに家計簿を付けてました。で、麻雀の勝敗もデータを付けていて、結構、勝ち越していたんです。だから「あっ、俺、結構強いな」と思ってました。

この日の取材は渋谷で行った
この日の取材は渋谷で行った

いつも期待値を計算している

── 大学を卒業して、社会に出てからはお金に対する価値観は変わりましたか?

Yさん:
その頃は正直な話、あまり収入が多かったわけではないという理由もあって、貯金・節約体質でしたね。仕事は、中古の小売業で。当時は住んでいるのが実家というのもあって、収入の半分は貯金してました。

── 収入の半分もですか?

Yさん:
収入は少なかったですが、仕事が忙しくて遊びに行くヒマもないので、ひたすら貯金していた感じです。本当にお金を使ってなかったんですよ。お酒やタバコを一切やってないというのもあると思いますね。

その頃って、たとえばYouTubeも出てきていたし、ニコニコ動画もあったし、部屋でお金をかけずに遊ぶ方法がいくらでもあったんですよね。

家にいるときは、動画を見ているか、麻雀の番組を見ているかでした(笑)。

でも麻雀は、社会に出て、麻雀を実際に打つ時間が減っていって、弱くなっていったんですね。だからあるときから手を引いてましたね。勝てなくなったから、やめたんです。

僕は何事においても数字が好きなんです。数字が好きで、常に期待値の計算をしているんですね。

── 期待値?

Yさん:
期待値って、確率論の話で、確率変数の実現値を、確率の重みで平均した値なんですけど・・・。

いくら掛けたらいくら戻ってくるのかっていう・・・ギャンブルの場合は、掛けたお金に対して、戻ってくる見込みの金額なんですけど。

── 難しいですね(笑)。

Yさん:
「これをやったら、これくらいは返りがあるだろう」または「利益が出るだろう」という確率を考えて、それがプラスなら勝負するし、マイナスならやめるだけですよ。

── めちゃくちゃギャンブラーっぽくておもしろいですね。実生活で何かわかりやすいたとえとかありますか?

Yさん:
ものを買うときはなんでもそうなんですけど、ゲームの本体を買うときに、このゲームは何回使うから、一回◯円だなって考えて買いますね。

「3万円のゲーム機」って、「ゲームセンターの100円のゲームを300回」と同じ価値、同じお金がかかるわけじゃないですか。

そうやって考えたときに、「3万円のゲーム機」を買う価値があるのか、300回以上間違いなくやるのか元が取れるのかは、考えてました。

その数字好きがどこから来たのか、どういう影響なのかってつい先日もひとりで考えていたんですけど。たぶん、野球ゲームとか、ゲームの攻略本なんですよ。

── ゲームの攻略本にいろんなデータが書いてあったんですね。そういう数字好きや確率を計算するのが好きな性格が麻雀になる道につながっているんですね。

Yさん:
そうなんだと思います。野球ゲームだったら、ある選手の成績がどれくらいというデータがたくさん書いてあるんですよ。

ずっと見てましたよ、攻略本の数字の羅列を(笑)。どの選手がどういう数値かって、いまだに覚えているくらいです。

笑うYさん

なんとなくプロ試験を受けることにした

── 中古小売業の仕事をしている中で、今度はなぜプロ雀士になろうと考えたんですか?

Yさん:
さっきもチラッとお話したんですけど、社会人になってだんだん勝てなくなっていたので、実際に麻雀を打つことからは遠ざかっていました。そんな中でも麻雀の番組は見ていたりして。

ある時期、ある程度仕事が落ち着いたタイミングがあって、またちょこちょこと雀荘に通うようになったんですね。そうしたら雀荘にプロテストの募集のポスターが貼ってありました。

本当になんとなくなんですけど「今、受けたら、受かるのかな」ってふと思って、物は試しで受けてみようと思ったんです。

── えっ、思いつきで受かってしまうものなんですか?

Yさん:
麻雀はプロになること自体は、そんなに難しくないんですよ。ただ、プロになったからといって、それでお金がもらえたりするものではないので、なったから何?という話なんですね。

麻雀で食えている人は、これは僕の肌感なので参考程度にしてほしいのですが、1割くらいではないかと思います。あとの9割は、僕のような兼業プロで他に収入があります。

── プロ雀士は、どんなときに雀士としてお金をもらえるんですか?

Yさん:
大会で優勝したときに賞金をもらえます。それももちろん優勝するのは狭き門で、賞金は数十万円という世界です。

試験の話に戻ると、一次試験はギリギリ通って。試験は全部で半年くらい続くんですけど。半年の間に、単純にスキル的に「勉強しないとこれはプロになれないぞ」って感じて。

そうこうしていると、ある試験が土日にあって、仕事を休まざるを得ない状況になりました。

そこで、上司とゆっくり話し合った結果、副業ができなこともあって、プロ雀士になるんだったら仕事を辞めるしかないということだったんです。

仕事を辞めて時間があるうちに麻雀の勉強をたくさんして、試験を通過して、プロになりました。プロになって、そのあと、家業である現在の不動産管理業の仕事を始めました。

Yさん3

最近は「投資思考」

Yさん:
小売業時代は節約体質でしたが、最近は、収入のすべてを貯金せずに使うことにしているんです。

── えっ。貯金しないんですか?

Yさん:
あるブログ記事を読んだことがきっかけで。もともとここ数年ほどは自分に投資する考え方に変わってきてはいたのですが、そのブログ記事には「稼いだお金を全部使ったら幸せになった」みたいなことが書いてあって。

── なるほど。

※あとでYさんに確認したところ以下のブログ記事だった

参考:「稼いだお金全部使う」を半年間続けて思ったことと、良かった使い道5つ|mozlog

Yさん:
「自分がもらったお金を全部使うようにしたら、こうなった」って書いているのを見て、やってみようって思ったんです。

自分に投資するお金の使い方が特によかったって書いてあって、「それはそうだな」って腑に落ちました。

ちょうどお金にもある程度余裕が出てきてた時期で、そういう考え方にシフトしていたときに記事を読んだので、後押しされたような感覚だったんです。

その生活になってからは一年くらいですかね。それまでは本当に、ずっと貯金してました。

── 投資思考になって、一番よかったことってなんですか?

Yさん:
2017年の夏頃に引越しをしたんですけど、家具はいいものを揃えました。そもそも住む場所も高層マンションにしたんです。一番お金をかけたのは、ベッドですね。

部屋で一番時間を使うのってベッドじゃないですか。仮に8時間寝るとして、人生の3分の1を過ごす場所。だから睡眠環境には投資したほうがいいよなって考えて。

部屋や家具にお金をかけたら、日々の生活が楽しくなった

── 先に紹介したブログを読んで投資思考になっていって、収入のすべてを使って、それで自分の幸福度ってあがりましたか?

Yさん:
はい。それはもう、めちゃくちゃあがりましたね(笑)。部屋や家具にお金をかけたら、日々の生活が楽しくなりました。

今は食費に一番お金をかけているんですけど。たまに、高級店というか、いいお店で彼女とふたりでご飯を食べることにしています。

あとは、彼女や友人にプレゼントをする機会とかも増えました。そうすると、お金を出しているんだけど、自分が幸せな気持ちになっていきますね。

麻雀の成績も、自分に投資する思考になってからよくなったし、生活する上でのしあわせ感みたいなものは、すごく上がりました。

安定した収入があるなら、経済も回るし、僕はお金は使いたいものにしっかり使っていくのをお勧めします。

Yさん4

【編集後記】インタビューした感想

小売業時代は貯金・節約体質で、現在は、自分に投資するお金の使い方をしているプロ雀士のYさん。

貯金をしないようにしてから「しあわせ感が上がった」と話すYさんは顔出しNGでしたが、とてもしあわせそうな様子でした。

もちろん月々の貯金をしないお金の使い方はリスクもあり、そもそもベースの貯金があるからこそ、試してみることのできるお金の使い方だとも思います。

とはいえやはり、貯金をするというのは、どこか「ガマンしているような感覚」がつきまとうものなのかなとも今回の取材を通して感じました。

半年や一年と決めて、貯金をしないで収入をすべて使い切る期間を近いうちにつくってみたくなったお話でした。

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ノマド的節約術の裏話

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この記事を書いた人

くいしん

フリーの編集・ライター・PR。「灯台もと暮らし」編集部。1985年、神奈川県小田原市生まれ。高校卒業後、レコード店員、音楽雑誌編集者、webディレクター、web編集者を経て、個人事業主に。主にカルチャー、音楽、生き方、働き方、ローカル、暮らし、メディアについて執筆。

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