「子育てしながら、在宅ワークできたらなあ」と考えたことはありませんか?
子どもの急な病気にも対応できるし、家事だって、はかどりそうですよね。
私も、会社に属さないフリーランスとして働いていますが、在宅で働くママたちが一体どんな生活をしているか、気になっています。
そこで、フリーランスのママ3人を集めて、匿名座談会を開催!
フリーランスの仕事を始めたきっかけや、在宅ワークと家事・育児の両立など、ぶっちゃけトークしてもらいました。
ずっと家にいるため、まわりから「何をしてるの?」と不思議がられる在宅フリーランス。
その生活にせまります!
フリーランスになったきっかけは?
インタビュー日:2017年10月23日
── みなさんのフリーランス歴と、簡単な自己紹介をお願いします。
Aさん(30代):
フリーランス歴は5年以上、在宅でライターと編集の仕事をしています。
小学生の子どもが2人います。
Bさん(30代):
フリーランス歴は10年以上、ホームページなどを作る、Webデザイナーをしています。
幼稚園児と、乳児の子どもがいます。
Cさん(20代):
フリーランス歴は2年、ライターの仕事をしています。
2歳と乳児の子どもがいます。
── みなさんが、フリーランスになったきっかけを教えてください。
Aさん(ライター・編集):
私は、出版社の編集として働いていたんですが、子どもと一緒にいる時間がほしくて、会社を辞めました。
子育てしながら資格の勉強をしていましたが、必要な実習に行けなくて、断念したんです。
そこで、当時使っていたSNSのmixiに「仕事探してます」って書いたところ、それを見た企業から、ライターの依頼が来ました。
最初から「フリーランスで!」と思っていたわけではなく、なりゆきでフリーランスになった、という感じです。
Bさん(Webデザイナー):
私は最初、Webとは関係ない会社で働いていました。
趣味がホームページ作りだったので、それを仕事にしたいと思って転職。
企業のネットショップの店長になりました。
でも、ネットショップでどんなに売り上げても、私の給料はまったく上がらなかった(笑)。
それで、「自分でサイトを作ったほうが儲かるのでは?」と、退職して、実家でサイト運営を始めました。
そのあと結婚しましたが、夫も同業者なので、今は家で一緒に仕事しています。
Cさん(ライター):
私は、夫が経営するお店を手伝ってたんですけど、それだと私が働いてる証明ができなくて、保育園に入れなかったんです。
外で短時間バイトするのも、通勤時間とか考えると、非効率だなと思って。
そのとき偶然、テレビでランサーズ(ネット上で仕事を見つけることができる、クラウドソーシングサービス)が紹介されてるのを見て、夫に「これやってみたら?」って言われたのがきっかけです。
バイトで半年ぐらいライターをやってたこともあり、「在宅で効率よく稼げたらいいな」と思って始めました。
最初は、どうやって仕事を見つけましたか
── フリーランスになって、最初はどうやって仕事を見つけたんですか?
また、仕事のためにどのように勉強しましたか?
Aさん(ライター・編集):
最初は、企業から業務委託された仕事を、扶養の範囲でやっていました。
そこでライターの実績を作り、別の企業にも応募するようになりました。
ちょっと難しそう、と思っても、最初に「できます」と言って仕事を受けてから、勉強してましたね(笑)。
専門的な内容を書いているので、本を読んだり、セミナーや講座に行ったりと、今もずっと勉強し続けています。
Bさん(Webデザイナー):
私は、実家でサイト運営を始めてから、2年ぐらいは稼げなくて。
そこで、地元の昔ながらの商店を探して、直接「お店のサイトを作りませんか」って営業に行ってました。
デザインの勉強は、おもに本でしています。
Webデザインには流行りがあるので、海外サイトを見たりして、常に情報は仕入れています。
Cさん(ライター):
最初は、ライターの募集が載っているランサーズやウォンテッドリーというサイトで、仕事を探してました。
ただ、すごく安い報酬の仕事もあるので、そういうのは応募しないようにしてました。
そこで実績を作ってから、「ここで働きたいな」と思う企業のホームページに直接問い合わせて、仕事をもらってました。
あとは、求人サイトに載せてる企業に連絡して「求人の文章書けますよ」って言ったりとか。
親には「怪しいビジネスをしてるのでは」と疑われた
── フリーランスで働き始めたとき、ご家族はどんな反応でしたか?
Bさん(Webデザイナー):
私がフリーランスを始めた約10年前は、まだホームページというものを知っている人が少なかったんです。
だから、家族には何の仕事をしているか、理解されませんでしたね。
法事のとき、親戚に囲まれて「変なビジネスやってるんじゃないか?」ってさぐりを入れられたり(笑)。
今は夫の両親と同居なんですが、夫も同業者なので、理解されてます。
Aさん(ライター・編集):
私の夫も、フリーランスと接することが多い仕事なので、とくに何も言われませんでした。
Cさん(ライター):
うちも、夫には「もっと働いて」って言われますね~。
フリーランスでよかったのは、子どものそばにいられること
── フリーランスでよかったと思うことは何ですか?
Aさん(ライター・編集):
家で働いているので、子どもが病気になったり、台風で学校が休みになったりしたときに、対応しやすいことですね。
前に、上の子がインフルエンザになって、治りかけたときに今度は下の子がかかってしまって。
家にずっと子どもがいる状態が、2週間ぐらい続いたんですよ。
あのときは、寝ている子どもの横で仕事できるがいいなと思いました。
Bさん(Webデザイナー):
私も、子どもが家で遊んでいる横で、仕事できることですね。
ひとりで大人しく遊んでいても、話したいときはいつでも話せるし、子どもが安心している感じがします。
会社勤めで感じていた人間関係のストレスがない
Aさん(ライター・編集):
あと、フリーランスで楽なのは、人間関係。
会社のしばりがなく、横のつながりが多いから、自由に感じます。
Bさん(Webデザイナー):
フリーランスの知り合いとは、上下関係や会社のしがらみがないから、気軽に「ごはん行こう」って言いやすいですね。
Aさん(ライター・編集):
会社勤めだと、取引先の人と気が合わなくても、その仕事をやらざるを得ない。
でも、フリーランスなら、どうしても合わない人との仕事は断れます。
まあ、こっちが断られる可能性もありますが、本当に嫌なことだったらしなくてもいい。
Bさん(Webデザイナー):
私は、「この仕事、やりたくないなぁ」と思ったら、わざと高い見積もりを出して、相手からキャンセルしてくれるように仕向けます(笑)。
Aさん(ライター・編集):
ムダな会議や電話もないし、自分の仕事だけしていればいいので、ラクですね。
Cさん(ライター):
私も、通勤がないのと、毎朝お化粧しなくていいのが助かってます(笑)。
子どもに働いている姿を見せられる
── 在宅で働いていると、子どもは自然と、母親の仕事する姿を見ていますよね。
Bさん(Webデザイナー):
私は、両親が自営業で、子どもの頃から親が働いている姿を見て「かっこいい」と思っていました。
今、家で働いていると、息子が夫の仕事をかっこいいと思って、真似してるんですよ。
そういう、親がかっこいい姿を見せられるのはいいですね。
Aさん(ライター・編集):
うちも自営業でした。
親を見て大変さがわかっていたので、サラリーマンと結婚したいと思ってたんですが(笑)。
まさか、自分がフリーランスになるとは思わなかったんですけど、自然と父のやり方をなぞっていますね。
私は、子ども向けイベントの取材に、自分の子どもを連れて行ったりします。
そうやって子どもを巻き込むと、私が楽しんで仕事をしているのが伝わるし、どんな仕事をしてるのかもわかってくれる。
お金の話もしやすくなりました。
Bさん(Webデザイナー):
うちは、夫婦で一緒に働いてるので、仕事上の夫婦ゲンカを子どもに見せてしまうことがあります。
そこは気をつけたいですね。
フリーランスは、時間に自由がきくと思われがち
── 次に、フリーランスで困ったことを教えてください。
Bさん(Webデザイナー):
「時間と能力がタダ」だと思われることです。
ずっと家にいる=ヒマ、と思われて、幼稚園の委員を任されたり。
デザイナーだと言うと、委員とは関係ないプリント作りまで、頼まれそうになったこともありました。
「有料だから」と断っても、「同じ幼稚園の友だちだし、いいでしょ」って。
Aさん(ライター・編集):
私も、ママ友に卒園のスピーチ原稿を頼まれそうになりました。
仕事というより、趣味みたいに思われてるのかな?
まわりの理解を得るのが、難しいですね。
Bさん(Webデザイナー):
「友だちだから安くホームページ作って」とも言われますね。
本当に親しい友人は、大変さをわかってくれてるので、そういう頼み方はしてこないんですが。
あと、保育園のママは忙しいのでつながりが薄いんですが、幼稚園はママ友のつながりが強い!(笑)
Aさん(ライター・編集):
私も子どもが小さい頃は、ママ友とよく立ち話してましたね~。
早く帰って仕事のメールチェックがしたいときは、わざとスマホをチラチラ見て「どうしたの?」と聞いてもらうように仕向けたり(笑)。
でも子どもが小学校に入ったら、そういうのがなくなって、だいぶラクになりました。
フリーランスだと子どもを保育園に入れるのが大変
── 在宅で働いていても、子どもは保育園に入れたいですか?
Bさん(Webデザイナー):
はい。
やっぱりちゃんと稼ごうと思ったら、子どもがずっと一緒だと難しいですね。
Aさん(ライター・編集):
家に子どもの気配があるのとないのとでは、効率が違います。
どうしても気になってしまうし、完全にほったらかしにはできませんから。
Cさん(ライター):
フリーランスだと、子どもを保育園に入れる時、書類が余計に必要でめんどくさかったです。
地域によると思いますが、私の場合は「開業届」「確定申告の書類」「家で仕事するときの時間割」が必要でした。
家でちゃんと働いてるのか、証明する必要があったんです。
Aさん(ライター・編集):
私は、子どもを学童に入れるのが大変でした!
市役所では、「フリーランスで学童に入れた前例がない」と言われ、「家で子どもを見られるでしょう?」という感じだった。
でも取材だってあるし、ずっと子どもを見ていることはできません。
私が働いている証明に、会社の印を押した書類が必要と言われたけど、フリーランスだから会社の印なんてない。
結局、お世話になってる取引先にお願いして、書類を用意してもらい、なんとか学童に入れることができました。
フリーランスママは、完全オフになる時間がない
── 在宅で働いていて、仕事のオン・オフの切り替えはできますか?
Aさん(ライター・編集):
正直、ずっとオンの状態だと思います。
仕事が終わると、休みなくごはんを作って、子どもが帰ってきて。
昼ごはんのとき以外、一人の時間はないですね。
Cさん(ライター):
夫は仕事が終わったらゲームしたり、くつろいでるけど、私は休めない。
フェアじゃないなあって思います。
Bさん(Webデザイナー):
うちも、夫も家で働いているのに、昼ごはんの用意は私がやってます。
Cさん(ライター):
予定を決めるとき、夫が先に自分の予定を決めてしまう。
私は家にいるだろうって、勝手にアテにされるんですよね。
Aさん(ライター・編集):
勉強のためにセミナーに行きたくても、まず夫の予定を聞いてから。
男性と女性で、フリーランスの働き方って違うと思う。
女性はほんと、動きづらいんです。
女性が家事をするのが当たり前という社会
── やはり女性は、家事の負担が大きいんですね。
Aさん(ライター・編集):
確かに、在宅なので会社員より家事をする時間はあります。
でも、夫には、そこにまるまる乗っかってほしくない。
役割分担がうまくいってないんです。
そもそも、男性が家事・育児しやすい働き方のできる会社が、あまりないですよね。
社会が整ってないと感じます。
── もっと家事を手伝ってほしいと思いますか。
Aさん(ライター・編集):
洗濯とか料理とかより、意外と細かい家事のほうがめんどくさいんですよ(笑)。
麦茶わかすのとか、たたんだ洗濯物を元の場所に戻すこととか。
Cさん(ライター):
夫はふだん家事をしないんですが、私が怒った次の日だけ、ごはん作ってくれる(笑)。
でも洗い物が一番めんどくさいのに、そこはやらない。
たまに手伝って褒められるのが夫で、どんなときでも毎日家事をしないと、生活が進まないのが私なんです。
Aさん(ライター・編集):
夫にとって、家事はオフの時間にするものだけど、私にとっては毎日、仕事の合間にしなければいけないもの。
だから家にいると、ずっとオンの状態が続いています。
Bさん(Webデザイナー):
うちの夫は、全然家事をしません。
でも、子どもはできないことがあっても仕方ないけど、夫には望んでしまいますよね……。
子どもが大きくなっても、フリーランスで働きたい
── みなさんの収入は、外で働くより多いですか、少ないですか?
Aさん(ライター・編集):
子どもがいる状態で、外で働いたとしたら……って考えると、多いですね。
Bさん(Webデザイナー):
私も多いです。
Cさん(ライター):
私もです。
スキマ時間に働けるので、仕事に使える時間が多いからだと思います。
── 毎月、安定した収入があるわけではないけれど、それでも今の方が多いんですね。
Aさん(ライター・編集):
フリーランスにとっての安定って何かな? と思うんです。
Cさん(ライター):
突然仕事がなくなるリスクは、会社員にもありますしね。
Bさん(Webデザイナー):
私は最初の2年間、思うように稼げなくて苦しかったけど、まわりに「どうしようもなくなったら仕事をあげるから」と言ってくれる人がいて、その時期を乗り越えられました。
先は見えなくても、いざとなったら助けてくれる人がいたから、続けることができました。
── 今後も、フリーランスとして働き続けたいですか?
Aさん(ライター・編集):
私はもう、年齢的に再就職が難しいので、続けていくしか選択肢がないですね。
年とともに、外でバリバリ働く体力もなくなってきますし。
Bさん(Webデザイナー):
私もフリーランスを続けたいです。
納期のきつい仕事が来て徹夜が続くと、辞めたいと思うことが年に2~3回ありますけど(笑)。
Cさん(ライター):
ライターに限らず、なんでも仕事にできることがあるなら、やっていきたいです。
文章を書くことは、どんな仕事でも役に立つので、ライター経験が活かせますし。
── では最後に、今後フリーランスとしてどうなっていきたいか、教えてください。
Aさん(ライター・編集):
今の仕事を、もっと専門的に極めて、職人のようになりたいです。
今、私がやっている内容が、50歳になっても続けていられるかは疑問ですから。
それとは別に、子どもが好きなので、将来子どもに関する仕事もしたいなあと思いますね。
稼ぎとか関係なく、自分を満たす手段として。
Bさん(Webデザイナー):
私はデザイナーなので、いつまでも先端で作っていると、いつか若い人の感性に追いつけなくなると思っています。
なので、ゆくゆくは後方にまわって、仕事のディレクションができるようになりたい。
体が強い方ではないから、遠い将来は、自分があまり動かなくても仕事ができる仕組みを作りたいです。
そしたらWi-Fiのないところに旅に出たい(笑)。
今は、気分転換にスマホを触っていても、アプリのデザインとかチェックしてしまって、全部仕事につながってますから。
Cさん(ライター):
私は、なんでも仕事にできるならやります。
この前テレビで見てて、マツタケのディーラーとかいいなあ、と思って(笑)。
安く仕入れて売る、毎年それができる仕組みを作れたら、安定的な収入が見込めるし。
そういうアンテナは常に立ててます。
バイト時代は、がんばっても会社に搾取されてる、と感じていました。
がんばったらがんばっただけ成果が出る、そんな働き方が、フリーランスならできると思うんです。
座談会を終えて
フリーランスで働くママさんの生活はどんなだろう、と思って開催したこの座談会。
3人から共通して感じたのは、「自分の仕事は自分で作る」というたくましさでした。
夫婦の家事・育児の役割分担が難しい問題は、フリーランスではない家庭でも、よくあることですよね。
とはいえ、子育て中の女性がまだまだ働きづらい社会の中で、在宅フリーランスが魅力的なことは確かです。
もし、子育てと仕事の両立に悩んだら、フリーランスという選択肢があることを、思い出してみてくださいね。