「子育てのやり方は違っても、健康に育ってくれたらそれでいい」国際結婚夫婦インタビュー

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あなたの町に、国際結婚カップルはいますか?

見かけることはあっても、話す機会はあまりないかもしれません。

実は私も、夫がメキシコ人の国際結婚夫婦です。
自分にとっては当たり前の日常ですが、まわりから「旦那さんの仕事は?」など、興味シンシンに質問されることがけっこうあります。

そこで今回は、友人の国際結婚夫婦に、出会いから結婚、仕事、育児のことまで、たっぷりインタビューしてきました!友人ということもあって、かなりぶっちゃけた話をしてくれています。

なかなか知ることができない国際結婚カップルの、日本での生活に迫ります。

キューバ×日本!12,000キロの距離を乗り越えて結婚

インタビュー日:2017年9月6日(水)

国際結婚1.1

キューバ人のジャセルさんと日本人のあやさんは、2013年に結婚し、現在は1歳の子どもと関西に住んでいます。

キューバといえば、アメリカ南東のカリブ海に浮かぶ、トロピカルな島国。

日本と12,000キロも離れている、キューバのジャセルさんとアヤさんは、どうやって知り合ったのでしょうか。

結婚するか、別れるかの選択肢しかなかった

── 二人は、あやさんがキューバ留学中に知り合ったんですよね。

あや:
はい。私は音楽とダンスを学ぶため、2年半、キューバに留学していました。
そこで歌の先生を探していたときに紹介されたのが、ジャセルでした。

── お互いの第一印象はどうでしたか。

あや:
実は知り合う前に一度、キューバのコンサートで歌う彼を見ていました。

そのときは「こんなに若い人がしっかり伝統音楽をやっているなんて」と感心したんですけど、いざ先生として紹介されると「若いのに大丈夫?」と心配しましたね(笑)。

彼は年下で、当時まだ20代半ばでしたから。

ジャセル:
僕は彼女と出会うまで、外国人の知り合いがいませんでした。だからどうやって接したらいいかわからなくて、ちょっと緊張しました。

── そこからどうやってお付き合いすることに?

ジャセル:
彼女は毎日レッスンに来ていましたし、週末はコンサートを一緒に見に行ったりしました。そのうち、自然に付き合う流れになりました。

あや:
一度、私がすごく落ち込んでいるときに、ジャセルが花束を贈ってくれたんです。

キューバでは、恋愛関係がなくても男性が女性に花を贈るのはふつうなんですけど、それを見た宿の奥さんが興奮してしまって(笑)。

「彼、絶対あなたに気があるわよ!」って。それから意識しだしたかもしれません。

── キューバ人はラテン気質で、恋愛話に目がないですもんね(笑)。では、そこから結婚を決めたのはなぜですか?

あや:
付き合う前から、彼の理想の家族像を聞いたりしていました。なので付き合った当初から「この人と結婚するんだろうな」となんとなく感じていたんです。

それに、私が日本に帰国することが決まっていたので、彼と結婚して日本に住むか、別れるか、どちらかの選択しかありませんでした。

ジャセル:
結婚は、付き合って2年経ってから決めました。彼女が外国人ということもあり、簡単には決められなかったんです。

でもお互いに信頼関係が築けていたし、音楽で生きていきたいという共通の夢もあり、決断しました。

両親は結婚に大反対だった

国際結婚2.2

── 結婚すると言ったとき、お互いのご両親の反応はどうでしたか。

あや:
結婚することは、私がまだキューバにいるときに、メールで伝えました。そしたら大反対。

両親はキューバに来たことがないし、彼がどんな人かも知らないから、「絶対、反対!」という感じでした。

でも、キューバから二人で歌っているビデオやCDを送ったら、そこから彼の人柄が伝わったみたいで、最終的には応援してくれるようになりました。

ジャセル:
僕の両親も、初めはとても心配していました。日本とキューバは文化がまるで違いますし。

それに、キューバは経済的に貧しい国なので、キューバ人を下に見ている外国人が多いんです。また、お金目当てに外国人と結婚するキューバ人も多い。

実際、僕のことをそういう人間だと思った友人は、離れていきました。でも、家族は理解してくれるようになりました。

僕自身も、お金目当てで始まる人間関係は、のちのち悪くなるだけだと思っています。

離れて暮らした10か月、連絡は携帯のショートメールだけ

── 2年の交際期間のあと、ジャセルさんの日本滞在ビザを取るために、あやさんは先に帰国したんですよね。

あや:
はい。ビザの準備ができて、彼が日本に来られるようになるまで、10か月かかりました。
その間はすごく寂しかったです。

キューバはインターネットが制限されているので、Skypeなどの連絡手段がありません。

時差も13時間あり、国際電話は高いので、週に1度、彼の携帯にショートメールを送ることしかできませんでした。

ジャセル:
僕はお酒を飲まないので、寂しい時は歌をたくさん作って耐えました。

当時は、仕事のために家族と離れ、首都のハバナに住んでいたんです。

生まれて初めて一人で大晦日を過ごしたときは、ベランダに座って外のパーティーの声を聞きながら、泣きました。本当に最悪でした。

仕事に追われる新婚生活と、突然の妊娠

国際結婚5.1

── つらい時期を乗り越えて、やっとジャセルさんが日本に来たわけですが、最初はどんな仕事をしたんですか?

ジャセル:
ハローワークで見つけた、ホテルの清掃員を1年くらいしていました。
外国人はほとんどいなくて、僕は英語も日本語もわからなかったので、大変でした。

あや:
私は、契約社員としてフルタイムで働いていました。

それとは別に、ジャセルとの音楽ユニット「Ex corde(エックス・コルデ)」の活動も徐々に始めていったんです。

当時は、夜に家事をしていたらめまいに襲われるくらい、忙しかったです。

貧しい時代を経験しているから、仕事がなくなることは怖くない

── ジャセルさんは日本に来て、言葉以外に苦労したことはありますか。

ジャセル:
最初に働いたホテルの人たちは、みんな親切だったんですけど、2人だけ僕に嫌がらせをする人がいました。

僕とペアでやらなければならない仕事に来なかったり、僕だけ休憩時間を減らされたり。

なんでそんなことするのか、全然わからなかった。腹が立ったけど、ケンカしても外国人である自分が不利になるだけだと、我慢しました。

── そんなことがあったから、ホテルの仕事は辞めたんですか。

ジャセル:
それも辞めた理由のひとつですね。あとはやっぱり、僕は音楽をしに日本に来たから、音楽の仕事がしたかった。

僕は仕事がなくなることも、お金がなくなることも怖くないんです。
キューバは最近までアメリカに経済封鎖されていて、貧しい時代が長かったし、今も裕福な国ではありません。

だから何があっても、「もうキューバで経験ずみだし、なんとかなる」と思っています。

予想外の妊娠に、最初はかなり戸惑った

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── 日本での音楽活動が着々と進んでいく中で、妊娠は予想外だったんですよね?

あや:
そうなんです。ちょうど、Ex cordeとして東京進出しようかと考えていたときでした。

なので妊娠がわかったときは、正直複雑な気持ちでした。
お金も全然なかったし、嬉しさよりも不安がすごく大きかったです。

ジャセル:
彼女の妊娠を聞いたとき、確かに経済的な問題や、2人で考えていたキャリアが白紙に戻ることの心配はありました。
でも、子どもができたという喜びが大きかったです。

あや:
ジャセルは、本心では「産んでほしい」と思っていただろうけど、絶対に「産め」とは言わなかったんです。
態度で責めるようなこともせず、私に考える時間をくれました。

だから、ちゃんと自分の気持ちと向き合って「産もう」と決断できたんです。

キューバと日本の子育ての違い

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── 子どもが生まれて、生活はどう変わりましたか。

あや:
最初の1か月は本当に大変でした。出産して退院したら、家には自分と子どもの2人だけ。

「こんなに小さな赤ちゃんを、自分が何かまちがえて、死なせてしまったらどうしよう」っていつも心配してました。

近くに母がいて手伝ってくれるので、すごく助かっているんですけど、昔と今の子育ては違う。夜中とか、誰にも相談できないときはネットで必死に情報を調べていました。

── ジャセルさんから見て、キューバと日本の子育ての違いはありますか。

ジャセル:
キューバは、親や祖父母の子育てを受け継ぐことが多いです。日本は、インターネットが普及していて情報が多いので、親の世代の常識がもう変わっていたりしますよね。

あと、キューバは子どもが外を裸足で歩いたり、もっと自然と触れ合っています。
日本は、子どもの服装や食事、人との関わり方も、キューバより注意深いという印象です。

── キューバでは、バスの中で知らない人同士が喋っていたり、人とのつながりが濃いですもんね。

ジャセル:
そうです。日本では、外を歩いていても一人一人がスマホの中に世界を持っていて、そこからたくさんの情報を得ています。

情報が多いと、悪い情報にもアクセスしやすいから、それがストレスになると思います。

キューバは情報がコントロールされていて、悪いニュースや残酷なニュースは知らされないんです。それがいいことだとは思わないけれど。

── でも、悪い情報に触れにくいということも、キューバ人が楽観的な理由の1つではないでしょうか。

ジャセル:
確かに、それはありますね。子育てに関しても、日本人よりポジティブに考えています。

ただどう育てても、結果的に子どもが健康であれば、それでいいんです。
大事なのはそこで、そこに行く過程は違っていいと思います。

キューバの性教育は進んでいる

── 今度は、あやさんが感じた、日本とキューバの子育ての違いを教えてください。

あや:
私が驚いたのは、キューバでは娘と一緒にお風呂に入らない父親が、けっこういることです。ジャセルも、自分の裸を子どもに見せたがらないんですよ。

ジャセル:
小さいうちはダメだけど、ある程度大きくなったら大丈夫です。

あや:
えっ、そうなの?
一生見せないつもりなんだと思ってた(笑)。

ジャセル:
娘がまだ小さいうちから、父親と距離が近すぎるのはよくないと考えています。

赤ちゃんのときから一緒にお風呂に入って、父親の裸を見慣れていると、知らない男の人に裸を見せられても違和感を感じない。

それは危険なので、男女の性差が理解できるようになるまでは、娘には裸を見られたくないんです。

── キューバでは何歳くらいで、男女の性差を理解するんですか?

ジャセル:
10~12歳くらい。まず小学校の授業で、簡単に妊娠の仕組みや男女の違いを勉強します。
中学校に上がると、より詳しく、病気のリスクや避妊の方法までしっかり習います。

(※キューバは日本と同じく、小学校が6年、中学校が3年ある。中学校までが義務教育だが、授業料は大学まで無料)

── 日本より性教育が進んでいるんですね!

ジャセル:
キューバは経済的に貧しい国ですが、教育はしっかりしているんですよ。

一番大切なのは、心が健康であること

── ほかに、子育てで意識していることはありますか。

ジャセル:
気をつけているのは、子どもの精神が健康的に育つことです。

さっきも言ったように、日本は情報が多く、さまざまな考え方があふれ、そこから受けるストレスや不安も多い。

日本で生きていくためには、心のバランスのとれた人間であることが、本当に大事だと思っています。

キューバで感じた、子育てのしやすさ

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── 子どもが生まれてから、一度キューバに里帰りしたんですよね。子どもにとって初めてのキューバは、どうでしたか。

ジャセル:
飛行機で15時間以上かかるので大変でしたが、向こうでの経験はすばらしかったです。僕の家族は本当に喜んでくれました。

何より、娘が何の違和感もなく、着いてすぐキューバに溶け込んでいたんです。まるで「ただいま」というように。

色んな人に話しかけ、歌い、踊り、なんでも食べた。
僕の血が入ってるんだな、と思いました。

あや:
キューバでは、娘もそうなんですけど、私ものびのびできました。

キューバは、子どもといると、知らない人みんなが温かい目で見守ってくれます。
例えば行列に並んでいても、係の人が先頭に連れて行ってくれるし、まわりのキューバ人もそれを当たり前だと思っている。

子育てしやすい雰囲気が、社会にありました。

── 将来、キューバで子育てしたいと思いますか。

あや:
まだわかりません。私たちはキューバ音楽を仕事にしているので、理想は日本とキューバを行ったり来たりすることですが、そんなお金もないですし。

さっきも言ったように、キューバは子育てしやすい国だし、教育もしっかりしている。

でも、今はまだキューバの治安が保たれていますが、アメリカとの国交が回復し、今後どうなるかわかりません。
日本にいても老後の不安など、心配は尽きないですけどね。

子どもの将来に思うこと

── 最後に、子どもが将来どんな風に育ってほしいと思いますか。

あや:
私は、ジャセルに似てほしいと思っています。彼は人から好かれる才能があるし、心配性の私と違って、いつも明るいですから。

ジャセル:
娘には、自由な考えを持ってほしいです。

僕は、両親から「医者か弁護士になってほしい」と言われ続けて育ちました。
でも、僕には僕の考えがあり、今は音楽の仕事をして生きています。

娘にはプレッシャーを与えたくないですね。彼女は彼女の世界をきちんと持って、自由に幸せに生きてほしい。

それと同時に、他人を尊重できるようにもなってほしいです。
他人を尊重できる人は、自分のことも大事にできますから。

インタビューを終えて

キューバと日本は、言葉も文化もまったく違う国ですが、子どもを思う気持ちに変わりはないと感じました。

二人は現在、家族の助けを借りながら、音楽ユニット「Ex corde(エックス・コルデ)」として全国で活動しています。

娘さんもキューバではたくさん歌って踊っていたそうなので、Ex cordeに小さなメンバーが加わる日も、遠くないかもしれません。

「子育てにはいろんな方法があるけれど、健康に育てばそれでいい」というのは、世界中の親に共通する思いではないでしょうか。

今回のインタビューを通して、キューバや国際結婚カップルを、少しでも身近に感じてくれたら嬉しいです。

写真撮影:おがた

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この記事を書いた人

ヒトミ✩クバーナ

メキシコ帰りの関西人ライター。夫はメキシコ人。20代はがむしゃらに働いていたが、留学先のキューバで「時間や仕事に追われない生き方」について考えるように。現在は日本のラテンと言われる大阪で、お金をかけずに楽しく暮らす方法を日々考えている。

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