「好きなことをやるために、お金と時間を確保する」中卒バス運転手が自己投資にお金を使う理由とは?

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バス運転手として働くKさん。

中学生のとき不登校になり、高校へも行かなかったKさんは、バンドを始めて人生が変わったそうです。今はご結婚されて子どももいますが、奥さんと出会ったのも、バンド活動をやっている最中でした。

中卒だと、一般的な年収程度を稼ぐことも、すごく難しいのが現状の社会の仕組みだと思います。

しかし、Kさんは、自分の好きなことと得意なことを見極め、今では幸せな家庭を築いています。そして、将来へ向けても明確な目標をもって日々を過ごしています。

そんな人生の中で変化してきたお金に対する考え方や、生き方に対する想いを聞きました。

バス運転手のKさんインタビュー

インタビュー日:2016年8月13日

バスの運転手のKさん1

中学生でドロップアウトしてアルバイト生活へ

── まずは自己紹介をお願いします。

Kさん:
バスの運転手をしています。今は31歳で、生まれは神奈川県です。

── 幼い頃はどんなお金の使い方でしたか?

Kさん:
親は倹約家で、ムダなものは買わない派でしたね。ジュースとかもあまり買ってくれないような感じでした。お年玉は貯めてて、親が管理してました。

世代的に、ヨーヨーとかミニ四駆とは流行ったので、そういうものは買ってもらった記憶はありますね。スーパーファミコンのソフトとか。ごく一般的な家庭だったと思いますよ。

僕は学校に中学2年生までしか行ってないんです。学校をドロップアウトして、アルバイトをできる年齢になってからは、バンドをやりながらバイトしてました。

── 中卒なんですね。学校を辞めたきっかけを聞いても大丈夫ですか?

Kさん:
大丈夫ですよ。親や親戚がエリートが多くて、父が早稲田大学を出てて、母も学歴優秀で、親戚がお琴の先生だったり。テレビでお琴を弾くような先生です。

── じゃあ小学生の頃から勉強しなさいと言われていた感じですか?

Kさん:
そんなこともないんですよね。たぶん、勝手に自分でプレッシャーを感じていたんでしょうね。自分自身、小学生の頃までは、努力しなくてもある程度こなせてしまう子どもだったんです。勉強もスポーツもそこそこできました。

中学に入ってから、みんな塾とか行きだして、がんばらないと勝てなくなってきて、そんな自分を認められなかったんだと思います。なんのために自分が勉強をしているのかとか、考えだしてしまって。

バスの運転手のKさん2

── そこからはずっとバンドをやりながらフリーターですか?

Kさん:
いや、18歳のときに配送業の会社に正社員として入社しました。配送業の会社は休みの融通が効いたので、バンドでライブをやりながら仕事をするのにちょうどよかったんです。

── そしたら普通に給料をもらえるようになって、生活は安定したんですか?

Kさん:
20歳までは定期預金していましたね。堅実でした。2年半くらいで100万円くらい貯まったんですよ。その頃はバンドもまだ遊び程度で、単に趣味としてやっていました。

── 貯金は何か目的があってしていたんですか。

Kさん:
当時は彼女がいて、結婚するつもりで考えていたので、そのために貯金していました。ただ20歳になってフラれてしまったんですね。

そのあとバンド活動が本格化していって、車を買ったり、ギターを買ったりして、お金はひたすらなくなっていきましたね(笑)。

多いときは月に8本ライブをしていたので、お金はまったく貯まりませんでした。

── バンドをやっているとお金は貯まりませんよね・・・。

Kさん:
数年間は本気でバンドをやっていました。その後、バンド自体は今も続けているのですが、だんだん活動が縮小してきました。それが23歳くらいの頃で、ちょうど今の妻に出会ったので、結婚を前提にお金を貯めるようになりました。

23歳の頃に付き合い始めて、2011年に結婚しました。25歳で結婚ですね。その時代は日々節約していましたが、あんまり細かくお金のことは考えていなくて、大きい買い物をしないようにすることくらいでした。

── 旅行とかしないんですか?

Kさん:
今も神奈川に住んでいるんですが、当時は箱根とか伊豆とか近場で済ませていましたね。

バスの運転手のKさん3

バス運転手という仕事を選んだ理由

── そのあとなぜバス運転手というお仕事を選んだんですか?

Kさん:
今の妻と結婚するのに、配送業の仕事だと稼ぎも多くはないし、続けていっても給料が上がっていく様子がなかったんです。なので、結婚して、子どもも欲しかったので、安定した仕事に就く必要があったんですね。

── 僕も高卒なので率直にお聞きするんですが、中卒だとできる仕事も限られますよね。その中で、ある意味では免許があればできるバス運転手というのは、いい選択だなぁと思いました。

Kさん:
何より運転の仕事が好きだったからこそ選べたんだと思います。バイト時代にピザの配達を経験したこともありましたし、配送業は常に運転している仕事です。それが性に合っていたんでしょうね。

── なるほど。たしかに、いきなり大型の車を運転してくれって言われても、怖くてできないですね。

Kさん:
そうそう。そういう意味での障害はなかったんです。配送業の時代に、大型の免許を取得していたので、あとは二種免許(お客さんを乗せるために必要な免許)があればよかったので。

あとは、接客の仕事が好きだったというのもありますね。バスの運転手は、お客さんに案内することも多い仕事なので、ただ運転するだけではなくて、接客業という側面も大きいですね。

バス運転手になって収入面も安定して、家のローンも組みました。中卒でお金を稼ぐ選択肢が少ない人には、バス運転手はおすすめですよ(笑)。

バスの運転手のKさん4

── 結婚して、子どもが生まれて、お金に対する考え方は変わりましたか?

Kさん:
家を買ったので、ローンを払わなくてはいけないというのは大きいですよね。今はお小遣い2万円です。お弁当を妻につくってもらって、お小遣いは飲み会やコーヒー代に使います。あとは今でもたまにバンドの練習でスタジオに入るのに使うくらいです。

僕らより上の世代でバスの運転手をしている方々は、給料がちゃんと上がっていったんですけど、今はそうとも言えないんです。もちろん、世の中的に不景気だからというのもあると思いますが、純粋にやることが減っていってるんです。

バス運転手という職業はなくなるかもしれない

── お客さんからの要望やクレームによって、増えていきそうなイメージがありますけどね。

Kさん:
たしかにそれはそうで、接客面ではやることは増えています。ただ「運転すること」で考えると、もちろんマニュアルからオートマに変わっていってますし、社内放送も昔は自分が実際に口でいろいろ言う必要があったんですが、今はすべて自動で放送を流すだけです。

── なるほど、言われてみるとそうですね。

Kさん:
だから、将来的には自動運転になると思うんです。

バスの運転手のKさん5

── そうですか・・・。ウェブの仕事をしているので仕事柄そういうテクノロジーの話はよく聞きますが、たしかにバスの運転は自動になるのが早そうですね。

Kさん:
20年、30年後には、バス運転手という仕事はない可能性もありますよね。もっと案内がメインのバスガイドみたいな仕事になっていくとか。つまり、賃金が上がっていく職業ではないと想像しています。

── すごく納得しました。極論ですけど、いくら節約を考えていても、自分の仕事がそもそもなくなってしまったら、と考えると怖いですよね。

Kさん:
根本的な話になりますが、バス運転手って、大変な仕事なんです。お客さまの命を預かっている仕事ですから。肉体労働なんですね。

配送業のときは毎日重いものを運んだりしていたので、正直にお話すると、バス運転手になったら肉体的に楽になるだろうって考えていたんです。でも、全然そんなことなかったです。精神的なプレッシャーが大きくて、むしろ大変でした。

実際、人が運転する限り事故をまったく起こさないというのは不可能なので、自動運転ができるんだったらそっちのほうがいいと思いますね。自動運転で、何かあったときにバスが止まってくれるなら、そっちのほうが安全ですよね。

いくら訓練しても、気をつけても、人間の感覚では大きなバスを走らせながら乗車してくれているお客さまに注意するというのは限界があるんです。

バスの運転手のKさん6

── たしかにそうですよね。人生で買ったもので一番高い買い物はなんですか?

Kさん:
家と車を除けば、やっぱりギターですかね。買ったのはギブソンのレスポールというギターで、18万円くらいでした。このギターを今でもメインで使っていますね。

── バス運転手を始めて約4年、結婚から5年とお聞きしましたが、お金の使い方は変わりましたか?

Kさん:
そうですね。家のローンを返しつつですが、無駄遣いはしているかもしれないです。そんなに徹底して節約している感じではないですね。

雑貨とか物を買うことはあまりないですが、コンビニでいろいろ買うとか外食とか、そういったところにお金を使っていますね。

飲み会に誘われたら飲みに行くし、大きな買い物はしないように心がけているくらいですね。

── 小さい頃からの教育が今でも影響しているのかもしれないですね。

Kさん:
そうですね。あとはここ数年では車を軽にしたり、保険を見直したりしました。日々の細かい節約はできていないところも多いので(笑)、そういったところで節約できるように工夫しています。

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夢を達成して、ふとしたときにハッとした

── 今後はどういったことにお金を使っていきたいですか?

Kさん:
最近は投資を勉強していて、日々の給料だけではなくて、稼ぎ口を他にもつくりたいなと考えています。今までは、結婚して家庭をつくって、子どもを産んで、家を買って、安定した生活を送りながらバンドをやるのが夢だったんですよ(笑)。

今は、ある程度それが達成できたんです。ハッと気づいたら、人生がまだ30年以上ある中で、自分は何をやりたいんだろうと真剣に考えたことがあって。だからこそ、今は先のことを見据えて行動したり、勉強したりしていますね。

── 家庭をもっても明確に夢を持てるというのはいいことですね。

Kさん:
そうですね。何をやるのかって明確に決まっているかというとそんなことはなくて、宿とかゲストハウスとか、人が集まれる場所をつくりたいんですね。

お酒が飲めて、人が集まって語れるような場所を地元につくりたい。今は、地元に貢献したいって考えています。

── 地元に貢献したいという気持ちはどこから生まれてきたものなんですか?

Kさん:
僕は音楽とバンドをやってなければ、今の人生はないんです。今の妻とも地元のバンド仲間だった先輩に紹介してもらって付き合って結婚したんです。

家を買って家族で住んでいるので、今住んでいる土地に根をおろして生きていくことは決まっているんです。だから、地元になんらかの形で貢献できる仕事をしていきたいなと考えています。

今はまだ夢物語なんですけど、将来的に好きなことをやるためには、お金と時間をきちんと確保しないといけないと思っていて、そのためには何をしたらいいのかと考えた結果、投資だったりとか、今は会社員のままできることをいろいろ探っていますね。

バス運転手のKさん8

── 自分にスキルを蓄える時期なんですね。

Kさん:
そうですね。だから、昔は大検と呼ばれていた、高卒認定を取得しました。

── 高卒と同等の学力があるという認定ですよね。

Kさん:
はい。昔は勉強をやりたくなかったですが、今は自分のスキルを蓄えたい、自分を磨きたいと思って、受けました。

自分の環境がそうさせているのもあるかもしれないですね。周りの友人が独立したり、自分の店を出したりしている人が多くて、影響を受けたところが大きいですね。

やりたいことをやれるようになるために、どんなことをしたらいいのかと考えているので、今は充実しています。もちろん言っているだけではなくて、実行していかなければ意味がないとも思っていますね。

だから今は副業だったり、自分の本業とは別にも稼げるようになりたいんです。お店を出したいとか、人が集まれる場所をつくりたいという気持ちがあって、それはライブハウスかもしれないしゲストハウスかもしれない。

今はまだ明確には決めていないですが、バンドをやっていた影響で、そういうことをやりたいんだと思います。

── バンド活動とそういった想いにはどういった関係があるのでしょう?

Kさん:
バンドをやっていて一番楽しかったのは、やっぱり人の人生に影響を与える瞬間だったんですね。自分はどれだけそれをやれたかわからないですが、音楽には確実にそういう力があると思うんです。

自分も好きなことをやって、人に影響を与えることをリアルに感じられる仕事をやっていけるように今は自分磨きにお金をかけています。

音楽に影響を与えられて、バンドを始めて、その繋がりによって今の自分のすべてがあるんです。だからこそ、恩返しをしたいという気持ちです。

【編集後記】インタビューした感想

Kさんは中学をドロップアウトして不登校になり、バンドをやりながらも、今のようにバス運転手の職を見つけ一生懸命働いています。

インタビュー中にも触れましたが、中卒からしっかり稼げるような職に就くことは、簡単なことではありません。自分と向き合い、自分がやれること、好きなことをしっかり考えなければ、Kさんも今のような生活には至っていなかったんじゃないかと思います。

今ではバンド活動を行いながら、つまり好きなことをしながら、家族を持ち、大黒柱として生活を支え、さらに新たな夢に向かって勉強をしています。

今回のインタビューでは改めて、いろんな生き方があって、そのいろんな生き方は何かを参考にしたり打算的にやったりするというよりは、自分と向き合うことで見つけられるものなんだなと感じました。

もしこの文章を読んでくれた方の中に、自分の生き方に疑問がある方がいたら、やはりまずは徹底的に自分と向き合うことが大切なんだとお伝えしたいです。

バス運転手のKさん9

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この記事を書いた人

くいしん

フリーの編集・ライター・PR。「灯台もと暮らし」編集部。1985年、神奈川県小田原市生まれ。高校卒業後、レコード店員、音楽雑誌編集者、webディレクター、web編集者を経て、個人事業主に。主にカルチャー、音楽、生き方、働き方、ローカル、暮らし、メディアについて執筆。

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