「好きなことだって続けなきゃ楽しさはわからない」湘南と恵比寿で働くフリーランスの美容師の働き方とは?

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美容師として働く権守翔(ごんのかみしょう)さんは、美容学校を卒業してから今まで、ずっと美容師として生きてきました。

27歳のときにフリーランスとして独立し、現在は湘南の藤沢と、東京都恵比寿で働いています。

フリーの美容師という働き方のいいところや、フリーランスを選んだ理由はどんなものなのでしょうか?

学生時代のお金の使い方や、社会へ出て環境が変わってからお金に対する考え方がどのように変わったのか、お聞きしています。

フリーランスの美容師、権守翔(ごんのかみしょう)さんインタビュー

インタビュー日:2016年7月13日

権守さん1

幼い頃から東京時代まで

── まずは自己紹介をお願いします。

権守翔(ごんのかみしょう)(以下、権守):
1985年生まれで、今は30歳です。出身は神奈川県の西部にある二宮町です。

高校卒業後に美容学校へ行って、美容師免許を取得して、そこからずっと美容師として働いています。今はフリーランスで、主に藤沢のお店と、恵比寿のお店で仕事をしています。

── ご自身の成長と共に、お金に対する考え方やお金の使い方がどのように変化したか聞いていきたいので、子どもの頃から順番にお話を聞かせてください。

権守:
はい。小さい頃は、海で遊ぶのが好きな子どもでした。家から海が近くて、父がサーフィンをやっていたからです。幼い頃はワガママな性格だったと思います。欲しいものがあったら、なんでも買ってもらうみたいな感じです(笑)。

── なるほど(笑)。どんなものを買ってもらっていたんですか?

権守:
おもちゃやゲームばかりですね。スーパーファミコンのソフトとか、おもちゃはよく買ってもらっていた記憶があります。

ニンテンドー64とか、セガのドリームキャストとか、テレビゲームのハード機は大抵買ってもらっていました。

── お年玉は貯金しない子どもでしたか?

権守:
全部使っちゃってましたね。使いみちは任せてくれて、好きなように使わせてくれる親でした。

── 小学生のときってお小遣いはいくらくらいありましたか?

権守:
月1500円くらいだったと思います。毎週、『週刊少年ジャンプ』を買っていました。ジャンプを買って、友だちと遊ぶときに食べる駄菓子を買うくらいですね。

駄菓子を買って、海で遊ぶというのがお決まりのパターン。インドアなのかアウトドアなのかよくわからないですね(笑)。

権守さん2

── 海で何をするんですか?

権守:
海に入ったり、しゃべったり・・・ただ海にいるだけですね(笑)
海へ行くまでの道中が、ただ楽しかったですね。自転車で海まで行く道のりがすでに楽しかったです。

── 少年時代という感じがしますね(笑)。美容師になろうと思ったのはいつ頃ですか?

権守:
最初に考えたのは中学か高校の頃ですかね。
祖母が美容師で近所で美容室を営んでいて、ずっと髪を切ってもらっていたので、自然と興味を持って、自分もやってみたいと思いました。

手に職という意味では、食いっぱぐれることもないのかなとも考えたり。

あと、進学で悩まなかったのはよかったです。
美容師になるためには、美容学校に行くしか選択肢がないので、悩んでいろいろ考える必要はなかったです。

── 高校時代はアルバイトしていましたか?

権守:
バイトしてました。ずっとラーメン屋さんでやってましたね。
バイト代は友だちと遊ぶのに使うとか、ファッションにお金をかけるのが中心でした。

あとは、音楽のライブに行くのにお金を使っていました。
当時流行っていたパンクバンドのライブとか。

── 高校のときはお金に困ったことはないですか?

権守:
さっき言った海もそうですけど、お金がなくてもないなりに遊ぶ方法がありましたね、高校時代は。

10代のバイタリティってすごいですよね。
お金を使わなくても、なんでも楽しめる。

── 専門学校に通っていた頃は、神奈川から通っていた感じですか?

権守:
そうですね。専門学校を卒業して、免許を取得すると同時に青山のサロンで働いていたのですが、その頃は代々木に住んでいました。東京に住んでいたのはこの2年間だけであとは神奈川に住んでいますね。

── 東京に住んでいた頃の思い出とかありますか。

権守:
東京は夜中も街が動いているので、その楽しさはありますよね。
遅い時間に仕事が終わっても渋谷や原宿で遊べるっていう。友人がいたので、三軒茶屋でもよく遊んでいました。

その頃はそんなにお金に困っていたというわけではないですが、水道や電気が止まったことはありました。

権守さん3

── え、なんでですか?

権守:
支払いを忘れて(笑)。

── そうですか(笑)。

権守:
ガスが止まったときはシャワーを浴びれないので、アパートの隣の部屋の人にお風呂を借りに行きましたね。

── ははは!(笑)。都会での出来事とは思えないエピソードですね。

権守:
家に帰ったら電気付かないし、お風呂のお湯も出なかったので、隣の人に借りました。たまたまお隣さんも美容師だったんですね。

── もともと知り合いだったということですか?

権守:
いや、違いますよ。ただのお隣さんです。
いきなり夜にピンポンして、「お風呂貸してください」という感じです。

── よく貸してくれましたね・・・。

権守:
顔見知りではあったので、貸してくれた感じですね。でも、そうやって隣人との関係性をつくっておくことが、万が一お金がないときのセーフティネット(安全策)になることはありますよね。

── いい話と言えばいい話ですけど・・・。その頃は貯金とかありましたか?

権守:
その頃は、貯金はできていないですね。
貯金しようとも思わなかったし、する余裕もなかったです。

── 家賃はいくらでしたか?

権守:
7万5千円です。日当たりがよくないといやだったので・・・。

── 専門学校を出たばかりの新社会人にとっては、なかなか大きい金額ですよね。

権守:
日当たりがいい部屋じゃないと気が滅入るから、結局、効率が悪いんです。住む場所には、きちんとお金をかけたほうがいいと思いますよ。

── なるほど。

権守:
代々木に2年住んだあとは、職場が横浜に変わったので家は神奈川に戻りました。途中からお店に所属しないフリーランスになったんです。

横浜のあと、藤沢のお店に移って、27歳の頃に独立しました。
そこからは現在まで、藤沢のお店と、恵比寿のお店で働かせてもらっています。

権守さん4

フリーランスのメリット

── 藤沢と恵比寿で仕事をするのは何か理由があるんですか?

権守:
やっぱり東京はおもしろいですよ。
おもしろいお客さんやエッジの効いたお客さんが多い。

恵比寿では先輩のお店で切らせてもらっているんですが、お客さんは外国人が多いんですね。

これはやっぱり、東京ならではかなと思いますね。
神奈川でやっているとそこまで多くの外国人の方の髪を切れる機会ってなかなかないんですよ。なので、恵比寿でもらった刺激を、藤沢に持っていく感じですね。

── いつ頃からフリーランスになりたいと思っていたんですか?

権守:
それまではまったく考えていなかったですね。
その頃になっても、ほとんど貯金はなかったですよ。

ただ、フリーランスになったほうが稼げるし、時間も自由に使えるということはわかっていたので、だったら早くフリーランスになったほうがいいのかなって思いました。

── 確定申告は青色ですか?

権守:
そうですね。美容師として個人事業主の届けを出しています。

── フリーランスになって何が一番変わりましたか?

権守:
純粋に自分が働いた分だけお金が入ってくるので、働かなければ入ってこないし、働けば働くだけ入ってくるわけじゃないですか。それは大きな変化でしたね。

休みを自分で調整できるようになったので、楽になった面もありますよ。

── 土日も休めるみたいな話ですか?

権守:
時間の融通を効かせられるのはフリーランスの特権ですよね。
会社員として美容師をやっていると、土日はなかなか休めないことが多いんですよ。

フリーランスだったら、自分さえよければ、土日でも平日でも好きに休めます。

土日しかやっていない音楽のイベントに行けたり、たとえば友だちとバーベキューに行けたりとか、そういう意味で土日に息抜きできるというのは大きなポイントだと思います。

あとは、旅行に行くようになりました。
まとまった休みが取れることって、会社員だとなかなかないですから。10日間くらい休んで、海外に行くとか。

2016年の6月にはアメリカに行きました。
会社員として働いている美容師よりは休みの調整が効くので、そういう休みの使い方ができますね。

フリーランスになってからは、物欲もなくなったし、無駄遣いをしなくなったというのはあります。

多少ですけど収入が増えてきて、余裕も出てきたから、買い物の欲求はなくなりました。

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今後の目標と人生設計

── 今までで一番高い買い物はなんですか?

権守:
使った金額で言えば海外旅行かと思います。あっ、最近、チャリ買いました。

── 自転車。おいくらくらいですか?

権守:
13万くらいですかね。

── お金の使いどころという点で聞くと、ご自身でお店を出す計画とかないんですか?

権守:
今のところはないですね。

巡り合わせがあって、いいタイミングがあれば考えるのかもしれませんが、今の段階で計画しているということはないです。ただ、今度、友人のお店を手伝うことになっていて、今はそのお店の計画が楽しいです。

── 今後の目標や人生設計はありますか?

権守:
上の立場になりたいとか、偉くなりたいという欲求はないので、これからも自由にやっていきたいですね。

今のままでもやっていけます。
もちろん、もうちょっと稼ぎたいなぁとかって気持ちはありますが・・・家族ができたら変わるのかもしれないですね。

家族を持って、何かをしたいって気持ちが出てきたら、また変わるんだろうなぁとは思いますね。

── 独立して店舗を持つとなると、借金しないとですもんね。

権守:
経営をやりたいという気持ちは正直あまりなくて、カッコつけた言い方をすれば現場主義者でいたいんです。

あくまで現場に立って、お客さんの髪を切っていたい気持ちが大きいです。

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美容師を続ける理由

── お客さんとしてはそういう美容師さんが一番理想かもしれないですね。改めてなんですが、何がしたくて美容師をやっているんですか? ヘアスタイルを整えて、綺麗になってもらったり、いい気持ちになってもらいたいとか?

権守:
ようは創作作業だと思うんです。
つまり、つくるのが好きなんです。

お客さんに似合ったヘアスタイルをつくって、喜んでもらえることが一番嬉しいことですね。

フリーランスのいいところは休みが取れるところという話ばかりしましたが(笑)、実際、今って休みは少ないんです。月に3日とかそれくらいですよ。

── 普通の会社員から見たら、激務ですよね。

権守:
でも、それ自体は全然苦ではないんです。
言ってしまえば、仕事が苦ではないので、日常はガッツリ働く。

これは目標ですけど、一ヶ月くらいまとめて休むとか。そうやってバランスをとっていけたらいいなって考えています。

今後の目標としては、それが一番かもしれないです。
ハワイに一ヶ月くらいいって、のんびりしたい。ただ何もしないでのんびりしたい。

── 一ヶ月休んだら、また髪を切りたくなりますかね?

権守:
なるでしょうね。周りの人に話を聞いていると、一週間くらい休むと、「もう仕事したくない」とか言うじゃないですか。

連休が明けるときに「現実に戻りたくない!」みたいな。そういう気持ちにはならないですね。むしろ休んだら仕事したくなりますよね。

── 「仕事好き」なんですね。

権守:
そうかもしれないですね。
一ヶ月、31日休みなくても構わないです。

そういう意味では残業という概念もないですからね。やればやるだけお金はもらえるわけですし。

── さっき、余計なものを買わなくなったという話があったじゃないですか。ノマド的節約術は、無駄遣いしないようにしたい人とか、お金を貯めたい人が読んでくれることが多いんですね。そういった人たちに対して何かアドバイスはありますか?

権守:
お酒を飲みに行くことなど、人付き合いにはお金を出していいと思うんですよ。下手に時間があると、いろいろ欲求が出てきて、いらないものを買ってしまうようなことがあると思うんです。

── 時間が余っているから買ってしまう。

権守:
僕は、用がなければ休みを取らないんです。
何かやりたいことがあるときに休むので、無駄遣いをする時間がないですよね。

下手に時間を余らせるようなこと自体しないんです。
それはひとつ節約のコツかもしれないですね。

目の前の仕事に一生懸命取り組めばいいのかなって思います。

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── フリーランスであればそうできますよね。会社員時代はそうではなかったですか?

権守:
そうですね。会社員でお休みをいただける環境であれば、お金のかからない趣味に没頭するのがいいと思います。

僕はスケートボードが趣味なんですけど、スケボーって、最初に買うのはもちろんお金がかかりますけど、やること自体はお金かからないですから。

お金かけなくても楽しめることってたくさんあると思いますよ。

仕事ばかりで休みを取れないというのは不自由ですけど、好きなことを仕事にして、忙しいくらいにしているのがいいと思います。

── 多くの人にとっては仕事って、大好きになれるものではなくて、会社から「早く帰りたい」って思ってやっている人が多いですよね。

権守:
そうかもしれないですね。

── 権守さんは学生時代から美容師になろうと考えて、今までやり続けてますよね。そういう「好きなこと」って、どうやって見つけたらいいと思いますか?

権守:
僕自身、美容師の仕事がいやになったことがないわけではなくて、もういやだなって思う時期もあったんです。

仕事って、数学の問題が解けるようになることに似ていませんか?

── どういうことでしょう?

権守:
数学って、今までまったく意味がわからなかったことなのに、数式とか方程式を覚えて、問いを解けるようになるじゃないですか。その気持ちよさってありますよね。

要は、できなかったことができるようになってきて、初めてその楽しさを理解できますよね。

美容師の仕事もそうで、カットができるようになって、カラーやパーマができるようになって、だんだん楽しさがわかるようになってきました。そうなれたらおもしろいですよね。何事も腐らずに、ずっとやり続けることですよ。

【編集後記】インタビューした感想

小さい頃はなんでも好きなものを買ってもらっていてワガママだったと語る権守さんは、27歳で独立してフリーランスとして働かれています。

僕自身、ウェブ編集という仕事柄、普段からITやウェブ業界のフリーランスの方にお話を聞く機会は少なくないのですが、フリーランスの美容師の方に改めてお話をうかがうのは初めてでした。

「休日が自由になる」「好きなだけ働いて好きなだけ休める」など、ITやウェブ業界のフリーランスと共通する点が案外多くて驚きました。

ITやウェブ業界のフリーランスは自宅作業やコワーキングスペースを借りて仕事をすることが多いですが、美容師は店舗で仕事をするので、二拠点で働けるというのは、美容師ならではですね。

今後も、様々な業界のフリーランスの方にお話を聞けたらいいなと考えています。

権守さん最後の写真

権守さんが働いているお店の情報はこちら

CORAL by SALON de YOU
住所:神奈川県中郡二宮町二宮208
電話番号:0463-68-8419
営業時間:9:00〜21:00

この記事を書いた人

フリーの編集・ライター・PR。「灯台もと暮らし」編集部。1985年、神奈川県小田原市生まれ。高校卒業後、レコード店員、音楽雑誌編集者、webディレクター、web編集者を経て、個人事業主に。お金の価値観は「使って回そう」。ノマド的節約術では主にインタビュー記事をつくっています。