「ひとつの場所に留まれないからフリーランスとして生きていく」小林敏徳(トシノリ)さんが様々な職業を経て辿り着いた場所

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ライターの小林敏徳(トシノリ)さんは、ライター業一本で生計を立てている現在まで、様々な仕事をしてきました。

そんな中で、自分では思いがけないタイミングで、思いがけない形でフリーランスになります。

そのとき、背中を押してくれたのは、小林さんの奥さんです。

「絶対に大丈夫だから」と声をかけてくれて、小林さんを応援し続けてくれた奥さんがいたからこそ、小林さんは今まで仕事を続けてこられたんだと語ります。

小林敏徳(トシノリ)さんインタビュー

インタビュー日:2015/6/10

小林さん単独インタビュー1

このインタビューは、対談記事の続編に当たります。
参考:対談記事はこちら

小林さんのこれまでの仕事

── 小林さん単独のインタビューでは、小林さんご自身についてお聞きしたいんですが、これまではどんなお仕事をされてきたんですか?

小林敏徳(トシノリ)(以下、小林):
一番最初はマッサージ師。マッサージ師とスポーツトレーナーを兼業でやってたんです。それで当時、全日本だった柔道の谷亮子さんとか・・・。

── えっ!「ヤワラちゃん」ですよね?

小林:
そうそう。全日本柔道の女子チームに帯同したこともあったんですよ。

スポーツトレーナーも針とかの資格がないと、長く食ってくのは難しい世界なんですね。で、辞めて、化粧品を作る会社に転職したんです。

9年くらい化粧品を作ったり営業したりしてて。その次は靴の中敷きを売買する仕事をして、また化粧品を売る会社に行って、そのあとフリーになりました。

── 最後に会社員だったときは、うつで辞められたとうかがってます。

小林:
そうなんです。だから突然会社を辞めたんですよ。12月の上旬に、体調が完全におかしくなって・・・。

2週間くらいは我慢してたんですけど、12月の中旬に嫁が「ちょっと病院行ったほうがいいよ」って言ってくれて。

病院に行ったら、「うつです」って言われました。

小林さん単独インタビュー2

妻の助言に助けられた

── 自分では、全然自覚なかったんですか?

小林:
おかしいのはわかってる。体がめっちゃ震えるとか、めっちゃ汗かくとか、じっとしてられないとか。

それで仕事を続けるべきかどうか悩んだんですけど、嫁が「もう辞めよう、年末で」と言ってくれました。でも、「辞めてどうするん?」ってなるじゃないですか。

家族がいるのに無収入になるわけですから。そしたら嫁に「もう別に独立したらええやん」って言われて、僕は「はあ?」ってなったんです(笑)。

── なるほど(笑)。

小林:
「独立って何?」みたいな感じだったんですけど、自分ではどうしようもないぐらい体調が悪かったので、お世話になった会社にかなりの迷惑かけつつ、年末に辞めました。それで年末年始はゆっくりして、年を越しました。

今でも鮮明に覚えてるんですけど、そのときは嫁の実家にいて、お義父さんが初出勤で出ていくわけじゃないですか。去年までは俺もそうだったのに「あれ、俺行くとこないわ」って思って。

そのとき初めて不安になりましたが、グッと堪えてしばらく休養してました。幸いなことに、調子はすぐに良くなったので、「さあ、これから仕事をして稼がなきゃ」と思って。

でも、何もやることがないから、とりあえずブログを書くところからはじめて、今に至ります。

── ある意味では松本さんと似たストーリーですよね。

小林:
そうそう。スニーカーを海外から輸入して、ヤフオクで売ったり、せどりでDVDやフィギュアを売ったりもしてましたよ。

その間もブログを書いて、あとは昔のつてで化粧品を売ったりとか。でもなんか「このままだとしんどいなー」とは思っていて。

そんなときに、文章書くのっておもしろいなあと思っている自分に気づいたんですね。

── はい、そこで発見があったわけですね。

小林:
うん。で、だんだんブログにハマっていって、一年くらい経ったときに「うちで書きませんか」という依頼をちょこっともらえるようになってきました。

その頃に松本さんとの出会いもあって、2015年の8〜9月くらいに、ガバッと書く仕事が集中してからは、ライター業一本でやっています。

── すごい。当時はやはり経済的に厳しい状況でしたか?

小林:
大変っすよ。収入がない上に、当時は貯金するタイプじゃなかったから。少ない貯金を、切り崩しながら生きてるような感じでした。

収入がないって、こんなにも不安なのかと思いましたね。なんかね・・・。自動販売機、金持ちが使うもんだなって思って。

一本120円とか130円で買うんだけど、スーパーに行けば同じものが80円とかで買えるわけじゃないですか。

その時期に、節約の価値観がつくられたかもしれない。

── 余計なものを買わないみたいな?

小林:
今までもやってたけど、たぶんその一年とか一年半の時期に、よりはっきりと節約体質になったんだと思う。

── でも、本当に奥さんがすごいですよね。

小林:
うん、嫁がすごい。ほんまに、俺やったら自分と結婚せえへんと思うもん。よう選びましたよ。

── 奥さんの心境は、もちろん身体が心配というのはあると思うんですけど。「この人は独立してやっていける」みたいな確信があったんですかね?

小林:
なんかね、もともと僕は独立するって思ってたみたいです。辞めたあとに言われてびっくりしたんですけど。「会社で働けるタイプちゃうやん」って言われた。

でも自分は13年くらい、転々としながらも組織で働いてきてたから。そのときは「はあ?」と思って「いやいや、今までやってきたし」って感じ。

でも、嫁からしたら「いやいや、めっちゃ無理してたやん」ってことだったみたいですね。

── 自分では自覚がなかったんですね。

小林:
うつになったときも「あんた、今までそんだけ我慢してきたから、最後に壊れただけじゃん」みたいな感じで言われて。「なるほどな」って思った。

だから、しばらく収入とかが不安定な時期も「絶対大丈夫だから」って。嫁はなんかねえ、変に節約するでもなく、いつも通りでしたよ。

── 先の対談で触れた「この先やりたいこと」って話のときも、自分では何やればいいのかわからないって話だったじゃないですか。同様に、お仕事を辞めたときも、奥さんのほうが自分のことをよくわかってる、みたいな状況だったんですか?

小林:
うん。だから、自分が知ってる自分とか、たかが知れてるから。ある側面からしか、自分のことなんて見えない。

昔は、全部自分でわかってると思ってたんですけど、わかってると思ってた結果壊れたから。人にこうやって見出してもらったほうがいいと、今は思ってます。

だから、自分がこうしたいって思うより、人に拡張してもらうほうが、自分は楽しいのかもわからん。結構ね、僕はあんまり自分のこと信用してないんですよ。

── 自分を分析しようとしたりしないんですか?

小林:
昔は、すっごいしてたんです。ノートとか持ち歩いてて。今はあんまり使ってないんですけど、ノートとかに、気づいたことをバーッと書いてました。

その日に考えたこととか書いてたんですけど。なんかねえ、昔はもっと自己分析的なこと書いてた。

── それは、うつで倒れる前ですか?

小林:
うん。この間ね、一年半くらい前のノートが出てきたんだけど、10cmくらいの分厚さでした。「これは病むわ」と思いましたね(笑)。

ほんまに「自分、自分、自分」みたいなことをひたすら書いてて。この間全部捨てたんですけど。

今は、自分のこだわりじゃなくって、人と関係することで拡張してもらうほうが面白いから。逆に言うと、自分がどう見られるとかあんまり興味がない。

── 奥さんは「この先もっとこういうのやったほうがいいよ」「この先こうなるでしょう」みたいな、アドバイスをしてくれるんですか?

小林:
アドバイスされるとしたら「とにかく感性がおもむくままにやりなさい」ってことくらい。めっちゃ悟ったようなことを言いますよね(笑)。前まで意味わかんなかったんですよ。

もうちょっと、自分がこだわり持ったほうがいいとか、目標があったほうがいいとか、野望があったほうがいいとか思ってたんですけど。結果的には嫁のほうが正しいです。

小林さん単独インタビュー3

昔は意識高い系だった

── 以前までは、中小企業やベンチャーで営業や企画の仕事をしていたそうですが。そのときはどんなタイプの人だったのでしょうか?

小林:
いわゆる意識高い系ですよ。

── 当時はそうだったんですね。

小林:
ビジネスマンだったし、「こうしなきゃいけない」という思い込みがすごい強かったんですよね。

── 今は、あのときとは変わったなって感じですか?

小林:
変わったと思う。

── それは、独立したりとか、体調崩したりとかがあったからですか?

小林:
うん・・・そうだと思う。意識高い系になる人の気持ちはすごくわかるんですよ。そう見られたい意識が強いんです。

自分が、本当に成長したいって思ってる人は、何も言わずに黙ってやるじゃないですか。結果的に「成長したね」って言われるものだと思うんですけど。

意識高い系って、それをSNSにアップするとか、打ち込んでる自分を人から褒めてほしいって感じだから。まさに僕そんなんでした。

── 今からは、まったく想像できないですね。

小林:
黒歴史です。ほんま、めっちゃ嫌われてましたもん。会社員のときに。

人生で一番高い買い物は?

── これはお決まりでみなさんに聞いているんですけど、人生で一番高い買い物はなんですか?

小林:
高い買い物……。ほんまお金使わないんですよね。車と、海外旅行と、あとはなんだろう。カメラが7万円くらい。一番好きな物は、パソコンですね。

小林さん単独インタビュー4

── MacBook Airですか?

小林:
Airの11インチ。パソコンって、僕らにとっては自分の手足みたいなものじゃないですか。僕はしゃべるの好きじゃなかったり得意じゃなかったりするから。筆談のほうが好きなんですよ(笑)。

だから、ネットでコミュニケーション取るとか、チャットするとかっていうのは好きですね。ああ、あとは最近はジム。でもそれも月1万円。酒飲まへんし煙草も吸わへん。

物の執着ほんまなくて……。あ、テンション上がるのは、ナイキのスニーカーとか。

── コレクションされてるんですか?

小林:
してない。買って、履いて、売るんですよ。それがすごい楽しい。

── へえ、珍しいですね。コレクションして眺めるのが好きだって人はよくいますけど。

小林:
僕はね、3000円で買って、1万円ぐらいで売れる物がわかるんですよ。それで儲けたいとかじゃないんですけど、「うわ、こんな金額になった!」っていう瞬間が楽しい。もちろん持ってる間はスニーカー履けるしね。

持っているのはあまり好きじゃないのかもしれない。嫌いなのかな。同じ物を長く持って「これがなきゃいけない」という状況を楽しめる人もいるじゃないですか。

── ご自身がライターとして「書く場所」もそうですよね。自分のサイトのドメインを、自分の物としてどんどん育てることではなくて、いろんな場所で移ろいながら書くことのほうが得意なんですね。

小林:
ああ、そうですね。たしかにそうやなあ。僕はそうやって物に縛られるのがあんまり好きじゃないんです。引越しもよくしていて、だいたい3年周期でしてる。まあ、さすがに子どもが幼稚園小学校行きだしたから、ペースは落ちるだろうけど。

結婚してからも、すでに3回引っ越してますね。人間関係が固定されちゃうのも好きじゃない。そこに根ざすのが苦手なんです。だから、基本的に移動してる。ひとつの場所に留まれないタイプなんですね。

編集後記:インタビューを終えて

ノマド的節約術で150本以上(!)の記事を書いてくれている小林さん。

体調を崩して収入がなくなってしまったストーリーは、ノマド的節約術オーナーの松本さんにも通ずるところがあり、おふたりはそういった面でも共感しているところがあるのかもしれません。

僕は普段、「灯台もと暮らし」というメディアで編集をしているのですが、地方へ取材にいくことも多く、その地に根を張る暮らしをしている方々にお話を聞くことが多いです。

僕自身、18歳のときに上京し、それから12年の間に7回引越ししています。「どちらかというとひとつの場所に留まれないタイプだな・・・」と考えており、小林さんのお話には共感できるところが多かったです。

生きていく上で、必ずしもひとつの場所に根を張る必要はなくて、ひとつの場所に留まれないなら、留まらなくてよい生き方を選べばよいと思います。

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この記事を書いた人

くいしん

編集者。株式会社Wasei。灯台もと暮らし編集部。1985年、神奈川県小田原市生まれ。主に地域、暮らし、メディア、音楽、生き方、働き方について執筆、編集。

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