IPOの主幹事証券会社とは?決まる仕組みや役割、主幹事になることが多い証券会社について解説

IPO(新規公開株)投資をしていると、「主幹事証券会社」という言葉を聞いたことはないではないでしょうか。

主幹事証券会社とは、IPOで中心的な役割を果たす証券会社のことです。

IPO投資に取り組むなら、主幹事証券会社について理解しておくのがおすすめですよ。

主幹事証券会社の役割や、どんな証券会社が主幹事になることが多いかわかると、IPOの当選確率を上げることができるからです。

そこでこのページでは、IPOで主幹事証券会社が決まる仕組みや役割、主幹事になることが多い証券会社について説明していきますね。

IPOの主幹事証券会社とは?決まる仕組みや役割

主幹事証券会社とは?

主幹事証券会社とは、IPOで中心的な役割を果たす証券会社のことです。

企業が証券取引所に上場するときに新規発行するIPO株は、証券会社が引き受けて投資家に販売します。

IPOでは、複数の証券会社がIPO株を引き受けることが一般的で、IPO株を引き受ける証券会社をまとめてシンジケート団と呼びますよ。

主幹事証券会社は、シンジケート団を代表して企業と引受契約の内容や株式の発行条件などについて協議し、シンジケート団の内部調整を行います。

また、主幹事証券会社には、企業が無事に上場できるように上場準備をサポートする役割もありますよ。

主幹事と引受幹事・委託幹事との違い

IPO株を引き受ける証券会社は、以下の3種類があります。

  • 主幹事証券会社
  • 引受幹事証券会社
  • 委託幹事証券会社

IPO株を引き受けるシンジケート団は複数の引受幹事証券会社で構成されており、引受幹事のうち、代表的な役割を果たすのが主幹事証券会社になりますよ。

委託幹事証券会社は、主幹事や引受幹事からIPO株の取り扱いを委託された証券会社です。

どの証券会社がIPO株を引き受けるかは、投資家向けの説明資料である目論見書(もくろみしょ)で確認できますが、委託幹事は目論見書に書かれていないことが多いですね。

IPO株を取り扱っていても気づかない投資家が多いので、委託幹事はIPO抽選で穴場的な存在と言えます。

主幹事証券会社はIPOの引受株数が多い

主幹事証券会社は、他の幹事証券会社に比べてIPO株の引受株数が多いのが特徴です。

▼具体例として、2019年2月に上場した識学(7049)の有価証券届出書を確認してみましょう。

主幹事証券会社

識学の主幹事証券会社はSMBC日興証券です。

合計240,000株のうち、SMBC日興証券が207,000株(全体の86.25%)を引き受けており、他の証券会社より引受株数が多いことがわかります。

このように、主幹事はIPO株の80%~90%を引き受けるため、主幹事証券会社で抽選に参加したほうがIPO株の当選確率は上がりますよ。

主幹事証券会社はどうやって決まる?

主幹事証券会社は、IPOを行う企業からの依頼で決まります。

幹事証券会社になるには、資本金30億円以上という要件がありますよ。

また、企業がIPOを成功させるためには、IPOの経験や実績があり、IPO株の営業・販売に強い証券会社を選ぶことも必要です。

そのため、主幹事証券会社になれる証券会社は限られていますよ。

主幹事になることが多い証券会社については、あとで詳しく説明しますね。

主幹事証券会社の役割

主幹事証券会社は企業が上場するときはもちろんですが、上場前や上場したあともサポートを行います。

具体的には、以下のような役割がありますよ。

  • 上場前:上場申請書類の作成、内部管理体制の整備などの助言・指導
  • 上場時:IPO株の引き受け、公開価格の決定
  • 上場後:資金調達、IRのサポート

企業が上場審査に通過するには、さまざまな申請書類の提出や内部管理体制の整備が必要になるため、主幹事証券会社が助言や指導を行います。

上場時には、複数の機関投資家にヒアリングを行い、企業のIPO株に対する需要を調査して公開価格を決定する役割もありますね。

また、上場したあとも企業の資金調達やIRをサポートしますよ。

IPOを目指す企業にとって主幹事証券会社の役割は非常に大きく、IPOが成功するかどうかは主幹事証券会社にかかっています。

IPOで主幹事になることが多い証券会社一覧

IPOで主幹事になることが多い証券会社をまとめました。

  • 野村證券
  • SMBC日興証券
  • みずほ証券
  • 大和証券
  • SBI証券

主幹事を務めるには資本金のほか、経験や実績も必要になるため、紹介した5社以外の証券会社が主幹事を務めることはほとんどないですね。

2018年の実績では、野村證券SMBC日興証券、みずほ証券が約20社、大和証券SBI証券が約10社のIPOで主幹事になっています。

少しでも当選確率を上げたい場合は5社すべて口座開設しておき、主幹事証券会社を優先して抽選申し込みするのがおすすめですよ。

さいごに

IPOで主幹事証券会社が果たす役割は大きく、主幹事になれるのは経験や実績がある証券会社に限られています。

IPO株の引受株数が多いので、主幹事証券会社から抽選に申し込むと当選確率を上げられますよ。

IPO投資に取り組むなら、主幹事になることが多い野村證券、SMBC日興証券、みずほ証券、大和証券、SBI証券の5社はすべて口座開設しておくのがおすすめです。

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この記事を書いた人

1979年生まれ、千葉県在住の金融ライターです。もともとはお金が苦手で、まったく貯金できませんでしたが、結婚をきっかけにお金について勉強するようになりました。保有資格は2級FP技能士・AFP。投資経験は10年以上で、インデックス投資と不動産投資で資産形成中。ノマド的節約術では、資産形成に関する記事を中心に執筆しています。

大西カツシのプロフィール