「干し野菜」というと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
干し野菜とは、切り干し大根やたくあんの下ごしらえや、干し柿や干し芋のように軒先に大根を干したり、柿や芋を干したりして作る、昔ながらの保存食のことです。
干し野菜にすると、野菜は栄養も旨みも凝縮され、ムダにすることがなくなり、調理もラクになる・・・と良いことづくめ。
野菜をつい買い過ぎてしまった時などにも、干し野菜に加工することがとても便利ですよ。
ですが、花粉症の季節に花粉がついていそうな干した野菜を食べたり、外に干しっぱなしだと空気の汚れや天候なども、少し気になりますね。
そんなときは、オーブンを使って気軽に短時間で干し野菜を作れる方法があります。
このページでは、オーブンでできる干し野菜の作り方と、普通のベランダで干して作る干し野菜の両方のやり方とポイントを、野菜と果物について紹介します。
1時間で一気にできる!干し野菜をオーブンで作る方法
野菜や果物を干す前は、それぞれ簡単な下ごしらえを必要とするものもあります。
とにかく好きな大きさに切って、オーブンペーパーを敷いた天板に並べるだけで、基本的にはOKです。
野菜の下ごしらえをしよう
えのきは、根本を切って軽くほぐしておきましょう。
パプリカは縦2つに切ってから、手でヘタと種をもいで、1/4ずつくらいにカットしていきます。
新玉ねぎは、大きめの回し切りか千切りが良いでしょう。
しめじもえのきと同様に軸を切って、軽くほぐしておきます。
こちらは違う天板です。
ズッキーニは1cmくらいに輪切りをし、ブロッコリーは大き目の小房にしてそのまま置いてください。
マッシュルームは2つ割りで、端を落とすだけでOKです。
これからが旬のプチトマトは、ヘタを落とし、ヘタを横にした状態で3分割にします。
乾いた時に旨味が凝縮されるよう、水分が多い種の部分を取り除いておきましょう。
この部分は、後ほどパスタソースやスープに使えますよ。
野菜をオーブンで焼こう
続いて、野菜をオーブンに入れます。
この際、予熱する必要はなく、天板をセットしたら100度で1時間が目安です。
様子を見て、充分ドライになっているものは引き上げて、まだ乾燥が足りないものは、ひっくり返して時間を追加します。
出来上がったら、冷めるまでオーブン内で放置しましょう。
余熱でカラッと仕上がりますよ。
えのきとしめじは、スープに入れるだけで、濃いきのこ出汁になり、スープの旨味がアップします。
新玉ねぎはノンオイルで軽く炒めるだけで、フライドオニオンのような香ばしさを味わえますよ。
パプリカはカラカラになりやすく、このまま食べても甘いです。
保存性が高まり、スープに炒め物にととても使いやすくなります。
ズッキーニはドライにしても、比較的食感は柔らかいままです。
色は茶色っぽく変わりますが、スープや炒め物に使えますよ。
ブロッコリーは、干すことで歯ごたえと甘味が増し、炒め物に使うと崩れにくくなって良かったです。
マッシュルームも旨味成分が濃くなり、ビーフシチューなどに加えると生の状態より出汁が濃く出ます。
プチトマトはセミドライだと甘みが強まりますが、保存性は冷蔵庫で5日くらいと、常備菜にぴったり。
完全に乾燥させてドライにした場合は、瓶に入れて1カ月くらいもちます。
干し野菜たちを使う時は、スープなど汁気のある料理になら、キッチンばさみで適当な大きさに切りながら、鍋にぽいぽい放り込むだけでOKですよ。
オーブンで作る星野菜のできあがりは、こんな感じになります。
1時間とオーブンの余熱でここまでできるので、お昼ごはんに多めに切っておいた野菜を天板に並べて、夕食のために低温で乾燥させておいても良いでしょう。
じっくり派はスタンダードなベランダ干しを
オーブンで作る干し野菜は手っ取り早い方法です。
一方で一般的な「ベランダに天日干し」の方法はこんな感じですよ。
写真は1.5cmくらいの厚さに切った大根と、丸のままのパセリです。
2段目は、千切りにしたニンジンとごぼうを乗せます。
生姜は蒸してから干すと、より身体を冷やさない薬効成分が濃くなりますよ。
きのこの段には、しいたけ、えのき、しめじ、そしてマッシュルームを置きました。
まだ隙間に余裕があったので、セロリも乗せます。
外干し全体像、下2段はこんな感じです。
この野菜は様子を見ながらだいたい2日間、朝10時から15時くらいまで外に干し、夕方家に取り込むという方法で作ります。
干し野菜をする時は、我が家ではコールマンのアウトドア用の網を使っています。
これは、本来は洗った後のお皿を乾かしたりするネットのようですが、干し野菜を作るのにピッタリなのです。
出来上がった干し野菜でできるもの
こちらは、出来上がった野菜たちで作った切り干し大根煮です。
前回干した千切り大根、ニンジン、しめじとごぼう、そして油抜きをした油揚げを足して作りました。
干しごぼうは、そのまま干すと旨味が凝縮するのと同時に、アクも濃くなりますよ。
そのため、ごぼうの中のポリフェノールなどの成分が水分と反応し、水に戻すと真っ茶色になります。
もし気になる場合は、ごぼうや蓮根は酢水に少し浸けてから干すと、アクが抜けて変色を多少ですが防ぐことができますよ。
こちらは、干しえのきとトマトと海藻のスープです。
干しえのきとトマト、そして好みの海藻を火にかけて、塩胡椒とほんの少しの醤油のみですぐできます。
大根ステーキも、干し大根を使ってできます。
胡麻油を敷いたフライパンで、干し大根を焼き目がつくくらいまで焼いてください。
両面焼いたら、みりんと醤油で味をつけてできあがり。
カラカラに乾かし過ぎず、セミドライまでの大根にしておいた方が、「外はサクッと、中はジュワッと」な食感になり、旨味がちょうど良くて美味しいです。
我が家では大根だけを焼くのも寂しいので、一緒に長ネギを焼くことが多いですね。
買いすぎた野菜を干すことでフル活用&栄養価もUP!
このほかににも、干し野菜はいろいろな料理に使えます。
たとえば、千切りにしたニンジンやセロリなどは白和えにしたり、長芋や蓮根や大根はフライドポテト風にしたりと、その料理の幅は様々。
特に干し大根は煮込んでも煮崩れず、味がしっかり染み込むので、おすすめです。
このように、うっかり買い過ぎてしまった野菜をダメにしてしまう前に、干すことで違った美味しさが現れ、しかも消費期限を伸ばせます。
さいごに
オーブンで作ることができれば、車が行き交う都会に住む人も、花粉症やアレルギーがある人も安心です。
うっかり野菜を干しっぱなしにして取り込み忘れる心配をする必要もありませんし、風に飛ばされて台無しになることもありません。
普段食べている野菜を干すとどんな味になるか、試して家族で味見するのもなかなか楽しいですよ。
野菜ではなく、果物を干す場合のやり方は、以下のページが詳しいです。