白やクリーム色が基調の、レトロな花柄などが描かれた、鍋ややかんの多くはホーロー製のものです。
どこか実家や昔の家の台所にあるような、懐かしい質感やデザインが施されたホーロー容器は、見ているだけでもワクワクしてしまう調理器具の一つです。
今回はそんなホーロー容器の使い道の豊富さと、長く使うためのポイントをご紹介します。
「ホーロー」とは?
ホーローは、漢字で書くと「琺瑯」で、鉄やアルミの表面にガラスの釉薬(ゆうやく)を焼き付けたもの。
ホーロー容器の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- 汚れや臭いがつきにくい
- 塩などの酸に強い
- 化学物質が溶け出ることがない
- 食材や料理の味も質も変わりにくい
- 直火にかけられる
注意しなければならないのは、IHと電子レンジでは使えない点です。
ですが調理器具としては、冷蔵にも冷凍にも使え、煮る、茹でる、蒸す、温める、そしてオーブンにも使うことができる、スグレモノなのです。
ホーロー容器を買えるお店は?
ホーロー容器は、様々なタイプ・色柄を展開しています。
その中のいくつかをご紹介します。
1. 野田琺瑯
野田琺瑯は、栃木県にある老舗の琺瑯メーカーです。
鍋やフライパンをはじめ、調理器具や保存用品、ケトルやポット、雑貨など品物のラインナップが豊富です。
特に野田琺瑯の琺瑯保存容器「ホワイトシリーズ」は、調理器具にうるさい主婦たちの間でも有名で、備品も別売されているのが大きな特徴です。
そのため、フタだけゆがんでしまったり変色してしまったら、気軽に買い換えることができます。
2. 富士琺瑯工業
琺瑯家庭用品の専門メーカーが「富士琺瑯工業」です。
フライパンや鍋をはじめ、やかんや菓子型など、こちらも負けじと品数が豊富です。
備品のバラ売りは行っていないため、もしフタが溶けたり歪んでしまったりした場合は、本体ごと買いなおす必要があります。
3. 無印良品
ふだん料理をしない人にも、広く親しまれているであろう、無印良品からも琺瑯容器が販売されています。
フタにバルブ(弁)がついているため、密閉状態を保つことができ、匂いや液体の漏れを防いでくれますよ。
4. エジリー
愛知県瀬戸市の家庭用琺瑯メーカーの「エジリー」は、大ぶりな柄が施され、パッと台所周りが華やぐホーローがたくさん揃っています。
この他にも、最近では100均でもホーロー容器を見つけることができます。
用途に合ったちょうど良い大きさと形の物を、じっくり探すことができるのも、ホーロー容器を使う楽しみの一つです。
ホーロー容器はどんな風に使えるの?
見た目がレトロかわいいホーロー容器ですが、実生活で活用する際も、いろいろな使い道があります。
1. 常備菜入れとしてタッパー替わりに
鉄にガラス加工を施したホーロー容器だからこそ、下ごしらえした常備菜が速くよく冷えます。
速く冷えるということは、風味も落ちにくいということ。
タッパーとは一味違う保存能力の高さを発揮してくれます。
さらに、油を使った調理済みの常備菜は、プラスチックのタッパーに入れると洗う時に油が落ちづらく変色してしまうことがあります。
けれどホーロー容器なら、そうした汚れがこびりつくこともなく、しっかり洗えて衛生的です。
面の部分に油性ペンで「きんぴら」「ひじきの煮物」など常備している食材の中身を書いておいても、後々洗って消せるのも嬉しい点です。
2. 食器として日々の食卓に
ホーロー容器に少しだけ残った常備菜や、ヨーグルトなどにひと工夫するだけで、そのまま食卓に出せる一品料理になります。
プラスチックのタッパーだと、同じことをすると味気なくなってしまいますが、ホーロー容器なら食器として出すことができるのです。
こちらは、少ししか残っていなかったヨーグルトを小さなホーロー容器に移し替え、小さくカットしたリンゴやミカンなどを混ぜて玄米水飴をかけた、ちょっとした朝ごはんです。
3. お弁当箱として使う
ホーロー容器は、お弁当箱にも使えます。
こちらは、作った巻き寿司を適当に詰めておいたもの。
サンドイッチを詰めても、大きさがぴったりです。
もし隙間を見つけたら、トマトをカットして埋めましょう!
4. 直火にもかけられる!
ホーロー容器の真骨頂は、そのまま直火にかけられることです。
写真は、ホーローを直火にかけて作ったラザニアです。
こんなふうに残ったカレーやシチューをホーロー容器に入れると、鍋ごと冷蔵庫にしまっておくよりもスペースを取らず、収納するのにも便利です。
直火にかける場合は、コンロにしっかり乗るサイズのホーロー容器を選びましょう。
また、使う時は耐熱手袋や耐熱スプーンをきちんと用意し、火傷に気をつけて使ってくださいね。
5. パン型やお菓子の型として
熱に強いというホーローは、パンやマフィンなどのお菓子作りにも大活躍です。
ホーローの形や大きさによっては、大小さまざまなお菓子ができますので、お好みのサイズのホーロー容器を見つけるのがベストです。
6. バットとして使える
下ごしらえしたあとの野菜も、芯まで速く冷えるため、タッパーよりも美味しく保存できます。
写真は、クリームパンに入れる豆乳ベジカスタードの材料を、ホーロー容器の中で混ぜたものです。
これに火をかけて、表面にラップをぴったりくっつけ、水滴がつかないようにして冷ませば完成です。
同じように果汁ジュースと寒天や葛粉を入れ、直火にかけてそのまま冷やして作る、フルーツゼリーもすぐにできます。
7. 調理器具としてフル活用
ホーロー容器は、直火にかけられるため、様々な場面でも柔軟に活用できますよ。
- シューマイやプリンなどを蒸す
- 魚焼きグリルに入れて、こんがり色目がつく焼き上げる
- 油切り網を敷いて揚げ物の引き上げに
- 酸に強い性質を活かしてマリネや酢漬けの調理に使う
- 梅干や味噌、ぬか漬けの仕込みに
魚焼きグリルに入れて調理する場合は、野田琺瑯の「ホワイトシリーズのレクタングル浅型」が使いやすいです。
大きさもSとMとL、入れ子に収納できます。
ぬか漬けを作るなら、野田琺瑯の「ぬか漬け美人」がおすすめです。
ホーロー容器を使う上での注意点
ホーロー容器は、極端な温度変化があると傷みやすくなります。
冷凍状態から急に直火にかけたり、オーブンから出して氷水で冷やすなどの荒技はやめましょう。
直火にかけられるとはいえ、ガンガン強火にかけてしまうと途端に傷みます。
空焚きにも弱く、ガラス加工の内側がアルミのものは熱伝導の差を伝えすぎて焦げやすくなるため、鉄製のものを選ぶのがベターです。
電子レンジにかけるのも厳禁です。
お気に入りのホーロー容器が台所とお財布を救う
いろいろな使い道があり、キッチン周りのいろいろな場面で助けてくれるホーロー容器。
見た目もかわいらしい上に、食材にやさしく機能的で、ホーロー容器さえあれば事足りる場面も多々あります。
お気に入りのホーロー容器を長く使えば、変形したり汚れが残ったままだったりという安い調理器具をたくさん集めて使うより、エコな上に節約にもつながりますよ。