「価格変動リスクなしで株主優待を取得できたらいいのに…。」と思ったことはないでしょうか。
株主優待を取得できても、株価が下落して大きな損失が発生したら、投資する意味がないですよね。
空売り(信用売り)を活用すれば、証券会社に支払う手数料だけで株主優待を取得できますよ。
どうすれば、価格変動リスクなしで株主優待を取得できるか気になると思います。
そこでこのページでは、空売りで株主優待をほぼノーリスクで取得する方法と注意点について説明していきますね。
空売りで株主優待をほぼノーリスクで取得する方法
株主優待を取得するには、権利付き最終日までに株を買って、株主の権利を取得する必要があります。
「権利付き最終日の直前に株を買って、翌日(権利落ち日)に売ればいい」と思うかもしれませんが、損をする可能性が高いのでおすすめしません。
人気の高い株主優待銘柄は、権利付き最終日にかけて株価が上昇し、権利落ち日以降は株価が下落する傾向にあるからです。
しかし、空売りと現物買いを組み合わせるクロス取引(つなぎ売り)をすれば、価格変動リスクが相殺され、証券会社に支払う手数料だけで株主優待を取得できますよ。
手数料はかかりますが、価格変動リスクはなくなるので「ほぼノーリスク」と言えますね。
▼クロス取引の具体的なやり方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
株主優待狙いの空売りでかかる費用
株主優待狙いで空売りをする場合、どんな費用がかかるのかをまとめました。
- 現物取引手数料(現物買い)
- 信用取引手数料(空売り)
- 貸株料
- 逆日歩(制度信用取引の場合のみ)
- 現渡し
クロス取引でかかる手数料は、基本的には取引手数料(現物買い・空売り)と貸株料の2つです。
現渡しは信用取引の決済方法のひとつで、多くの証券会社では、現渡しの手数料は無料になっています。
ただし、手数料がかかる証券会社もあるので、取引する前に現渡しで手数料がかかるかを確認しておきましょう。
クロス取引では「優待価値>取引手数料+貸株料(+現渡しの手数料)」となるように取引すれば、手数料を考慮しても利益が出ますよ。
クロス取引のコスト計算の具体例
クロス取引でかかる費用をイメージしやすいように、具体例を1つ紹介しますね。
SBI証券で100万円分のクロス取引を行った場合のコストをまとめました。
- 現物買い:535円(税込)
- 空売り:385円(税込)
- 貸株料:213円(30万円×3.9%×2日/365日)※最低2日分
- 現渡し:0円
- 合計:1,133円(1+2+3+4)
手数料プランはスタンダードプラン、貸株料は一般信用売り(短期)で計算しています。
この具体例の場合、取得する株主優待の価値が1,133円超であれば利益が出ますよ。
貸株料は2日分で計算していますが、実際は空売りしている日数が増えるほど貸株料は増えるので注意してくださいね。
複数の株主優待を取得するにはまとまった資金が必要
クロス取引をすれば価格変動リスクがなくなるので、株主優待をたくさん取得したいと思うかもしれませんね。
しかし、複数の株主優待を取得するにはまとまった資金が必要になります。
信用取引を始めるには、委託保証金として最低30万円用意しなくてはなりません。
また、クロス取引では空売りと現物買いを同時に行うので、現物買いだけで株主優待を取得するより多くの資金が必要になります。
クロス取引をするときは、最低投資額の2倍くらいの資金を用意しておくと安心ですよ。
取得したい株主優待が複数ある場合は優先順位をつけ、優先度の高い銘柄からクロス取引するのがおすすめです。
制度信用で空売りすると逆日歩が発生する
信用取引は、「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があります。
制度信用と一般信用のどちらを利用しても、クロス取引は可能です。
ただし、制度信用で空売りすると、逆日歩(ぎゃくひぶ)と呼ばれるコストが発生することがありますよ。
逆日歩は、取引が終わるまで発生するかわかりません。
また、株を借りた日数分だけコストが増えるので注意が必要です。
空売りで株主優待を取得するなら一般信用がおすすめ
空売りで株主優待を取得するなら、一般信用を利用するのがおすすめです。
先ほど説明した通り、制度信用は逆日歩が発生するリスクがありますが、一般信用は逆日歩がかかりません。
一般信用を利用すれば、逆日歩を気にすることなく、ほぼノーリスクで株主優待を取得できますよ。
ただし、一般信用は株の在庫数が限られるため、人気の株主優待銘柄は利用者同士で争奪戦になります。
一般信用でクロス取引をするなら、手数料が安く、一般信用で空売りできる株の在庫数が多い証券会社を利用しましょう。
証券会社によって取扱銘柄数は異なるので、なるべく多くの証券会社で口座開設しておくといいですよ。
権利付き最終日の直前に空売りだけすれば儲かる?
ここまで、空売りで株主優待をほぼノーリスクで取得する方法について説明してきました。
権利付き最終日以降は株価が下がることが多いので、「クロス取引をしなくても、権利付き最終日直前に空売りだけすれば儲かるのでは?」と思ったかもしれませんね。
残念ながら、以下のようなリスクがあるため、権利付き最終日の直前に空売りだけしても簡単には儲かりませんよ。
- 在庫切れリスク(一般信用売り)
- 逆日歩発生リスク(制度信用売り)
- 貸株料・配当落調整金を払わなくてはならない
- 株価が下がる保証はない
一般信用売りは在庫数が限られますし、制度信用売りは逆日歩が発生して、売却益を上回るコストがかかるリスクがあります。
また、空売りは株を借りた日数に応じて貸株料がかかり、配当落調整金を支払う必要もありますね。
そもそも権利付き最終日の後に株価が下がる保証はなく、中には上昇する銘柄もあります。
このように、空売りだけで利益を得るのは難しいので、空売りで利益を得たいなら、ほぼノーリスクで株主優待を取得できるクロス取引がおすすめですよ。
さいごに
このページで紹介したように、空売りを活用すれば、ほぼノーリスクで株主優待を取得できます。
制度信用は逆日歩が発生するリスクがあるので、一般信用を利用するのがおすすめです。
ただし、一般信用で空売りできる株は証券会社によって異なるので、なるべく多くの証券会社で口座開設しておきましょう。
個人的には、手数料が安くて株の在庫数が多いSBI証券、楽天証券、auカブコム証券、SMBC日興証券の4社がおすすめですよ。