関西圏を中心に全国を移動しながら仕事をしている山﨑謙です。
日々列車で移動をしているのですが、定期以外の区間を使うことが多く、意外と交通費がかかってしまうんですよね…。
そんな時に役立つのが、JRの乗車券を分割で買うことです。
区間によっては、乗車券を分けて買うほうが運賃が安くなりますよ。
このページでは、JRの分割乗車券の買い方について詳しく解説していきます。

分割乗車券を使うことで安くなる事例
分割乗車券の買い方を説明する前に、安くなる事例をいくつか紹介しますね。
1.三ノ宮ー京都
三ノ宮ー京都は通常1,110円ですが、2枚に分けると1,000円となり、110円安くなります。
分け方は以下のとおりです。
- 三ノ宮ー大阪:420円
- 大阪ー京都:580円
2.大垣ー名古屋
大垣ー名古屋は通常770円ですが、2枚に分けると710円、ここでは60円安くなります。
この場合の分け方は以下のとおり。
- 大垣ー岐阜:240円
- 岐阜ー名古屋:470円
3.八王子ー東京
八王子ー東京は通常830円ですが、2枚に分けると710円、こちらは120円安くなります。
この場合はこのように分割。
- 八王子ー新宿:500円
- 新宿ー東京:210円
なおIC運賃だと824円が700円(八王子ー新宿492円+新宿ー東京208円)となりますが、新宿駅で一旦改札を出ない限り適用されません。
そのため、ICカード利用ではなく、あらかじめきっぷを買っておくといいでしょう。
新幹線でも分割乗車券が使える
この方法は東海道新幹線などの新幹線でも使えます。
1.新神戸ー京都
新神戸―京都は通常1,110円ですが、ひと工夫して2枚に分けると1040円となり、70円安くなります。
「ひと工夫」とは神戸駅からの乗車券を買うこと。
実は新神戸駅は神戸駅と同一扱いなので、神戸駅からの乗車券でも乗ることができるんです。
よって、分け方は以下のとおりとなります。
- 神戸ー大阪:460円
- 大阪ー京都:580円
これを運営者の松本に教えたところ、しっかり使っていました。
自動改札機も通れますよ。
2.大阪(新大阪)・京都ー名古屋
大阪(新大阪)ー名古屋は通常3,410円です。
これを3枚に分けると3,030円、なんと380円も安くなります。
この分け方は以下のとおりです。
- 大阪ー京都:580円
- 京都ー岐阜:1,980円
- 岐阜ー名古屋:470円
分け方を見て気づくと思うんですが、これ京都ー名古屋でも応用できるんですよね。
そう、京都ー岐阜、岐阜ー名古屋の2枚に分ければいいんです。
京都ー名古屋は通常2,640円ですが、2枚に分ければ190円安い2,450円となります。
新神戸駅の例と同じように岐阜羽島駅は岐阜駅と同一扱い。
なので、この買い方で新幹線にも乗車できます。
JRの分割乗車券(分割切符)の買い方
ではこのようなJRの分割乗車券(分割切符)はどう買えばいいのか?
まずはどこで分割すれば安くなるのかを調べる必要があります。
駅の窓口で「分割乗車券ください」と伝えても「普通に降りる駅までのきっぷを買ってください」と言われてしまうからです。
どこで分割すればいいのかを見るには、以下の2つのサイトが有名です。
ここであらかじめ検索しておいて、メモをしてから買いに行きましょう。
それでは、ここから具体的な分割乗車券の買い方を紹介します。
1.きっぷうりば(みどりの窓口)![みどりの窓口(きっぷうりば)]()

駅のきっぷうりばで窓口の方に伝えれば購入ができます。
あらかじめ調べてメモしておいて、窓口の方に渡すのが一番速いです。
ところが、JRグループの駅では原則、実際に乗る駅からの乗車券じゃないと買えません。
原則としてお申込みの駅からお乗りになる乗車券を発売しますが、指定券と同時にお求めの場合は、どの駅からの乗車券でも発売します。
(出典:JRおでかけネット「きっぷのルール」より)
なので分割前提で乗車券を買おうとすると売ってくれない場合があります。
とくにJR西日本のエリアは厳しいです。
私も実際に他の駅発の乗車券のみを買おうとしたのですが、その駅までの乗車券を提示することでようやく買うことができました。
なので、JR西日本エリアでこの方法はあまりオススメしません。
2.旅行会社の窓口![ジェイアール東海ツアーズ]()

同じように人が売ってくれて、そこまで厳しくないのが旅行会社の窓口です。
こちらは駅のきっぷうりばとは違い、どの駅からの乗車券でも販売してくれます。
販売会社一覧
- IRいしかわ鉄道
- 羽後交通観光
- エムオーツーリスト
- 共立観光
- サンデン旅行
- JFEライフ
- 静鉄観光サービス
- タビックスジャパン
- 東芝ツーリスト
- 土佐くろしお鉄道
- 南海国際旅行
- 西日本ジェイアールバス
- 日本旅行
- 日本旅行北海道
- のと鉄道
- PTS(本社営業所のみ)
- びゅうトラベルサービス
- フジトラベルサービス
- 宮交観光サービス
- 山新観光
- あいの風とやま鉄道
- えちごトキめき鉄道
- 遠鉄トラベル
- KNT-CTホールディングス
- ジェイアール東海ツアーズ
- JTB
- 西武トラベル
- 中国ジェイアールバス
- 東日観光
- トラベル日本
- 新潟日報サービスネット
- 日旅サービス
- 日本旅行オーエムシートラベル
- ニューワールドツーリスト中国観光
- 羽田旅客サービス
- 日立トラベルビューロー
- ひろでん中国新聞旅行
- 防長トラベル
- 名鉄観光サービス
- ヤマハトラベルサービス
- 朝日旅行
- NECマネジメントパートナー
- 小田急トラベル
- 京王観光
- ジェイアールバス東北
- JTBビジネストラベルソリューションズ
- 大学生協事業センター
- 中部キャラバン
- 東武トップツアーズ
- 奈良交通
- 西鉄旅行
- 日通旅行
- 日本旅行東北
- 農協観光
- 阪急交通社
- ビッグホリデー
- 富士通トラベランス
- 毎日企画サービス
- 山交観光
- 読売旅行
旅行会社は駅構内にもJR系列のお店(びゅう・JR東海ツアーズ・日本旅行など)があります。
私も名古屋から大阪までの乗車券を、名古屋駅構内にある旅行会社の窓口で分割にしてもらって購入しました。
駅での購入と同様、自動改札機を通せるきっぷなので、使い方は通常と変わりません。

3.指定席券売機![指定席券売機(みどりの券売機)]()

駅にある自動券売機のうち、指定席券売機を使えば設置している駅以外からの乗車券を購入できます。
私はこの方法をよく使っていますよ。
違う駅からの乗車券を指定席券売機で買う方法(JR西日本「みどりの券売機」の場合)
大阪ー京都の乗車券を、新神戸駅にある「みどりの券売機」で購入してみます。
1.「乗車券のみ」をタッチ

2.「在来線特急・新幹線等を利用」をタッチ

3.購入する日付を選択

4.人数を選択

5.出発駅を選択(ここでは大阪を選択)

ここで「その他の駅」をタッチすると表示された駅以外を選べます。
その他の駅を選んだ場合は出発駅名を入力し、出てきた駅名を選択します。

6.最初に特急・新幹線に乗車する駅を入力し、出てきた駅名を選択(ここでは大阪を選んでいます)

7.乗車する列車を選択(ここでは特急サンダーバード・能登かがり火を選んでいます)

乗車する列車を選ぶ画面ですが、購入するのは乗車券だけなので、選んだ列車に乗る必要はありません。
8.特急・新幹線を降車する駅を選択(ここでは京都を選択)

9.特急・新幹線を降車する駅からどうするかを選択

別の特急列車に乗り換える場合は7からの繰り返し、普通列車に乗り換える場合は降車する駅を選択します。
10.経路を選択

(※表示は運賃改定前の金額です)
11.片道乗車券か往復乗車券かを選ぶ

12.最終確認でOKなら「確認」をタッチ

13.現金かカードを入れる(カードの場合は挿入後暗証番号を入力)

(※表示は運賃改定前の金額です)
14.発券待ちの間に領収書が必要な場合は「領収書」をタッチ
15.発券される
あとは同じ方法で神戸ー大阪の乗車券を買えば、大阪で分割された神戸ー京都の乗車券の購入が完了です。

ただし、特急が走っていない区間や、買おうとする乗車券の区間内に特急の停車駅が2駅以上ない。
その場合は分割乗車券が買えないので注意しましょう。
この発券方法のデメリットは入力項目が多く操作が煩雑で、慣れないと発券までに時間がかかってしまうことです。
4.「えきねっと」などのネット予約サイト
駅や旅行会社の窓口に行く時間がない場合は、ネット予約サイトでも分割乗車券を購入できます。
乗車券のみを買えるサイトには、以下の2つがありますよ。
各サイトで購入手続きをしたあとは、駅にある券売機などで乗車券を発券してから列車に乗る必要があります。
サイトごとに乗車券を受け取れるエリアが異なるため、近くの駅で発券できるのかを確認してから購入しましょう。
番外:金券ショップ・格安きっぷ自販機![チケットショップ]()

区間によっては金券ショップ・格安きっぷ自販機でも、最安にするために2枚の乗車券で販売することがあります。
現金払いのみになりますが、自動的に最安の組み合わせで出してくれますので、事前の下調べは必要ありません。
また普通の乗車券ではなく回数券のバラ売りになります。
通常の乗車券を分割して買うよりも安くなることが多いのがメリットです。
ただし、ある程度需要がある区間でないと販売されていないのがデメリットですね。
分割乗車券の使い方の注意点
運賃が安くなるのが魅力の分割乗車券ですが、注意点もあわせてチェックしておきましょう。
1.分割すると長距離の乗車券でできる途中下車ができず、有効期間も短くなる
近距離の利用前提なら問題ないのですが、長距離になると区間が細切れになります。
通常100kmを超える乗車券でできる途中下車ができない。
また200kmごとに1日付与される有効期間が当日限りになってしまったりします。
100km、200kmを超える乗車券を分割で買おうとする場合、まず途中下車をしたいか、複数日にかけて移動をするのかを考えてから購入しましょう。
なお、東京・大阪・福岡・新潟・仙台周辺の大都市近郊区間と呼ばれる区間内で完結する乗車券の場合は、この項目は当てはまりません。
2.自動改札機を通せる枚数に制限がある![自動改札機は3枚まで案内]()

私がよく使うJR西日本在来線エリアの自動改札機は3枚までの乗車券や特急券を通せるようになっています。
しかし実際に乗車券を3枚通してみたところひっかかってしまうことが多い…。
なので私は「乗車券は2枚まで」と認識しています。
改札に引っかかってしまうと、ちょっと恥ずかしいですよね…。
また新幹線の自動改札機は乗車券と特急券の組み合わせで4枚まで通せますが、特急券が必須なので乗車券は3枚まで。
組み合わせによっては3枚でも通らない場合もあり、先述した大阪ー京都・京都ー岐阜・岐阜ー名古屋の3枚分割の乗車券は改札機に通せませんでした。
このことから私は乗車券2枚までなら自動改札へ、3枚以上なら有人改札へ行くようにしています。
3.ごくたまに有人改札で呼び止められる![自動改札と有人改札]()

自動改札機が通れない場合は有人改札を利用することになります。
ところが有人改札を利用する際、ごくたまに「次からやめてね」「本当はダメ」などと言われることがあり、私も経験しました。
私が住んでいるJR西日本のエリアでは、2018年まで京阪神間を中心に「昼間特割きっぷ」という割引きっぷがあり、発売区間外でも他の乗車券と組み合わせることで、お得に乗れるようになっていました。
(※昼間特割きっぷは2018年9月に販売終了)
また、この項目の2でもお伝えしているとおり、自動改札機に複数枚の乗車券を通すことが可能です。
降車駅までの乗車券を1枚で買うことは、あくまで「原則」として求められているだけで、区間が連続する限りは複数枚の乗車券を組み合わせても違法ではありません。
私鉄や地下鉄でも分割乗車券は使えるの?
JRでできるなら私鉄や地下鉄でもできないかと考えますが、あまり例は多くありません。
私鉄や地下鉄の場合は「●●→160円区間」と書かれた乗車券がほとんどで、金額式と呼ばれます。

(※写真のきっぷは運賃改定前の金額です)
JRでも100kmまでで指定席券売機以外の自動券売機で購入した乗車券はこのタイプとなります。
この場合は仮に220円区間まで乗車した場合、160円との差額の60円だけ払えばOKです。
この方法では分割して乗車券を購入するより、乗り越した駅で精算してしまったほうが安くなるケースが多いこと。
また私鉄や地下鉄では有料特急を走らせている鉄道会社以外他の駅からの乗車券が購入できないこともあり、分割乗車券が浸透していません。
一方で金額式と対になるのが、一般式の乗車券です。金額も書かれていますが、乗降する双方の駅の記載があるのが特徴です。

一般式の場合の乗り越しは金額の差額ではなく、一旦降りてあらためて乗ったのと同じ金額になります。
下の写真は乗り越しの際の精算方法を記載した案内板です。
金額式が左側、一般式が右側になります。

なぜJRで乗車券を分割すると安くなるの?
JRの乗車券が分割して安くなる理由は、2つあります。
1.距離による運賃設定が違う
たとえば30kmの距離があるA駅とC駅の間、ちょうど真ん中15kmのところにB駅があるとします。
A駅←15km→B駅←15km→C駅
←←←←←←30km→→→→→→
A駅からC駅までの乗車券を普通に買うと30kmの距離で510円。
ところがA駅とB駅、B駅とC駅の間の15kmだと240円。
だったらA駅からB駅までの乗車券とB駅からC駅までの乗車券を分けて買ったほうが480円となり、30円安くなります。
このように単純に半分のkm数でも割高な運賃設定になる場合があり、分割して買ったほうが安くなるのです。
2.私鉄との競合区間に特定運賃を設定している
もう1つはもともと運賃の安い私鉄に合わせるために特定運賃を設定しているためです。
地域ごとに例をあげて紹介します。
近畿圏の例
- 大阪ー京都 580円
※本来の距離計算では42.8kmで770円 - 競合他社:阪急:梅田ー河原町 410円、京阪:淀屋橋ー三条 430円
中京圏の例
- 名古屋ー岐阜 470円
※本来の距離計算では30.3kmで590円 - 競合他社:名鉄:名古屋ー岐阜 570円
首都圏の例
- 品川ー横浜 310円・IC運賃303円
※本来の距離計算では22.0kmで420円・IC運賃418円 - 競合他社:京急:品川ー横浜 320円・IC運賃313円
見てのとおり、本来の距離計算での運賃に比べて圧倒的に安い運賃設定です。
この特定運賃はその区間のみで設定されており、その区間を超えると距離計算の運賃となります。
大阪ー名古屋の分割乗車券は大阪ー京都・岐阜ー名古屋の特定運賃があるので、大幅に安くなるんですね。
さいごに
このように、分割した乗車券を買うことで、通常の距離計算である1枚の乗車券よりも安く購入することができます。
購入する際、計算が難しければ、金券ショップや格安きっぷの自販機へ。
金券ショップでの取扱がない、またはクレジットカードで購入したい場合は旅行会社の窓口やネット予約サイトで。
日頃から乗車券や特急券を指定席券売機で購入しているなら、指定席券売機での購入がオススメですよ。
うまく活用するとかなりの節約となります。
注意点に気をつけて上手に使ってみてくださいね。