火災保険とは何?知っておきたい火災保険のメリットとデメリット

こんにちは!
ライターをする前は、損害保険会社に8年勤務していました、朝子です。

突然ですが、火災保険ってどんな保険か知っていますか?

ざっくりと、火災で家が燃えたときに補償してくれる保険、というのはイメージできるかと思います。

でも、火災保険は風災・雪災などの自然災害のほか、盗難が原因で破損した場合や、他人の車が衝突してきたときの損害もカバーしてくれるなど、その補償範囲はとても広いんです。

今回は、火災保険とはどんな保険かということを、火災保険のメリットとデメリットをまじえながらご説明していきます!

火災保険のパンフレットと証券裏面

火災保険ってどんな保険?

火災や災害から家と○○を守る保険

火災保険は、家(建物)家財が火災や災害で損害を受けたときに、その費用を補償する保険です。

家(建物)や家財など、火災保険で補償する対象のことを保険の対象と呼びます。

どうして火災保険が必要なのか

「災害はあるかどうかわからないし、うちは火事を起こさないから大丈夫」という声を聞くことがあります。

でも、隣家との距離がよっぽど離れていない限り、隣家から出火した火が自分の家に燃え移ることもあり得ますよね。

そのとき、隣家から燃え移った火で自宅が損害を受けた場合でも、その費用は隣家に請求できません

それは、失火責任法という明治時代に決められた古い法律があるためです。

当時は家と家とがとても近く、木造住宅がほとんどだったので、火災を起こしたときに延焼しやすく、個人では賠償できないだろうと考えられていました。

その法律が現在も続いているため、よほどの落ち度がない限り、火災を発生させて周囲に損害を与えたとしても、火元の人に賠償の義務はないと定められているんです。

失火見舞責任法を説明する図

火災保険を契約する人

誰が火災保険の契約者になるかは、持ち家か賃貸かによって異なります。

家(建物)家財
持ち家の場合自分自分
賃貸の場合大家さん自分

この表のとおり、建物でも家財でも、所有者が火災保険を契約することが一般的です。

賃貸物件なら、建物の所有者である大家さんが建物の火災保険を契約し、入居者は自身の所有物である家財の火災保険を契約します。

持ち家の場合は、自分で家(建物)と家財の両方の火災保険を契約します。
このとき、家財の保険は必要ないという方は、家財の火災保険は契約しなくても構いません。

ですが、実際に火災や災害が起きたとき、家具や家電をいちから揃えるのは意外とお金がかかりますので、家財の保険は付けておいたほうが安心でしょう。

火災保険料の決まり方

火災保険料の決め方は物件所在地と建物の構造であるイメージ図

火災保険の保険料は、おもにその建物や家財の所在地と、建物の構造・広さなどによって決まります。

所在地によって保険料が違うのは、火災や災害の発生率や、損害にかかる費用などが都道府県別に違うからです。

保険会社は、都道府県ごとの過去の損害率を参考に、保険料を決めています。

さらに、建物の構造も保険料に大きな影響をあたえます。

木造よりも鉄筋造など、火災・災害に強い造りの建物のほうが損害を受けるリスクが減るため、保険料は安くなることがほとんどです。

火災保険で補償されるリスク

火災保険は火災だけじゃない

火災保険の補償は、火災が原因による損害だけではありません。
自然災害や盗難による損害も補償の対象となります。

火災保険のHPにある補償内容部分を切り取った画像

こちらに、火災保険のおもな補償内容をまとめました。

  • 火災
  • 落雷
  • 破裂・爆発
  • 風災・ひょう災・雪災
  • 水災
  • 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突
  • 漏(ろう)水などによる水濡れ
  • 騒じょう・集団行動にともなう暴力行為
  • 盗難による盗取・損傷・汚損

意外と幅広いですよね。

これらの補償は、すべて付いている契約もあれば、火災・落雷・破裂/爆発の3点のみの補償となっているものもあります。

補償の範囲は、保険会社ごとの商品内容や個々の契約条件によって変わりますよ。

現在の補償内容で過不足がないか心配なときは、代理店や保険会社のコールセンターへ相談してみるといいでしょう。

また、火災保険以外にも、近年増加している自然災害への備えとして、こんな記事も参考にしてみてください。

特約はオプションで付けられる補償

火災保険は火災や落雷、盗難などの基本補償に、オプションとして特約をプラスできます。

特約にはたくさんの種類がありますので、ここでは火災保険特有の特約について解説していきますね。

事故時諸費用特約

保険金の支払い対象となる事故で、家(建物)や家財が損害を受けたとき、その損害保険金の○%が支払われるという特約です。

この保険金の使用用途は、特に指定されていません。

自宅を修理する間にかかる、アパートやホテル代などの仮住まい費用に使う方が多いです。

類焼損害特約

先ほど登場した失火責任法ですが、いくら法律で賠償の義務がないといっても、自分が起こした火災で隣家に損害を与えてしまったら、心情的に知らないふりはできませんよね。

類焼損害特約は、自宅で起こした火災が隣家に延焼して損害を与えてしまったとき、隣家が付けている火災保険で足りない分の損害保険金を支払う特約です。

隣家は隣家の火災保険で対応するという基本は変わりませんが、もし隣家の火災保険の補償が修理費に満たない場合など、隣家の火災保険の不足分をこの特約でカバーできます。

地震火災特約

火災保険では地震が原因の損害は補償の対象外です。
ですが、この特約を付けていれば、地震による火災で損害を受けたときに保険金が支払われますよ。

ただし、建物なら半焼以上、家財なら全焼など、保険金が支払われるためには損害の程度に条件があります。

家賃収入特約

賃貸物件の建物に火災保険を付けている場合、火災などで損害を受けると家賃収入が得られなくなってしまいますよね。

この特約を付けていれば、本来得られたはずの家賃損失分が補償されます。

火災保険のメリットとデメリット

住まいに関わるリスクに幅広く対応してくれる火災保険ですが、良い点もあれば、注意したい点もあります。

ここからは、火災保険のメリットとデメリットについて説明していきますね!

火災保険のメリット

  • 補償や特約など、自分に必要な補償を選べる
  • 自動車保険と違って等級がないので、保険を使っても保険料が上がらない
  • 建物・家財のほか、門や塀、車庫なども保険の対象に入れることができる
  • 契約時に明記物件として保険証券に明記すれば、宝石や貴金属など、1つの価額が30万を超える高額なものであっても補償される(家財を保険の対象として契約する場合に限る)

門や塀、車庫などが保険の対象に入っているかどうかは、証券やウェブ上の契約内容画面で確認できます。

▼この画像の赤線の部分です。
補償の対象でないときは「含みません」と記載があります。

火災保険の契約内容画面に門や塀が含まれているかどうか確認する

また、宝石や貴金属などの高価なものは明記物件として、契約時にその補償を希望する旨の申告が必要となります。

宝石や貴金属以外に、設計書や図案なども一つひとつ申告することで明記物件として補償の対象に入れることができますよ。

火災保険のデメリット

  • 地震・噴火は対象外
  • 特約など保険の内容がわかりにくい
  • 時価基準で契約にすると、保険金だけでは再建・再購入できない場合がある

このなかで、とくに注意したいのが「時価基準と新価(再調達価額)基準」です。

時価基準について

時価とは、その時点での価値のことです。

建物も家財も、新品のときの価値が一番高く、年数が経ち、消耗していくと、その価値はどんどん下がります。

時価基準で火災保険を契約すると、損害発生時の価値で保険金が支払われるため、保険金を受け取っても建物を再建したり家財を再購入したりする費用に満たないことが多いのです。

例)新築時に3,000万の価値があった家が、10年後の価値は2,000万になっていた。

新築から10年後に火災で家は全焼したが、保険金は10年後の時価額である2,000万までしか出ず、同等の家を再建したくても保険金だけでは費用が足りない。

新価(再調達価額)基準について

新価(再調達価額)基準で火災保険を契約した場合、建物を再建・家財を再購入するために必要な額が補償されます。

たとえ、10年、20年経った家でも、物価の影響を考慮して保険金が支払われるため、安心です。

例)10年前に3,000万で建てられた家が、火災で全焼した。

現在、同じ家を建てるには物価の上昇により、3,500万が必要。
新価(再調達価額)基準で火災保険を契約していたので、保険金は3,500万支払われ、保険金で同等の家を再建できた。

最近の火災保険は、ほぼ新価基準の契約になっていますが、10年前までは時価基準で契約された火災保険も多いです。

どちらの基準で契約しているかどうか確認したいときは、代理店もしくは保険会社のコールセンターへ問い合わせるのが確実ですよ。

というのも、最近の火災保険は新価(再調達価額)基準が前提となっているため、証券やウェブ上の契約内容画面に「時価」「新価(再調達価額)」基準と明記されていることが少ないため。

保険契約時に渡される約款には記載がありますが、細かい文字でどこに書いているか大変わかりにくく、探すのは難しいかもしれません。

さいごに

火災や災害で住む場所が無くなったり、電化製品や家具が全て壊れたり…あまり実感はないかもしれませんが、いざ想像してみると、とても怖いことですよね。

でも、火災保険があれば、それらの不安は解消されます。

元通りとまではいかなくても、ある程度の金銭的な心配事がなくなるだけで、その後の生活の再建がしやすくなるのは間違いありません。

また、ローンで家を購入した場合、ローンを払い終える前に家がなくなってしまったら大変です。

そんなときも、火災保険で十分な補償を付けていれば保険金でローンを支払えるので安心できますね。

ちょっと難しい部分もありますが、いざというときに必要な補償を受けるためにも、これから加入する・すでに加入している火災保険について一度チェックしてみてくださいね。

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この記事を書いた人

北海道に住む、Webライターで2児の母。ライターを始める前は損害保険会社に約8年勤務しており、損保関連の記事執筆を中心に活動しています。