「チェコ好きの日記」というブログを執筆している、チェコ好きさんにお話をうかがいました。
ブログでは映画や本、さらにいろいろな国へ旅行に行かれているチェコ好きさんですが、どんなものにこだわり、お金をかけているのでしょうか。
「物欲が止まらなくて散財してしまう」「好きなことを仕事にしたい」という方にとっては、解決のヒントがいっぱい詰まっているかもしれません。
チェコ好きさんインタビュー
インタビュー日:2016/5/24
インタビューの流れは以下のようになっています。
- 読書と旅行が好きなのはなぜ?
- 洋服にお金をかけていた学生時代
- 物欲がフェードアウトしていった理由
- 周りの目を気にせず、好きなことをするためには?
新しい知識を得ると世界が変わる
── まずは自己紹介をお願いいたします。
チェコ好き:
1987年生まれで、都内で仕事をしています。
ニュースアプリの会社で働きつつ、個人でライティングもしています。
── ブログはいつから始められたのですか?
チェコ好き:
2012年ですね。
── 始めたきっかけというのは何だったのでしょうか。
チェコ好き:
もともと映画や芸術が好きだったので、大学院に進学してチェコ映画の研究を行っていました。
でも、その世界で食べていくには難しそうだなあと思い、新卒では一般事務の仕事を始めたんです。
── そうなんですね。
チェコ好き:
仕事にはしなくても、映画は昔から変わらず好きだったので、自分の好きなことを書く場所を作ろうと思って、ブログは気軽な気持ちで開設したんです。
そしたら、書き始めると思いのほか楽しくて。
地道に続けていたら、連載や書籍執筆のお仕事をいただけるようになりました。
── ブログを拝見していると、映画の話以外にも、いろいろな国の旅行記もありますよね。
チェコ好き:
はい。知らない世界を見るのが好きなんです。
── どれくらいの頻度で行くんですか?
チェコ好き:
不定期ですが、なるべくたくさん行きたいとは思っています。
時間とお金は、ほとんど旅行か本に使っていると言ってもいいくらい。
── 著書の『旅と日常へつなげる ~インターネットで、もう疲れない。~』も旅に関する本ですよね。そこまで旅行が好きなのには、どういう理由があるんですか?
チェコ好き:
新しいことを見たり聞いたり、体験したりすることで知識を得ると、世界の見え方ってガラッと変わると思うんです。
私は、新しい知識を学んで取り入れることがすごく好きで、楽しいんです。
好奇心や知識欲がとても高いのだと思います。
逆に、物欲はそんなにありません。
── なるほど・・・。ということは、あんまり「コレが欲しい!」と思うことや、散財することもない?
チェコ好き:
そうですね。
「高い服=いい服」じゃない!
── 学生時代から社会人になり、今に至るまでにお金の価値観は変わりましたか?
チェコ好き:
学生時代は、服が好きでよく買っていました。
── 映画や芸術を勉強していると、書籍代や映画を観るお金がかかりそうですが。
チェコ好き:
はい、映画学科だったので、映画をたくさん観なくちゃいけなくて。
でも、大学の図書館やDVDライブラリーにたくさんあるので、無料で観られます。
しかもバリエーションや本数もたくさんあったので、そこではお金はかかりませんでしたね。
── バイトはしていたんですか?
チェコ好き:
小田原の実家から通っていたので、遅くまで都内でバイトができなくて。
藤沢で塾講師をしていました。
── 洋服にお金をかけていたのは、どうしてですか?
チェコ好き:
芸術を勉強していると、服もそれなりに洗練されていないと説得力がないと思っていたんですよ。
だから「オシャレにしておかなくちゃ!」と思っていました(笑)
でも今は、昔ほど服にお金をかける気がなくなって、買う機会も減りましたね。
── どういう心境の変化があったのでしょうか。
チェコ好き:
学生の頃は、高い服が良い服だと思っていたんです。
でも社会人になってから、高い服はぜんぶ良いってわけじゃないんだと気づきました。
── どうして気づいたんですか?
チェコ好き:
お付き合いしている人がいるのですが、彼に似合う似合わないと言われて気づきました。
思い切って奮発して買った服なのに、彼は似合わないと言う。
そうかと思えば、特に気にせず買った安い服の方が、似合うと言ってくれることもありました。
値段と自分に似合うかどうかは、あんまり関係ないんだって気づいたんです。
── そうだったんですね。似合わない、と言われると怒る女性もいそうですが・・・。
チェコ好き:
私は基本的に、ファッションにはあんまりこだわりがないので、似合う似合わないって判断してもらうと、あっさり変えられますね。
「あ、似合ってないんだ、じゃあいいや」って。
── 洋服への出費が減り、それ以外に何か変化はありましたか?
チェコ好き:
大学生の頃は物欲があったんですが、今はそれがフェードアウトしていった感じです。
── じゃあ、あんまり買い物もしないんですか?
チェコ好き:
そうですね。
出費に関しては、光熱費とか食費とか生活に必要最低限なもの以外だと、本を買うくらいですね。
あとは旅行資金にするために貯金しています。
自問自答を続けると本当に欲しいモノが見えてくる
── 人生で一番高い買い物ってなんですか?
チェコ好き:
うーん・・・飛行機代?(笑)
── (笑)
チェコ好き:
あ、新卒のボーナスでかったネックレスは、5万円でした。
それはずっと欲しくて、買ったものですね。
── おお!そのネックレスを買うというのは、目標にしていたのですか?
チェコ好き:
AHKAH(アーカー)っていうブランドのネックレスなんですが、大学生の頃からずっと欲しいなと思っていたんです。
服にお金をかけていたとは言っても、5万円って学生からしたらちょっと手が出せない額でしたから、社会人なったら買おう、と思っていました。
・・・でも一回買ったら満足しましたね。
今でもこのブランドは好きですし、かわいいなとは思うけれど、買いたいという欲求まではいかないです。
── そこまで物欲が削ぎ落とされたのって、何か理由があるんですか?
チェコ好き:
もう何年も前から、買ったり手に入れたりする前に「私は本当にこれが欲しいのか?」って問いかけるようにしているんです。
そうすると「いや、そうでもないぞ」と気づく。
こういう自問自答を繰り返していると、本当に欲しいと思わない限り、まあいっかって思えるようになって、物欲が減っていったのだと思います。
── その問いかけを繰り返して残った本当に欲しいものが、旅と本だったと。
チェコ好き:
はい。
できることなら、ずっと本を読んだり、映画を観たりしていたいです(笑)
自分の書くもので「知識が増えると世界が変わる」と感じてほしい
── もし、今10億円あげるって言われたら、どういう生活をしたいですか?
チェコ好き:
今と変わらない生活をしているでしょうね。
ブログを書くことは続けると思いますが。
── 書くことは、チェコ好きさんにとって大事なことなんですね。
チェコ好き:
知識をアウトプットする場所があるほうが、頭の中で整理されるので。
そういう場は、持っておきたいですね。
── 読んだ人に対して、何かこんなふうに考えてもらいたいとか、感じてもらいたいという気持ちはあるのでしょうか。
チェコ好き:
はい。
私が書いたものに対して、ぜひ言い返してほしいんですよね(笑)
── 言い返して欲しい!?
チェコ好き:
と、言うと語弊がありますね(笑)
なんというか、読んだ方に「なるほど」って思ってもらったり、同意してほしかったりするわけじゃなくて。
「私の文章であなたの問題を解決しましょう」というテーマで書ける人もいますが、私はそういう切り口はあまり得意ではないんです。
そうではなくて、「あなたの問題はコレだよね」と問題提起をしたいと思っていて。
私が指摘した問題について何か考えてもらえたら、うれしいですね。
そして、知識が増えると世界が変わるということを、私の文章から感じてもらえたらなと思っています。
── その問題について考えることで、自分が生きやすくなるんですかね?
チェコ好き:
先程も少しお話しましたが、知識が入ると世界の見え方って、ちょっとずつ変わっていきます。
知識を入れれば入れるほど、自分が見ているものはだんだん相対化されていくと思うんですよ。
今、何かについて悩んでいる人や問題を抱えている人は、自分が見ているものが絶対だと思いこんでいるのが原因なんじゃないかなと、私は思っています。
でも、いろいろな世界を知って相対化することで、「こんなことで悩むなんて、もうやめよう」というふうに、気の持ち様が変わると思うんです。
── 自分の悩みがちっぽけに思えてくるような感覚ですか。
チェコ好き:
それもあると思います。
新しい世界を知ることで、だんだん周りの目や評価が気にならなくなってくると思いますよ。
今はインターネットがあるから、否応なくいろんな人とつながっていられます。
だから、新商品が発売されたとか、新しいお店ができたというニュースが出てきたとき、それをみんながSNSでアップする。
常に欲望が刺激された状態になります。
でも、私の場合は何年も「本当か?」という問いかけを続けてきたので、取捨選択のジャッジが早くなったんですよね。
物欲が減ると同時に、自分が本当に欲しいものも分かるようになりました。
── それでも、どうしても欲しい、欲求を我慢できないという場合は、どうやって食い止めればいいんですか?
チェコ好き:
「本当か?」という問いかけを、ワンクッション入れてみることから、まずは始めてみるのはどうかなあと。
いきなり変われるわけではないので、最初のうちは抑えきれなくてもいいと思います。
私も毎日、何年も問い続けてきましたしね。
── 「本当か?」と問いかけを始めたきっかけというのは、何かあったんですか?
チェコ好き:
私、もうふつうの人生は歩めないなあと思って生きてきた節があって。
仙人になりたいんですよね。
── 仙人?
チェコ好き:
自分の世界を邪魔されたくないんです。
周りからの評価も、特に気にしません。
書籍も、売れたいとか有名になりたいという気持ちはなくて、自分のモヤモヤを吐き出してスッキリしたくて書きました。
たくさんの人に読んでもらえるのはもちろん嬉しいのですが、一人か二人にグサッと刺さってくれたらいいなって。
でも、「本当か?」という問いに、欲求を抑えきれないというのは、自分の価値を高めることを諦めていないということだと思うんです。
私にはできないことですから、すごいなと思います。
── 「本当か?」と問いかけることは、生きやすくなるヒントなのかなと思いました。
チェコ好き:
そうかもしれません。
日々食べるものとか、小さなことから始めてみると、だんだん自分にとって本当に必要なものが見えてくると思います。
【編集後記】インタビューした感想
「本当に欲しいのか?」と一旦立ち止まることは、怖いことでもあります。
もしかしたら、考えている間に誰かに横取りされるかもしれない。もしくは、目の前からそのものが消えてしまうかもしれない・・・そんな不安にとりつかれてしまうからです。
これは、食べ物や雑貨など物質的なモノに対してもそうですが、チャンスや時間、人との出会いなど、目に見えないモノやいろいろな場面でも言えることだと思います。
いらないものを知ることは、逆に自分に本当にいるものを知ることでもあるのかなと、感じる取材でした。
チェコ好きさんのブログは、そんな洗練された「好き」が詰まっているので、とてもおもしろいです。
自分の「好き」が迷子になってしまったと感じたら、ぜひ読んでみてください。