ぼくはNHK Eテレ(教育テレビ)の番組が大好きです。
興味深い内容を、親しみやすいキャラクターが解説するので、勉強をしている感じしません。
NHK Eテレというと子供向けの番組しかない印象があるかもしれませんが、そうではありませんよ。
今回紹介するのは、「NHK高校講座」です。
取材と映像を駆使したハイクオリティな講座で、興味をもつための工夫がこれでもかと盛り込まれています。
なんと、テレビ番組としては珍しく、ネットで無料で見ることができるんです。
学習塾に通っている高校生はもちろん、子どもの学習塾の費用に悩む親御さんにも知ってほしい番組ですよ。
NHK高校講座とは
NHK高校講座は、高校教育課程の授業内容をわかりやすく伝えるテレビ番組です。
もともとは、全国の通信制高校生の自習に役立つことを目的に、1953年にラジオ番組として始まりました。
その後、1960年にはテレビ放送が開始され、2008年4月からはテレビ・ラジオ全科目の放送内容がホームページで配信されています。
ホームページは、スマートフォンやタブレット端末にもちゃんと対応しています。
NHK高校講座 3つの特徴
1:高校生の目線を大切にしている
高校講座の番組はキャッチーでわかりやすいです。
その理由は、徹底して生徒の立場から番組が考えられているからだと思います。
国語表現の「第1回 入門講座 国語表現はコミュニケーション」を見てみましょう。
まず、開始2分で、お笑いコンビ「かもめんたる」が、「国語と言えばやっぱりお笑いですよね!」と意外な考え方を提案しています。
また、あるアイキャッチでは、「顔に泥を塗る」ということわざを本当に実践しています。
ちょっと男子がかわいそうですが、思わず笑ってしまいますね。
ほかにも他己紹介やインタビューなど、高校生が出演する演習がふんだんに盛り込まれています。
先生が生徒に一方的に教えるだけではないNHK高校講座は、モチベーションを保ちやすい講座だということがわかりますね。
2:内容が信頼できる
高校生向けでわかりやすいだけでなく、番組の内容が信頼できるのがNHK高校講座の特徴です。
講座の内容は、文部科学省の「高等学校指導要領」、および文部科学省による検定済の教科書の内容にのっとり制作されています。
それぞれの講座は、高校や大学の先生によって監修されています。
化学基礎の「第16回 分子でできている物質~有機化合物 ~炭素があるから有機なのだ!~」では、東京学芸大学附属高等学校教諭の、岩藤英司先生が登場。
芋がどのようにして焼酎に作り変えられるのか、実際に芋焼酎の酒造会社を見学した講座となっています。
リサーチと取材が徹底しているのは、化学基礎の科目だけではなく、他の科目でも同様です。
NHK高校講座は生徒に教える講座内容が間違っていないだけではなく、説得力があって信頼できる番組になっていますね。
3:自習するためのコンテンツが充実している
自習に適した内容になっていることも、特徴のひとつです。
どの科目にも、必ず「学習メモ」と「理解度チェック」が用意されています。
例えば、 地理の「第22回 現代世界の系統地理的考察 【生活文化、民族・宗教】編 異文化と共に暮らす ~宗教と民族~」を見てみましょう。
学習メモは、2ページほどの文章で、学習のねらいや内容がまとまっています。
自分がちゃんと内容を理解できているか、学習メモを見てチェックできますね。
講座を受けたあとに、内容を理解しているかクイズ形式で確かめられるのが理解度チェックです。
例えば東京で、注文すると提供される「たぬきそば」の正しい写真を選ぶクイズがあります。
関東と関西の文化についての理解を確認する内容ですね。
講座を受けるだけではなく、理解度チェックのクイズに挑戦することで、ますます理解は深まっていくことでしょう。
おすすめの番組3選
2015年現在、NHKでは20科目の番組が放送されています。
ここでは、その中からおすすめの番組3つをピックアップしていきます!
生物基礎:目に見えない小さな世界を明らかに
「楽しくて役に立つ、生物の世界へようこそ!」というフレーズとともに始まる番組が、「生物基礎」です。
進行をつとめるのは、タレントの八田亜矢子さん。
お笑いコンビ「東京アヴァンギャルド」丸沢丸さん、綾瀬マルタさんが生徒役となり、ボケと突っ込みを繰り返しながら生物の内容を学んでいきます。
そしてもう一人、森の精「ミドリくん」というキャラクターが登場します。
まるでマネキンかのように動かないし、まるで綾瀬マルタさんのような声で話すミドリくん。
最後には、突っ込みどころ満載の内容を、「実になる一言」というコーナーでまとめます。
ちなみに、ぼくはこの番組がきっかけで、NHK高校講座を知りました。
生物基礎は目に見えない小さな世界の話を、実験や取材をもとに明らかにしていくおもしろい番組です!
世界史:旅好きの大人も旅番組として楽しめる
ふたつめのおすすめは、旅を切り口として歴史を学ぶ、「世界史」の講座です。
「歴史を知ると旅はもっと楽しくなる!」と語るのは、タレントの真鍋かをりさん。
彼女は「マジカル・ヒストリー倶楽部」を作り、プランナーの永松文太さんに、ミッションを満たす旅のプランを考えてもらいます。
第1回では、「地球温暖化」をテーマに旅を企画しています。
「温暖化と文明の誕生に関係がある?」というプランで、エジプトの歴史を考えていました。
まさか温暖化とエジプト文明が関係しているとは思いませんよね。
時間を遡ってタイムトラベルをしたり、日本と遠く離れた国の映像が見れるのが「世界史」の講座の特徴です。
高校生はもちろん、旅好きの大人も旅番組として楽しめると思いますよ。
ロンリのちから:論理的思考力(クリティカル・シンキング)を養う
「ロンリのちから」は、論理的思考力(クリティカル・シンキング)を養う番組。この番組は、講座というよりは物語調になっています。
主人公たちは、高校の演劇部員です。
あるシーンでは、女子が男子に向けて「私はあなたが嫌い」「私は女子」「だから女子はあなたが嫌いなの」と演じます。
どこか、変な台詞だと思いませんか?
それに気づいた男子が、監督の女子に「この台詞なんかおかしい」とツッコミを入れて、女子「おかしくない」と言い返します。
膨らむ言い争いを止める形で、演劇部の顧問の先生が、台詞の中にある論理を解き明かしていきます。
論理の争いの中に、恋愛要素が含まれているのも楽しいですよ。
「ロンリのちから」で、大人になっても役に立つ思考力を身につけてみてはいかがでしょうか。
文系理系問わずおすすめです。
節約できるポイント
塾の費用を節約できる
NHK高校講座は高校受験にも対応した、すべての科目の内容が含まれています。
クイズもあるので、塾や予備校で学ぶ代わりに、動画を見て学ぶという選択肢もアリだと思います。
All Aboutによると大学受験の塾・予備校の講座は、目安として1講座あたり約6〜7万円かかります。
学問の基礎や奥深さを学びたい学生にとって、NHK高校講座は、1講座あたり約6〜7万円の節約になります。
もっと本気で学びたい!という科目は、塾や予備校に行くお金を払ってもよいでしょう。
そうでなければ、まずNHK高校講座を試してから、塾や予備校に通うことを検討してみてはいかがでしょうか。
参考書代を節約できる
また、NHK高校講座は自習用の教材としても適しているので、大学受験に向けた参考書代の節約にもつながります。
一般的な大学受験は、3〜7科目の勉強が要求されます。
例えば、数学の参考書として有名な「チャート式」は、1冊約2,000円です。
NHK高校講座に含まれている講座内容は、参考書に書かれているような基本的なことを抑えてかつ、映像資料も豊富。1科目2,000円の価値があると見積もれると思います。
つまり3〜7科目分受講すれば、6,000〜14,000円分の節約になるということですね!
無料の参考書を手に入れたような気持ちで、NHK高校講座を活用してみてください。
学生や子どもがいる親は要チェック
正直、ぼくがこの番組を高校生のときに知っていたら、学校の講座と合わせて毎回見ていたでしょう。
高校生はもちろん、高校生の子供がいるお父さんお母さんや、塾講師で高校生に勉強を教えている大学生も、ぜひNHK高校講座をチェックしてみてください。
最初に見る番組に迷ったら、まず「高校講座 オリエンテーション2015」から見てはいかがでしょうか。
画像引用:NHK高校講座
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