こんにちは!
毎年、確定申告をしていて医療費控除の経験もあるライター、なつみとです!
医療費が多くかかった年の翌年に「医療費控除」の申告をすると、税金が安くなりますよね。
2017年からはそれに加えて、「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例が始まりました。
通常の医療費控除とはまた違った基準で税金が安くなる制度なのですが、まだまだ知らない人のほうが多い印象を持っています。
でも「医療費控除の条件を満たさなくてもセルフメディケーション税制なら対象になる」というパターンはよくありそうなので、知っておいたほうが絶対にお得です!
このページでは、セルフメディケーション税制について、基本的な仕組みや対象となる商品や計算方法、手続きのやり方について、詳しく解説していきますね。
セルフメディケーション税制は最大88,000円を控除できる医療費控除の特例
セルフメディケーション税制とは医療費控除の特例。
申告すれば所得税の一部が還付され、その後に支払う住民税も安くなる制度です。
医療費控除との違いは主に以下の5点ですよ。
- 控除できる金額は医療費控除より小さい
- 対象になる金額のハードルは低い
- 健診や予防接種を受けた人が対象
- 病院代・通院費等は対象外
- 対象医薬品の購入代金のみが対象
控除できる金額は小さいのですが、医療費控除ほど多額の医療費を使っていなくても条件を満たせるので、ハードルは低いですよ。
セルフメディケーション税制の条件である健診や予防接種とは?
セルフメディケーション税制は「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」をおこなっている人が対象になります。
なんだか分かりにくい言葉ですが、要はその年に健診や予防接種を受けた人のことなんですよね。
会社の健康診断でも、個人的に受けた健診でも対象です。
市町村が実施するがん検診や乳がん検診なども対象になりますよ。
セルフメディケーション税制の申告をする際には、こうした予防接種・健康診査を受けたことを証明するための書類が必要になります。
具体的には、予防接種を受けたときの領収書や予防接種済証、健診の結果通知表などがあれば大丈夫ですよ。
※あとで詳しく紹介します。
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は「スイッチOTC医薬品」
医療費控除と違い、セルフメディケーション税制の対象になるのは特定の医薬品のみです。
具体的には「スイッチOTC医薬品」と呼ばれるものが対象になりますよ。
スイッチOTC医薬品とは、「医療用医薬品」から「一般用医薬品」に切り替わった医薬品のこと。
「もともとは医師の処方せんが必要だったけど、今は処方せんがなくてもドラッグストアなどで購入できるようになった薬」という感じですね。
たとえば「ロキソニン」なんかはもともとは病院で処方してもらう薬でしたが、今は市販薬として売られています。
スイッチOTC医薬品を見分ける方法
とはいえ購入した薬がスイッチOTC医薬品なのかどうか、わざわざ調べるのも面倒くさい・・・。
厚生労働省や国税庁のサイトを見て調べることもできますが、そんなことをしなくても、購入時や購入後に確認できますよ。
参考:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について-厚生労働省
このページに「対象品目一覧」が掲載されています。
購入前にスイッチOTC医薬品を探す方法
ドラッグストアに行くと、「セルフメディケーション税制控除対象」などと書かれている商品が見つかると思います。
わかりやすいですよね!
ただ、こういうのは手作業で付けられているものですし、表示漏れやつけ間違いなどもありそう・・・という気も。
不安な場合は薬剤師さんに確認したり、自分で検索して調べたり、ひと手間かけたほうが良さそうです。
このような表示も見つけました。
購入後にスイッチOTC医薬品かどうかを判別する方法
セルフメディケーション税制の対象になるスイッチOTC医薬品は、レシートにもわかりやすく表示されています。
お店によって表示の仕方は違いますが、このように判別しやすく書かれているはずですよ。
1年間に使った医療費が多ければ通常の医療費控除が使える可能性もあるし、いずれにせよ、ドラッグストア等で医薬品を購入した際のレシートは保管しておくといいですね。
セルフメディケーション税制の申告方法
セルフメディケーション税制の申告をするには、以下の書類を提出します。
- 健診や予防接種の証明書類
- セルフメディケーション税制の明細書
- 確定申告書
ひとつずつ解説しますね。
健診や予防接種の証明書を用意する
セルフメディケーション税制を利用するための条件として必要になるのが「健康の保持増進及び疾病の予防への取組」です。
つまり健康診断を受けたり、インフルエンザ等の予防接種を受けている必要があるんですね。
そしてその証明をするための書類も用意しなければなりません。
具体的には、以下のものが証明書類として使用できますよ。
- インフルエンザ予防接種の領収書
- 市町村のがん検診の領収書もしくは結果通知表
- 会社の「定期健康診断」の結果通知表
- 「特定健康診査」の領収書もしくは結果通知表
- 上記以外の健診や人間ドック、特定の予防接種の結果通知表
※領収書は原本提出、結果通知表はコピー提出もしくは申告時の提示のみでOK
証明書類として利用できるかどうかわからない場合は税務署に問い合わせてみましょう。
こちらのページに掲載されているチャートがわかりやすいと思います。
参考:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について-厚生労働省
「セルフメディケーション税制の明細書」を記入する
セルフメディケーション税制の明細書は、国税庁のサイトからダウンロードできますよ。
※税務署にも設置されているはずです。
参考:確定申告書などの様式・手引き-国税庁
※「医療費控除を受ける方」のところにセルフメディケーション税制の明細書も掲載されています。
以下、記入方法です。
▼住所・氏名・「1 申告する方の健康の保持増進及び疾病の予防への取組」を記入しましょう。
▼「2 特定一般用医薬品等購入費の明細」を記入します。
「(1)薬局などの支払先の名称」はお店の名前のことですね。
最後に金額の合計も計算して記入しましょう。
▼「3 控除額の計算」を記入
説明の通り計算するだけなので簡単ですね。
確定申告書を作成する
セルフメディケーション税制は、医療費控除と同様、申告書の提出が必要です。
個人事業主などで確定申告をする人は、その申告書にセルフメディケーション税制の記載もすればOKです。
会社員などですでに年末調整をしていて、セルフメディケーション税制の還付申告をする人は「申告書A」を用意してください。
申告書は税務署でももらえますし、以下のページからダウンロードもできますよ。
参考:確定申告書などの様式・手引き-国税庁
申告書を用意したらまず、源泉徴収票の記載内容を転記していきましょう。
そして、「医療費控除」の欄に、さきほどの明細書で計算した控除額を記入してください。
書き方で判断に迷うところがあれば、税務署に問い合わせるのが確実です。
わかる部分だけ埋めておき、わからないことは税務署に行き、その場で記入・提出という形でも大丈夫ですよ。
※確定申告で混雑する期間(例年2月16日~3月15日ころ)を避けて行けば相談しやすいです。
さいごに
セルフメディケーション税制は、医療費控除の対象にならない人でも、一定の取り組みをしていれば若干の控除が受けられます。
その結果、所得税や住民税が軽減されればうれしいですよね。
手続きや計算の方法は大して難しくないですし、日ごろから医療費関係のレシートを残しておけば対応しやすいと思いますよ。