こんにちは!
フリーランスなので毎年確定申告をしていて、医療費控除の手続きをしたこともあるライターなつみとです!
医療費控除とは、1年間にかかった医療費が高額になった場合に、税金が少し安くなる制度のこと。
といっても手続きの方法はあまり知られていませんし、医療費はどこまでが対象になるのか、よく分かりませんよね。
でも、「よく分からないから」と申請しないのはもったいない!
医療費控除の対象になるなら、しっかり申請して払いすぎた所得税を取り戻しましょう!
このページでは、医療費控除の仕組みや計算方法・申請方法について解説しますね。
医療費控除の計算方法※医療費が10万円以下でも対象になる場合も
医療費控除は、医療費の年間合計が10万円を超えるとお金が返ってくる制度として知られています。
まず、概要について説明しておきますね。
医療費控除は「所得税・住民税」がお得になる
まず大前提ですが、医療費控除とは、1年間に使った医療費の金額に応じて、所得税・住民税がお得になる制度のことです。
基礎控除や社会保険控除などと同じ「所得控除」というものなんですよ。
医療費が多くかかった年には、申告することによって所得税が還付され、その後の住民税も安くなります。
対象期間はその年の1月1日~12月31日。
2018年の1月1日~12月31日にかかった医療費については、2019年に申告します。
すると、以下のように税金が安くなりますよ。
- 2018年に支払った所得税の一部が還付される
- 2019年に支払う住民税が安くなる
医療費控除の計算方法基本
医療費控除は、以下の計算式によってもとめられます。
※最高200万円
「保険金などで補填される金額」に注意しましょう。
たとえば入院費が12万円かかって、生命保険の給付金で15万円受け取った場合、3万円マイナスになりますよね?
この3万円は、ほかの医療費から差し引く必要はありません。
「保険金などで補填される金額」というのは対象となる支出に対して引くだけです。
さて、上記の計算式で医療費控除の金額が算出できますが、算出後の金額分が還付されるわけではありません。
医療費控除は所得控除の一種なので、計算し算出された金額を、所得から差し引くことになります。
ということはその分所得が少なくなりますよね。
所得税・住民税は所得に応じて決まるので、所得が少なくなった分、所得税・住民税が安くなるというわけです。
医療費控除額が30万円で、所得税率が5%の方の場合:
所得税が1万5千円程度安くなる(還付される)
住民税が3万円程度安くなる
※実際には復興特別所得税の分もあります。
医療費控除の条件を満たすのであれば絶対に手続きしたほうがお得ですよね。
総所得金額等が200万円未満の人は計算式が異なります
ここまで紹介した計算式は、総所得金額等が200万円以上の人が対象です。
総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額が、医療費控除の金額になりますよ。
「総所得金額等」がわかりにくいかもしれませんが、基本的には「合計所得金額」と同じである人が多いのではないかと思います。
不安なら税務署で確認してくださいね。
医療費控除の対象になる「医療費」まとめ
医療費控除の計算をする際、「これは医療費控除の計算に入れてもいいの?」といった疑問が出てくるはずです。
そこでここからは、医療費控除の対象となる医療費について解説しますね。
医療機関で支払った医療費
まずわかりやすいのは、病院で支払った医療費ですね。
当然ですが、美容整形等の料金は対象になりません!
歯列矯正については、治療の意味合いが強いものについては対象となりますよ。
どこまでが審美目的でどこから治療目的とみなされるのかの判断は、税務署に確認するのが確実です。
また予防接種や、健康増進目的のサプリメント等、健康診断の健診費用等も、医療費控除の対象にはなりません。
個人的には不満です(笑)
病院にかかったときには、領収書を必ずもらい、きちんと保管しておきましょう。
また、加入している健康保険から「医療費通知」が送られてくるはずなので、そちらも保管しておいてください。
もちろん、対象となるのは「実際に支払った金額」です。
高額療養費で支払う金額が減った場合には、その減った金額が対象になりますよ。
ドラッグストア等で購入した医薬品の購入代金
ドラッグストアや薬局で購入した医薬品についても、医療費控除の対象になります。
前述のとおりサプリメント等は対象になりませんが、風邪薬や頭痛薬などは対象ですよ。
市販の薬を購入した際にも、ちゃんとレシートはとっておいてくださいね!
医療機関までの交通費等
通院にかかる交通費も、医療費控除の対象になります。
ただし、ガソリン代や駐車場代、高速代など、車で通院した際の交通費は対象外なんですよね。
またタクシー代については、必要と認められれば対象になりますので、判断に迷う場合は税務署に確認してください。
原則としては付き添いの人の交通費は対象外ですが、小さい子どもなど、1人で通院することができない人の付き添いであれば、対象となりますよ。
バス代や電車代の場合は領収書をもらうことがないと思いますので、メモでOKです。
注意!生命保険の給付金等は差し引く
医療費控除の計算をする際には、生命保険の給付金など、もらったお金を差し引く必要があります。
払った医療費だけでなく、もらったお金についても整理しておきましょう。
生命保険の保険金や給付金のほか、出産育児一時金なんかも該当しますね。
証明書などを用意する必要はないのですが、計算するためにはきちんと、明細などの書類を残しておくのがオススメです。
コンタクトレンズは医療費控除の対象になる場合も
コンタクトレンズやメガネの購入費用は、医療費控除の対象になりません。
コンタクトレンズやメガネを購入するために眼科を受診した際の費用も対象外です。
ただし、治療目的で使用するコンタクトレンズやメガネ、そして受診費用については医療費控除の対象になりますよ。
具体的には、弱視・斜視・白内障・緑内障等の治療に直接関わる場合ですね。
なお、レーシック手術を受けた場合、手術費用は医療費控除の対象になりますよ。
医療費控除の申請方法
ここからは、医療費控除の手続きについて紹介しますね!
医療費控除のために準備するもの一覧
用意するものは以下のとおりです。
- 医療費控除の対象となる医療費の資料(医療費通知や領収書等)
- 生命保険の給付金の明細等、差し引くお金がわかる資料
- 医療費控除の明細書(国税庁のサイトから入手可能)
- 確定申告書
- 【年末調整をした人】源泉徴収票
- 本人確認書類のコピー
領収書や交通費のメモ、給付金の明細などは計算に使うだけで提出の必要はないので、自宅で保管してください。
「医療費控除の明細書」および「確定申告書」は税務署でもらえますが、以下のページからダウンロードもできますよ。
参考:医療費控除の明細書の書き方など-国税庁
参考:確定申告書などの様式・手引き-国税庁
※確定申告書は、会社員で年末調整のあった人は「申告書A様式」、個人事業主の方は「申告書B様式」です。
医療費控除の書類の作り方手順
医療費控除の申請書類の作り方は以下のとおりです。
- 「1 医療費通知に関する事項」を記入する
- 「2 医療費の明細」を記入する ※医療費通知に記載されているもの以外
- 「3 控除額の計算」で医療費控除額を計算し、記入する
- 源泉徴収票の数字を申告書に転記する
- 医療費控除の金額を記入する
- 源泉徴収票と本人確認書類を添付する
「医療費控除の明細書」の作成に関しては、さほど難しくないと思います。
ただ確定申告書の作成については迷うところもあるかもしれません。
迷った場合は、税務署に書類を持参して相談すればその場で書いて提出できますよ。
※空いているときを見計らって行きましょう!
医療費控除の手続き時期は?実は確定申告の期間以外でもOK!
毎年2~3月は確定申告シーズンですが、会社員の方が医療費控除の手続きをするだけなら、確定申告「以外」の時期に手続きできます。
対象年の翌年1月から手続きできるんです!
つまり2018年にかかった医療費について申告するなら、2019年1月から受け付けてもらえるということ。
年末調整が済んでいる人が医療費控除の手続きをするだけであれば、税務署が混雑している確定申告の時期を外して行ったほうがいいです。
確定申告時期以外の税務署はわりと空いていますし、わからないことを質問しながらその場で書類を仕上げることもできますよ。
手続き期限については厳格に決まっているわけではないのですが、「過去5年分はさかのぼって申告できる」とされています。
ただ、先送りにしている限り税金の還付は受けられませんし、領収書を紛失してしまうなどの問題も起こりえますよね。
早めに手続きするのがオススメですよ!
確定申告と同時に手続きしてOK
個人事業主などで確定申告をする人の場合は、確定申告時に医療費控除も同時に申告することになります。
確定申告書の医療費控除欄に記入し、医療費控除の明細書・医療費通知を添付して提出しましょう。
もし医療費控除を忘れた場合はあとから「更正の請求」という形で医療費控除の申告をすることはできますが、基本的には確定申告と同時に済ませたほうがいいですね。
セルフメディケーション税制について
平成30年から、セルフメディケーション税制という仕組みがスタートしました。
セルフメディケーション税制とは「医療費控除の特例」で、対象となる医療費を所得から控除できるもの。
対象となるのは、特定の医薬品の購入代金です。
控除される金額は医療費控除より小さく、以下のように決まっていますよ。
1年間の対象金額(10万円まで)のうち、12,000円を超えた部分
つまり、所得控除として差し引ける金額としては最大で88,000円ということですね。
なお、医療費控除との併用はできません。
医療費が多くかかった人は、通常の医療費控除を使うほうがお得になります。
でも、医療費控除の対象額に届いていない人や、医療費控除の対象額が小さかった人はセルフメディケーション税制で申告したほうがお得になることもありますよ。
さいごに
医療費が多くかかると家計へのダメージも大きいですよね。
医療費控除は医療費が返ってくるわけではないけれど、税金が安くなる分、家計の足しにはなります。
手続きしないと税金の還付はありませんので、医療費関連の領収書や記録はしっかり残しておきましょう。
大きな病気がなかったとしても、意外と医療費がかかっていることはありますし、とりあえず記録を残しておくのがオススメですよ。