年末調整では、たくさんの書類を記入して提出しますよね。
会社側が詳しい書き方を教えてくれたり、資料が配布さればわかりやすいです。
でも、そんなに丁寧に教えてくれるばかりないし、資料があったとしてもわかりづらいことがあります。
僕は前職の給与課で、全従業員約250名分の年末調整の処理を1人でしていました。
「提出されてくる書類の間違いが、ひとつでも減るように!」という思いで、とても詳しい資料を作ったんですよ。
このページでは、給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の、書き方・計算方法について紹介します。
年末調整書類の資料作りの経験を活かし、徹底的に細かくしていますよ!
給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
給与取得者の扶養控除等(異動)申告書は、会社から最初の給料を受ける前に必ず提出する書類です。
▼たとえば提出するタイミングは、以下のような場合。
- 入社してすぐ、または最初の給料をもらうまで
- 昨年の年末調整のとき
会社の方針によって、年末調整のときに昨年に記入した用紙が返却されたり、新しく記入しなおしたりします。
基本的に家族の情報を書き込めばよいので、書き方は簡単ですよ。
給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の上部の書き方
▼給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の、上の部分から紹介します。
細かく3つの部分にわけますね。
▼まずは左側部分から。なお記入例は一例ですよ。
記入するところは以下の通りです。
- 給与の支払者(会社)の所在地等の所轄税務署の名称
- 自分の住所地等の市区町村の名称
- 勤務している(在籍している)会社の名称
- 会社の法人番号(マイナンバー)は会社が記入するので、書かなくてもよい
- 会社の登記住所
▼右側部分の記入するところは以下の通りです。
- 氏名とフリガナ
- 個人番号(マイナンバー)
- 郵便番号と住所
- 生年月日
- 世帯主の氏名
- 世帯主と自分との続柄
- 配偶者の有無
印鑑を忘れないようにしましょう。
シャチハタはNGですよ。
また、個人番号(マイナンバー)については、『一定の要件の下、個人番号の記載が不要となる場合があります』と国税庁から案内があるので、会社の指示に従います。
▼一番右側の丸印をつける部分です。
『従たる給与についての扶養控除等申告書の提出』と、難しいことばで書いてありますね。
この部分は、2ヶ所以上から給料をもらっている場合に記入する欄です。
「従たる」とは、「主従」の「従」。
2ヶ所以上から給料の支払いを受け、1ヶ所から受ける給料だけでは、配偶者(特別)控除や扶養控除、障害者等の控除の全額が控除しきれない場合に使用します。
だいたいの場合、丸印をつけることはないかと思いますよ。
わからない場合は、部署担当者に聞いてみましょう。
主たる給与から控除を受ける欄の書き方
▼今度は、給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の、真ん中部分の書き方を紹介しますね。
なお以下の場合、これ以降の記入は不要です。
- 源泉控除対象の配偶者がいない
- 障害者に該当する、同一生計配偶者および扶養親族がいない
- 自分自身が障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生のいずれにも該当しない場合
欄がかなり複雑なので、少しずつバラしながら紹介しますね。
申告書では『A・B・C・D』でわかれています。
源泉控除対象配偶者欄の書き方
▼まずは『A:源泉控除対象配偶者』の欄。
▼その左側から。
記入するところは以下の通りです。
- 配偶者の氏名とフリガナ
- 配偶者の個人番号
- 配偶者の生年月日
▼なお源泉控除対象配偶者とは、以下の場合のことをいいます。
▼つづいて右側。
▼記入するところは以下の通りです。
- 源泉控除対象配偶者の平成31年(2019年)中の所得の見積額
- 源泉控除対象配偶者の住所
控除対象扶養親族(16歳以上)欄の書き方
▼今度は『B:控除対象扶養親族(16歳以上)』の欄です。
▼その左側から。
▼記入する欄については以下の通りです。
- 控除対象扶養親族の氏名とフリガナ
- 控除対象扶養親族の個人番号
- 控除対象扶養親族との続柄
- 控除対象扶養親族の生年月日
▼続いて右側。
▼記入する欄については以下の通りです。
- 控除対象扶養親族が、年齢19歳以上23歳未満の場合にチェック
- 源泉控除対象配偶者、または控除対象扶養親族が非住居者の場合、丸をつける(親族関係書類の添付が必要)
- 送金額等を記載した扶養控除申告書を別途作るか、提出するこの申告書に送金額等を追記する(送金関係書類の添付が必要)
- 控除対象扶養親族が、年齢70歳以上の場合にチェック
なお、『控除対象扶養親族が、年齢70歳以上の場合にチェック』の欄は、以下のように区分します。
区分 | 内容 |
---|---|
同居老親等 | 70歳以上のひとが、申告者または申告者の配偶者の直系尊属(父母や祖父母など、上の世代)で、同居を常況している(在宅で面倒をみている)場合 |
その他 | 上記以外 |
障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生欄の書き方
▼『C:障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生』の欄です。
▼その左側から。
▼記入する欄については以下の通りです。
- 本人が障害者、扶養親族に障害者がいる場合はチェック
- 「該当者」と「区分」が重なる欄にチェック
- 申告者が「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」「勤労学生」に当てはまる場合にチェック
▼詳しい内容は、申告書の裏側に載っているので確認しましょう。
▼『C:障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生』の右側です。
▼記入することは、たとえば以下のようなことです。
- 障害者に該当するひとがいる場合、詳しい内容を記入する
▼寡婦・寡夫や勤労学生の場合は、以下のとおり。
区分 | 記入内容 |
---|---|
障害者(特別障害者) | 障害の状態、または交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(障害の等級)など |
寡婦・寡夫 | 死別、離婚、生死不明の別、生計を一にする子の氏名、およびその子の平成31年(2019年)中の所得の見積額など |
勤労学生 | 学校名と入学年月日、および平成31年(2019年)中の所得の種類とその見積額 |
他の所得者が控除を受ける扶養親族等欄の書き方
最後に『D:他の所得者が控除を受ける扶養親族等』の欄です。
同一生計内に所得者が2人以上いる場合、他の所得者の扶養親族等としたり、生計内の扶養親族等を分けて控除を受けられます。
その場合、Dの欄へ必要事項を記入しますよ。
▼記入する項目は以下のとおり。
- 扶養親族等の氏名
- 扶養親族等との続柄
- 扶養親族等の生年月日
- 扶養親族等の住所
- 控除を受ける他の所得者の氏名
- 控除を受ける他の所得者との続柄
- 控除を受ける他の所得者の住所
16歳未満の扶養親族欄の書き方
やっと最後の欄ですね。
『16歳未満の扶養親族』です。
記入する方法は、先ほどの『B:控除対象扶養親族(16歳以上)』とほぼ同じなので、簡単ですよ。
▼記入する項目は以下のとおり。
- 氏名
- 個人番号
- 続柄
- 生年月日
- 住所
- 控除対象外国外扶養親族(国内に住所を有していない場合にチェック)
- 所得の見積金額(だいたい0円です)
給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の記入例
給与取得者の扶養控除等(異動)申告書への記入は、家庭によってさまざまなパターンがあります。
▼記入例の1つとして、見てくださいね。
令和2年分 給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
基本的に、前年の給与取得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と同じです。
年末調整で記入する書類一覧
年末調整には、記入して提出する書類がたくさんあります。
なお、従業員全員が以下の全てを提出するわけではなく、控除が必要な書類に限りますよ。
▼記入する書類は、以下のとおりです。
- 給与取得者の扶養控除等(異動)申告書(この記事で紹介した書類)
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
▼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を行いたい場合は、以下の書類も記入して提出します。
- 住宅借入金等特別控除申告書
「ふるさと納税もやっている!」という場合、年末調整で何か書類を提出して、控除をうけないければならないと思うかもしれません。
でも、ふるさと納税の場合は確定申告で控除手続きをするので、年末調整のときは気にしなくて大丈夫です。
ワンストップ特例制度も利用してみましょう。
おまけ:年末調整をなぜするの?
会社員をしていると、毎月会社から給料をもらいます。
給料からは、所得税がひかれていますよね。
実は毎月の給料からひかれる所得税は、ざっくりとした計算(基準)で行われています。
そのため、1年で考えると多く引かれている場合もあったり、逆に少ない場合もあるんですよ。
また毎月の給料からは、たとえば「生命保険料控除」などを考えて所得税をひいているわけでもありません。
1年の終わりにまとめて各種保険料の控除や、扶養控除などを加味し、納付すべき所得税を導き出します。
年末調整をするからこそ、キチンとした所得税が計算されるんですよ。
年末調整をしない場合は、翌年の2月16日から3月15日までの間に、確定申告を自分でやらなくてはいけませんよ!
さいごに
年末調整事務をしている担当部署の担当者は、数多くの書類を見ているので、書き方について詳しいと思います。
わからないときは、聞いてみるのが一番いいですよ。