PTS取引とは?3つの特徴・メリットやデメリットを詳しく解説

ニュースなどで「東京証券取引所」という言葉を聞いたことがあると思います。

普通、投資家が株の売買をするためには、証券会社と証券取引所を経由しなければいけません。

しかし、証券取引所を省いた取引もできますよ。
その取引方法が「PTS」と呼ばれるものです。

このページでは、PTSという特殊なシステムで、株の売買をもっと便利でお得にする方法を紹介していきますね。

PTS取引とは?特徴・メリットやデメリットを解説

PTSとは?

PTSとは、Proprietary Trading Systemの略で、日本語では私設取引システムと呼ばれています。

冒頭でも触れた通り、証券取引所を経由せずに株の売買を行うことができるシステムです。

証券会社が独自に取引所を持っていて、そこから直に株を売買するという仕組みになっています。

一見、投資家からは、証券取引所があってもなくても変わらないように思われますが、実は大きな違いがあるのです。

PTSを知らないと、気づかぬうちに売買のチャンスを逃していたり、余計な手数料を払うことになるかも知れませんよ!

PTSの特徴3つ

PTSの特徴は、主に以下の3つに絞ることができます。

  • 時間外・夜間の取引ができる
  • 有利な価格で売買できる可能性が上がる
  • 海外指標・決算の発表後でも売買ができる

時間外・夜間の取引ができる

まず最初に、PTSは証券会社が独自に設けている取引所なので、取引できる時間帯が各所によって違います。

証券会社ごとの詳しいPTS取引時間について気になるかとは思いますが、後でじっくり説明させてくださいね。

どのPTSでも共通して言えるのは、証券取引所よりも圧倒的に取引できる時間が長いということです。

証券取引所では、午前中は9時〜11時半、午後からは12時半〜15時と固定されて決まっています。

しかし、PTSなら早ければ朝の8時から取引がスタートでき、そのまま16時まで続けることができるのですよ。

しかも、夜間取引まで可能な所もあって、17時~23時過ぎまで取引可能です。

PTSを利用すれば、仕事の休憩中や帰宅後でも、時間に余裕を持って株の売買ができますよね。

有利な価格で売買できる可能性が上がる

PTSは証券取引所よりも、安く買えて高く売れる可能性があります。

なぜなら、呼び値(売買する銘柄の1株当たりの価格)の単位が細かく設定されているので、より希望に近い価格で取引ができるからです。

証券取引所が開いている時間帯ならなおさら、PTSで取引した方が有利な価格で売買できる可能性が高まりますよ!

さらに、SBI証券なら手数料も約5%安く設定されているので、さらにお得です。
楽天証券の場合は、日中の時間と手数料が変わりません。

1円でも多く利益を出したいなら、証券取引所よりもPTSでの売買をおすすめします。

海外指標・決算の発表後でも売買ができる

日本の証券取引所が閉まっている時にも、海外の市場は活動しています。

また、国内の企業は、証券取引所が終了した15時以降に、決算の発表を出すことが多いんです。

普通なら、海外指標も企業の決算も、翌日の株価に影響することになりますよね。

しかし、PTSなら時間外や夜間取引もできるので、当日中に価格に響いてタイムリーな売買ができるのです。

いつ何時、経済を揺るがすようなニュースが飛び込んでくるかわかりません。

PTSは、突然起こる市場の変化に素早く対応できるので安心感がありますね。

PTSのメリットは?

「PTSの特徴」と重複する点が多いかも知れませんが、改めてPTSのメリットを以下のようにまとめてみました。

  • 取引できる時間が長い
  • 有利な価格で売買できる可能性がある
  • 手数料が安くなることがある
  • 突然のニュースにすぐ対応できる
  • 海外市場をリアルタイムで取引できる

PTSと証券取引所の最大の違いは、取引時間の長さです。

東京証券取引所などが閉まっている時間でも、PTSなら取引できるので海外市場や国内経済の急激な変化に対応できます。

また、収益の面でもPTSは見逃せません。

証券取引所が開いている時間なら、PTSの方が細かい価格で取引できるのでより多くの利益になる可能性があります。

しかも、手数料まで安いとなれば、PTSを使わないわけにはいきませんよね。

信用取引のように大きなリスクを負って利益を狙うことは、気軽にできることではありません。

しかし、PTSなら最低限のリスクさえ抑えておけば、信用取引よりずっと気軽に始めることができますよ。

PTSのデメリットは?

便利なことが多いPTSですが、気をつけて欲しいポイントもあります。

PTSのデメリットは以下の通りです。

  • 銘柄が限定される
  • 株価の流動性が低い
  • 信用取引ができない

PTSの弱みは、「取引している人数が少ないこと」にあります。

証券取引所が開いている時間ならまだいいのですが、夜間取引となるとすごく少ないです。

取引する人数が少ないと、お目当ての銘柄の値動きが鈍くなり、希望する価格まで上がらない可能性もあります。

PTSは証券取引所よりも有利な価格で売買できることも多いのですが、株価が動かなくては意味がありませんよね。

実際に取引する前に、売買したい銘柄がPTS市場でどれくらい値動きするのかをあらかじめ確認しておけば安心ですよ。

また、証券取引所と違う点で、「銘柄が限定されること」と「信用取引ができないこと」を覚えていてくださいね。

PTSはどこでできるの?

現在、国内にあるPTSは以下の2つだけです。(2018年9月現在)

  • チャイエックスPTS(チャイエックス・ジャパン株式会社)
  • ジャパンネクストPTS(SBIジャパンネクスト証券株式会社)

ただし、「PTSができる証券会社」は複数あります。

有名どころは、SBI証券・楽天証券・松井証券ですが、どれも上2つのPTSを取り次いでいるだけです。

ちなみに、SBI証券と松井証券はジャパンネクストPTS、楽天証券はジャパンネクストPTSとチャイエックスPTSの両方を取り次ぎしています。

そうなると、「結局、同じPTSを利用するんだから、どの証券会社でも一緒じゃないの?」と思うかも知れませんね。

しかし、証券会社によって手数料が違ったり、キャンペーンを使えばさらにお得に利用できたりという違いがあります。

上手に活用すれば、より多くの利益を上げることに繋がるはずです。

例えば、SBI証券は手数料が証券取引所よりも約5%安いですし、楽天証券ならチャイエックスPTSで他よりも早い朝8時から取引がスタートできます。

生活習慣や投資スタイルに合わせて、最適な証券会社を選んでくださいね。

PTSを始めるには?

PTSをする証券会社を決めたら、次は実際に取引を始めてみましょう。

すでに株取引をしているなら、今持っている口座があればすぐに始められますよ。

売買をする時に、注文画面の「市場」欄を、「東証」から「PTS」に変えるだけで大丈夫です。

注文画面の市場欄に「PTS」の選択肢がなければ、残念ながらその証券会社自体がPTSに対応していないか、銘柄が対象外ということになります。

PTSで取引したいなら、証券会社で口座開設をする前にPTSがあるかどうかをチェックしてみてくださいね。

SOR注文とは?

PTSをする時に、「SOR注文」という言葉を見聞きすることがあるかも知れません。

SOR注文とは、証券取引所やPTSなどの複数ある市場の中から最も有利な価格で売買をしてくれる自動注文のことです。

複数の市場を何度も自分で見比べるのは時間も手間もかかるので、SOR注文なら効率がいいですよね。

また、最小限のコストで売買してくれるので、無駄な手数料を払わなくていいのもメリットです。

ただし、SOR注文では、「逆指値注文」や「執行条件付注文」と呼ばれる特殊な注文ができないので気をつけてください。

SOR注文は、初期設定ですでに有効になっていることが多いです。

しかし、証券会社によって初期状況や設定方法が違うので、念のために口座開設をしたらSOR注文の設定を確認してくださいね。

さいごに

PTSができる証券会社は、現在それほど多くありません。

特に夜間取引ができるのは、今のところSBI証券や楽天証券のみです。(2019年6月現在)

PTS取引はとても便利でお得な方法なのに、まだまだメジャーな取引ではないのが残念です。

しかし、新たにPTSを導入する証券会社もあります。
例えば、マネックス証券は2019年春からPTSの提供が始まる予定です。

しかも、2019年夏には、PTSで信用取引も可能になる予定ということで、PTSの可能性がますます高まりますね。

この流れに乗って、個人投資家のためのPTS市場はどんどんオープンな流れになると思います。

早めにPTSの仕組みや注意点を知っておけば、株取引がもっと便利で有利になりますよ!

ノマド的節約術の裏話

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この記事を書いた人

1990年生まれ。2児の母。社会保障・資産運用・ドラッグストアのお得な活用術をご紹介。銀行勤務で培った知識と、実践している投資の経験から、役立つ情報をお届けします!