交通事故の過失割合が決まる流れを元損害保険会社の事故担当者が解説

こんにちは!
損害保険会社で事故対応の仕事をしていた朝子です。

意外と交通事故って身近に起こるんですよね。
自分や家族、友人が事故にあったことがあるという人もいると思います。

その際、「5対5の事故」など、事故の責任割合の話を聞いたことはないでしょうか?

この、事故の責任割合は過失割合とも言われ、交通事故の原因をもとに、双方の責任の割合を数値化していきます。

交通事故のときは、過失割合の数値によって賠償金額が決まるので、事故解決には欠かせない要素なんです。

こちらのページでは、事故の過失割合が決まるまでの流れや、万が一、交通事故の当事者になったときに知っておくと役立つポイントをまとめました。

交通事故の過失割合が決まる流れを事故担当者が解説

交通事故の過失割合は誰が決めるの?過失割合が決まるまでの流れ

過失割合を決める人って誰?警察は決めてくれないの?

交通事故というと、警察が解決してくれるというイメージがありますよね。
警察は、事故発生時に現場検証を行い、事故証明書が発行できるように情報収集してくれます。

でも、民事不介入といって、警察が過失割合を決めたり、双方の示談交渉に意見することはありません。

結論を言うと、最終的に過失割合を決めるのは事故の当事者です。

ほとんどの場合、事故の当事者は自分が加入している保険会社に対応を依頼し、保険を使用して賠償金を支払います。

その場合、保険会社の事故担当同士で過失割合を決める話し合いを行い、そこで決まった過失割合を双方の事故の当事者が納得したら示談が成立。

示談とは、事故の当事者である加害者・被害者が過失割合や賠償金額、慰謝料などに納得し、問題が決着するという意味で使われる言葉です。

車同士の事故だけでなく、以下のような事故のときでも、過失割合・賠償金額・慰謝料などを取り決めて示談を成立させます。

  • 車 対 歩行者
  • 車 対 自転車
  • 自転車 対 歩行者

また、損害が少ない事故のときや当事者が保険に加入していない場合は、「加害者から被害者に〇円を支払うことにしましょう」と、保険会社を通さずに当事者間の話し合いだけで終わることもよくあります。

交通事故の過失割合が決まるまでの流れ

今回は、保険会社を通して過失割合を決めるケースについてご説明していきます。

大体の流れはこんな感じです。

双方の事故の当事者が保険会社へ事故の報告

保険会社の事故担当が当事者へ詳しい事故の状況を聞き取り

事故担当が現場の状況、車の損傷個所などを確認

双方の事故担当が過去の判例を参考に過失割合を調整、決定

事故担当が決定した過失割合を双方の事故の当事者に提示し、同意を得る

示談

状況によっては、途中で弁護士さんが登場したり、目撃情報などの新しい情報が出てきて、過失割合の調整に時間を要することもありますよ。

すぐに示談が成立して、事故から1ヵ月以内に保険金の支払いが完了することもあれば、長期化して裁判になるケースもあり、事故の状況によってそれぞれです。

万が一、交通事故の当事者になったときに知っておくと役立つポイント

交通事故が起こると、前述した流れで過失割合が決まっていくのですが、自分が当事者となったとき、とにかく大切なのは事故の状況を細かく説明できるかどうかです。

保険会社の事故担当は契約者から事故の状況を聞き取る際、このような事故状況図を描きます。

事故状況図

この図は、A車のドライバーから「信号のない交差点に進入した際、右から来たB車と接触した。双方の道幅は同じ位。」と聞き取ったときに描いた事故状況図です。

このような事故の場合、ベースとなる基本過失割合はA車が40%、B車が60%で、この数値は過去の判例を参考とします

そこから速度違反や確認不足がなかったかなどを確認して、数値を調整し、最終的な割合を決めていくのです。

例)A車の速度違反が事故の原因 → A車に過失を10%加算して、最終的な過失割合はA車50%、B車50%

このときに、事故担当は以下のようなことを細かく確認します。

  • 事故が起こった原因(信号無視や確認不足など)
  • 双方の車の損傷具合・箇所
  • 事故現場の信号・標識の有無
  • 事故現場のセンターライン・白線の有無
  • 事故現場の道幅
  • 双方の車の速度

ですので、事故にあったときは加害者・被害者どちらであっても、できるだけ事故の内容や現場の状況はよく覚えておいてください。

事故のあと、スマホで現場の状況や双方の車の損傷個所を撮影している人も多いですよ。

もちろん、ケガがあるときなどは人命が最優先、次に事故の2次被害が起きないことを優先させてくださいね。

また、ドライブレコーダーがあれば、証言の食い違いが起こっても確実な証拠として提出できるのでとても便利で安心です。

最近は、車の前方だけでなく360度撮影できるドライブレコーダーもありますよ。

さいごに

できれば交通事故の当事者にはなりたくないものですが、いつ自分が被害者・加害者になるかわかりませんよね。

近年、高齢者ドライバーの事故が急増していて、いざ事故の状況を聞こうとしても「覚えていない」と言われるケースが増え、事故解決までに時間がかかることもあるようです。

通勤や通学で、よく車を運転するならドライブレコーダーを装着したり、知らない道を通るときはあらかじめ道路状況をチェックしておいたりすると、事故にあったときに、事故の状況をスムーズに説明しやすくなりますよ。

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この記事を書いた人

北海道に住む、Webライターで2児の母。ライターを始める前は損害保険会社に約8年勤務しており、損保関連の記事執筆を中心に活動しています。