こんにちは、2016年4月から世界一周の旅に出ている、ライター・編集者の伊佐知美です。
現在オーストラリア西海岸の都市・パースでこの記事を書いています。
これから、「世界一周とお金の話」をテーマに連載させていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いします。
はじめに
旅に出てから、同じように「長く旅に出たい」と考えている方からの相談事が増えました。
仕事や家族、言語の問題など、みなさん色々な点で悩むよう。
けれど、じつは一番気になるのはお金の話。
それは……そうですよねぇ。
私も試行錯誤しながら予算を組みました。
連載初回となる今回は、まずは「旅のスタンス」「お金に関する考え方」を。
今後は、旅中にどんな風にお金を使っているのかなどを、観光の基礎情報も交えながら紹介できればな、と思っています。
さて!
もし世界一周できるとしたら、予算はいくらくらい用意して、そしてどんな風にお金を使いますか?
世界一周の概要と予算
よく考えたら、この情報をウェブ上で公開するのは初めてです……!
私の旅の概要と予算は以下の通り。
- 旅の期間:約1年(日本への2度の一時帰国を含む)
- 予算:250万円〜300万円(旅の準備資金を含む)
世界一周を目論む旅人としては、なかなかリッチに予算を組んでいる方だと思います。
250万円は、世界一周のために使おうと思って、20代前半に貯めたもの。
実際に旅に出たのは30歳目前の29歳の時です。
「世界一周予算」として貯金をずっとプールし続けて、やっと念願叶って旅に出られた、という形なのです。
夢が叶うって、楽しいですね。
仕事をしながら旅をする
なぜ予算が「250万円〜300万円」と変動的なのか?
それは、じつは私が、株式会社Waseiの会社員のまま旅をするという、「世界一周×仕事」のノマド的なライフスタイルを実践していることに関係しています。
日本にいる時と同じように、海外でも編集者・ライターとして仕事をしています。
具体的な仕事の例を挙げてみましょう。
<編集者>
・これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』編集長
<ライター>
・旅ガイド『ことりっぷWEB』の連載「伊佐知美の世界一周さんぽ」取材・執筆
・2017年1月出版予定の書籍『移住女子』取材・執筆 など
<オンラインサロンオーナー>
・「編集女子が”私らしく生きるため”のライティング作戦会議」運営 など
パソコンと充電器、カメラが必需品。あとは海外のWi-Fiを各国で拾いながら仕事をしています。(※以下、近日公開予定)
- 【世界一周とお金の話 #2】出発前の準備と出費、持ち物リスト全公開|伊佐知美
会社員のため、日本滞在時とまったく同じ金額とまではいきませんが、毎月給与がもらえます。
だから、予算は貯蓄の最低250万円に加えて、月給から50万円程度。
総額MAX300万円くらいまでだったら、使ってもいいかな、というなかなかアバウトな計算方法で旅をしています。
基本的には「旅は貯蓄の範囲内で。月給には手を付けたくない」と思っているので、なるべく250万円以内で納めたいですけれどね……。
ただ、旅は怪我や病気、突然の世界情勢の変動など、不安材料には事欠きません。
そのため、あまりお金に余裕が無いと、精神衛生上もよくありません。
これまで約30カ国・50都市以上を旅した私でさえ、海外で1人でいるのはまだ怖いですからね。
「最終手段として、お金を払えばなんとかなる」という心の余裕を持つためにも、私は使い道の決まっていない「空白のお金」も持っておくべきでは?
そう考えています。
旅のスタイルとこだわり
また私は、今回のような長期の旅に関しては、あまり予定をカチっと決めたくないなと思っています。
できれば気候や気分によって行き先を柔軟に変えたいくらい。
そのため私の旅のスタイルは、現在以下のようになっています。
- 基本的にツアー等は利用しない個人旅行
- あらかじめ大体の行き先を定めなければいけない「世界一周航空券」ではなく、LCC航空券を随時ウェブで個別に手配
- 気ままな旅を愛しているので、国際線であっても、前日にチケット手配するなど直前まで予定を定めない
- 現地の人と触れ合いたいから、宿は「エアービーアンドビー(Airbnb)」を優先して検索
「世界一周」というと何だかものすごいことを成し遂げるようですが、旅とは基本的に、行き先を決めて、交通手段と宿を確保するだけの作業。
それさえできれば、あとは結構どうにでもなるものだったりします。
偶然の出会いから新たな目的ができることも往々にしてありますし、現地に行ってみて初めて知って、夢中になるものもたくさんありますよ。
それらを心ゆくまで楽しめるのも、長期の旅の醍醐味。
たとえばマレーシアでは、ミャンマー行きの航空券をすでに手配していたものの、インドネシアのバリ島で数十年に一度のセレモニーがあるということで、突如行き先をバリ島に変更。
沖縄では、本島滞在中に大きな台風が来るということで、すでに台風が去った後の離島・宮古島に逃げるなど、天候やイベント次第で動くこともありました。
挑戦と無鉄砲は違うので、無謀な旅はしませんが、事前調査をしっかりと綿密にした上で、このように気ままにスケジュールを決めています。
女性は安全をお金で買おう
そして、引き続き抽象的ですが、私の大事な旅の根本概念もお話しします。
それは、とくに女性は、「買える安全は、お金で買っておきましょう」ということ。
言葉の通りですが、節約に節約を重ねる旅は正直オススメできません。
たとえば宿や、交通手段。
安宿はたしかに経済的ですが、ドアのロックがきちんと機能しないゲストハウスや、治安の悪いエリアの宿はやっぱり不安。
眠れない怖い思いをするくらいなら、もう1,000円プラスして清潔感のある、安全なエリアに宿泊する方をオススメします。
実際に私はそうしています。
金額でいうと、宿は1泊あたり3,000円〜3,500円程度が目安。
そうすると、1ヶ月30日計算で、だいたい10万円前後です。
私はもともと関東で暮らしていた人間なので、「東京の家賃とあまり変わりないかな」と考えることができます。
ちなみに今回の旅の宿の1泊あたりの最安値は、タイ・チェンマイの1,800円、最高値はイギリス・ロンドンの6,000円でした。
移動も、タクシーに乗るべき時は、乗る。
配車アプリ「Uber(ウーバー)」も利用します。
飛行機も、深夜・早朝発便は値段設定が低いことが多いですが、インドなど、エリアによっては暗い時間帯に大きな荷物を持って歩くことが危険だったり、公共交通機関が利用できなかったりします。
私は基本的には個人手配の旅をしていると記載しました。
ただ、唯一インド・デリーでは、現地の日本語が通じる旅行代理店「SHIGETA TRAVEL」に、デリーからタージ・マハルのあるアグラまでの長距離列車の手配と、乗り込むまでの引率をお願いしました。
乗り遅れたら、その後の旅程に響くという、スケジュール的にも余裕がなかったから、という理由もありましたが、結果的に本当に助かりました。
金額としては、個人手配よりも3,000円ほど多くお金がかかりました。
でも、あの時得られた安心感と、確実性は個人では決して手に入らないもの。
このように、時と場合によっては、「安全や安心感をお金で買う」ことは必須だと思いますし、「節約することだけが善!」とは言い切れないのが旅だと思います。
具体的な交通手段・宿の手配方法
では、もう少し個別具体的なお話も。
たとえば、旅の基本だと申し上げた、交通手段と宿の手配はどうしているのか?
ほぼウェブ予約で済ませているので、よく使用するサイトを項目別に紹介します。
<交通手段>1. 航空券:「スカイスキャナー」
飛行機の場合は、スカイスキャナー(Skyscanner)を利用しています。
使い方は、出発地と目的地、日付を入れるだけ。
日本語で気軽に検索できます。
私はよく、行きたい国がある場合はまずスカイスキャナーで検索して、平日や休日などいくつか日程を前後させて航空券の予算感を調べ、もっとも安い日程を狙って予約を完了させます。
1週間〜10日程度の休暇と違って、長期の旅だと「この日に出発しなければ」「この日までに帰ってこなければ」という制約が薄まるので、柔軟に日程変更ができるのがメリットです。
日程が決まっている場合は、「エクスペディア」などで航空券とホテルをセットで予約した方が安かったりするので、以前はそちらを多く利用していました。
ちなみに余談ですが、国内旅行の場合は「トラベルコちゃん」を利用することが多いです。航空券もバスも宿もレンタカーも格安手配できるので、ここ10年ほど変わらず愛用しています。
2. 電車・バス:滞在する国によって異なる
海外滞在中は、電車やバスで移動することも多いですね。
国内移動はもちろん、特にヨーロッパでは飛行機と同じくらい電車・バス網が発達している地域が多いです。
たとえばクロアチア・ザクレブからスロベニア・リュブリャナ(往復1,500円)、オーストリア・ウィーンからチェコ・プラハ(往復3,000円)までなど、国境越えも電車・バスでよくしました。
ヨーロッパの電車網の予約は、周遊パスである「ユーレイルパス(Eurail Pass)」を販売している「ユーレイル(Eurail)」などが有名ですね。
日本語に対応したサイトもありますね。
→ レイルヨーロッパジャパン
窓口ではなくウェブ予約だと、最大半額程度お得に購入できたりします。
ただ、航空券と違い、運営会社の取扱エリアに紐付いた予約サイトであることがほとんどなので、滞在する国や地域によってサイトが異なるのが注意点。
当然ですがウェブ予約したい場合は都度調べる必要があります。
調べる方法は、シンプルに宿のスタッフに聞いたり、駅の窓口で質問してみたり、旅人仲間に聞くのもアリです。
もし英語に抵抗がなければ、「London to Paris bus」「London to Paris train」などと検索すれば大抵予約サイトがヒットします。
たとえば、これまで利用したことのあるサイト例はこんな感じ。
- RAILEUROPE.com(ヨーロッパ広域)
- Eurolines.com(ヨーロッパ広域)
- VOLLO.net(東欧)
- SJ.se(北欧)
- makemytrip.com(インド)
たくさんありますね!
あ、そういえば、ミャンマーでは長距離バス予約はウェブ予約できず、なんとカウンターで申し込みをして、手書きチケットを手渡ししてもらう仕組みでした。
あれには驚きましたね……。
ウェブ予約のEチケットに慣れていたので、久しぶりに「このチケットを失くしちゃいけないんだ」と気が引き締まりました。
よい思い出です。
ちなみに日本語対応していないサイトが大多数ですが、慣れれば難なくできるようになるのでご安心を。
3. フェリー:「ダイレクトフェリーズ(Direct Ferries)」
海路移動が好きなので、フェリーも積極的に利用しています。
電車やバスと同じように滞在エリアによって予約方法が変わりますが、ダイレクトフェリーズは自社サイトで「世界最大級のフェリー予約サイト」とうたっているだけあり、かなりの範囲をカバーしていますよ。
フィンランド・ヘルシンキからエストニア・タリンなどの海路移動にこのサイトを利用しました。
でもフェリーは、運営会社が少なかったりすると、どうしても値段設定が高めになりがち。
贅沢な乗り物な上、速く移動できるわけではないので、”ここぞ!”という時以外は利用を控えるようにしています……。
お気に入りの路線は、クロアチア・ドゥブロヴニクからクロアチア・スプリットまでと、オーストリア・ケアンズからフィッツロイ島、アウトリーフまで。
青い海の上をゆったりと走っていく気持ちよさは、何事にも代えがたいですよね。
(そろそろ私の旅好きに呆れてきた頃でしょうか)
宿
宿予約は、使用頻度が高い順に、以下。
- 「エアービーアンドビー(Airbnb)」
- 「トリップアドバイザー(TripAdvisor)」 ※トリップアドバイザーは比較サイトのため、予約自体は個別の予約サイトで行います。
- 「アゴダ(Agoda)」
- 「ブッキングドットコム(Booking.com)」
- 「ホステルワールドドットコム(Hostelworld.com)」
すべて日本語対応しています。
(Airbnbは、検索は日本語でできますが、ホストとのやりとりは英語など他言語です)
宿は、7割がAirbnb、1割がホテル、1割がドミトリーなどのゲストハウス、あとは稀に、現地で仲良くなった人のご自宅や、友人宅に泊めてもらうこともあります。
泊めてもらった場合は、どうお礼をすれば良いのか今でも本当に迷うのですが、マレーシアでは以下のように言っていただき、こんなことを思いました。
無償で泊めてくれたひとに対して、何かお礼がしたいと思う私。そこに先回りして、私に返そうとしないでという彼女。次の人に渡しなさい、と言ってくれる。わかった、私もそうやって知らない人に愛を注げる人になる。 pic.twitter.com/QHgVYz36BV
— 伊佐(佐野)知美 (@tomomi_isa) 2016年5月6日
いろんな出会いのある旅、やっぱり良いなと思っています。
世界一周の節約ポイント
さて、ここまで好き勝手なことを申し上げてきましたが、とは言え予算は有限です。
理想の旅のスタイルを実現させる一方で、ムダなお金は絶対に使わないと決めています。
たとえば、宿は、必要以上に贅沢な場所には泊まらない。
交通経路は、飛行機、電車、バスをまんべんなく調べて、もっとも安い手段を優先して確保する。
あとは、日々出ていく細々したお金の代表である、食費にもとても気を配っています。
イギリスやフランス、スイスなどの西欧、デンマークやスウェーデン、フィンランドなどの北欧や、オーストラリアは物価が高い!
とりわけ外食が高価で、ランチでも1,500円〜2,000円することはザラです。
※ちなみにエアーズロック空港では、500ミリのペットボトルの水が1本400〜500円、カップラーメンが1個700円しました(!)。スイスのチューリッヒ空港も水が1本700円程度しましたね……。
水は、体調管理のために仕方のない出費だとして、食費は調整が可能です。
対策として、私はかなりの頻度で自炊をします。
宿も、自炊前提で選びます。
自炊をするためには、当然買い物をしなければいけません。
スーパーへ行ったり、地元のマーケットに足を運ぶのは案外楽しいもの。
必然的に現地の人の生活を垣間見られたり、触れ合う機会も多くなっていきます。
「いくら?」「これはどうやって食べるの?」「どこで採れたの?」などと会話すると、仲良くなれることもありますし、楽しいですよ〜。
ちなみにAirbnbやゲストハウスであれば、キッチンに常備されている調味料、フライパンや鍋、食器やグラスなどは自由に使えることが多いです。
買う必要があるのは食材だけ!
最初はホットサンドやパスタなど簡単なもので構わないので、作ってみると意外とハマります。
逆に、タイや台湾など外食文化が盛んで一食あたり200円程度で食べられるアジアや、ヨーロッパであってもチェコやスペイン、クロアチア、エストニアなどは比較的リーズナブルに食事ができるので、外食する割合を増やしていました。
なんだかんだいって、食事は旅の大きな楽しみの1つですからね!
滞在する国の物価や街のグルメ度合いによって、食事スタイルを変えても良いと思います。
※ちなみにビールが美味しくて一番安いのは、チェコでした!
ジョッキ1杯200円くらいです。これは、もう嗜好品としてやめられませんでした…(笑)
さいごに
旅とお金に関しては、「使うところは使う。引き締めるべきところは引き締める」
これを軸に、「自分の場合の優先順位は何だろう?」と考えることが大切だと思います。
線引を自分の中できちんと決めておくと、世界一周や長期旅の予算は組みやすいですし、また現地で実際にお金を使いやすいのではないでしょうか。
尚、出費は、クレジットカードをメインの支払いに当てているので、その利用明細と、あとは現金精算分をエクセルに入力して管理しています。
快適で満足度の高い旅をするために、事前準備とお金に関する熟考は必須!
良い旅をしてくださいね。ボンボヤージュ!