OCW(オープンコースウェア)の使い方・メリット・おすすめを紹介

ぼくは大学生のとき、教科書代をできるだけ節約しようとしていました。

大学の教科書は、一冊数千円することも多く、お財布にやさしくありません。

そんなときに利用していたのが、大学が講義資料を無料で公開しているOCW(オープンコースウェア)です。

教科書代わりにもなるような質の資料が、無料で手に入るなんてありがたいですよね。

このページでは、「OCWとは何か?」や実際に使ってみた感想までを紹介していきます。

OCWの使い方

OCWとは

OCW
引用:JOCW

OCWとは、Open Course Wareの略称で、大学の講義ノートやシラバスをウェブ上で無料で公開するサービスのことです。

初めは、1999年にドイツのテュービンゲン大学が講義の動画をオンラインへ公開したのがきっかけでした。

その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)やカーネギーメロン大学といったアメリカの有名大学もOCWを開始し、世界中へとOCWの運動は広まっていきました。

2004年にMITが日本の主要大学にOCWの活動を推奨し、JOCW(日本オープンウェアコンソーシアム)という団体が設立されます。

JOCWが設立されたときは、大阪大学、京都大学、慶應義塾大学、東京工業大学(以下、東工大)、東京大学、早稲田大学がOCWの活動を始めました。

2015年現在、国内では17の大学がJOCWのメンバーとなっています。

OCWにはどんなコンテンツがある?

OCWには具体的にどんなコンテンツがあるのでしょうか?

JOCWのメンバーのページから、各大学のOCWのページへアクセスすることができます。

OCW
引用:東工大OCW

ここでは、2,851の講義ノートと、123の動画・音声が公開されている東工大OCWを見てみましょう。

興味のある教材は、学部や学問分野から探すと見つけやすいですよ。

東工大といえば、工学部が有名な理工系大学なので、工学部のページを開いてみます。

OCW
引用:東工大OCW

続いて、気になる講義のページを開きましょう。

一番上に表示されていた、経営システム工学科の「オペレーションズ・リサーチ」という講義を開いてみます。

講義概要・シラバスのページには、講義概要とシラバスのほかに、指定する教科書、関連する科目、履修の条件、成績評価の方法が紹介されていますよ。

講義の内容と、必要となる予備知識がわかるので、自分の理解度にあう講義かどうかわかりますね。

OCW
引用:東工大OCW

講義ノートのページでは、資料がダウンロードできます。

この講義では、毎週のテスト問題と回答を無料で手に入れることができますね!

講義の種類や、担当している教員によって、資料の充実度合いはがらっと変わります。

例えば、数学科の講義「集合と位相第一」の資料は、講義内容のほぼすべてがノートとして記されています。

これは教科書の代わりとして使えるほどに充実していますね。

良質な資料を作っている講義の教員は、ほかの講義でも良い資料を作っていることが多いです。

教員の名前で授業を検索して、資料を発掘してみましょう!

OCWのメリット

教科書並の勉強が無料!

OCWでは、教員が学生のために作成した講義ノートを無料で手に入れることができます。

例えば、次の数学の教科書は2,700円します。

それが、東工大OCWの数学科の講義「集合と位相第一」のノートを利用すれば無料になります。

つまり、2,700円の得になりますね。

大学を卒業するまでに、平均して3,000円の教科書を10冊分買わずに済んだとしたら、3,000 × 10 = 30,000円の節約になるんですよ。特に学生は要チェックです!

社会人も勉強できる

OCWはオープンなので、社会人でも利用することができます。
仕事を始めてから、ちょっと勉強をやり直したくなったときにぴったりですね。

また学生にとっても、自分が所属していない大学や学部の講義資料を手に入れられるサービスになっています。

専門外の分野に興味を広げるきっかけとして、いろいろな講義資料を眺めてみると楽しいと思いますよ。

Benesseによると大学の学費は、年間約50〜100万円です。

OCWで大学の講義そのものを受けることはできませんが、講義で教えられている内容の一部を学べます。

年間100万円近くかけて学ぶような内容を無料で学べるって、すばらしいですよね。

実際に利用してみて、おすすめのOCW

OCWのデメリットは、講義や資料の数が多すぎて、自分にあった高品質の資料を見つけるのが難しいということです。

大学によってOCWへの力の入れ方も違っていて、資料の質もまちまちです。

そこで、数々のOCWを利用してきたぼくがおすすめするOCWを紹介していきます。

日本最初のOCW

まず、日本で最初にOCWを始めた、以下の大学は基本的に内容が充実しています。

OCWを利用して講義資料を長く公開してきたぶん、資料も多くなっていますね。

大学の歴史も長いので、教材の内容もしっかりしていると感じます。

名講義が見つけやすい筑波大学OCW

OCW
引用:筑波大学OCW

筑波大学OCWには高品質な講義の動画が集まっています。

1時間にわたる特別講義の動画を見ると、「この先生のように知的になりたい……!」とあこがれの気持ちが生まれてきます。

講義の動画以外には、「筑波大の人々」というインタビュー動画があり、オープンキャンパスで先生のお話を伺っているかのようです。

動画授業のベテラン、放送大学OCW

OCW
引用:放送大学OCW

放送大学OCWは、公開されている講義数が少なめです。

しかし、約20年にわたりテレビ放送の講義を行ってきた放送大学ならではの強みがあります。

なんと、テレビで放送されている内容と同じ動画を、15回分一気に見ることができますよ。

テレビ放送とは違い録画された動画なので、飛ばしながら学べるのも嬉しいポイントですね。

元祖OCW、MIT OCW

OCW
引用:MIT OCW

英語なので避けてしまうかもしれませんが、元祖OCWとも言えるMITのOCWはぜひ一度見てほしいと思いますね。

すべての講義で資料が十分すぎるほどにあるので、好きな学問をいくらでも習えます。

一般的に大学で使われるテキストは、日本のものよりも英語のものの方が長いです。

長い分、基礎的なことが丁寧に書いてあるので、サクサク学ぶことができるんですよね。

自分の専門分野だけでもいいので、MITのOCWを使ってみてはいかがでしょう?

さいごに

OCWを使えば、世界中のどこに住んでいても、大学に通っていなくても、大学の専門的な内容を学ぶことができます。

ぜひOCWを活用して、興味のある学びを無料で深めてくださいね。

ノマド的節約術の裏話

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この記事を書いた人

木村すらいむ(木村一輝) 文脈をテーマに、フリーランスとして活動中。 ブログ「文脈をつなぐ」 ネットラジオ「文脈ラジオ」、ライティング・文字起こし・イベント企画・ホームページ制作など。 1992年・群馬生まれ。東京工業大学大学院卒(修士・数学)。