フリーランスとしての試行錯誤からブログが仕事になるまでの道のり。そして今後の展望は?【松本博樹ヒストリー4】

2017年3月から始まった【松本博樹ヒストリー】。

第4回目となる今回が、最終回です。

学生時代、会社員時代とヒストリーを順番に聞いてきましたが、2010年以降の松本さんは会社員生活を終えてフリーランスとして働きだし、ブログが成長してから法人化します。

今回最終的に辿り着いたのは、「コミュニティづくり・場づくりをしていきたい」という、今後の展望。

収益構造を考えた上で事業を多角化するためにコミュニティが必要という話もあったのですが、何よりも「それがあったら、一発で仲良くなれるから」という言葉が印象的でした。

目次

  • 2010年、新婚旅行でスイスへ
  • ヤフオクで「物を売れば収入になる」とわかった
  • ノマド的節約術を立ち上げた2011年のこと
  • ノマド的節約術の手ごたえ
  • 切羽詰まっていた時期もあった2012年
  • ブログ運営一本に決めた2013年
  • 2014年から現在まで
  • さいごに。コミュニティをつくりたい

松本博樹ヒストリー4

松本博樹1

2010年、新婚旅行でスイスへ

── ついに最終回です。

松本:
はい。

── 第3回は、会社員時代から、退職するときに考えていたことを中心にお話を聞きました。最後なので、その後、2011年5月に会社を退職してフリーランスになってから現在までについてお話をうかがっていきます。

松本:
お願いします。

── この時代というのは、記事として詳細に書かれていることも多いので、あまり書かれていない裏側みたいなところを聞けたらよいなと思ってます。いきなりなんですけど、新婚旅行はスイスだったんですよね?(笑)。

松本:
そうそう(笑)。そうですね。懐かしい。

── なぜこれを聞くかというと、プロフィールに、この旅行で価値観が変わったんだと書かれていて。

松本:
影響はデカいかもしれないです。

日本と比べて、生活の流れがすごくゆっくりしていると感じて、こういう生活いいなって純粋に思いました。

── もともとフリーランスになる前から、せかせかしてないほうがいいとか、時間の流れが穏やかな生活がよいという思いはあったんですか?

松本:
そうですね。自分のペースでやりたいなっていうのはあった気がします。新婚旅行する前くらいから、独立したいって思ってましたね。

ヤフオクで「物を売れば収入になる」とわかった

── 新婚旅行が2010年9月ですよね。

松本:
はい。

── で、2011年5月にノマド的節約術を始められるわけですけど。会社を退職したのも5月で、同時期に住宅も建てていて、6月にはお子さんが生まれたんですよね。

松本:
そうですね。それまでは、ずっとモヤモヤしてて。

いろいろ本を読んだりとかしてて。ある日突然、「これは会社を辞めたらええかな」と思って。

── それは、特にその先の仕事の保証もないわけなので「今なら大丈夫だ」と思えたわけではないですよね?

松本:
「まあ、なんとかなるやろ」ってふと思ったときがあった感じです。

── 読書とかいろいろインプットがあって、なんとかなると踏ん切りがついた感じですか。

松本:
そうですね。やりたいことをやらずに後悔するよりやったほうがいいかなと。

自分の先が見えてきてしまって。同じ仕事を10年20年続けても、同じ業界にいる限り変わらんと思ったので。それもしんどいなとは思いました。

── そこで飛び込んでなかったら、今がないわけですもんね。

松本:
ないですよ。あっ、ひとつ思い出しました。

ヤフオクをやってみて、「何か物を売れば収入にはなるな」とわかったのは大きいです。

1万円とかもない、数千円くらいですけど。これをやれば、自分の力でお金を稼げるんだなとわかったのは大きかったですね。

── 「フルタイムでやれば生活していけるな」みたいな感じですか?

松本:
そこまでは思ってなかったですね。ただヤフオクによって、いろいろ手段があるなってことに気づけたのは大きいです。

ノマド的節約術を立ち上げた2011年のこと

── ノマド的節約術を始めた2011年5月から6月辺りは、公立高校の情報処理の授業のサポートもやられていたんですよね。

松本:
そうそう。高校の仕事をしていた同じ頃に、ノマドを始めたんですよ。ノマドが少し先ですね。

ドメインは、最初はサブドメインでやってました。その一年後くらいかな、独自ドメインに変えたのは。

── 最初のうちはサブドメインだったんですね。企画段階というか、なぜ今のように「お金」とか「節約」というテーマのサイトを立ち上げようと思ったんですかね?

松本:
お金のことをとりあえず書いていこうと・・・。

その前から、お金の本を読んだりとか、ブログとかは結構読んでたので。そういうのを自分もやってみようかなみたいなところからですかね。

── 「ノマド的節約術」という名前は最初からあったんでしたっけ?

松本:
最初からありました。

── いろいろお金の稼ぎ方を試行錯誤する中で「ブログをメイン事業にしたい」という気持ちは、その段階からあったんですか?

松本:
「ブログを」というよりは、ウェブサービスを仕事にしたかった。

── 自分でつくったサイトを。

松本:
エンジニアとして個人のウェブサービスをつくって、仕事にするみたいな。その収益元はアフィリエイトでもいいし。

それに付随する収入で暮らせたらなと思ってました。

独立する前はそれがやりたかったんですよ。

ライブレポートを投稿できるサイトとかつくってましたし、AmazonのAPIを使って、音楽CDのジャケットあるじゃないですか? あれについてコメントできるサイトとかもつくりました。

あとは、ゲームの敵キャラについて思い出を投稿できるみたいなサイトもつくってました。

── こいつにやられたとか。

松本:
そうそう。クリボーに対してコメントできるみたいな(笑)。

そういうのをつくってました。気づいたらちょこちょこコメント入ってたりしてましたけど。

今また考え直してそれやればもしかして当てられるかもなあ〜。

── それこそ当時バズったというか、いきなりそこからたくさん流入があったみたいなことはなかったですか。

松本:
ないですね。見てないですね、アクセス解析は。

── 2011年、高校の仕事をしていた頃もお金に困ってたんですか?

松本:
困ってましたよ(笑)。

── 高校のやつはまとまった収入にはならない感じ?

松本:
週3回で、時給900円だったので。月に7、8万ですね。

当時の収入は、それしかなかったんですよ(笑)。

でも同時に不用品を売ったりはしてたので、10数万はあったと思うんですけど。

最初の頃はものを売りまくってたから、月に2、30万くらいにはなっていたと思います。

── 引っ越し前の家にあった不用品ですか?

松本:
そうですね。引っ越し前の家のものを売りまくってた。

そんなことをしているうちに家が建ちました。

その頃に、会社辞める前ですけど、コワーキングスペースのことを知って、なんて言うんですかね、感度の高い人たちとたくさん出会えたことがすごく大きくて。

それこそ守岡さんと知り合ったのもこの頃、2011年だし。

当時はまだ日本でもあんまりコワーキングスペース自体なかったので。

ノマド的節約術の手ごたえ

── 家ができた頃には、ノマドを始めて半年くらい経ってるわけじゃないですか。その頃にはすでにノマド的節約術として、手応えとかありましたか?

松本:
ありました。めっちゃ手ごたえありました。

── おっ、そうだったんですね。

松本:
2011年のうちにはアドセンスで月何千円とか入るようになってきていて。

これすごいなって思ってましたね。

2012年1月は、ブログから1万8000円入ってきたんですよ。

── 12年の1月。

松本:
ノマドをつくって、半年ちょっと経った頃ですね。

自分の中では、結構いい感じでアクセスも増えてたし、「なんかすごいな」って感じることができてて。

このペースでやったら(ブログだけで)いけるんじゃない?みたいに思いましたよ。

うろ覚えですけど、月間1、2万PVはあったと思う。

切羽詰まっていた時期もあった2012年

── 2012年は、住み開きしてましたよね?

松本:
住み開きしてましたね。懐かしい(笑)。

ノマドにはあんまり書いてないと思うけど。

── プロフィールのところにチラッとそのお話が出てきますよ(笑)。

松本:
コワーキングスペースに行ってる中でよく聞いた話で、自分のオフィスを開放してるよって人が多くて。

家でそれやったらええんちゃうみたいなところから始めました。

月1、2回くらいイベント考えてやって。当時フェイスブックのイベントがすごい使われてたので、それを使って集客してました。

コワーキングスペースで知り合った人がうちに来てくれたり。そこで具体的に何かするわけでもないんですけど。

仕事したりとか、しゃべったりとかっていうだけでしたけどね。

── 2012年は、他にも何か仕事してたりしたんですか?

松本:
仕事、入ってきましたね。コーディングとか、開発の仕事もやってました。

── いわゆるフリーランスのエンジニア的な仕事もしてたってことなんですね。

松本:
そうそう。でも2012年の1月2月の段階では仕事って何もなかったから。

高校の授業を手伝う仕事も2月末で終わるって最初から決まってたんですね。

だから「いよいよやばいな」ってなってきてましたね。

前と同じ働き方に、業務委託として戻ることもちょっと考えてました。

結構、切羽詰まってたなあ。

── そこはどう切り抜けたんですか?

松本:
3、4月は開発の仕事をして。

── ちょうど友だちが仕事をくれたみたいな感じですか?

松本:
そうですね。ブログとか書きつつ、ものを売りつつでした。

仕入れとかもやってたんですよね。いわゆるせどり。そういうのでちょっと稼ぎつつ、開発の仕事を持ってて。

── じゃあ2012年は、だんだん稼げるようになってきたとはいえ、あんまりまとまった収入がない状態だった。

松本:
前半はそうですね。開発の仕事は入ってきたのはいいけど、入金って終わって数ヶ月後じゃないですか。

数ヶ月何も仕事がなくて、収入0円ですよ(笑)。それが結構やばかったですね。

貯金も、あんまりなかったし。

家を引越して、新しいところになったから、なんやかや出費が出ていくし。

── それでも業務委託みたいな形にはならなかったんですね。

松本:
そうですね。その頃から守岡さんに仕事もらってたのかな、たしか。

── コーディングとか?

松本:
メルマガをブログにしようみたいな話になって、それの更新料とか。

開発の仕事がひと段落して、ブログもまだそんなに伸びてない段階で、次の仕事がなかったから、どうしようと思って。

ただ、物売りはずっと続けてて、不用品とか仕入れのコツもつかんでたので、本格的にやってみようかなみたいに思ったのが6月7月くらいで。

── 逆に言うと、2012年後半は物販である程度お金が回り始めてたってことですね。

松本:
いけてました。7月8月くらいから10万単位とかで仕入れるようになって、その分は回収できてたので。

── じゃあ金銭的な面でも大変だったのは、2011年後半から2012年前半くらいってことですか?

松本:
うん。多少つらかったのは辞めてから1年ちょっとくらい。

でも、それもそこまで・・・精神的に切羽詰まってたって感じじゃなくて。

「なんとかなるやろ」という感じで(笑)。

── なんとかなってるからすごいですよね(笑)。なんとかなった末に、ノマドも今のように大きなサイトになってるし(笑)。

松本博樹2

ブログ運営一本に決めた2013年

── 2013年になって、まあ物販・転売だけでやっていくのは大変だぞと感じて。で、伸び始めていたブログ運営に注力しようと思ったんですよね。

松本:
1年が始まって、3月が終わった時点で物販の売上が毎月100万以上あったんですよ。このペースやと年間で1000万超えちゃうから消費税取られるなと思って。

それやったらちょっと抑えて、サイト運営をしっかりやってみようかなって。もともとはそれをやりたかったので。

その決意をしたのが2013年3月ですね。

一年間とにかくやってみようと。

やってダメだったらまた別のことすればいいし。

── その時は、1年間やろうっていうのは「ノマド一本で」と決めてたんですか?

松本:
ノマドとは別に株主優待のサイトをつくってて、そのサイトが当たったらいいなあと思ってましたね。

結果的にはノマドが当たりましたけど。

── そこから半年くらいでサイト上の収益だけで食えるようになったわけですもんね。

松本:
半年でいけました。運がよかったです。

でも、それまでの積み上げとか知識とかもあったから。

── サイト運営という意味では、今までの知識をうまくそこに集約させていったからこそ短い間で結果が出たってことですかね?

松本:
2012年、2013年から数えたら短いですけど、結果出たのは10年越しですからね。

あとは、コワーキングスペースのつながりで、実際すごい結果出してる人に会えたりとか。

アフィリエイターさんの知り合いも増えて、家で住み開きイベントしたときに来てくれたりとか。

そういう人と何回か会って話聞いたりとか、アドバイスしてもらったりとか。それが大きかったと思います。

当たったのは、クレジットカードの記事で。

── それこそはてなのホットエントリとかですか?

松本:
検索流入。1ページ目に来てたので。

── へぇ! ワードはなんですか?

松本:
今はなくなったんですけど、あるクレジットカードの商品名で1ページ目でしたね。

当時1件4,000円で広告が出てて。

気づいたら毎日1件くらい報酬が発生するようになって。

── すごい。

松本:
7月終わりくらいからぽつぽつ申し込みが出始めて。

その次の8月は月50件くらい出てました。

だから「あっ、これで食えるやん」ってなって。

4000円の50件だから20万円ですよね。

他にも似たようなカードがあったから、同じような構成で記事を書いたらまたそれも当たって。

そういう横展開をちょっとずつ広げていって、一気に伸ばしましたね。

一回伸びてからは、早かったです。

2014年から現在まで

── そこからは今現在2017年に至るまでずっと伸び続けた感じで。

松本:
ありがたいことに長い目で見たら、右肩上がりですね。

2014年1月に初めて100万円超えて、そこからはずっと毎月100万円以上は売上があって。

それはやっぱり嬉しかったですね。ひとつの到達点じゃないですけど。

あとは2014年に法人化しましたね。

── 食えるようになったのが2013年8月で、2014年1月には月100万円。伸び方がエグいですね(笑)。

松本:
あっという間でした。

── クレジットカードのなんとかカードで1ページ目を取ろうとしたらすごい大変じゃないですか。いろんなアフィリエイターやブロガーがそれをやろうとしているけど、そう簡単にはできるものじゃないと。

松本:
そうですねえ。

── 今、松本さんが当時の自分を分析してみると、そんな中で1ページ目をどんどん取れていったのは、ノマドは何が強かったんですか。

松本:
当時は他にやってる人がいなかったですからね。

── あっ、そういうことなんですね! つまり、先行者利益ですか?

松本:
先行者利益はすごくありますね。

── なるほど。

松本:
僕みたいなクレジットカードとかで記事を書くタイプの人がいなかったんですよ。

── 情報サイトとか比較サイトみたいなものばかりだったんですね。

松本:
比較もそうだし、いわゆるアフィリエイトサイトばっかりだったので。

僕みたいなタイプの人がいなかったです。

いろんな選択肢があったほうが検索する人にとってもいいだろうと思ってやってましたね。

── ブログスタイルの、読み物になってるタイプのサイトってことですよね。

松本:
そう。そのあとで、似たような書き方する人はめちゃくちゃ増えましたけどね。

当時ほんまにいなかったです(笑)。

たまたまですけどね。それがうまくいくとも思ってなかったし。

さいごに。コミュニティをつくりたい

── そろそろお時間なので締めたいのですが・・・最後に、今後新たにやっていきたいことってありますか?

松本:
今の仕事を淡々と続けたいのがまずありますね。ノマドもそうだし、おみやもそうだし。

── 極論ですけど、ノマドくらいの規模のサイトがいくつかあるといいですよね。おみやも成長して。

松本:
うん。アクセス数で見たら、可能性はあります。売上はノマドと同じくらいまで伸びることがあるかどうかわからないけど(笑)。

自分の中では、サイトの運営とかメディア運営が向いてるんかなとは思います。ただ、ずっとそれだけでは収益構造としてまずいよなとも思ってるので。

そういう意味では、サイト以外の軸として自分を中心としたコミュニティをつくりたいという気持ちはありますね。

── コワーキングスペースとかゲストハウスとか、場所を持つという手段もありますよね。

松本:
それやりたい気持ちありますね。

── それはやりましょう、僕も泊まりに行きたいですね(笑)。やるなら神戸ですか?

松本:
どの地域がいいというのは明確にあるわけじゃないけど・・・自分がどこでやりたいかというよりは、出会いがあればという感じで。

出会い次第。イベントも開ける場所にしたいですね。

── やっぱり宿泊できるところがいいですよね。

松本:
ちょうど2014年から、ゲストハウスのサイト「ふらっと」もやってるし。

ゲストハウスって、実際自分が泊まっても、夜通し話して、深い話になりやすいです。

初めての人でも、一発で仲良くなれたりする。そういう雰囲気がつくれる場所を自分で運営できたらいいなぁとは思いますね。

── そうですね。そこのつながりとか、そこで人がつながって何かがまた生まれますよね。

松本:
今でもゲストハウスきっかけで知り合った人と仕事してたりとかありますからね。

── ではそんな感じで、ノマド的節約術の次の展開としては、ゲストハウスみたいな「場づくり」をやるということで。

松本:
実現するかわからないですけどね(笑)。
よい出会いがあれば、やってみたいことではあります。

── では最後となりましたが・・・ぜひゲストハウス・コミュニティスペースを松本さんと一緒にやりたいという方がいたらご連絡ください!(笑)。

松本:
よろしくお願いします(笑)。

過去3回の半生インタビューはこちら

参考:詳しいプロフィールはこちら

電子書籍化しました

その後、この全4回のインタビューを未公開分と合わせてまとめて電子書籍化しました。記事で紹介しきれなかった文章も一部含まれています!

また、2018年3月に新しくインタビュー・鼎談した文章も含めて1冊にしていますよ。

個人的にはその新しくインタビューしていただいたところと、くいしんさん・F太さんと未来予測について話したときの文章がおもしろくておすすめです!

参考:ノマド的節約術の本その8 松本博樹のヒストリーインタビュー

ノマド的節約術の裏話

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この記事を書いた人

フリーの編集・ライター・PR。「灯台もと暮らし」編集部。1985年、神奈川県小田原市生まれ。高校卒業後、レコード店員、音楽雑誌編集者、webディレクター、web編集者を経て、個人事業主に。お金の価値観は「使って回そう」。ノマド的節約術では主にインタビュー記事をつくっています。