頭と心を整理するために、どんな方法を使っていますか?
私はやることが多くて頭が爆発しそうなとき、マインドマップを描いています。
マインドマップを描く行為は「思いついたことから好きに書いていく」という単純なものながら、自分の本当の気持ちを探り当てたり、思わぬアイデアが出てきたり、忘れていたことを思い出せてくれたり。
今回はマインドマップや、マインドマップに近いKJ法やマンダラチャート、無料から安価で使えるマインドマップアプリの活用法について書きたいと思います。
マインドマップとは?
英国のTony Buzan(トニー・ブザン)氏が提唱した「頭の中に浮かんだことを可視化する思考方法」です。
紙の中心にメインタイトルを書き、そこから放射状に色とりどりの線や絵を描いてイメージを広げていくもの。
アイデアが浮かびやすくなったり、記憶しやすくなったりするため、会議や勉強、読んだ本の忘備録などでもよく使われています。
手描きとデジタルの違い
提唱者のトニー・ブザン氏は「色を3色以上使う」「絵を多用してイメージしやすいようにする」ということを推奨していますが、外出中に手描きするときは、なかなか3色使い分けることも、のんびり絵を描くこともできません。
そんなときは黒一色で、放射線上にイメージを書いていくだけでも、今あるアイデアを書き留めることができると思います。
「とにかく手を使って描くことに意味がある」という考え方は、古くから言われていることなので、記憶を体に刻む意味でも、勉強などによさそうですね。
他にもたとえば手帳のメモページにマインドマップを描ける場所を設けておくのもおすすめです。隙間時間に頭の整理ができて、すっきりした気持ちで次やることに取りかかれます。
一方アプリを使うと、ワンクリックでさまざまな色を選べますし、数多くのアイコンの中から選んだり、写真を貼り付けることも簡単。
ゲーム感覚で頭の整理ができてしまいますね。
プロジェクトプランとして仕事仲間と簡単に共有でき、カラフルで見栄えするプレゼン資料が、自分の頭の整理をしながら楽につくれます。
そういう意味ではデジタルに軍配があがるかもしれません。
マインドマップは深く考えず、ただ「頭の中にあふれたことを描き出せる」ことができるのが一番だと思います。
手描きかデジタルかは、用途や自分の感覚、たとえば「速さ」「やりやすさ」「使いやすさ」で決めていいのかもしれません。
おすすめマインドマップアプリ(Mac版&iPhone版)と使い道いろいろ
最初のうちは手描きがおすすめですが「デジタルのほうがきれいに描けるから好き」という方も多いかもしれません。数あるマインドマップアプリの中から、私が実際に使ってみたものをご紹介します。
SimpleMind Lite
無料で試しに使ってみることができるマインドマップとして、まずはこのSimpleMindが機能がシンプルでよいと思います。ちなみに有料版は3,600円。
無料版は印刷に弱く、エクスポート機能もありませんが、入門編として描いてみる分には、充分な機能が揃っていると言えるでしょう。
有料版ならエクスポート機能やシェア機能が使えます。
スタイルシートもいろいろありますが、下の画像のように形よりも色が変化していくもの。私もある日のToDoを描いてみました。
こんな感じに放射状に思うままに描いていくことができます。
マインドマップに慣れている人に聞いたところ、人間の脳は、最初にインプットした色で覚える傾向が強いそう。それを踏まえると「最初にスタイルシートをしっかり選んでから描き始めるのがおすすめ」だそうです。
MindNode2
AppleのAppStoreでイチオシされているのが、この『MindNode』。2週間無料で、有料版は4,800円。
以下の写真は、わたしが実際に描いてみたものです。
バージョン2もありますが、OS11以降を使っている方はバージョン5を選ぶことも可能。
2から5へのアップグレードの場合は1,800円、新規で5を買う場合は4,800円になります。
5のフルバージョンは2週間無料でトライアルできるので、肌が合うかどうか試してみるのも良さそうですね。
通常「マインドマップアプリは情報量が多くなるので重くなることが多い」と言われていますが、このMindNodeは軽くて動作も軽快なのが特徴です。
PDFや画像などの書き出しも簡単で、Excelやテキストとの連携もできます。線を動かしづらいのでたまに手こずりますが、機能的にはシンプルで見やすいアプリではないでしょうか。
有料版のMindNodeは、iPhoneやiPadなどのタブレット端末とMacの同期がリアルタイムなので、「タブレット端末の画面を見ながらMacで記事を書く」といった使い道がやりやすくてとても便利です。
iMindmap 10
iMindmap 10は、マインドマップを考案したトニー・ブザン氏公認のマインドマップ作成ソフトです。
フリートライアルは7日間で、メール申請をすることにより、もう7日間延長することができますよ。
有料版Home&Student版は11,800円。Ultimate版は27,000円。Ultimate Plus=トニーブザンスペシャルエディションパック 44,000円。マインドマップ発明者トニー・ブザンによる英語版DVD3枚組が付属しています。
トニー・ブザン氏公認というだけあって、線の自由さや種類、自在に選べるイラストサンプルなどが多く、より脳に訴えかける見やすいマインドマップを手軽に描けるアプリ。
私は普段時間がないばかりに、フローチャートや箇条書きのようなマインドマップで終わりがちですが、このアプリを使うと簡単にカラフルにできますよ。
現在はトライアルでUltimate版の機能を使っていますが、これまでのマインドマップと違ってできることが多くて驚いています。
たとえば、普通のマインドマップ画面でおせちづくりの工程を簡単に描いてみました。
現在私は妊娠8ヶ月で安静を命じられている妊婦なので、あまり凝ったおせちはつくれませんでしたが「とりあえず家にあるもので」と頭の中のおせちづくりをアウトプットしてみました。
これを家族に見せて全体像を共有してもらい、「これとこれをこう切って」と伝えて手伝ってもらえたのでとても助かりましたよ。
また、iMIndmapはブレインストーミングモードもあり、KJ法という発想法にも応用できます。
KJ法とは、元東京工業大学教授の文化人類学者である川喜田二郎氏が考案した技法で、情報を整理するためにフセンを活用して、それぞれ張り替えながら全体を整理しながら俯瞰していくもの。
流れとしては、
- 思いついたことをバラバラに書いていく
- グルーピングする
- 並び替えて整理する
- 文章にして整理していく
という順番で思考を見通しやすくしていきます。
フセンとペンさえあればできますが、どこでもデジタルでもササっとできるのは便利ですよね。
他にもKJ法を実践できるアプリはたくさんありますが、iMindmapではマインドマップのアプリに組み込まれているだけあって、ボタンひとつでこのままマインドマップに変換できます。
その流れがとても面白かったですよ。
私は先日「あ、おせちの仕込みのタイムスケジュール、どうしようかな」と悩んだときに、マインドマップを描くためのメモのように使ってみました。
Home&Student版とUltimate版の最も大きな違いは、基本機能に加えて、タイムマップビューやフローチャートや3Dビューなどの機能があるかないか。
また、Ultimate版になると出力形式が増え、WordやExcelやPDFやWeb形式に簡単に変換できるうえ、1ユーザーにつき2台にインストールが可能になります。
それでも・・・やっぱり高価ですよね。
2017年12月は、月の頭に40%オフセールをやっていて、年末は25%オフになっていました。このアプリの購入を考えている方は、時々ウェブサイトをウォッチするといいかもしれません。
Scapple
Snappleはマインドマップアプリとはまた少し違う位置づけなのですが、マインドマップがとっつきにくい人にも使いやすいと感じたので、一緒にご紹介します。価格は1,800円。
このアプリは、有名な文章作成ツール「Scrivener」の弟分です。
長文の構成を練りながら執筆していくScrivenerではなかなかできなかった、アイデアまでいかない切れ端の発想を吐き出し、分類して整理していけるアプリ。
マインドマップにならないくらい頭がこんがらがったときにも、思考を整理する手助けになってくれます。
箇条書きでも文章のかたまりでも遠慮なく書き込めて、枠で囲ってまとめて、移動させて分類して、整理して並べ替えられますよ。
「つまりこういうことが言いたいの」と人に伝える時に、時にマインドマップよりも文章寄りでわかりやすいこともあるかもしれません。
私は、子供に「夜ごはんのつくり方」を教えるときに使いました。
これをプリントアプトして、「取りかかる順番」と「かかる時間」を話しながら書き込んで作っていきましたよ。
使い方もとても簡単。
最初はただ真っ白なキャンバスなので、思い浮かぶ単語や文章をいくつか打って、線でつなげたり、消したり、順番を変えてみるだけ。
自在に動かせるので毎回全く違うシートがつくれます。
72Actions
マンダラチャートというものをご存知でしょうか?
マンダラチャートを描くと、9×9のマス目で思考の整理をしながら、目標達成までのタスクをいつでも見渡すことができます。
72Actionsは、価格360円。
まずセンターにテーマを書き、周りの8マスにそのための大きな要素を書き、今度は、その要素をセンターにしたもう8マスで、目標を叶えるための詳細を描いていきます。
そうすると「こうなりたい」から「そのためにはこれを積極的にがんばろう」といつでも見渡しやすく、モチベーションを保ちやすいのだとか。
「二刀流」で知られる大谷翔平選手も、高校生のときに「プロ野球選手になる」という目標を掲げて、マンダラチャートを描いて使っていたそうです。
世に広まっている大谷さんが書いたというマンダラチャートを、72Actionsで再現してみました。
「大きな目標がなければ使えないのかな?」と思う方もご安心ください。日々のタスクをメモするのにも使えるかもしれません。ためしに私も2017年末、12月29日のToDoを入れてみました。
描いてみましたが、年末であるということも手伝って「まだこんなにやることがあるのか」と笑ってしまいますね(笑)。
マンダラチャートは「ある1日」のような短期ToDoではなく、せめて1週間から1ヶ月間くらいのことを俯瞰するのに使ったほうが精神によさそうです。
マインドマップの使い道いろいろ
「マインドマップはどういうことに使うの?」と子供に聞かれましたが、まさに「なんでも自由。描いてみればわかるさ!」と答えました。
わたしはそんなふうに本気で思っているのですが、それはそれであまりに突き放し過ぎなので(笑)、実際に使いやすい例をご紹介します。
- スケジュール管理
- 目標設定
- 日々のタスクをまとめる
- 読書記録
- ひとりブレインストーミング
- 子供に料理の行程を教えるとき
- 発表準備のための頭の整理
- 企画のプレゼン
- 議事録やセミナーで学んだことの記録
- 人の話を深く理解して広げたいとき
- 自分の思考の癖を他人事のように手放したいとき
まとめ
マインドマップアプリは、他にも『Xmind』や『FreeMind』といったものが続々出ており、フリーのものも数多くあります。
機能を充実させたMindMisterのようにサブスクリプション(月額制)のものもあり、選んでいるうちに沼に沈むように迷う方も多いかもしれません。
ただ、マインドマップをつくる本来の目的は「頭の中身をすっきりさせたい」というものなので、試して自分が見やすければいいでしょう。
私は「書けるスピード」「書くスペースの広さ」「ツールの使いやすさ」が大事なのかなと感じています。
「近くにあるメモに走り書きして済ませてしまう」ということも多いかもしれませんが、少しずつ生活の中にある各場面で使い分けて、描くことをもっと楽しめたらいいですね。