こんにちは! 『灯台もと暮らし』編集長の伊佐知美です。
先日、北アフリカのモロッコ・シャウエンに行ってきました。
シャウエンは、街全体が青く塗られている「青い街」として、世界的に有名な観光地です。
この記事では実際にシャウエンにたどり着くまでの方法を紹介します。旅慣れたほうだとはいえ、これはなかなか手間取ったので、私の身に起こったことをまとめて記載しておきますね。
シャウエンってどこ?
ここです。モロッコの北側、スペインに近い山奥に位置します。
ちなみに、日本国内での通称はシャウエンですが、モロッコでは正式名称である「シェフシャウエン」が一般的な呼称。
交通経路の行き先も、モロッコ国内ではすべて「シェフシャウエン」で統一されているため、この記事でも以下シェフシャウエン、と呼び方を統一させてもらいます。
むしろなぜ、日本人はシャウエンと略して呼ぶのでしょうね? 中国や韓国から来ていた旅行客の方たちもシェフシャウエンと呼んでいました。
日本からシェフシャウエンへの行き方
まず、日本からモロッコに入るのは、簡単。直行便はないため、中東のUAEやヨーロッパの各都市を乗り継いで、首都のカサブランカに入るのが一般的です。
シェフシャウエンは、首都カサブランカからフェズという国内第2の都市に移動して、そこからさらに陸路で移動する必要があります。
フェズからシェフシャウエンまでの交通手段は3つあり、以下。
- [1]民営バス
- [2]国営バス「CTM」
- [3]タクシーチャーター
私はフェズに着いてからバスチケットを手配したのですが、安全面、正確性、節約の観点から考えて、[2]の国営バス「CTM」を選びました。
つまり……私が実際に使ったルートは以下。時間も一緒に記載してみます。
- 日本・成田→UAE・アブダビ(飛行機・11時間)
- アブダビ→モロッコ・カサブランカ(飛行機・7時間半)
- カサブランカ→フェズ(電車・4時間)
- フェズ→シェフシャウエン(バス・4時間)
総移動時間、なんと約26時間……。なかなか遠いですね。
ただ、シェフシャウエンはその時間をかけてでも行く価値があると思います。
100年ほど前までイスラム教の聖地として一般人の立ち入りが禁止されていたこともあってか、空気が澄んでいるとても美しい場所でした。
フェズからシェフシャウエンまでのバスチケットは、オンライン手配できる!はずが?
さて。気をつけるべきはフェズからシェフシャウエンまでのバスチケットの手配方法です。
なぜかというと、私は事前にオンラインチケット手配ができることを知っており、フェズからシェフシャウエンへ行く旅程もとくに決めていなかったので、直前までチケットを手配していなかったんですね。
まぁ、こんな旅程の人はなかなかいないかもしれませんが、続けて聞いてください。
さぁいざチケットを予約しよう、と国営バス「CTM」の公式サイトを開いたら、なんと予約がオンラインで完結しなかったんです。
理由は今でも判然としないのですが、とにかくクレジットカード決済がうまくいかず、途中で止まってしまうのです……。
で、しかも公式サイトはフランス語、アラビア語、英語の3言語対応なのですが、なぜか英語に切り替わらなくてフランス語のまま予約を進めるハメになっておりました。フランス語なので「なぜ決済が終了しないのか」の理由が読めない。Google翻訳を使ってもわからない。
「これはだめだ」ということで、バスターミナルの受付まで行って、紙のチケットを直接発券してもらおう、と考えました。
フェズの旧市街・バスターミナルで直接チケットを買う方法
フェズの観光の目玉は、旧市街の街並みです。そのため、私を含む多くの観光客の人が、フェズでは旧市街に滞在することになるかと思います。
フェズ市内のバスターミナルは、新市街と旧市街の2つ。旧市街のバスターミナルは、旧市街の中心「ブルーゲート」から徒歩5分程度の場所にあるため、迷うことはないと思います。
念のため、場所はこちらです。
バスターミナルでやることは、おもに以下の3つ。
- 広いバスターミナルの中からCTMの受付カウンターを見つけ出す
- 受付カウンターで、実際にシェフシャウエン行きのチケット(できたら往復)を無事に購入する
- 当日の集合場所、出発場所の確認
受付カウンターは、入り口を入って数メートル進んだ先の、左手側にあります。少し奥まった場所にあるので、わからなければ近くの人に「CTM」と言ってください。それだけでみんなわかってくれます。
もしくは、この場所にたどり着くまでに最低5人くらいには話しかけられているはずなので、その人たちに聞いてください。大丈夫です、多少据えた匂いがするバスターミナルではありますが、話しただけで取って食われはしません。みんないい人です。
受付の方は英語が通じる上に非常に親切で、往復チケットを発券するほか、以下を教えてくれました。
- 当日の集合時間と集合場所
- 預入荷物がある場合は、別途5ディルハムが発生すること
- 5ディルハムは、当日運転手に現金で払う必要があるので、小銭を用意しておくこと
- 発着時間は前後することがあるので、時間に余裕を持っておくこと
これはすごく助かりました。もしオンライン決済ですませていたら、知らなかったことばかりだったので。おかげで翌日、安心して出発時間を迎えることができました。
ちなみに、出発当日はCTMのカウンター近くで「シェフシャウエン〜〜〜!」とおじさんが叫び出すのを待っていてください。
時間がくると「CTM!? CTM!?」「シェフシャウエン!?シェフシャウエン!?」と何人かが叫びはじめます。それが乗車の合図です。びっくりしないでください。ただの呼びかけです。
実際のシェフシャウエンまでの行程の様子
これは毎回かどうかわからないのですが、私はなぜかフェズ新市街のバスターミナルで一度バスを乗り換えました。
もちろん、始発はフェズの旧市街。そこからフェズの新市街のバスターミナルに移動し、バスを一度乗り換え、そこから2度の途中休憩を挟んで、4時間かけてシェフシャウエンにたどり着いたという流れです。
休憩場所は、1度目は日本でいう高速のサービスエリアのような場所。簡単な売店とレストラン、トイレがあります。
その後は、シェフシャウエンの前に停車する小さな街で10分ほど。ここは乗降客の待ち時間がメインのようなので、トイレ休憩はありません。
尚、シェフシャウエンは経由地で、タンジェというさらに北の町が終着場所なので、間違えて終着まで行かないようにしましょう。
……ちなみにこれは本当に余談なのですが、いまさらりと話しているこの「シェフシャウエンは経由地なので」という話。
私、じつはこれを知らなくてですね。
てっきりシェフシャウエンが終着場所だと思い込んで、CTMのバスチケットを手配していました。
で、当日「シェフシャウエン〜!」と叫んだおじさんについていって、言われるがままに新市街ターミナルでバスを乗り換え、そして2度の休憩を挟み……という中で、突然この上記の写真の様子に気が付いたんですね。
つまり「このバスはフェズ発、タンジェ行きだ」ということに、乗車途中で気がついたということです。血の気がさーっと引きました。完全にアホですよね。
「そういえばこのバスは、本当にシェフシャウエンに行くのだろうか……?」と思い、恐る恐る隣の人や、バスの運転手さんに確認。
「大丈夫、シェフシャウエンにきちんと止まるよ〜もうちょっと待っといてな〜」のような軽い返事に心底安堵。
海外では、バスや電車、飛行機の行き先は絶対に確認しましょう。しつこいくらいでいいと思います。
……こんな感じの人でも、無事にモロッコ旅に行って帰ってこられるので安心してください。という実体験でした。では本筋に戻って、話を進めます。
帰りはシェフシャウエンのバスターミナルからフェズ新市街へ
時間に余裕がある方は、シェフシャウエンからタンジェへ向かい、そこからフェリーでスペインのアルヘシラスに渡ってもおもしろいと思います。
なんといっても、タンジェは旅人の間で愛され続けている小説「アルケミスト」の舞台ですからね。その代わり治安はあまりよくないと聞きますから、行く際はお気をつけて。
私はそのまま、フェズに戻りました。帰りは新市街のバスターミナルに到着します。そこから旧市街に戻るには、タクシーまたはローカルバスに乗りましょう。
シェフシャウエンは町全体が完璧に青いわけじゃない
じつは私は、この街に到着するまで、なんだかすごく疲れていて夜もあまり眠れませんでした。
でも、シェフシャウエンで2泊したあと丘に登ったらすごく気分がすっきりとしたんですね。理由は、ここが元聖地だからなのか何なのか、ただの時差ボケだったのかは今でもわかりません。
ただの偶然かもしれませんが、人生にとても前向きになれた瞬間だったので、非常に思い出深い土地となりました。今でも、もう一度行きたいなぁと思っています。
でも、どんな旅先でも同じだとは思うのですが、写真で見たときはすごく素敵だったけれど実際に行ってみたらそうでもなかった、って結構「あるある」だと思うんです。
シェフシャウエンもきっと一緒。以下のような、普通の場所もたくさんあります。
何が言いたいのかというと、「切り取るときれい」な場所は世界にたくさんありますが、感じ方は人それぞれですので、あまり夢を抱きすぎず「実際にその場所を自分で確かめる気持ち」で旅をしてもらえるとうれしいなぁということ。
いえ、すごくオススメな場所だけに、なんというか幻想の部分だけ伝わってしまったら悲しいなと思ったのです。
私は「アナザースカイ」という番組が好きでよく観るのですが、いつか私も自分のアナザースカイを聞かれたら、モロッコのシェフシャウエンがいいなぁなんて思うくらい好きな場所でした!
では、また次回。
モロッコ、ぜひ行ってみてくださいね。その時は、ゆったりした気持ちと時間の余裕を忘れずに。