残暑見舞い(ざんしょみまい)は、暑中見舞いや年賀状などと同じで、日本独自のあいさつ状です。
とはいっても、年賀状に比べると残暑見舞いは送ったりもらったりすることが少ないですよね。
そのため、上司や取引先などに残暑見舞いを出す必要が出たとき、どのように書けばいいのかがわからなくて、困ってしまいます。
さらに、送る相手によって内容も変えた方がいいのかどうかもわかりませんよね。また、「残暑見舞い」と「残暑お伺い」の違いも気になってしまいます。
そこで、このページでは残暑見舞いの書き方や、シーン別の例文を写真付きで詳しく紹介します。

残暑見舞いとは?暑い時期の相手の体調や健康を気遣うならわし
残暑見舞いの書き方の前に、残暑見舞いとはどんな習わしなのか、いつ出せばいいのかが気になりますね。
まずは、残暑見舞いの意味や出す期間について紹介しますよ。
▼残暑見舞いは、「立秋」という日を過ぎてから出すはがきのことです。

残暑見舞いは、だいたい立秋から8月末日までに出します。
ただし、地域によっては9月上旬まで残暑見舞いを出すことがありますよ。
厳しい暑さを迎える時期なので、相手の体調や健康を気遣うために残暑見舞いを出します。
なお、立秋より前に出すものは「暑中見舞い」と呼びますよ。
立秋の日は、毎年前後します。
2020年(令和2年)の立秋、つまり残暑見舞いを出しはじめる日は、8月7日(金)になりますよ。
また、郵便局では、残暑見舞い・暑中見舞い向けはがき「かもめ〜る」というのを販売しています。
かもめ〜るは、年賀状のような「くじ」が付いているのが特徴です。
参考として、2019年(令和元年)の販売期間・くじの当選発表を紹介します。
かもめ〜る販売期間 | 2019年5月30日(木)~2019年8月23日(金) |
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くじの当選発表 | 2019年9月2日(月) |
くじの引き換え期間 | 2019年9月4日(水)~2020年3月2日(月) |
残暑見舞いのはがきの選び方
残暑見舞いがどんなもので、いつ出せばいいのかわかったら、今度は残暑見舞いに使うはがきが気になります。
ここからは、残暑見舞いのはがきの選び方を紹介しますよ。
残暑見舞い向けのはがきの種類は、おもに以下のとおりです。
- 郵便局が販売する残暑見舞い用はがき「かもめ〜る」
- 郵便局以外の残暑見舞い用私製はがき
- 一般用のはがき
- 手づくりのはがき
- 手紙(封筒)
▼なかでもおすすめなのが、郵便局が販売する残暑見舞い用はがき「かもめ〜る」です。年賀状のように、くじが付いています。


▼かもめ〜るには、以下3種類があります。
- 絵柄と文章入り
- 絵柄のみで文章なし
- 無地

なお、郵便局以外のはがきは、切手を貼り忘れないようにしてくださいね。
ちなみに、残暑見舞いのはがきに決まりはありません。
しかし年賀状・寒中見舞いなど、別の用途向けのはがきは使わないようにしましょう。
あまった暑中見舞い用のはがきも使いませんよ。
絵柄付きの場合は夏らしい写真やイラストのはがきを使おう![]()
絵柄+あいさつ文+本文のタイプ(左)と、絵柄+あいさつ文のタイプ(右)

絵柄付きのはがきを選ぶ場合は、夏らしい写真・イラストにするがおすすめです。
残暑見舞い向けのはがきは、もともと夏らしい写真・イラストが描かれていますよ。
しかし、用途が限定されないはがきの場合、夏にふさわしくない写真・イラストは、選ばないようにしましょう。
桜やコスモスなど夏以外の花がうつっていたり、紅葉や雪景色などのように夏には見られない風景だったりしたらおかしいですよね。
残暑見舞いの宛名面の書き方
はがきを選んだら、いよいよここからは、残暑見舞いのはがきの書き方について紹介していきますよ。
まずは、宛名面からです。
▼残暑見舞いの宛名面は、一般的なはがきの書き方と同じですよ。

1 | 相手の郵便番号 |
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2 | 相手の住所 |
3 | 相手の氏名(宛名) |
4 | 自分(差出人)の住所 |
5 | 自分(差出人)の氏名 |
6 | 自分(差出人)の郵便番号 |
年賀状の場合は、「年賀」と書く必要がありましたが、暑中見舞いと同じく残暑見舞いでも何も書く必要はありませんよ。
残暑見舞いの本文の書き方
宛名面のつぎは、残暑見舞いの本文の書き方を紹介していきますね。
▼残暑見舞いの基本的な本文の構成は、以下のとおりです。

1 | 冒頭文 |
---|---|
2 | 相手を気遣う文章 |
3 | 自分の近況・相手へのお礼 |
4 | 相手の今後を気遣う文章(結び) |
5 | 日付 |
順に詳しく紹介していますよ。
冒頭文「残暑お見舞い申し上げます」を書く
まずは、冒頭文からですよ。
冒頭文は、お決まりの一文です。
▼「暑中見舞い申し上げます」と同じく、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
少し大きめの字で書くと、わかりやすくておすすめです。
ただし、目上の人に出す場合は「残暑お伺い申し上げます」と書くと、よりていねいですよ。
なお、文章入りのはがきの場合、「残暑お見舞い申し上げます」とすでに入っていると思います。
その場合は、そのまま「残暑お見舞い〜」で出してください。
冒頭文のあとに、相手を気遣う文章を書く
冒頭文が書けたら、本文を書いていきましょう。
本文の出だしは、相手の現在の状態を気遣う文章を書きます。
残暑見舞いの目的は、暑い時期を過ごしている相手の体調・健康を気遣うものだからです。
▼たとえば、以下のような文章ですよ。
晩夏の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
厳しい暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
なお、このときに時候のあいさつを入れると、文章がきれいになりますよ。
いっぽう、友達など身近の人へ時候のあいさつを書くと、少し堅い印象になります。
ちなみに、時候の挨拶の部分は「晩夏の候、ますます〜」の一文です。
時候の挨拶には「残暑の候〜」や、立秋に近い時期なら「立秋の候〜」など、何パターンかありますよ。
自分の近況や相手へのお礼などを書く
相手を気遣う文章の次には、自分の近況を書きましょう。
相手もこちらの状況が気になっているかもしれません。
このとき、近い時期に相手から何かしてもらったり、贈り物をもらったりしていたら、そのことに関してのお礼を書くと印象がよくなります。
▼たとえば、以下のような文章ですよ。
また、先日はお心のこもったお品をお送りいただき、ありがとうございました。
ビジネスで残暑見舞いを送る場合は、連絡事項や簡単な宣伝などを入れてもいいでしょう。
相手の今後について気遣う文章で結ぶ
最後に結びの文章です。
残暑といっても、変わらず暑い日が続く状況です。
相手のこれからの状況を気遣う文章にしましょう。
▼たとえば、以下のようになりますよ。
日付を記す
本文が書けたら、本文から離れた端のほうに日付を書きます。
日付は書いたその日を書かなくて構いません。
▼以下のように日付を書いてくださいね。
「晩夏」の部分は残暑見舞いを書いた月(8月、9月)を書く場合もありますよ。
また、立秋に近い日の場合は「立秋」とすることも。
なお「年」は、残暑見舞いなどでは和暦(元号)で書くのが一般的です。
西暦でも構いませんが、西暦で書く場合はまれですよ。
イラストを描く
無地のはがきの場合、文章だけではさみしいので、イラストを入れてみてはいかがでしょうか。
もちろん、夏らしい絵柄にしてくださいね。
写真でもOKです。
もともとイラストや写真入りのはがきでも、空きスペースがあればイラストを入れてもいいですね。
残暑見舞いのシーン別の例文
残暑見舞いの書き方がわかったら、ここからはシーン別に例文を紹介していますね。
実際に残暑見舞いを書くときの参考にしてみてください。
ビジネス(顧客・取引先)向け
まずは、ビジネスシーンで顧客や取引先向けの例文から紹介しますね。
▼顧客や取引先向けの残暑見舞いの例文は、以下のとおりですよ。

残暑お見舞い申し上げます。
晩夏の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てをたまわり、厚く御礼申し上げます。
さて、当店では8月10日~8月31日の間、全商品40%オフのセールをおこないます。ぜひ皆様お誘い合わせの上、ご来店ください。
従業員一同、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
暑さ厳しき折柄、皆様のご健勝をお祈り申し上げますとともに、これからも変わらぬお引き立てを賜ります様お願い申し上げます。
令和元年 晩夏
近況報告の部分で、会社のお知らせを入れることが多いですよ。
ポイントは、自社との取り引きに対して、感謝の意を示すことです。
ビジネス(上司)向け
つづいて、ビジネスシーンで自分の上司に残暑見舞いを出す場合をみてみましょう。
▼上司向けの残暑見舞いの例文は、以下のとおりですよ。

残暑お伺い申し上げます。
残暑の候、いかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで、私ども家族一同つつがなく過ごしております。
また、日頃は大変お世話になり心より御礼申し上げます。
今夏も一層の努力を重ねていく所存です。
今後ともご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。
まだまだこれからも猛暑が続きますが、ますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。
令和元年 晩夏
ポイントは、上司に日ごろ指導いただいていることに対する、お礼の気持ちを示す点です。
ビジネス(部下・後輩・同僚)向け
ビジネスシーンで自分の部下や、後輩・先輩・同期などの同僚に対する残暑見舞いについて紹介しますね。
▼部下や後輩など同僚向けの残暑見舞いの例文は、以下のとおりですよ。

残暑お見舞い申し上げます。
毎日暑い日が続いていますが、元気にしていますか。
おかげさまで、私ども家族一同元気に過ごしております。
また、日頃は大変お世話になり心より御礼申し上げます。
忙しい毎日ですが、お互いに頑張っていきましょう。
まだまだ猛暑が続きます。くれぐれもご自愛ください。
令和元年 晩夏
上司向けに比べると、少し柔らかい言葉遣いで書くと堅すぎず、いいと思います。
ただし、同僚といっても年齢の離れた先輩に対しては、上司と同様の扱いで書いたほうが無難ですよ。
親族向け
ビジネスシーンについて紹介してきましたが、ここからは親族に向けての残暑見舞いについて紹介していきます。
▼親族向けの残暑見舞いの例文は、以下のとおりですよ。

残暑お見舞い申し上げます。
厳しい暑さの折、皆様いかがお過ごしでしょうか。
平素はごぶさたを重ねまして、申し訳ございません。
おかげさまで、私のほうは家族一同つつがなく過ごしております。
暑い時期はまだまだ続きます。
くれぐれもお体にはお気をつけくださいませ。
令和元年 晩夏
親族は身近な存在なので、くだけた書き方で構いません。
遠くの親族がいるときは、会う機会が少ないので、そのことについてふれてみてもいいでしょう。
友人向け
次に、友人向けの残暑見舞いですよ。
▼友人向けの残暑見舞いの例文は、以下のとおりです。

残暑お見舞い申し上げます。
毎日暑い日が続いていますが、元気にしていますか。
おかげさまで私は元気で、毎日いそがしく過ごしています。
普段はなかなか会う機会がありませんが、ひさしぶりにお会いしたいですね。
しばらく厳しい暑さが続きますので、体調管理には気をつけてくださいね。
令和元年 晩夏
友人は、かなりくだけた書き方でもOKです。
遠方だったり、仕事が忙しかったりする場合は、近況報告や「久しぶりに会いたい」などを書くのもおすすめですよ。
保育所・幼稚園・小学校(児童から先生へ)向け
ここからは、保育所や幼稚園・小学校での残暑見舞いについて紹介します。
まずは、児童が先生へ残暑見舞いを出す場合からですよ。
▼児童から先生へ向けての残暑見舞いの例文は、以下のとおり。

ざんしょおみまいもうしあげます。
まいにちあついですが、せんせいはげんきですか。
わたしは、なつやすみのしゅくだいをしたり、プールにおよぎにいったりしています。
なつやすみがおわって、せんせいにあうのがたのしみです。
まだまだあついので、せんせいもからだにきをつけてください。
れいわ がんねん 8がつ
子供は、残暑見舞いの書き方がわからないと思いますので、保護者がそばで見てあげてくださいね。
簡単な近況報告で構いませんよ。
保育所・幼稚園・小学校(保護者から先生へ)向け
つぎは、保護者から先生へ向けて残暑見舞いを出す場合です。
▼保護者から先生へ向けての残暑見舞いの例文は、以下のとおりですよ。

残暑お見舞い申し上げます。
連日厳しい暑さですが、先生におかれましては元気にお過ごしでしょうか。
平素は娘が大変お世話になっており、心より御礼を申し上げます。
夏休みに入りましたが、娘は夏休みを満喫しているようです。
娘も二学期に先生にお会いするのを楽しみしていると申しております。
今後ともよろしくお願いします。
暑さはまだ続くようですので、くれぐれもご自愛ください。
令和元年 晩夏
子供に代わって、保護者が先生に出す場合があるでしょう。
この場合、子供にとっては先生は目上ですが、保護者にとって先生は目上になりませんので「残暑お伺い」は使いませんよ。
とはいっても、日頃は子供が先生のお世話になっています。
子供に代わって感謝の気持ちを示しつつ、子供の近況も報告してみましょう。
中学校・高校・大学など(生徒から先生へ)向け
次は、中学校・高等学校・大学・専門学校などで、生徒から先生へ向けて残暑見舞いを出す場合について紹介していきますよ。
▼生徒から先生へ向けての残暑見舞いの例文は、以下のとおりです。

残暑お伺い申し上げます。
夏休みに入り暑い日が続いていますが、お元気でしょうか。
先生には日ごろ勉強や部活動など、たいへんお世話になっており、ありがとうございます。
この夏休みは、自ら成長する機会と思って過ごしていきたいと思っています。
二学期も引き続きご指導のほど、よろしくお願いします。
暑さはまだまだ続きますので、どうかお体にお気をつけてください。
令和元年 晩夏
近況報告で、勉強や部活など、いま打ち込んでいる学生らしいことについて書くと、先生も喜ぶかもしれませんね。
お世話になっている人・恩師向け
最後に現在お世話になっている人、恩師など過去にお世話になった人に残暑見舞いを出す場合について紹介します。
▼お世話になっている人や恩師などへ向けての残暑見舞いの例文は、以下のとおりですよ。

残暑お伺い申し上げます。
立秋の候、ますますご壮健のこととお慶び申し上げます。
平素はごぶさたを重ねまして、申し訳ございません。
おかげさまで、私は新しい職場にも慣れてきました。
忙しくも充実した日々を送っております。
成長した自分をお見せできるよう、頑張っていきたいと思っています。
残暑の折り、くれぐれもお体にはご留意ください。
令和元年 晩夏
お世話になっている人なので、「残暑お伺い」にしてもいいと思います。
近況報告と、成長した自分を見て欲しい気持ちを伝えると、もらったほうもうれしいのではないでしょうか。
さいごに
残暑見舞いは年賀状に比べて出したりもらったりする機会が少ないので、書き方もわかりませんよね。
残暑見舞いは、夏の暑い時期を過ごしている相手を気遣うものです。
もし、残暑見舞いをもらったらうれしいと思います。
このページを参考にして、残暑見舞いを出してみませんか。
おまけ:ほかの挨拶状の書き方・例文
このページでは、残暑見舞いの書き方について紹介してきました。
その他のあいさつ状の書き方について詳しく知りたい場合は、以下も参考にしてみてくださいね。