フリーランスとして働いていると、さまざまなクライアントと契約し各所から報酬を受けますよね。
そして確定申告が迫ってくる時期には、各所から支払調書を発行してもらいます。
会社に勤めている場合で考えると、源泉徴収票みたいなものですね。
でも初めて支払調書を受け取ることになったとき、支払調書がどういうものなのかわからないもの。
このページでは、「支払調書とは?」「いつ受け取れるの?」など、支払調書に関する気になることについて紹介していきますね。
支払調書とは?
まず、支払調書自体がどんなものなのか気になります。
そもそもフリーランスになったばかりだとか、会社員の場合は「支払調書」という言葉自体になじみがありませんよね。
簡単にいうと、会社員の場合で年末調整のあとにもらう源泉徴収票のようなものです。
つまりは、1年間にもらったお金(報酬)が支払調書には書いてあります。
ちなみに、支払調書も源泉徴収票も法定調書という分類なんですよ。
フリーランス(個人事業主)にとって重要な支払調書は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」というものです。
支払調書に書いてあるお金について
支払調書には、1年間にもらった報酬が書かれていることがわかりました。
報酬には、いったいどんな報酬が含まれるのか気になるところ。
▼支払調書に書いてあるお金(報酬)のことを、難しい言葉にすると以下のような感じです。
「所得税法第204条第1項」の報酬といわれても、すぐにはわかりませんよね…。
例を見てみましょう。
▼所得税法第204条第1項1号の報酬・料金には以下のようなものがあります。
- 原稿の報酬
- 挿絵の報酬
- 写真の報酬
- 作曲の報酬
- レコード、テープ又はワイヤーの吹き込みの報酬
- デザインの報酬
- 放送謝金
- 著作権の使用料
- 著作隣接権の使用料
- 工業所有権等の使用料
- 講演の報酬・料金
- 技芸、スポーツ、知識等の教授・指導料
- 脚本の報酬・料金
- 脚色の報酬・料金
- 翻訳の報酬・料金
- 通訳の報酬・料金
- 校正の報酬・料金
- 書籍の装丁の報酬・料金
- 速記の報酬・料金
- 版下の報酬・料金
- 投資助言業務に係る報酬・料金
たくさんありますね!
所得税法第204条第1項だけで1号~8号まであるので、まだまだありますよ…。
僕の場合は文章を書いて原稿料をいただいているので、「原稿の報酬」にあたります。
他にどんな報酬が含まれるのか気になった場合は、以下の国税庁のページを見てくださいね。
参考:平成30年版 源泉徴収のあらまし「第5:報酬・料金等の源泉徴収事務」
どんな場合に支払調書がもらえる?
支払調書のことが、だんだんわかってきましたね。
次は、どんな場合に支払調書がもらえるのでしょうか。
もらえるのか、もらえないのか事前にざっくりと知っておきたいですよね。
原則として報酬を支払った側(法人など)は、報酬を支払った先(フリーランス)に支払調書を発行する義務はありません。
「え、だったらもらえないの?」と思いますよね。
報酬を支払った側(法人など)は、「確定申告が大変そうだから、念のため発行するね」という、いわゆる好意で支払調書の発行をしています。
なかには習慣化している法人もあり、年明けには必ず発行してそうな場合もありますよね。
その逆もあるでしょう。
もし支払調書がなかなか届かなくて、手元にほしいなと思った場合は問い合わせてみるといいですね。
ちなみに、「源泉徴収義務者」ではないフリーランスが「報酬を支払う側」だった場合、そもそも所得税を源泉徴収していないので、支払調書を発行する義務はありません。
よって、この場合は支払調書が届きませんよ。
報酬を支払った側は税務署に支払調書を提出する
報酬を支払った側は、報酬を受け取った側へ支払調書を発行する義務はない、とのことでした。
でも一定基準を満たした場合には、税務署へ支払調書の提出義務があります。
▼提出する基準は以下のとおりです。
区分 | 提出範囲 |
---|---|
(1)外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサーの報酬、料金 | 同一人に対する支払金額の合計が50万円を超えるもの |
(2)バー、キャバレー等のホステス、バンケットホステス、コンパニオン等の報酬、料金 | 同一人に対する支払金額の合計が50万円を超えるもの |
(3)広告宣伝のための賞金 | 同一人に対する支払金額の合計が50万円を超えるもの |
(4)社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 | 同一人に対する支払金額の合計が50万円を超えるもの。ただし、国立病院、公立病院、その他の公共法人等に支払うものは提出する必要なし |
(5)馬主が受ける競馬の賞金 | 1回の支払賞金額が75万円を超える支払を受けた方に係るその年中の全ての支払金額 |
(6)プロ野球の選手などが受ける報酬及び契約金 | 同一人に対する支払金額の合計が5万円を超えるもの |
(1)から(6)以外の報酬、料金等 | 同一人に対する支払金額の合計が5万円を超えるもの |
つまり、よほど少額でない限り支払調書を発行する手間があるみたいですね。
税務署提出分のついでに、自分(報酬を受け取った側)の支払調書を発行してもらってもよいかもしれません。
発行されなかった場合、相談してみましょう。
僕も1件少額案件があり、そのためか支払調書が発行されなかったので相談してみました。
▼何度も何度も相談し、1ヶ月くらいかかってやっと手元に届きましたよ。
支払調書がもらえるのはいつ?
支払調書がもらえることがわかったとして、いつ頃手元に届くのか気になります。
報酬の支払者は、支払調書を税務署へ1月31日までに提出しなくてはいけません。
そのため、1月中には作成しているハズなので、報酬を受け取った者(フリーランス)などに早くて1月中には届くかと思います。
実際僕も、1月中に受け取りましたよ。
ただ、発送する側の気分次第にもなるので、あまりに届かない場合は問い合わせてみるのが一番です。
▼以下は、僕が1月中に受け取った支払調書ですよ。
支払調書に載っていることや見方
無事手元に支払調書が送られてきたら、書面に載っている項目がなんなのかが気になりますよね。
▼以下の項目について紹介しますね。
- 支払を受ける者
- 区分
- 細目
- 支払金額
- 源泉徴収税額
- 摘要
- 支払者
1.支払を受ける者
支払調書を作成する日時点の情報が書かれています。
たとえば、引越しをしたけど住所を伝えていなかったなど、情報が古い場合は先方に伝えましょう。
2.区分
報酬、料金等の名称が書かれています。
▼たとえば、主に以下のような名称があります。
- 原稿料
- 印税
- さし絵料
- 翻訳料
- 通訳料 など
他にもたくさんありますよ。
3.細目
細目は、書くことが決まっています。
▼以下のようになっていますよ。
報酬名 | 記載内容 |
---|---|
印税 | 書籍名 |
原稿料、さし絵料 | 支払回数 |
放送謝金、映画・演劇の俳優等の出演料 | 出演した映画、演劇の題名等 |
弁護士等の報酬、料金 | 関与した事件名等 |
広告宣伝のための賞金 | 賞金の名称等 |
教授・指導料 | 講義名等 |
4.支払金額
確定した支払金額が載っています。
金額が控除除額以下であるなどのため源泉徴収されなかった報酬、料金等や未払の報酬、料金等についても、合わせて載っていることがありますよ。
なお、支払調書の作成日現在で未払の金額がある場合は、各欄の上段に未払額を内書きされています。
5.源泉徴収税額
源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額が載っています。
支払調書の作成日現在で未払いの報酬があるため、源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税を徴収していないときは、未徴収税額が内書きされていますよ。
6.摘要
たとえば、広告宣伝のための賞金が金銭以外のものである場合には、その旨とその種類等の明細が載っています。
7.支払者
報酬、料金等の支払者の情報が載っていますよ。
マイナンバー(法人番号)の欄は、支払を受ける者(フリーランス側)に支払調書の写しを交付する場合には、マイナンバーを記載して交付することはできないことになっています。
ただ、そうはいっても、法人番号は調べることができるので、自分たちで知ることもできますよ。
さいごに
支払調書のは、1年間にもらった報酬の合計額が載っています。
報酬の合計額を見ると、「がんばったな!」と思えますよね。
認識するためだけに欲しいというわけではありませんが、帳簿と照らし合わせるために必要な重要書類ですよね。
もし、支払調書が送られてこないようなことがあれば、遠慮なく問い合わせればよいと思いますよ。