通院が多かったり長く入院をしたりすると、ひと月の医療費が高くなることがあります。
治療のためには仕方がないことですが、大きな出費は家計に響きますよね。
高額な医療費の負担が、少しでも軽くなればうれしいと思いませんか?
日本には高額療養費制度があり、一定額を超えた料金が戻ってきます。
とてもありがたい!
でも高額療養費制度ってどんな制度なのか、どうやって申請すればよいのか最初はわからないもの。
このページでは国民健康保険に加入している僕が、高額療養費を申請してみたので、準備や申請方法などを細かく紹介します。
高額療養費とは?
病院等の窓口で支払った、1ヶ月間(暦月で1日から末日)の金額が『高額療養費自己負担限度額』を超えた場合、健康組合や市区町村(国民健康保険)に申請することよって、その超えた金額が戻ってきます。
戻ってきた金額(支給された額)が『高額療養費』です。
僕も間違えていたのですが、高額医療費ではありませんよ。
また、確定申告のときに手続きする「医療費控除」とも、違う制度です。
「入院」という言葉を見ると、怪我などを思い浮かべるかもしれませんが、出産時のトラブルでの入院でも高額療養費の申請は可能です。
ただし、出産自体の料金をカバーする「出産育児一時金」とは違いますよ。
暦月で1日から末日の1ヶ月間とは
1ヶ月はカレンダーによって、28日・30日・31日など種類がありますよね。
どの期間を1ヶ月と呼ぶのか気になりませんか。
難しく考えることはなく、カレンダー通りの1ヶ月を思い浮かべれば大丈夫です。
▼たとえば、以下のようになります。
暦月 | 1ヶ月間 |
---|---|
1月 | 1月1日から1月31日 |
2月 | 2月1日から2月28日 |
4月 | 4月1日から4月30日 |
とても単純です。
高額療養費の申請先
高額療養費の申請をするといっても、どこでやるのかわからないですよね。
▼申請先は、現在加入している健康保険によって違います。
加入健康保険 | 申請先 |
---|---|
国民健康保険 | 保険証を発行している市区町村の役所担当窓口 |
全国健康保険協会(協会けんぽ) 〇〇健康保険組合 〇〇共済組合 | 保険証を発行している保険者 |
〇〇国民健康保険組合 | 保険証を発行している国民健康保険組合 |
〇〇後期高齢者医療広域連合 | 保険証を発行している後期高齢者医療広域連合 |
僕はフリーランスで、岡山市の国民健康保険に加入しています。
だから役所の窓口へ行きました。
これから先の申請方法などは、国民健康保険のことを例に紹介していきますね。
高額療養費申請に必要なもの
高額療養費の支給を申請するときには、何が必要なのかも気になりますよね。
▼最低限準備するものは、以下のとおりです。
- 病院等の領収証
- 保険証
- 印鑑
- 銀行預金等の口座番号のわかるもの
『国民健康保険高額療養費支給申請書』という名前の申請書は、ホームページでダウンロードして事前準備することもできますが、窓口にもあるので用意しなくても大丈夫です。
高額療養費の対象になるものと対象にならないもの
高額療養費を申請するイメージとしては、入院を思い浮かべないでしょうか。
入院って、長引くほど医療費が高額になりますよね。
でも高額療養費の対象は、入院だけではないんですよ。
▼高額療養費の対象は、以下のとおり。
- 入院
- 外来
- 院外処方の薬局分
▼一方で、高額療養費の対象にならないものもあります。
- 差額ベッド代
- 食事代
- 保険がきかない診療行為(先進医療にかかる費用など)
入院に関わった医療費全体が対象になるわけではない、と覚えておくのがいいですね。
高額療養費の申請方法
まずは、高額療養費の申請方法を大まかに紹介します。
- 申請に必要な書類を準備する
- 市区町村の国民健康保険担当窓口へ行く
- 申請書類に必要事項を記入し、必要書類を提出(コピーしてくれる)する
流れは、とても単純です。
きちんと準備さえすれば、10分程度で終わりましたよ。
では実際に手続きした様子を紹介しますね。
▼こちらは、役所窓口へ持っていった病院の領収証です。コピーではなく原本を持っていきましょう。
▼窓口へ行き「高額療養費の申請にきました」と、職員さんに伝えます。
すると、『国民健康保険高額療養費支給申請書』を準備してくれました。
指示に従って記入しましょう。
国民健康保険高額療養費支給申請書の記入例
申請書類って、何かと書き方がわからないものですよね。
基本的に、窓口の担当者さんの言われるままに書いておけば問題ありません。
▼実際、僕が申請書を書いたときの例を紹介しますね。
記入した箇所は以下のとおり。
- 被保険者証の記号番号
- 何月の診療分か
- 氏名と生年月日
- 医療機関名と所在地
- 支払金額
- 入院日数(いつからいつまでか)
- 両病名および傷病の原因
- 申請者の住所・氏名・連絡先
- 振込先
本人以外でも申請可能
高額療養費を申請する場合、本人が申請しなくてはいけないのでしょうか。
ホームページや申請書などに記載がなかったので、岡山市北区役所 市民保険年金課 国保年金係に問い合わせみました。
世帯主であれば、家族分の申請はできますよ。
またその反対で、たとえば世帯主さんが入院され、奥様が申請にきても大丈夫です。
高額療養費の振込先である、入院された方や世帯主の口座情報(通帳など)をお持ちの場合、「委任された」と見なします。
僕が問い合わせた結果は回答のとおりですが、世帯主や本人以外が申請に行く場合は、念のため問い合わせたほうがいいとは思います。
自己負担限度額は年齢や所得に応じて定められている
申請方法は簡単なことがわかりました。
でも、「1ヶ月間に高額な医療費を支払った」といっても、どれくらいの金額なのでしょうか。
1万円でも高額な場合もあれば、「10万円!」と思う場合もありますよね。
実は、自己負担限度額は年齢や所得に応じて定められているんですよ。
▼まず年齢としては、以下の2種類です。
- 70歳以上
- 69歳以下
▼所得は70歳以上と69歳以下の年齢区分で、細かくわかれていています。
わかりやすく金額のみ記載していますよ。
所得区分 | 自己負担限度額(外来) | 自己負担限度額(外来+入院) |
---|---|---|
市民税課税世帯現役並み所得者(3) | 252,600円 | 252,600円 |
市民税課税世帯現役並み所得者(2) | 167,400円 | 167,400円 |
市民税課税世帯現役並み所得者(1) | 80,100円 | 80,100円 |
市民税課税世帯一般 | 18,000円 | 57,600円 |
市民税非課税世帯低所得(2) | 8,000円 | 24,600円 |
市民税非課税世帯低所得(1) | 8,000円 | 15,000円 |
所得区分(総所得金額等) | 自己負担限度額(月額) | 4回目以降 |
---|---|---|
901万円超 | 252,600円 | 140,100円 |
600万円超901万円以下 | 167,400円 | 93,000円 |
210万円超600万円以下 | 80,100円 | 44,400円 |
210万円以下 | 57,600円 | 44,400円 |
市民税非課税世帯 | 35,400円 | 24,600円 |
単純な考え方として、たくさん所得がある場合は自己負担限度額が高く、所得が低く市民税非課税世帯になるほどであれば、自己負担限度額は低くなります。
僕の場合は、前職を退職してから就職活動がうまくいかなかったため、破滅的な家計になっており『市民税非課税世帯』です。
よって、自己負担限度額は35,400円になりました。
▼食事代を除いた自己負担額が139,660円と、領収証に書いてありますね。
だいたい、10万円くらいが高額療養費として振り込まれる予定です。
高額療養費の支給までにかかる時間は?
申請したあとは、高額療養費の支給がいつになるのか気になります。
支給の時期は、申請した月から約3ヶ月後です。
かなり先になるので、お金に余裕がない場合はつらいですよね…。
▼僕の場合、高額療養費支給を申請したあと、どんなスケジュールになったのかを紹介しますね。
出来事 | 日付 |
---|---|
高額療養費支給申請 | 2018年11月1日 |
高額療養費支給(口座振込) | 2019年1月17日 |
だいたい2ヶ月半くらいで、指定の口座へ振り込まれました。
高額療養費が振り込まれた証拠
高額療養費が支給されたあとに、「国民健康保険高額療養費支給決定通知書」が手元に届きます。
▼以下が、国民健康保険高額療養費支給決定通知書のハガキです。
▼キチンと振り込まれていますね。
高額療養費の支給申請はいつまでさかのぼって行うことができる?期限は?
高額な医療費を支払った後は「申請しよう!」と思うのですが、何かと忙しく申請を忘れてしまう事もあるかもしれません。
あとから申請したい場合、いつまでさかのぼって申請できるかが気になるところ。
高額医療費の支給を受ける権利が消滅する時効は、診療を受けた月の翌日の初日から2年間です。
言い換えると、申請の期限は2年間となりますね。
諦めずに、対象となる医療費があれば申請をしましょう!
お金に余裕がない場合は、限度額適用認定証を事前に発行しよう
「これから入院する」とわかっていれば、事前に役所窓口で『限度額適用認定証』を発行することを、おすすめします。
限度額適用認定証を入院のときに病院窓口へ提示すると、退院時の精算に自己負担額以上のお金を支払う必要がありません。
▼また入院するかもしれないので、ついでに申請をしておきましたよ。
『国民健康保険限度額適用認定申請書』を提出すれば、OKです。
▼手続きから1週間ほどで、認定証が手元に届きました。
高額療養費対象額の計算方法の注意点
69歳以下の場合を例にあげ紹介します。
細かい取り決めがたくさんあるんですよ。
- 1ヶ月間(暦月で1日から末日)まで、暦月ごとの受診について計算
- 1つの病院、1つの診療所ごとに計算
- 1つの病院、1つの診療所でも、通院と入院は別計算になる
- 同じ病院で、内科などと歯科がある場合、歯科は別計算になる
- 保険がきかない診療行為(先進医療にかかる費用など)や、差額ベッド代などは、支給の対象外
- 入院時の食事療養費の患者の負担金(食事代)は支給の対象外
- 国の法律で定められた公費負担医療とそれ以外の医療は、1つの病院、診療所でも別計算
- 家族全員の全ての医療費が対象になるわけではない
1ヶ月の間に、ものすごく医療費がかかった場合に高額医療費の申請をしようと考えると思います。
はっきりと基準が分からない場合は、担当部署に聞くのが一番よいですよ。
さいごに
医療費がたくさんかかる場合、出費がとても気になりますよね。
どうしよう…と悩んでしまうかも。
でも、高額療養費の制度があるおかげで、自己負担限度額以上を支払うことはありません。
助かりますよね。
ただし、自分から申請して初めて戻ってくるお金なのです。
「自分は健康だから大丈夫!」と思わず、制度の内容だけでも知っておくとよいですね。
あと、医療保険に入って入れたら、そちらの請求も忘れず行いましょう!