こんにちは。自炊好きのライター、森山です。
昨年の夏のことですが、10歳になった長女の荷物が増えてきて、私の収納スペースを狙って突然、「ママ、断捨離しないの?」と言い出したのです。
ずっと「ムリ」と答えていましたが(笑)、そんな私も妊娠して3人目が家に来るという現実を前に、やっと「家の荷物の全体量を見直す時期なのかもしれない」と思い始めました。
断捨離したいけど、捨てたくない。その悩みを解消してくれた自炊
ふと見上げた本棚には、もう何年も読んでいない本。
洋服は「毛玉ができた」「古くなってきた」と捨てるべきボーダーラインがわかりやすく、雑貨も「似たものがある」「代用が効く」など捨てるきっかけがつかみやすいですよね。
しかし本は「将来の自分のためになるかも」と考えがちで、「いつかまた読むかもしれない」「これは資料として残しておきたい」など、捨てるタイミングがなかなかありません。
「スッキリさせたい。だけど、捨てたくない」
私にとって、この悩みにぴったりフィットしたのが自炊業者のBOOKSCANでした。
参考:BOOKSCAN
BOOKSCANとは?
BOOKSCANとは、蔵書を電子書籍化してくれる業者。
世に言う「自炊」の手伝いをしてくれる会社です。
端末ごとに見やすい形式に変換してくれたり、オンラインで管理してくれるなど、さまざまなサービスもついてくるのでとても便利。
ただ無料会員だと、1冊100円でスキャンできますが、電子化作業開始まで3ヶ月くらい待たなくてはないという条件があります。
しかも電子化する上で使いやすいファイルにするには、スキャン代金(100円/冊)以外にも、「OCR化」と呼ばれる文字情報を付加してくれる代金(100円/冊)と、番号ではなくタイトルまで入れてもらう名前変更作業代(50円/冊)が必要になります。
そうすると、1冊あたり250円かかる計算です。
これらのサービスすべてを含みつつ、より充実したサービス付きの「プレミアム会員(9,980円/月)」に登録すると、1週間以内の納期で、たとえば50冊だったら12,500円のところ、9,980円で電子化できるのです。
しかも、一度プレミアム会員になって辞めようとすると、「プレミアム会員ライト」という「月々2,980円で10冊スキャンできて、プレミアム会員とほぼ同じサービスが受け続けられるプラン」に移行できる案内が来ます。
私は2ヶ月間だけプレミアム会員でしたが、そこからはプレミアム会員ライトになりました。
プレミアム会員になると、自分専用の住所が送られてくるので、そこに本を送るだけでデータ化されて戻ってきます。
Amazonで買った本を直接BOOKSCANへ送って、電子化されたものを自分のDropboxなどにアップしてくれたり、Kindleで直接読めるようにデータ転送してくれるサービスもあるのでものすごく便利。
送るときは、350ページまでで1冊換算、そこからは200ページごとにプラス1冊分の料金がかかります。
指定された冊数より多く送ってしまうと、高い保管料がかかってしまうので気を付けましょう。
今回は、このBOOKSCANを使って電子化してもらった書籍を最適化して、実際にKindle PaperWhiteに入れていく作業工程をリポートします。
BOOKSCANでチューニングするには
チューニングとは、書籍をスキャンしてPDF化したファイルを、端末に合わせて最適化して表示させること。
まずBOOKSCANのホームページの右上にある「マイページ」のボタンからログインします。
すると「マイ本棚」が表示されるので、左にある「チューニング」の項から「チューニング端末新規登録」をクリックします。
チューニング端末を新規登録する
一度チューニング端末を新規登録すると、今後チューニングを申し込むときにとてもラクになります。
「チューニング端末新規登録」の設定はとても簡単。
画面にはさまざまな機種と写真がボタンになって表示されます。
ラインナップは、iPhone、iPad、Kindle、Kindle Fire、Android、SONY Reader、Kobo、E-ink端末、bReader、音声変換、テキスト書き出し、JPG変換などなど。
こんな感じで発売時期とともにさまざまなメーカーのモデルが並んでいます。
この中から自分が持っている端末をクリックしていきます。
そして「オプション設定」をクリックすると、チューニング時のオプションが選択できます。
「簡易表紙サムネイル付加」「余白除去」や「文字をなめらかにする」「傾き補正」「OCR(透明文字テキスト)引き継ぎ」「Dropboxアップロード」を選ぶことができます。
これだけで登録は完了です。
2クリックで済みました!
チューニングする本を選ぶ
PDF化してもらったデータを1冊ずつチューニングしたい場合は、「マイページ」の「マイ本棚」ページに戻って、チューニングしたい本を選択します。
そして「チューニングを行う」の下にある「すべての登録済み端末でチューニング」か「端末を選択してチューニング」を選びます。
すべて一括で選択したい場合は、左側の項から「依頼一覧」を選んで、依頼日で目星をつけて「詳細を見る」を開きます。
詳細を開くと管理番号の下に「書籍一覧を見る」というボタンがあるので、クリックしてください。
チューニングしたい書籍名の左側にあるチェック印をチェックしていきます。
全ファイルをチューニングしたいなら「全選択」ボタンを押してください。
そして「選択したファイルをチューニングラボで変換する」のボタンをクリックします。
最後に登録済みチューニング機種が表示されるので、チューニングしたい機種を選択して、その下の「チューニング依頼をする」のボタンを押せば、早ければ数分後、遅ければ数日後にチューニングが完了したとメールが届きます。
注意したいのは、通常会員は1ファイルずつチューニング依頼しなければならないという点です。
プレミアム会員は10ファイルまで一気にチューニング依頼ができます。
チューニングが完了したら、次のファイルのチューニング依頼を出すという流れになります。
チューニング済みの書籍をダウンロードしよう
チューニング済みのデータは、「チューニングラボ」の「チューニング完了一覧」から見ることができます。ここから一つずつダウンロードしていきましょう。
チューニングが完了したファイルは、90日間最大400件保管されます。
また、たくさんのデータのチューニングして「ひとつひとつダウンロードするのが面倒」という場合は、「BOOKSCANダウンローダー」というソフトを使用して一括ダウンロードすることができます。
「BOOKSCANダウンローダー」を使用するには、プレミアム会員かプレミアム会員ライトに登録している必要があります。
BOOKSCANダウンローダーの使い方
BOOKSCANダウンローダーはまだβ版です。
初めて使用するときに、「アカウントを作成する」から会員番号やメールアドレスを登録していきます。
すると自動的に照合されてBOOKSCANのサーバーのデータが見えるようになります。
左側の「依頼した書籍一覧」からファイルを選んでダウンロードしていくのですが、一番上の数字が一番新しく依頼した書籍群になります。
この中に入っているのはPDFファイルですので、PDFをまずダウンロードしていきましょう。
選択して「一括ダウンロード」ボタンを押せば完了です。
チューニング済み書籍のデータをダウンロードしたい場合は、「チューニングラボ済み書籍」をクリックして、ダウンロードしたいファイルをクリックして「ダウンロードする」ボタンを押すか、「一括ダウンロード」を押してください。
ダウンロードされたファイルはファイル名の頭に「iPhone7」など「どの機種に対応したチューニングしたファイルか」がわかりやすいようになっています。
BOOKSCANダウンローダーの欠点
ここまで読んで「ダウンローダーはとにかくワンクリックするだけで簡単らしい」と感じられたと思います。
しかし、ひとつだけ注意点があります。
それは、「MOBI形式のデータだけは正常にダウンロードされない」という問題が起きているということ(2018年2月時点)。
MOBI形式というのは、Kindle電子書籍の形式として人気がある比較的新しいファイル形式。
「ファイルが軽くなるのに、より文字がなめらかに表示される」と言われています。
この形式が正常にダウンロードされない問題について、Amazonの方にもBOOKSCANの方にも確認していただきましたが、BOOKSCANダウンローダーでダウンロードしたファイルは、PaperWhiteに入れてもほとんど開くことができませんでした。
このようなエラー画面が何度も表示されてしまいます。
これは現状の仕様のようなので、上で書いたやり方をたどって、BOOKSCANのサイトの「依頼した書籍一覧」からファイルを選んで手動でダウンロードしていくか、BOOKSCANさんにDVD-R納品をお願いするほかないようです。
新しく対応したばかりのMOBI形式にだけ起きる不具合なので、近いうちに改善されるかもしれませんが、サイトには「BOOKSCANチューニングラボはβ版のため正常に終了しない場合もございます。あらかじめご了承ください」との注意書きもあります。
(ちなみに上記の注意書きは、会員限定ページでしか閲覧できません)
とりあえずしばらくは「MOBI形式だけは手動で」と考えておいた方が無難かもしれません。
BOOKSCANでチューニングしてもらった書籍をPaperWhiteに入れてみよう
BOOKSCANでチューニングしてもらったデータをPaperWhiteに入れるのは、とても簡単です。
自炊したPDFを入れるのと同じように、PaperWhiteをMacやPCにつないで、「Document」フォルダに放り込むだけです。
この際、「PaperWhiteに最適チューニングされたファイル」を入れてもいいですが、もし依頼してダウンロードするのが面倒でなければ、より軽く使いやすいと言われている「MOBI形式」で入れておくのも手だと思います。
BOOKSCANでチューニングしてもらったファイルと、Amazonで買ったKindle本の見え方の違い
サンプルまでに、Amazonで販売されているKindle本バージョンを発見したので例としてあげてみますと、Kindle本バージョンは約23.3Mなのに対して、チューニングしてもらったMOBIファイル版は27.8Mありました。
他のファイルも見てみましたが、全体的にチューニングしてもらったMOBIファイルの方が少し重い傾向にあるようです。
それでも、PDFをそのまま入れたときよりもずっと軽いです。
PaperWhite内での反応速度も、あまり変わらない印象でした。
これはPaperWhite本体の仕様だと思うのですが、iPhoneなどと比べるとPaperWhiteの動作はもっさり重いのです。
4Mの違いなんて、感じさせないくらい「1ページめくるごとにまばたきできる」速度です。
ページ数やデータ量にもよるかもしれませんが、100ページくらいの書籍ならAmazonのKindle本とチューニングしてもらったファイルは、容量や重さや使い心地は、体感的には同じと考えても大丈夫かもしれません。
でもBOOKSCANって著作権はどうなってるの?
「BOOKSCANでチューニングしたファイルは、MOBI形式だけ手動でダウンロードすれば使い心地はよさそう」ということがわかりました。
ここでひとつ疑問なのが「そもそも自炊業者の著作権に対する考え方はどうなっているんだろう? 大丈夫なのかな?」という点。
その辺りはサポートサイトに記述があります。
著作権法に基づき、「著作権フリーのもの」「著作権が切れているもの」「ご自身で著作権を有しているもの」「著作権者の許諾を得ているもの」「情報解析のためのもの」「図書館資料の保存のために必要があるもの」を取り扱うと書いてあります。
もちろん、書籍から変換されたデータは、自分でスキャンした場合と同じように、ネット上に公開したり共有したり、誰でも閲覧できる状態にしてはいけません。
BOOKSCANに送る前に、「BOOKSCAN Checker」というアプリで、ISBNコードから書籍に関する許諾状況がわかるアプリで調べることをおすすめします。
簡単に「著作権的にデータにしてもらっても大丈夫かどうか」の確認ができますよ。
iPhone版とAndroid版があるので、上の「著作権に関する記述」のページの一番下からダウンロードできます。
もし著作権的にデータ化できないファイルを送ってしまっていた場合
私はこれまで「BOOKSCAN Checker」の存在を知らないまま、家にある本を郵送してしまっていたので、「これは著作権的に許諾が下りていませんでした」という本が送り返されたきたことがあります。
そのときはこんな書類が一緒に添えられていました。
「これらはデータ化できない本だから、代わりにあと5冊、追加でデータ化する券を贈ります」といった手紙です。
BOOKSCANのサイトの「マイページ」の左側にある、「スキャン依頼・お支払い」のボタンを押します。そして表示された「新規スキャン依頼フォーム」を記入して、最後に手紙に添えられている優待コードを入力します。
そして、念のためサポートページから「5冊分、優待コードを使って新規スキャンを依頼しました」と連絡すれば、プレミアム会員ライトで月10冊までしかスキャンできないとしても、合計15冊データ化してもらうことができます。
このようなやり取りが起きる可能性もあるので、会員になった場合は契約した月の前半(1月1日に契約したら1月15日くらいまで)に本を10冊送り終えておいたほうがよさそうです。
月末に近くなってしまうと、その月の冊数は繰り越されることなくリセットされてしまいます。
結局BOOKSCANとAmazon Kindle PaperWhiteは相性が良い?
BOOKSCANに依頼したファイルは、文字の大きさ的に文庫本なら全く問題なくPaperWhiteで読めます。文字もかすれずなめらかに読みやすくなりました。
B5くらいの大きさの本も大丈夫。
余白もちょうどよく切り取られています。
料理本などは紙の書籍の方が見開きで読めるぶん、視界をフルで使えて読みやすい気がします。
写真集などカラー中心の書籍も、白黒表示のPaperWhiteに入れると見づらくなるので、PCやMac、iPhoneやiPadなどカラー端末に入れた方が絶対にいいでしょう。
PaperWhiteを買ってみて驚いたのですが、自分で自炊したデータはPaperWhite本体で「フォントの大きさ変更」をしてもほとんど効果がないのです。
本によっては加工しないととても読みづらくなってしまいます。
自分でこれを、無料ソフトだけを使って加工修正する方法を書いた記事もありますので、ご一読いただければと思います。
正直に言うと、うちにもPFU製のドキュメントスキャナ「Scan Snap iX500」や、カール事務器のディスクカッター「DC-210」があり、自分で自炊することも簡単にできます。
飲み込むようにすごい速度でページがスキャンされていくのは、見ていて癒されるレベルです。
たしかにこのやり方で毎月5冊くらいなら、1時間くらいあれば自分でも「ページをカットする作業からスキャンして加工するところ」までできますが、なにぶん私は現在妊娠8ヶ月の妊婦。
しかも、もともとの持病に加えて切迫早産で自宅での絶対安静を命じられています。
やることもたくさんある上に、タイムリリミットもある今、体力も気力も節約しなくてはいけません。
それでもポチッと依頼するだけで、とてもラクに本棚を断捨離できました。
捨てられない本を何年も寝かせておくことは、無駄に家賃を使っていたということなのかもしれません。
空っぽになった棚を赤ちゃんのために確保することもできました。
長いこと本棚の一番上で眠っていたペーパーバッグも読めるようになりました。
- 家に物理的なスペースができること
- カバンが軽くなること
- 電車の中でも片手で読めること
これは意外とうれしい効果です。
個人的な書類や子供の絵、著作権が複数にわたる雑誌など、BOOKSCANに対応してもらうことのできないもの以外は、できるうちにデータ化することができて本当によかったです。