こんにちは!
会計士試験に合格しただいちです。
確定申告のとき、配当でもらったお金はどう計算していくのか、意外と分かりにくいですよね。
そこでこのページでは、配当所得について一通り理解できるようにわかりやすく解説していこうと思います。
配当所得とは、「利益から分配されるお金」
配当所得とは、配当金として受け取ったお金のことを指します。
細かく見てみると、配当所得に当てはまるものは以下のとおり。
- 企業からの利益の配当
- 投資信託の収益の分配
- 保険会社における剰余金の配当
上記、すべてに共通することが、「儲けた利益から、お金を配っている」という点なんです。
「投資信託の収益の分配」は、投資信託さんが儲けた利益の中からぼくらに取り分を分配してくれています。
「保険会社における剰余金の配当」も、保険会社さんが儲けた利益の中からぼくらに取り分を分配してくれているんですね。
収益の分配、剰余金の配当、といろいろな呼ばれ方がありますが、基本的な流れや考え方は同じ。
- ぼくらがある組織にお金を出資した
- その組織は出資されたお金を上手く運用して、利益を得た
- その利益の中から、お金を出してくれた出資者に還元する
この還元されたお金が配当所得に当てはまる、というわけです。
確定申告のときの配当所得の計算
それでは、確定申告のとき、どのように配当所得を計算していけばいいのかを一緒に見ていきましょう。
まずは、ざっくりとした配当所得の計算の流れをつくってみました。
- 配当所得にあてはまるものを洗い出す
- それらを「上場株式からの配当」か、「それ以外からの配当」かでわける
- 2.のそれぞれで、申告方法を選ぶ
- 元本取得に要した負債の利子を差し引く
このような流れで配当所得の計算をしていくんですね。
順番を追って見ていけば、理解できるかと思いますので、一つずつ確認していきましょう。
1. 配当所得にあてはまるものを洗い出す
まずは配当所得に当てはまるものをすべて洗い出します。
- 企業からの利益の配当
- 投資信託の収益の分配
- 保険会社における剰余金の配当
投資信託の分配金も、この配当所得に該当しますよ。
NISAという株式からの配当が非課税になる制度がありますが、これも非課税だからといって、全く考慮しなくていいかといえば、そうではありません。
NISAには、「最長5年間」と「新規購入分は毎年100万円まで」という上限があります。
それを超えてしまうと、配当所得を考慮しなくてはいけないので、頭に入れておきましょう。
もちろん、2018年1月から始まったつみたてNISAも同様ですよ。
2. 「上場株式からの配当」か、「それ以外からの配当」かで分ける
次に、「上場株式からの配当」なのか、「それ以外からの配当」なのかで区分していきます。
それぞれ計算の仕方が異なるので、分ける必要があるんですね。
「上場株式からの配当」はその名のとおり、上場している株式からの配当金です。
よくニュースで聞くTOPIXや日経平均などの対象になっている企業ですね。
一方、未上場の株式や投資信託、保険会社からの収益の分配は「それ以外からの配当」に当てはまりますよ。
3. 「上場株式からの配当」と「それ以外からの配当」、それぞれで申告方法を選ぶ
「上場株式からの配当」か、「それ以外からの配当」かで区分したら、それぞれで申告方法を選ぶことができます。
つまり、それぞれでどういう計算をするのかを選ぶ、ということですね。
「上場株式からの配当」の申告方法は3種類
「上場株式からの配当」の計算方法は以下の3種類の中から、自分で選ぶことができます。
- 総合課税
- 申告分離課税
- 申告不要
むずかしい言葉が並んできましたね…
これらも後ほどわかりやすく解説していきます。
「それ以外からの配当」の申告方法は2種類
「それ以外からの配当」の計算方法は以下の2種類があります。
- 総合課税
- 申告不要
総合課税について
総合課税とは、いくつかの所得を合算して所得税の計算をしていく方法です。
配当所得、給与所得、事業所得など、所得にはたくさんの種類がありますが、それらを合算して計算しよう、という方法ですね。
たとえば、配当所得50万円、給与所得200万円、事業所得が100万円だとしたら、合わせて350万円が総合的な所得の金額。
この350万円をもとにして、税金を計算していくのが、総合課税の計算方法です。
ちなみに、総合的な所得に対しては、累進課税が適応されますよ。
そして、総合課税方式を選択したならば、住民税は一律で10%が適応されます。
申告分離課税について
申告分離課税とは、総合課税のように所得を合算せず、別々でわけて、所得税を計算していく方法です。
この方法を選ぶと、配当所得は配当所得だけで、税金の額を計算していくんですね。
先ほどのように、配当所得50万円、給与所得200万円、事業所得が100万円だとします。
その場合、総合的な所得の金額が300万円、配当所得の金額が50万円と、別で分けて計算していくことになるんです。
総合的な所得300万円に対しては、累進課税が適応されますね。
一方、配当所得50万円に対しては、15%という一定の税率が適用されて計算が行われます。
それぞれで算出された税金の金額を合わせたものが、支払うべき税金になるんですね。
申告分離課税を選択すると、配当所得に対する住民税は、一律5%の税率が適用されますよ。
申告不要について
申告不要とは、その名のとおり、所得税として計算しなくていい方法。
先ほど同様、配当所得50万円、給与所得200万円、事業所得が100万円だとしましょう。
申告不要を選択した場合、配当所得の50万円は計算せずに、総合的な所得300万円のみで、税金の計算を進めていくことができます。
所得税・住民税は別の申告方法を選べる
総合課税・申告分離課税・申告不要と3種類の申告方法を紹介してきましたが、それぞれメリットやデメリットが存在します。
さらに、所得税と住民税は、それぞれ別の申告方法を選ぶことができるんですね。
たとえば、「所得税は総合課税、住民税は申告分離課税」というのも可能です。
住民税については、総合課税において一律10%の税率が適用されますが、申告分離課税や申告不要では一律5%の税率が適用されます。
ですので、住民税で総合課税を選ぶ理由は現状ありませんよ。
このように所得税と住民税を分けて考え、自分に合った計算方法を選ぶといいでしょう。
4. 元本取得に要した負債の利子を差し引く
株式を買うとき、もしかしたら、かなりの大金が必要になるかもしれません。
そこで、株式を買うために借金をしたのであれば、「その借金の利子を配当収入から差し引いてもよい」ことになっています。
つまり、「配当所得=配当収入-借金の利子」ということになるんですね。
さいごに「配当所得とは?」に対する回答まとめ
配当所得について紹介したことをまとめました。
- 利益から分配されるお金が、配当所得に当たる
- 上場株式からの配当か、それ以外からの配当か、でわけて計算する
- 株式等を買うために借金をしたのであれば、その利子を差し引くことができる
少しややこしい計算にはなりますが、ぜひ計算方法をマスターして、確定申告を乗り切っていきましょうね。