地域暮らしならでは?貧乏すぎて北海道下川町の「アイキャンスタンプ」に救われた話

こんにちは、「灯台もと暮らし」編集部の立花です。

わたしが暮らしている北海道下川町には、地域通貨があります。

地域通貨というとカッコいい感じがしますが、ある特定のお店でお買い物をすると100円につき1スタンプもらえる、という仕組みがあるのです。

そのスタンプとは「アイキャンスタンプ」。下川町が日本で初めて開催したアイスキャンドルにちなんだ名前の紙のスタンプです。

アイキャンスタンプとは

アイキャンスタンプは下川町内のみで使えるスタンプ。

400枚集めると、500円分のお買い物ができます。

アイキャンスタンプ

町内の「アイキャンスタンプ加盟店」に行ってお買い物をするとレシートやお釣りと一緒にアイキャンスタンプをもらえ、それを台紙に貼ります。

スタンプが台紙いっぱいに貯まったら、町内の北星信金という銀行へ行けば500円と交換してくれますし、もしくは台紙をそのまま渡せば500円分の買い物ができます。

下川でのお祭りやイベントごとでは、台紙を何枚かストックしておけば、アイキャンスタンプの抽選会も実施され、それに応募することもできるそう。

わたしは下川町へ引越してきてから日が浅いのでまだ参加したことはありませんが、抽選会での景品は掃除機や自転車、温泉旅行、冬の暮らしには必須の灯油など、なかなか豪華な景品と交換できるそうです。

アイキャンスタンプに救われた話

わたしが下川町へ引っ越して来てから、しばらくは引っ越し貧乏で本当に大変でした。

基本的には通勤には徒歩か自転車で3分ほどしかかからず、お昼も自宅へ帰って自炊したごはんを食べるという生活をしていましたし、近くにお金をかけて遊ぶような娯楽施設もありません。

本来ならお金が貯まるはずの環境でしたが、引っ越し貧乏からすぐに脱出はできませんでした。

まあ、当たり前なんですけどね・・・まだこっちへ来て2ヶ月くらいしか経っていないから・・・。

そして、そんな切り詰め生活をしていたわたしを助けてくれたのが、アイキャンスタンプだったんです。

北海道下川町

町の人たちからはよく飲み会やイベント(そしてその後二次会で居酒屋へ)によく誘っていただけます。

わたしはお酒は強くないですが、いろいろな方の顔と名前を覚えたいし覚えていただきたいので「行きま〜す!」と出席することが多いです。

町内の居酒屋さんでもアイキャンスタンプを扱っている店がほとんどなので、楽しく飲んで食べたあと、お会計時には何枚ものアイキャンスタンプをもらえるんですね。

その場に集まっているのは地元の重鎮や諸先輩方がほとんどで、「いいよ、持っていきな」とたくさんのアイキャンスタンプをいただいて帰ることも少なくありませんでした。

そんなこんなで飲み会に参加するほどアイキャンスタンプが貯まっていき、自分でも生活必需品を買ったりして、結果的に引っ越して来て約1ヶ月で1,000円分貯めることができました。

その1,000円分のアイキャンスタンプで、常備菜などの材料を買うことができ、なんとか次のお給料日まで食いつなぐことができたのです。

人生でこんなにハラハラしたほど貧乏な時期は、今までありませんでした。

アイキャンスタンプがあったから、なんとかギリギリの切り詰め生活でお金がなくても、暮らしていくことができたのです。

そして何より「今、ものすごく貧乏なんです」とカミングアウトすることで、周りの方々が助けてくれました。

引っ越し貧乏だなんて、無計画すぎて本当に恥ずかしいのですが(一応計画はしていたけれどこういう時に限って出費がかさむ)、思い切ってカミングアウトしたら、例えば同世代の仲間たちが寄せ鍋会を開いてくれたり、近所の方がアイキャンスタンプを分けてくれたりと、首の皮一枚でも乗り切ることができました。

このご恩は、一生忘れないと思います、ほんと。

カルボうどん
↑ 後日、まだ余っていたアイキャンスタンプで食べたカルボうどん(500円)。ボリューム満点でお腹いっぱいになる ↑

この町だからできることがある

おそらく、こうしたスタンプ制度はいろいろな市町村で行われていると思います。

それがどこまで浸透しているかはピンキリだと思いますが、少なくともアイキャンスタンプは、わたしにとってはとても大事なツールになりました。

もしこれが違う町だったら、わたしは貧乏に耐えきれず、助けを求める勇気も出ずに頭がオカしくなっていたかもしれません。

大げさではないんです。だってお財布を開けて80円くらいしかなかったら、さすがに焦ります。

お金があるというのは経済的な豊かさだけではなく、心の余裕を生み出します。

ですからお金がないと、不安のあまり気が動転してしまってお金のことばかり一日中考えて過ごしてしまいます。

そして頭の中がお金でいっぱいになるのは、すごく疲れるんですよね。

もう無計画な引っ越しはしないぞと、心に誓いました。

ちなみに、この「アイキャンスタンプ」ですが、今年度中には紙のスタンプではなく、ICカード化する予定もあるんだとか。

町内でピッとかざすだけでスタンプがたまっていくようになるそうです。すごいな。

今の、男の子が真っ二つになるデザインもシュールでかわいいのですがICカードになってからも、アイキャンスタンプを貯め続けたいと思います。

ノマド的節約術の裏話

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この記事を書いた人

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。これからの暮らしを考えるメディア「灯台もと暮らし」の執筆、編集を担当。いつか書道教室をひらくのが夢。