こんにちは、「灯台もと暮らし」編集部の立花です。
2017年の4月末から、北海道下川町というところへ引っ越しました。
この下川町という町は、町面積の9割が森林。内陸に位置する町なので、周りがみんななだらかな山や森で囲まれています。
また、北海道でも北のほうなので気温があまり上がらず、6月でも朝夜は氷点下になったり、息が白かったりします。
静岡出身のわたしにとっては「マジか」とたじろぐ寒さですが、それでも自然に囲まれていることで受ける恩恵も、たくさんあるのです。
春は山菜採りの季節!
なんといっても、春は芽吹きの季節です。
茶色かった細い針葉樹たちは、少しずつ暖かくなるのに合わせて緑になっていきます。
その時期に採れるのが、山菜。下川町でも、ワラビ、ヨモギ、ウド、ギョウジャニンニクなどを採ることができます。
山菜は天ぷらに
山菜を採って、さあいざ食べよう!という時、一番無難なのは天ぷらです。
天ぷらの、なんと汎用性の高いこと・・・!山菜採りをして一番驚いたのは、そこかもしれません。
天ぷらにすれば、あとは塩でも天つゆでもお好みでつければ、なんでも美味しく食べられてしまうんだから不思議です。わたしが味音痴なだけかもしれませんが。
ただ、天ぷらばかりだと胃もたれしてしまいますし、たくさん採った時にストック用として保存しておくことができません。
ですので、他の方法でも山菜の素材の味を楽しめますので、それをチラリとご紹介します。
(1) ヨモギ
香りが特徴的なヨモギは、様々に使い道があります。
ヨモギ団子、ヨモギクッキーやヨモギ蒸しケーキなどもできます。甘いもの好きにはたまりませんね!
わたしはホットケーキミックスと混ぜて、ヨモギパンケーキを作りました。
もみ洗いしたヨモギをサッと湯がいて、重曹に浸け、アク抜きをします。
そのあと細かく刻んで、ホットケーキミックスと混ぜて焼くだけで完成しました。
簡単すぎる!
甘みを出すためにニンジンをすりおろしたものと、体に優しいお砂糖・てんさい糖を入れました。
お腹も心も大満足なおやつになりましたよ。
(2) ウド
ウドは、わたしが下川町へ来て一番衝撃を受け、かつ大好きになった山菜です。
茎に産毛が生えていて、大きいものだと腰あたりまで伸びている山菜で、新芽が柔らかいのが食べごろ。
新芽だけでなく、茎も食べることができるそうですが、わたしには難易度が高く、まだ試してみたことがありません。
採るときは、赤くなった根元より少し上を横に曲げてポキッと折ればOKです。
根っこから引っこ抜いてしまうと次の春に芽が出ないため、引っ張り出さないように注意してくださいね。
ウドも、天ぷらが一番美味しいです。
ほのかに酸味のある、ツンとした風味と歯ごたえのある新芽は大人の味。
日本酒好きな人にとってはお酒がススム一品になりそうです(わたしは下戸ですが)。
(3) ワラビ
ワラビは先端がクルンとなっている山菜です。見た目は魔法の杖みたいだなと思いました。
茎がまっすぐ垂直に伸びているのが特徴です。
ワラビは他の山菜に比べてアクが強いため、アク抜きが必須です。
やり方はいろいろあるようですが、わたしが教えていただいたのは鍋でワラビを茹でながら鍋に灰を投入してアク抜きをする、というワイルドかつ簡単な方法です。
実際にやってみましたが、特に気にならないほどアク抜きできて、さっぱりと頂けました。
ちなみに、ワラビは酢味噌和えでいただくのが美味しいです。
米酢がスタンダードですがバルサミコ酢でもいけました。お味噌は手作りの手前味噌ならなおベスト。
両者をお好みの量を取って入れて、まんべんなく和えればOKです。
(4) フキ
下川町内のあちこちに生えているフキ。
ぱっと見は里芋の葉っぱのようで、子どもの傘にできそうなほど大きな葉っぱを持つ山菜ですが、食べれるのは茎の部分です。
最初は筋を取り、食べやすいサイズにカットして塩もみします。
そのあとグツグツの鍋に投げ入れ、しばらく待ちます。
茹で上がったあとは取り出して、ジッパー付きの密封性の高い袋の中にフキが泳げるくらいたっぷり水を入れ、そこに重曹も投入します。
その状態で1日放置しておくと、美味しくいただけるようになるのです。
わたしはフキとおかかを入れた土鍋炊き込みご飯を作りました。
山菜採りは絶対に一人では行かない!
さて、美味しく楽しい山菜ですが、実際に民家の並ぶ炉ばたに生えていることも、ままあります。
ですが、新鮮で大きく育つ山菜や、珍しい種類のものはやはり山の中へ入って行かないと採れない、見つからないというものがたくさんあるんですよね。
ですので、ついつい夢中になってしまうんです。
しかも、山菜はだいたい背が低いものが多く、夢中になると下ばかり向いてしまいます。
「あっちにあった!」「あ、こっちにも!」という具合に山菜ばかりに気を取られていると、気づいたら山深くに入り込んでしまい迷子に・・・なんてことが起きても全く不思議ではないのです。
迷子になるだけならまだしも、顔を上げたらクマがいた、なんてことになれば生きるか死ぬかの問題です。
ですから山菜採りへ行くときは、必ずプロのガイドや地元をよく知っている方と一緒に行きましょう。冗談でも知り合いや友人だけでワイワイと行ってはいけません。
山の中で迷子になることのほかに、もう一つ気をつけなければならないのが山菜の種類の見分け方です。
素人は見た目でなんとなく判断してしまいますが、一つ間違えると食べられない草を誤って採ってしまうことがあります。
今年(2017年)5月16日には、北海道の有名な山菜・ギョウジャニンニクと有毒の観賞用植物イヌサフランとを間違えて食べてしまい、お年寄り3人が食中毒になり、うち1名は亡くなったというニュースが報じられました。
友人の家に生えていたものをギョウジャニンニクだと思って採り、食べてしまったのだそうです。
長年食べ慣れている人ですら、間違えることもあるほど山菜はよく似ています。
必ず知識がある人と一緒に山菜採りへ行って、春の恵みを楽しんでくださいね。