フリーランスになるとアクセサリーの出費が増える!?女性向けメディアで執筆する近藤世菜さんインタビュー

小松﨑拓郎の画像

老舗の劇団、文学座の研究生となるも、お金がなかった演出家志望の頃。

生活を変えるために自立することを決意し、大学在学中から、以前から興味のあったライターの仕事をスタートさせました。

卒業後は女性向けのメディアの編集者として勤め、後に独立。

映画『少女』で共演する本田翼と山本美月のインタビューをするなど、現在はフリーランスの編集者・ライターとして、様々な女性向けメディアで活躍している近藤世菜(こんどうせな)さん。

インタビュー中、彼女は「『SEX AND THE CITY』が描く女性の生き方に影響に強く共感した」と語りました。

自分で稼ぎ、欲しいものを買い、好きなものを食べたいーー。

自由に生活するために、今の働き方を選んだそうです。

そこで今回は、フリーランスに転身したからこそ実践しているお金の使い方、また予想していなかった出費について伺いました。

女性の生き方について興味がある時や、独立して働きたいと思っている時の参考になるはずです。

フリーランスの編集者/ライター 近藤世菜さんインタビュー

インタビュー日:2016年10月17日(月)

近藤せな

今のお仕事について教えてください

── はじめに、現在のお仕事の内容について教えていただけますか?

近藤世菜(以下、近藤):
今はフリーランスの編集者・ライターとして仕事をしています。

いろんなメディアさんで企画から制作進行、執筆までしています。最近だと本田翼さんと山本美月さんだとか、女性にインタビューする記事を中心に書かせていただくことが多いですね。

漫画家さんやウェブ業界の経営者の方にもインタビューしているので、仕事に縛りは設けず、幅広くするように意識しています。

── 現在の仕事をするに至る経緯を教えていただきたいです。

近藤:
大学を卒業する少し前の冬に、内定をいただいていた企業への就職を全部辞退したんです。

就職したら5年くらい働いて、良いタイミングで結婚して、出産・・・みたいな、

この先の自分の人生が見えてしまったような気がして。就職するのがすごく嫌だなって思ったんです。

── そのあとはどうしましたか?

近藤:
これから先をどうしようかと考えた時に、やりたいと思ったことは全部やってみようと思って芝居を始めました。

── なぜ芝居を?

近藤:
私は中学、高校生時代は演劇部で、今でも芝居が好きなんです。

大学でも芝居をやりたかったんですが、いざやるとなると朝から晩まで芝居漬けになってしまう環境でした。

家のルールが厳しくて夜に門限があった家庭なので、ガッツリ芝居はできなくて、どうしても続けられなかったんです。

大学中は芝居ができなかったけど、せっかくだからもう一回やろうと決めて、文学座という劇団に研究生として所属することにしました。

── 文学座って、黒柳徹子さんや松田優作さんらを輩出した劇団ですよね。

近藤:
そうですね。

ただ、芝居に専念しながらも、あともう一つ。

小学校低学年の頃から本ばかり読んでいたくらい言葉に触れるのが好きで、文章を扱う仕事もしてみたかったんです。

そこで初めてライターのアルバイトの仕事を見つけて、応募しました。

朝から夕方までライターの仕事をして、夜は毎日芝居の稽古に行って。二足のわらじで生活し始めました。

── それは大学を卒業してからですか?

近藤:
いえ、大学5年生の時です。

本当は5年生として1年間通学しようと思っていたんですけど、新卒では企業に就職しないだろうと、半年で卒業しちゃいました。

というのも、新卒という冠を維持するためだけに、大学に籍を置くとなると学費がかかります。

生活費のやりくりだけで大変だったので、半期の休学に必要な5万でも払わなきゃいけないのは辛くて・・・。

── え!? そんなに大変な生活をしていたんですか?

近藤:
演出家志望だったんですが、演出家の助手のような形で大きな劇団のド下っ端として舞台をつくるために走り回っていました。

夜の稽古を終えたら、帰宅して舞台のための道具や衣装づくりをする生活です。

そういう家でやる作業含め、劇団ではお金をいただける立場ではなく、むしろ払っているくらいだったので、本当にカツカツの暮らしでした。

大学時代に買った洋服を全部売ったくらいですよ(笑)。

近藤せなさん

── じゃあ劇団の活動をするために、ライターの仕事だけでお金を稼いでいたんですね。

近藤:
そうです。ライティングといってもアルバイトなので、月に10万円稼ぐのがやっとでした。

しかも稽古が佳境に入ってくると、ライティングの仕事ができないので、全然お金がない時期がありました(笑)。

── いつからライターの仕事に比重を置き始めたんですか?

近藤:
その生活を始めてから1年半が経った頃ですね。芝居を続けていきたかったんですけど、下積みの期間が平均で4〜5年必要だし、本当にお金がなくて生活が苦しい状態になってしまって。

芝居を続けるか、楽しくなってきてちゃんと収入も得られるライターの仕事に専念するかという岐路に立たされました。

同世代の友達はちゃんと就職して、独り立ちしていく中、自分はこのまま収入ゼロの生活を続けるべきなのか・・・。

悩んだ結果、劇団をやめて、一旦芝居は休んで、ライターの仕事に専念することにしたんです。

その後に、メディアに関する様々なサービスを提供する株式会社メディアジーンという会社に入ることになって、それが大きな転機になりました。

就職先と『セックスアンドザシティ』に影響を受けて

── 転機というのは?

近藤:
「cafeglobe」という40代女性向けのメディアの編集部に入りました。

編集長にコンテンツ制作の進行方向を一から教えてもらったので、編集者の仕事については、メディアジーンでたたき込んでもらって。

── 当時担当していたのはどのようなコンテンツでしたか?

近藤:
基本的にネイティブアド(*1)を担当していました。

(*1)ネイティブアド:「広告掲載面に広告を自然に溶け込ませることで、ユーザーにコンテンツの一部として見てもらうことを目的とした広告」のこと。

大手のクライアントと一緒に広告をつくるような経験のおかげで、メディアのマネタイズの方法はもちろん、世の中のお金の動きがよくわかって、すごく為になりましたね。

── 40代女性向けのメディアとなると、実際は20代ですし、価値観にギャップがあって大変だったところもありそうですよね。

近藤:
ざっくり言うと「お金を持っている女性」がペルソナだったので、私には本当にわからない世界だったんです・・・(笑)。

とにかく空気感を掴まなきゃと思って、当時は毎週新宿の伊勢丹に通っていました。

── 文学座から伊勢丹に。

近藤:
すごい振り幅ですよね(笑)。それまで全然知らなかったブランド品をいろいろ見たりする生活に変わりました。

あと、編集長に「『セックスアンドザシティ(SEX AND THE CITY)』は絶対見ろ」って言われて、ガッツリ観ましたね。

── 近藤さんはドラマの何に注目したんですか?

近藤:
あのドラマで描かれているのは、女性の生き方です。お金の使い方だって自由じゃないですか

SATC(略称)の人たちって、自分で稼いで、好きなものを買って食べて、自由に生きています。

私自身もめっちゃ楽しそうな生き方だと思って、すごく影響を受けましたね。それこそ主役のサラ・ジェシカ・パーカーはコラムニストなので。仕事が似ているから共感できたんだと思います。

近藤せなさん

── お金との関わり方、もっというと生き方の対する考え方は、メディアジーンで仕事をしている時に影響を受けたところが大きいんですね。

我慢をしない、欲しいと思った時に欲しいものを買う

── ここからはお金の使い方について伺いたいです。ブランド品を買うことはありますか?

近藤:
買いますよ。

ルブタンの靴が好きですね。

── 毎月買うだとか、ルールはあります?

近藤:
それこそSATCでは恋に例えるんですけど、一目惚れみたいに理屈抜きで、どうしてもこれが欲しい!って思える時があって、そういう時は絶対に我慢しないって決めています。

そういうものに巡り合わなければ買わないんですけど、どんなに高いものでも「これじゃなきゃヤダ!」と思ったら、絶対買いたいですね。

── 実際、月にいくらくらいお金をかけるんですか?

近藤:
私は服と靴とアクセサリーが多いんですけど、平均15〜20万くらい使います。

── まじですか・・・。それって買い方があると思うんですけど、買うものが多いのか、買うものは少ないけどそれなりにお値段が高いのか、どちらでしょう。

近藤:
それなりにお値段がする方ですね。

やっぱり働くモチベーションに、欲しいものを買うことがあるので、我慢しないで買って、その分頑張って仕事をしています。

フリーランスになったからこそ増えた出費って?

── 働き方が多様化しているので、フリーランスになることを考えている人が増えていると思うんです。フリーランスになったからこそ増えた出費があれば教えていただきたいです。

近藤:
あぁ〜、医療費は増えましたね。フリーランスになってから、基本的にはいただいた仕事は全部やろうと思ってやってきてはいるんですけど、キャパオーバーになることが多くて。

風邪を引きやすくなったりして、体調不良で病院に行くことが増えました。

フリーランスになる前はそんなことなかったんですけど、無理しているんだろうなって、薄々感じています・・・。

あとは機材系ですね。

パソコン、カメラ、AdobeのPhotoshopとか、仕事にどうしても必要なツールのための固定費がちょっと増えました。

会社員の時はAdobeのソフトが用意されているのが当たり前でしたけど、それは自分で用意しなきゃいけないので、仕方ないですね。

── あと、フリーランスの方々は身なりがとてもしっかりされているなという印象を受けるのですが、会社員時代と比べて、近藤さんはいかがでしょうか? 「好きだから」という理由だけではなく、フリーランスであることが、ファッションにお金を使うことに関係しているのかなって思って。

近藤:
言われてみると、フリーランスになってからアクセサリーにかけるお金が増えてきた気がします。

装飾品は人に見られることを意識して選んでいますね。

あと外見って、やっぱり人柄がすごく見えると思うんです。

相手も、自分も満足できる仕事をするためにも、フリーランスはちゃんと自分のキャラクターを宣伝していくことが必須です。

── 具体的にいうと、どういうことでしょう?

近藤:
例えば「MERY」さんで取材する時には、スカートを履いて可愛い格好をして行こうとか、「CAREER HACK」さんであれば、取材対象者はウェブ業界の方なので、カッチリしすぎないオフィスカジュアルにするだとか。

媒体や会う方によって、都度都度変えつつ、自分が好きなものを身に付けるようにしています。

── 会社員だったら、そこまで人に気を使わなくてもいいかもしれないですね。

近藤:
会社員の時はここまで見られることを意識してなかったですね。

今は、あわよくば次の仕事につながればいいなとは思っているので、お会いする方、ご一緒する方と良い関係を築けるように、良い印象を持ってもらえるようにいつも見られることに意識的でいます。

近藤せなさん

── これも気になることなんですけど、貯金ってどうされてますか?

近藤:
私、貯金の才能なくて(笑)。

── 昔からですか?

近藤:
はい。会社員の時は貯金できないことに、そこまで危機感を感じていなかったんです。

けどフリーランスになってからは本当に貯金する必要があると思っていて。

病気になった時のためにも、貯金がないと一気に生活が成り立たなくなっちゃいますから・・・。

30歳でマンションを買い、黒柳徹子にインタビューする

── 今後のお話も伺わせてください。5年後の目標はありますか?

近藤:
30歳になる時にマンションを買おうと思っています。

── なんと! 貯金しないと実現できないですね(笑)。

近藤:
そうですよね(笑)。

5年後までに、きちんとマンションを買えるだけのお金を貯めることが今の目標です。

── なぜ30歳なのですか?

近藤:
私が29歳の時にオリンピックが開催されます。

たぶん次の年の、私が30歳になる年には不動産価値が下がるだろうと推測できるのが理由の一つ。

かつ区切りの良い節目からです。

── なるほど。

近藤:
とにかく仕事を続けていたいです。

だから今はいろんなお仕事をたくさんやっていきたいし、この仕事でずっと食べていけるように学んで、成長したいっていうのが、一番大事なこと。

── 取材してみたい人はいますか?

近藤:
大好きな黒柳徹子さんにインタビューすることが目標です。

それができるまでは絶対にこの仕事をやめないぞ、と思ってやっています。

── 同世代の同業者として、心から応援しています。

【編集後記】インタビューした感想

学生時代にアルバイト先のメディアを運営する会社で知り合った、近藤世菜さん。

じっくりお話を伺うのは初めてでしたが、出会う人や、自分と同じ場所にいる人と良い関係を築くために、見た目を整えるというお話等、お金の使い方で勉強になるところがたくさんありました。

僕自身は会社員ですが、今は個も立つ時代。見習っていこうと思います。

ノマド的節約術の裏話

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この記事を書いた人

編集者/フォトグラファー。ベルリン在住、茨城県龍ケ崎市出身。「灯台もと暮らし」をはじめ、暮らしをテーマに活動しています。