日本人たるもの、やっぱり一汁三菜の食卓が落ち着きます。
なかでも、お味噌汁と白ご飯の横に、お漬物が添えてあるとどこか安心するものです。
「健康に良いんだろうなー」とスーパーで手に取って買うかどうか迷うよりも、家で漬ければ毎回美味しいお漬物を食べることができます。
しかも余った野菜で作れるから、安くてさらにうれしいのが、自家製ぬか漬けです。
仕事や家事で疲れて、つい「外食しちゃおうかな?」という思いが頭をかすめても、「我が家にはぬか漬けがある」と思えば、家で料理を作るのもそこまで億劫になりません。
しかもぬか漬けは、日本を代表する発酵食品でもあり、消化を助け代謝を上げ、夏バテしそうな体を整えてくれるものでもあるのです。
今回は、そんなぬか漬けが簡単にできる作り方をご紹介します。
ぬか床を自宅で作ってみよう
精米機があれば、毎日精米したあとの糠をとっておくだけで、簡単にぬか床ができますよ。
ぬか床は、ぬか漬けのぬかを育てる場所のこと。
精米機がなく、ぬかが手に入らない場合は、お米屋さんで数十円単位で安く売っているので気軽に買えます。
コイン式の精米場にある米ぬかは、新鮮でない可能性があるので、できればお米屋さんを頼ってみてくださいね。
米ぬかは、精米機の中では、このように遠心力で弾かれてたまっています。
これを保存用のジッパー袋に入れて、冷凍庫にしまっておきましょう。
ある程度貯まったら、別の容器に移し替えましょう。
容器はずっとホーローの容器を使っていましたが、野菜室に組み込むように入るタッパーが便利なので、ここ2回くらいはそうして作っています。
まず、ぬかを計ります。
今回は約600gあったので、塩はこの10%、つまり60g用意します。
ちなみに、塩は「海の精」を使っていますが、お好みの塩でいいですよ。
他に「カンホアの塩」や「奥能登の塩」などミネラルたっぷりな塩で作っても美味しいです。
ぬかをタッパーに入れていきましょう。
この時点ではまだサラサラです。
そしてぬかと同量のぬるま湯(今回は600gです)に、ぬかの10%の量の塩(今回は60g)をよく溶かしたものを、タッパーに注いでいきます。
すべて入れたら、底の方からよーくかき回してください。
まんべんなく混ぜてこんな感じになったら、だいたい出来上がりです。
ぬか漬けには、だしの風味と防腐剤の役割を与えるために、昆布やしいたけ、唐辛子を入れておくことがあります。
今回は、5センチくらいの昆布を2~3枚と、干し椎茸を1個、種を抜いた唐辛子を刺して、野菜の切れ端を適当に入れました。
この時点で、タッパーに対して「少しぬか床が足りないなー」と思ったので、このあと冷凍庫からもう1袋のぬかを出して、10%の塩を溶かしたぬるま湯を加えてよく混ぜ、この上に乗せました。
これでとりあえず、今日のところはおしまいです。
100均タッパーで仕込むと、冷蔵庫の野菜室の上の段にぴったり収納できてとても見やすく、手入れもしやすいです。
ぬか床作りのコツ
ぬか漬けは、定期的にかき混ぜて手入れをすることで、まんべんなく発酵させることができます。
人によっては毎日朝晩混ぜる人もいるようですが、私は最初は翌々日までそのまま置いておき、そこから毎日混ぜ込むようにしています。
また、風味や発酵を促進させるために、ヨーグルトを混ぜたり、ビールを混ぜたりすることもあるようですが、我が家はぬかと水、それから塩と昆布と唐辛子だけです。
また、質のいいぬか床を作るために、最初に乳酸菌が優位になる環境を作れるキャベツを先に漬けておくことをおすすめします。
ぬか床の手入れをするには?
毎日のぬか床のお手入れとして大切なのは、ぬか床を混ぜる時には容器を清潔に保ち、ザクザクと混ぜず、太極拳の動きをするイメージでゆっくりと混ぜ込むことです。
2週間くらい野菜を入れ替え、味を見ながら下漬けして、少しずつ本漬け(本番のぬか漬け)に移ります。
最初はしょっぱいだけに感じられる野菜も、正しく発酵が進むとだんだん香ばしく美味しくなってきますよ。
そしてこのちょうど良い漬かり具合の時に、一口ぬかを味見して、味を覚えておくのもコツのひとつ。
夏は2~4ヶ月くらいすると、味がだいぶ安定してきます。
ぬか床が水っぽくなったら、ぬかを足したり水を抜いたり調整していくと良いでしょう。
米ぬかの美味しさは、ぬか漬けだけにあらず!
米ぬかは新鮮さが命です。
保存する場合はすぐに冷凍庫へ入れましょう。
そして、ぬか漬けだけでなく、お菓子などにも使うことができます。
使用する場合は、基本的に香ばしくなるまでぬかを乾煎りしてから使いましょう。
ぬか床ができたら作りたい、簡単なレシピもいくつかご紹介します。
1. 栄養たっぷり!米ぬかふりかけ材料
- 米ぬか:50g
- 白ごま:大さじ3
- 黒ごま:大さじ2
- 青のり:小さじ1
- かつおぶし:5~8g
- 塩:小さじ2/3
- 黒砂糖:小さじ1/4
- 米ぬか:50g
- 白ごま:大さじ3
- 黒ごま:大さじ2
- 青のり:小さじ1
- かつおぶし:5~8g
- 塩:小さじ2/3
- 黒砂糖:小さじ1/4
作り方はとても簡単です!
精米後の米ぬかをフライパンで煎ったら、他の材料を順番に加えていき、よく混ぜて、もうできあがりです。
煮沸消毒した瓶に詰めて冷蔵保存すれば、1週間くらい持ちます。
白米を食べる時にも、これをかければ栄養も美味しく取り入れられますね。
2. 止まらない香ばしさ!黒糖米ぬかクッキー
材料
- 炒った米ぬか:15g
- 薄力粉:80g
- 塩:ひとつまみ
- 黒糖:20g
- 油:大さじ1と1/2
- 豆乳か水:大さじ1と1/2(生地を見て調整しつつ)
炒り米ぬかと米粉、それから黒糖を入れたボウルに、米油を入れてすり混ぜ、パラパラにしてから豆乳を加えてください。
こねないようにひとまとめにして、平らにして型で抜くなど、形を整えてから170度で予熱したオーブンで30分くらい、うすく焼き色がつくまで焼きます。
ふつうのクッキーを作る時に、小麦粉の2割を米ぬかに置き換えるだけで、栄養豊富な米ぬかクッキーも作れますよ。
あまり米ぬかの割合が多いと、米ぬかの主張が強くなるのでプレーン系のクッキーの場合は2割程度にしておいた方が良いでしょう。
ココア味などの場合は米ぬかの香ばしさがコクに感じられるため、3割くらいまで増やしても大丈夫です。
また、あえて米ぬかの風味を感じられるクッキーを作りたい時は、小麦粉の半量を炒った米ぬかに替えると香ばしさが生きた味になりますよ。
3. ぬか漬けした肉や魚はおつまみにも
ぬか床にぬかを足していくうちに「ぬかが増えてきてしまった」という時は、ぜひ肉や魚を漬けてみてください。
密封容器に、ぬかをひとつかみ入れて魚やお肉を漬けておき、1~2日後くらいにぬかを落として焼きます。ぬかがタンパク質を分解してくれて、柔らかくなり美味しくなりますよ。
さいごに
昔は、ぬか漬けのにおいがクサくて、イヤがる人も多かったですが、最近は手作りの安心感と安く栄養のあるものを食べられることから、自家製ぬか漬けを漬けている人も、再び増えてきました。
さらに、今では冷蔵庫に入れておけば毎日混ぜて手入れをしなくても簡単にできるので、クサくなることもありません。
それよりも、毎回砂遊びのように、ぬかから漬け上がった野菜を発掘して子どもと一緒に「わあ!」と取り出す喜びを感じています。
容器の周りもきちんと拭くことを心がければ、適当に作っても美味しくできる懐の深さがぬか漬けの素敵なところで、失敗しても何度でもやり直しできます。
気軽に試してみてくださいね。