旬のものは、安くて美味しいだけでなく、栄養価が高まるピークのものも多いです。
新しい季節に備え、体調を崩さず乗り越えるためにも、積極的に旬の食材を食べたいものです。
特に春から夏にかけては、薬草にもなる香り高い野草が、実はあちらこちらに生えているのをご存知でしょうか。
季節を感じられる上に、しかも買う必要がないから節約にもなる。
今回はそんな、食べられる春の野草の見つけ方と調理方法を紹介していきますね。
自生してる草を探しに行ってみた
私の両親は、以前に「自分たちで食べる分だけちょっと野菜を育ててみたいと思う」と言っていました。
その後、実家へ帰るたびに「農家になって出荷するつもりなのかな?」と心配になるほど、農業に詳しくなって、今や人に教えるほどのプロフェッショナルになっています。
「今の時期は何が美味しい?」と聞くと・・・
「セリと春菊、それからほうれん草がたくさん採れるかな。育てなくてもセリとよもぎは自生してるよ。よもぎなんて東京でもよく生えてるよね」
そう言うので、生えている場所を教わって行ってみました。
こちらが、春の野草のセリです。
恥ずかしいことに、私はスーパーでしか見たことがありません。
セリの別名は白根草といいます。
ビタミンCやβカロテンが豊富。
独特の芳香があり、鎮静効果や肝機能を改善してくれる働きがあるのだとか。
比較的水分の多い土壌を好む草だそうです。
こちらはヨモギです。
はりきって大きな袋を持ち、父に教わった場所へ行きましたが、最初は「どれがヨモギかわからない……」と呆然とするのみで、結局手ぶらで帰ってきてしまいました。
そして「ほら」と父にバケツにいっぱいに摘んできてもらって、見分け方を教わりました。
実家に帰って畑を前にすると、東京に住んでいる私たちの方が、完全に右も左も分からないおのぼりさんです。
こちらは春菊です。
若い芽を摘むと、本当に柔らかく生のままリンゴや八朔と和えて、バルサミコ酢とオリーブオイルをかけて塩胡椒するだけで、とても美味しいサラダになります。
こちらは、私も見た目で判別できる、都会でもお馴染みのほうれん草。
両親が育てたものですが、常に玄関先に摘まれて水を吸った状態で保管されていました。
赤い根がとてもきれいです。
セリのおすすめの美味しい食べ方は「セリごはん」!
実家から帰ってきて、もらってきたセリはこんなにたくさん!
東京では、多摩川沿いに自生しているそうです。
セリ以外にも小松菜やからし菜などが、たくましく育っていると友人たちに聞きました。
セリといえば、我が家では、私が幼い頃から混ぜごはんにしていただくのがベーシックでした。
採ってきたらすぐできて、とても簡単&しかも美味しいので、お手軽なセリごはんレシピをご紹介します。
セリごはんの作り方
セリは、硬い茎を外して、柔らかい部分を摘んでザルにあげて洗います。
茎が育ち過ぎておらず、柔らかいようなら、そのままでも構いません。
そして熱湯でさっと湯がきます。
茹ですぎるとセリの芳香が消えてしまうので、30秒くらい湯がくのがベストです。
茹でたらザルにあげて、ギュッと絞ります。
そしてできるだけ細かく刻んでいきましょう。
今回のセリごはんに一度に使う量は、これくらいです。
ちょっと多すぎだな……と思ったら、ラップで包んでジップロックに入れて冷凍しておきましょう。
春の香りを、いつでも楽しむことができます。
刻んだセリを、2合の炊いたごはんにボトンと投入します。
ごはんの粒をつぶさないように、しゃもじを上下逆に持ち、しゃもじの盛り上がっている方を上にしてふわっと混ぜ、煎ったごまを振りながら、さらに混ぜます。
全体的に混ぜたらこんな感じになり、セリごはんの完成です。
セリごはんを、夜ごはんの一品としていただきます。
少しずつ盛り付けて食べては、温かいうちにまたおかわりしたくなるくらい、美味しいごはんになりました。
ヨモギなら、どこにでもある!
実家からもらってきたヨモギは、広げてみてその量に驚きました。
こちらはヨモギを洗って乾かしているところです。
これを全部、子ども達に荒らされる前に下ごしらえをせねばなりません……。
ということで、駆け足で行ったヨモギの下処理の方法をご紹介します。
ヨモギの下ごしらえの方法
ヨモギの下ごしらえは、重曹を加えたお湯で1分くらい茹でて、10分ほど水にさらしてアクを抜くのが基本です。
それから粉末状やヨモギ茶にする場合は水分をギュッと絞り、ざるに広げて乾燥させていきます。
こちらは、ヨモギをざるに干したものです。
外に干していたら風が強くて飛ばされたので、もう一度洗って干すことになってしまいました。
干すのにネットは必須だったと痛感しましたので、乾燥させる場合はネットを準備することをおすすめします。
乾燥したヨモギはパリパリになりますが、ここからミルサーにかけると粉にはならず、粉と綿のようなものになります。
ここから粉だけを振り分けて保存すると、ヨモギパウダーになりますよ。
しっかり乾燥させた綿部分は、お灸などに使われるもぐさにしていっても良いそうです。
ただ、本格的に作るには数ヶ月かかるようなので、ここで紹介したものは、あくまでも簡易的なものになります。
ヨモギを使って料理をしてみよう
下処理が終わったところで、さっそくヨモギを使って料理をしてみましょう。
ヨモギを使った料理はいろいろあります。
こちらは、じゃがいもをマッシュして、塩こうじ(なければ塩)、必要な人はコンソメを足して混ぜたタネに、干す前のヨモギを刻んで混ぜて丸めたものです。
揚げてコロッケにしても美味しいですよ。
おかずだけでなく、甘味を作る時もヨモギは大活躍します。
茹でてアクを抜いたヨモギをすり鉢で擦って、白玉粉と豆腐と混ぜて団子状にして茹でていきます。
浮き上がってきたら、冷水にさらして、ヨモギ団子のできあがり!
あんこやきなこをかけたら美味しいおやつになります。
豆腐でヨモギ団子を作ると翌日もふわふわなのでおすすめです。
見つけやすいヨモギを暮らしに取り入れてみよう
ちなみに、この写真は都内で見つけたヨモギたちです。
土手にも原っぱにも生えていますが、公園の表側など犬が通りそうな場所は避けた方が良さそうです。
また日当たりが良すぎる場所も、大ぶりに育ちがちでやわらかい新芽は見つけにくいので、やめた方が良いそう。
よもぎの特徴は、葉っぱの形もさることながら、やはりその、小豆あんや和菓子にベストマッチする爽やかな芳香です。
ヨモギの見た目は、裏返すとこのように白く細い毛が生えているのが特徴です。
もし野草がたくさん生えていて「似てるけどどうだろう」と迷うような野草がたくさんあったら、ぜひ香りを嗅いで裏を確認してみてください。
昔の知恵に学び、野草をいただこう
野草を採って食べるというのは、もちろん節約にもなりますが「万が一のことがあった時のサバイバル術」のようなものの一つでもあります。
それに、子ども達と一緒に、純粋に季節を感じて「あ、これがヨモギだよ」「セリも良い香りだね」と楽しみながら、散歩のついでに幼い頃のお土産のように持ち帰り、夕食に並べるのも楽しいかもしれません。
昔は、当たり前のように食べられていたセリやヨモギなどの野草たち。
ふと、足元を見ると、暮らしに役立つ宝物がたくさん落ちているかもしれません。